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本章 計画と策動
サンバ計画5
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「うちのルイの動き見てみて?」
紗杜が場の雰囲気を切り替えるように、話題を変えた。もう一度瑠衣を見た紗杜に、ふたりも倣った。
「あれがサンバの基本ステップ、『サンバ・ノ・ペ』。この後はガンザでサンバのリズムに触れてみて、『サンバ・ノ・ペ』やいくつかの楽器を体験しよう」
紗杜に教えられながらガンザでリズムの基礎を学んだふたりは、ノペに挑戦していた。紗杜が半分のスピードでノペを踏む。
その足の動きを見ながら同じようにステップを踏んでいる。
「いち、にぃ、さん! しぃ、いち、にぃ、さん! しぃ……」
基本は四拍子で、三にアクセントがあるのだと言いながら三の時に大袈裟に足を上げてステップの踏み方を見せる紗杜。
「ひー、足がごちゃごちゃする!」
「難しなこれ」
悪戦苦闘しながらも見よう見まねでノペを踏むふたり。なんとなく形にはなっていた。
「いやいや、ふたりとも筋良いよ! 楽器やダンスの経験はあるの?」
「ピアノとヴァイオリンとバレエ習ってました!」ノペを踏みながら答える渡会。
「お嬢やんけ!」ノペを踏みながら突っ込む百合。
「小中は新体操部で高校では仲間とストリートでブレイキンやってました!」
「ギャップえぐ! フジヤマくらい高低差あるやん!」
ふたりのやりとりは続く。ノペを踏みながら。
「もー、うるさいなぁ。ボケてないのにツッコむノリ、いやー、引くー。関西アピールかなんか? そんなキャラ付け必死になってないでジルさんのご質問に答えてくださいよー」
「おまえ生き様が大ボケやねん。誰がキャラ立ち狙て必死や!
ええと、ボクはギターちょっと弾けるくらいです。特に習ってとかはありません。ダンスも未経験です」
(余裕あるな……)思った紗杜はにこやかな笑顔を浮かべ、
「そかそか、類ちゃんは色々経験してるだけあってさすがだけど、藍司さんもリズム乗れてますよー! じゃあ倍速いってみよう!」
「ひぃぃぃぃ!」
「あかん、無理や!」
ふたりとも崩れ落ちた。速度についていけなくなったのもあるが、見た目通り、もしかしたら見た目以上に激しい体力の消耗とふくらはぎの筋肉疲労でノペを続けられなくなってしまった。
「さて、少し休みましょうか」紗杜は余裕の表情だ。
ふたりは座り込み息も絶え絶えになりながら水分を補給し、汗を拭っていた。
「このままノペの練習続けても良いし、やってみたい楽器あったら体験してみましょう!」
「わたしはもう少しこのステップ練習したいです!」
「うん、良いね!」
ぜえぜえしながらも前向きな度会に、紗杜は笑顔で返した。
「ボクはあの、タンボリンってのちょっとやってみたいです」
「オッケー」
そういうと紗杜は体験用の楽器置き場からタンボリンを取って戻り、百合に渡した。基本的な叩き方を教え、百合も実際にやってみる。
「よし、では音楽に合わせて鳴らしてみましょう。テンポはやいよー! 複雑なパターンはやらなくて良いので、わたしと同じように叩いてみて!」
カカカカッ! カカカカッ! カカカカカカカカカカッ!
小さな楽器は意外な音量の高音を練習場に響かせた。
同じように叩き、なんとかついていく百合。
「うん、できてるできてる! じゃあ、藍司さんが叩くタンボリンに合わせて類ちゃんノペ踏んでみようか」
「よっしゃ、ちゃきちゃき踊れよー?」
必死さの中に歩的な笑みを浮かべてタンボリンを叩く百合。
「ランちゃんこそリズム狂わないでよ⁉︎
適当こいたら蹴りくれてやる!」
「おい、ボク先輩やぞ⁉︎」
カカカカッ! カカカカッ! カカカカカカカカカカッ!
「おー! ふたりとも良い感じ!」
ダンスと打楽器の異種バトルが白熱していた練習場に、パンパンと手を叩く音が響いた。
「さて! 十五分休憩しようか! しっかり給水して、汗をかいた人は身体冷やさないように!」
治樹は休憩を告げた。ダンサーとバテリアが別々の練習場でおこなっているパート練習を区切る合図でもあった。
「よし、休憩にしましょう! 休憩後はバテリアと合同の練習になるので音に合わせて今日最初にやったガンザを振ってみよう!」
この合同で行う練習を、『エンサイオ』と呼ぶ。
「はーい、ランちゃん、楽しいね⁉︎」
「うん、まあ、確かに楽しな」
サンバ体験を楽しんでいるふたりを見ながら、紗杜は満足そうに微笑んだ。
紗杜が場の雰囲気を切り替えるように、話題を変えた。もう一度瑠衣を見た紗杜に、ふたりも倣った。
「あれがサンバの基本ステップ、『サンバ・ノ・ペ』。この後はガンザでサンバのリズムに触れてみて、『サンバ・ノ・ペ』やいくつかの楽器を体験しよう」
紗杜に教えられながらガンザでリズムの基礎を学んだふたりは、ノペに挑戦していた。紗杜が半分のスピードでノペを踏む。
その足の動きを見ながら同じようにステップを踏んでいる。
「いち、にぃ、さん! しぃ、いち、にぃ、さん! しぃ……」
基本は四拍子で、三にアクセントがあるのだと言いながら三の時に大袈裟に足を上げてステップの踏み方を見せる紗杜。
「ひー、足がごちゃごちゃする!」
「難しなこれ」
悪戦苦闘しながらも見よう見まねでノペを踏むふたり。なんとなく形にはなっていた。
「いやいや、ふたりとも筋良いよ! 楽器やダンスの経験はあるの?」
「ピアノとヴァイオリンとバレエ習ってました!」ノペを踏みながら答える渡会。
「お嬢やんけ!」ノペを踏みながら突っ込む百合。
「小中は新体操部で高校では仲間とストリートでブレイキンやってました!」
「ギャップえぐ! フジヤマくらい高低差あるやん!」
ふたりのやりとりは続く。ノペを踏みながら。
「もー、うるさいなぁ。ボケてないのにツッコむノリ、いやー、引くー。関西アピールかなんか? そんなキャラ付け必死になってないでジルさんのご質問に答えてくださいよー」
「おまえ生き様が大ボケやねん。誰がキャラ立ち狙て必死や!
ええと、ボクはギターちょっと弾けるくらいです。特に習ってとかはありません。ダンスも未経験です」
(余裕あるな……)思った紗杜はにこやかな笑顔を浮かべ、
「そかそか、類ちゃんは色々経験してるだけあってさすがだけど、藍司さんもリズム乗れてますよー! じゃあ倍速いってみよう!」
「ひぃぃぃぃ!」
「あかん、無理や!」
ふたりとも崩れ落ちた。速度についていけなくなったのもあるが、見た目通り、もしかしたら見た目以上に激しい体力の消耗とふくらはぎの筋肉疲労でノペを続けられなくなってしまった。
「さて、少し休みましょうか」紗杜は余裕の表情だ。
ふたりは座り込み息も絶え絶えになりながら水分を補給し、汗を拭っていた。
「このままノペの練習続けても良いし、やってみたい楽器あったら体験してみましょう!」
「わたしはもう少しこのステップ練習したいです!」
「うん、良いね!」
ぜえぜえしながらも前向きな度会に、紗杜は笑顔で返した。
「ボクはあの、タンボリンってのちょっとやってみたいです」
「オッケー」
そういうと紗杜は体験用の楽器置き場からタンボリンを取って戻り、百合に渡した。基本的な叩き方を教え、百合も実際にやってみる。
「よし、では音楽に合わせて鳴らしてみましょう。テンポはやいよー! 複雑なパターンはやらなくて良いので、わたしと同じように叩いてみて!」
カカカカッ! カカカカッ! カカカカカカカカカカッ!
小さな楽器は意外な音量の高音を練習場に響かせた。
同じように叩き、なんとかついていく百合。
「うん、できてるできてる! じゃあ、藍司さんが叩くタンボリンに合わせて類ちゃんノペ踏んでみようか」
「よっしゃ、ちゃきちゃき踊れよー?」
必死さの中に歩的な笑みを浮かべてタンボリンを叩く百合。
「ランちゃんこそリズム狂わないでよ⁉︎
適当こいたら蹴りくれてやる!」
「おい、ボク先輩やぞ⁉︎」
カカカカッ! カカカカッ! カカカカカカカカカカッ!
「おー! ふたりとも良い感じ!」
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「さて! 十五分休憩しようか! しっかり給水して、汗をかいた人は身体冷やさないように!」
治樹は休憩を告げた。ダンサーとバテリアが別々の練習場でおこなっているパート練習を区切る合図でもあった。
「よし、休憩にしましょう! 休憩後はバテリアと合同の練習になるので音に合わせて今日最初にやったガンザを振ってみよう!」
この合同で行う練習を、『エンサイオ』と呼ぶ。
「はーい、ランちゃん、楽しいね⁉︎」
「うん、まあ、確かに楽しな」
サンバ体験を楽しんでいるふたりを見ながら、紗杜は満足そうに微笑んだ。
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