異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

聖女巡礼の旅

聖地巡礼

かなり奥に進んだ場所で、先行した彼らと合流した。
空気はさらに悪くなっているが、思ったよりもマシな気がする。

もっとドロドロした感じの沼と淀んだ空気。
這いずるように湧き上がる魔獣を想像していたんだ。

でも、あったのは、深緑というか、黒に近い緑色の湖。
周辺の樹々は枯れているのもあれば、朽ちかけや、苔がものすごくむしている感じがする。
倒木も見えた。

「結構沸いていたが、駆逐しておいた。」

それだけ言われて、湖まで歩く空間を開けられる。
そっと下ろされ、地に足をつける。
うん、今は大丈夫そうだ。

少しぬるんだ場所はあるが、歩けないこともない。
ゆっくりと近づいて、水辺にしゃがみ込む。
一瞬ヌルッとした感じの水。
そっと触れると、そこから光が広がっていった。

光り輝き始めた場所から水が清浄化するのか澄んでいく。
同行しているもの達は、固唾をのんで見守っていた。
いつ見ても不思議な感覚だ。

あたり一面が光り輝き……

あれ？
目の前が真っ暗に……

身体が傾げ、慌てて抱き込まれたのがわかり、そこから意識が途絶えた。




意識が戻ったのは教会の中の一室。
心配そうに見守るのはあの侍女の姿をしたエレン。
そして、私の手を握ってくれているのは……

「大丈夫か？広範囲だったせいか、魔力が枯渇寸前だったようだ」

それだけ言うと、手を離された。
エレンさんは、私にポーションの瓶を渡してきた。

「飲んでください」

受け取った瓶の中身は優しい味がした。全身に行き渡る不思議な感覚。
手を握ってくれていた時も、温かく心地良い感じがしたが…それ以上に…

「これは少し特殊なポーションです。ここだけの秘密にしておいてください」

そう言って、瓶を受け取ってもらったけれど…
それよりも、さっきの行為は？？

「流石『魔人の国』ディール帝国最高魔術師である魔導士のエドワード・ディール様ですね。」

それだけ言って意味深に微笑まれた。
どう言う事？？