異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

文字の大きさ
上 下
16 / 193
聖女巡礼の旅

聖女巡礼

しおりを挟む
この前の浄化のおかげか、この地域は少しずつだが清々しい感じになったと思う。
森の方も、ここから新緑の感じが見てとれた。

とりあえずは実際に見て確認したくて、浄化した場所まで足を運んだ。
リシャールは、随行した者達で確認したから、必要ないと言われたけれど、あれだけごっそり力を持っていかれたのだから、気になってしまうと主張し、エドワードがそれに賛同してくれたのだ。

「綺麗な湖だったんですね。倒れていた木は?何処に行ったんだろう?」

確か倒れていた木も数本見えていたと思うのに、その影もない。

「浄化した後、聖女様が倒れられたから、僕たちはすぐにこの場を後にした。だから、残念ながらずっと様子を見てたわけではないけれどね。残しておいた者達の報告だと、倒木は徐々に姿形が消えたらしい。その後、同じ木々が生えてきたんだって。すごいね。さすが聖女の力だ。残ったもの達は歓喜して祈っていたらしいよ。」

そう言って、ニコニコしながら教えてくれたのはリシャールだった。

「本当、残念」

そう呟きながら、湖の方にかけて行った。
見られなくて残念だったのだろうか?
でも、無事に浄化できてよかったよ。
うん。
次は、もう少し楽だと良いんだけど、これよりも過酷になるんだろうな…

「きちんと護るから、大丈夫だ」

背後からそう呟くように声をかけられた。
それも、低音の心地よい…

「エドワード…様」
「『様』はいらない。」
「でも、皇子様なんですよね。なら…」
「必要ない」
「なら、エドワードさん」
「…今はそれでも…」

呼び捨てがいいようだ。心の中では、みんな呼び捨てにしてしまっているからな…
うん。芸能人とか、好きなアニメとかの登場人物達のようにだ。
でも、本当はそれではダメなのも理解はしている。
ここは現実なのだし、向こうの中世ヨーロッパみたいな貴族社会なのだろうとも思っているんだけど…

そこは、現代日本人だから、教えられても、ついついと言う事もあるし…
まぁ、本人達が『不敬』と捉えないのなら、それに沿う方もいいのかも。
そう言えば、『聖女』の位置は、神聖国皇王と同じかそれ以上とか言っていた。
なら、私の方が今は上?
浄化してもらわないといけないから、一時的なのだろうけど…
それなら、妹と同伴にと強く言えそうなんだけど、それは出来ないと言われた。
その辺は矛盾しているようだが、この世界の常識だと言われたら、私にはどうしようもない。
全てを知っているわけでもない。

浄化巡礼のために、あえてチヤホヤしているだけだろう。
機嫌取り?
そのために、そう言ってきたんだろう…

気分が落ち込んできた。

「さて、もう気がすんだ?じゃ、次に移動しようよ」

リシャールがそう言ってきた。
エドワードは何か言いたそうにしていたが、他の人達が同意をしたから、そうするしかないだろう。
とにかく、一刻も早く終わらせたい。
妹を取り戻すために…
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

処理中です...