異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

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聖女巡礼の旅

聖女巡礼

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最初の目的地についたようだ。
拠点はこの地にある教会。
地方の教会の一つだけれど、思ったより大きかった。
向こうの教会の建物によく似ている。
違うのは、まぁこの世界。よくある中世時代の設定か?
うん、井戸だね。ポンプ式ではなく、カラカラと滑車が回るやつ。
自分達がいた世界でも、こう言う井戸があるのは知っている。
遠い国の辺鄙な所と言いましょうか…
自分が住んでいた国にも残っているかもしれないけど、使った事はない。
そんな感じで周りを見ていた。

小さな花が花壇に植えられているのも見えた。
少しだけ和む。
向こうに見えるのは…明日向かう予定の森かな?
少しどんよりと見えるのは気のせいではないようだ。
『瘴気』と言うものの影響だと思うよ。少し暗い霧みたいな感じかなぁ…
あくまで見た目だけど。
場所によっては真っ黒な感じだと言っていた。
練習がてらに行っていた森とかは、その場所だけが淀んで見えた感じなんだけどね…

案内の人についていきながら、そんな事を考えて見ていた。
妹がいる場所はどうなんだろうか…

「この部屋でお寛ぎください」

準備された部屋は、二階建ての南向き。
この教会の客間としてもいい部屋らしい。
先に護衛の人が入り確認した後『どうぞ』と通され、持っていた荷物を下ろす。
私自身が持つ物は少ない。
ほとんど他の人達が持ってくれているからだ。
持っている物は、錫杖と、ウエストポーチのみ。
このポーチ。魔道具の一つらしく、沢山の物が入るんだ。
猫型のポケットみたいだよね。
小さい時、妹と欲しいねってテレビを見ながらよく話していた。
それを両親が微笑ましいものを見るように…


「馬車移動って、思ったよりも疲れた。」

思考を無理やり切り替える。
今そんな事を思い出しても仕方がない。

「普通の馬車よりも楽なんだろうけど、何せ座りっぱなしの姿勢は疲れる」

テーブルに置かれていたコップに水を注いで一気に飲み干した。
今は一人きりにしてもらっているからね。
堅苦しい服装は、城下を出て最初の教会で着替えた。
だって本当に華美だったんだもの。
こんな服装で旅なんてあり得ないって感じよ。
まぁさ、一種の式典だから仕方ないんだろうけど…
あの服は、衣装箱に入れて運んでいるらしい。
『地域によって必要になるかもしれないから』という理由らしいけれど、着ないと思うんだけどなぁ…

旅用に楽な服装になったけれども、それでも、聖女らしく白をモチーフに、金や銀の刺繍が施されていた。
靴はブーツ。
それは白では無かったよ。
そこまで白なら汚れたらどうしようって思ったもの。
あと、流石にヒールやパンプスみたいな靴では疲れるし、山道とかを歩くとしたら無理だとも思っていた。

靴を脱いで、村娘が着そうな簡素な感じの服に着替える。
生地はしっかり高級品ではあったけどね。
白いブラウスに緑色のジャンバースカートみたいな感じだ。
ウエストのあたりは絞るようになっている。丈も長すぎることもない。

準備してくれた足湯に素足を入れて疲れをとった。
これだけでも感謝だ。
大きめの桶に入れらているお湯は、すぐに冷えると思ったけれど、案外冷えないもんだ。

「聖女様。大丈夫ですか?お水をお持ちしました」

入ってきた女性がテーブルの上に置かれているコップと水入れをちらっと見たようだが、気にせずに持ってきた物をテーブルの上に置いていた。
準備されたのは、ライムのような香りがする冷たいお水。
多分、少し果汁を入れてくれたのだろう。
そして、珍しいとされる氷魔法で氷を作って入れてくれている。
これはこれでありがたい。

「ありがとうございます。」

そう言って受け取った。
この世界には、ストローなんてものは無いから。コップにそのまま口をつける。


「美味しい」

ホッとしながら、そう呟いた。
控えてくれている侍女はホッとしていた。

ご令嬢によっては、もっと我儘を言われる方もいるとか。
果汁を少し入れた水ではなく、果汁そのものの、いわゆる『ジュースを出せ!』って感じなんだろう。
そんなこと言わないよ。
わざわざ準備してくださるのに、ありがたがらないなんて、有り得ない。

飲み干したコップを返し、クッキーも持ってきてくれていたので一つつまむ。
甘さ控えめな素朴な物だが、これも美味しいな…さてと
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