185 / 215
大人トーク
しおりを挟む
全員がゲラゲラと笑っていた。
「ひー、ウケる」言いながらも、最初に立ち直ったのはみことだった。
「じゃーここらで、大人の恋愛について語ってもらう?」
ひいとのやり取りを続けていても埒が明かないと思ったのか、みことが私とほづみに話を振ってきた。まあ話題的に遅かれ早かれそういう流れになるだろうとは思っていたが、さてどうするか。
「ほづみもよく告られるよね。全部断ってるの?」
在籍歴が長い分、ほづみの情報はある程度みんなにも入っているようだ。まずは話しやすいほづみに焦点があてられた。
「全部ってことはないけど。まあ、基本私は自分から言いたいんだよね」
「おお、意外! 肉食じゃん!」
「ひいも肉ばっかり食べてるから、肉食いシスターズだ!」
「おい! ひき肉にしてやんぞ⁉︎」
「や、肉シスターは嫌だ‼︎」
姉妹仲良くみことの茶々入れに返しながら、ほづみはルイの「で、今は付き合ってるひといるの?」というド直球の質問に、やや照れながら、
「付き合ってるひとはいないけど、ちょっと良いなって思ってるひとはいるかなぁ。向こうもね、なんか気に入ってくれてるっぽい」
「はっ、もててて良いねぇ! おなじ姉妹なのにこれだよ」
「でもその流れだと、ほづみ告白されちゃうんじゃない? 自分からいきたいんでしょ?」
「んんー、まぁねぇ。でも、それはそれ、かなぁ。言ってくれるなら、考えちゃうかも」
「わー、よゆー」
「なんそれっ‼︎ 結局持てる者が持たざる者からすべてを総取りしてくんだ! そういう世の中なんだ!」
「柊もさ、ちゃんとしてればモテると思うよ?」
自画自賛にもなってしまうが、この場にいる者はどちらかと言えば容姿には恵まれている方だろう。性格はそれぞれあれど、内面的にも魅力的だと思える。人間関係の構築に向いていない者もいない。
みんな本気になれば、恋人を作ることは難しくはないと思える。
決して理想が高すぎるわけでもない。
要は、そこまで求めていないのだ。欲しいと言いながら、できないと嘆くと言った一連まで含め、この状況が楽しいのである。
そういう意味では、幼い集団とも言えるが、決して恋多きことが大人なわけでも優れているわけでもない。
望めば得られるという切り札を持ちながら、得られない状態を楽しめるなど、実はかなり贅沢ではないだろうか。
「がんちゃん優しい! でもフォローは心に痛いっ」
「ん……? 微妙にフォローになってなくない?」
「ちゃんとしてないってことだもんね」
「ちゃんとはしてないから仕方ないけどね。だらしないし、適当だし」
「おねーちゃんまでひどい!」
ひいは言いながら、未開封の堅あげポテトを、何のためらいもなく開けた。
ここで新規のお菓子追加とは。まあ良いでしょう。長丁場はおそらく全員が覚悟の上だ。
「ひー、ウケる」言いながらも、最初に立ち直ったのはみことだった。
「じゃーここらで、大人の恋愛について語ってもらう?」
ひいとのやり取りを続けていても埒が明かないと思ったのか、みことが私とほづみに話を振ってきた。まあ話題的に遅かれ早かれそういう流れになるだろうとは思っていたが、さてどうするか。
「ほづみもよく告られるよね。全部断ってるの?」
在籍歴が長い分、ほづみの情報はある程度みんなにも入っているようだ。まずは話しやすいほづみに焦点があてられた。
「全部ってことはないけど。まあ、基本私は自分から言いたいんだよね」
「おお、意外! 肉食じゃん!」
「ひいも肉ばっかり食べてるから、肉食いシスターズだ!」
「おい! ひき肉にしてやんぞ⁉︎」
「や、肉シスターは嫌だ‼︎」
姉妹仲良くみことの茶々入れに返しながら、ほづみはルイの「で、今は付き合ってるひといるの?」というド直球の質問に、やや照れながら、
「付き合ってるひとはいないけど、ちょっと良いなって思ってるひとはいるかなぁ。向こうもね、なんか気に入ってくれてるっぽい」
「はっ、もててて良いねぇ! おなじ姉妹なのにこれだよ」
「でもその流れだと、ほづみ告白されちゃうんじゃない? 自分からいきたいんでしょ?」
「んんー、まぁねぇ。でも、それはそれ、かなぁ。言ってくれるなら、考えちゃうかも」
「わー、よゆー」
「なんそれっ‼︎ 結局持てる者が持たざる者からすべてを総取りしてくんだ! そういう世の中なんだ!」
「柊もさ、ちゃんとしてればモテると思うよ?」
自画自賛にもなってしまうが、この場にいる者はどちらかと言えば容姿には恵まれている方だろう。性格はそれぞれあれど、内面的にも魅力的だと思える。人間関係の構築に向いていない者もいない。
みんな本気になれば、恋人を作ることは難しくはないと思える。
決して理想が高すぎるわけでもない。
要は、そこまで求めていないのだ。欲しいと言いながら、できないと嘆くと言った一連まで含め、この状況が楽しいのである。
そういう意味では、幼い集団とも言えるが、決して恋多きことが大人なわけでも優れているわけでもない。
望めば得られるという切り札を持ちながら、得られない状態を楽しめるなど、実はかなり贅沢ではないだろうか。
「がんちゃん優しい! でもフォローは心に痛いっ」
「ん……? 微妙にフォローになってなくない?」
「ちゃんとしてないってことだもんね」
「ちゃんとはしてないから仕方ないけどね。だらしないし、適当だし」
「おねーちゃんまでひどい!」
ひいは言いながら、未開封の堅あげポテトを、何のためらいもなく開けた。
ここで新規のお菓子追加とは。まあ良いでしょう。長丁場はおそらく全員が覚悟の上だ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ポエヂア・ヂ・マランドロ 風の中の篝火
桜のはなびら
現代文学
マランドロはジェントルマンである!
サンバといえば、華やかな羽飾りのついたビキニのような露出度の高い衣装の女性ダンサーのイメージが一般的だろう。
サンバには男性のダンサーもいる。
男性ダンサーの中でも、パナマハットを粋に被り、白いスーツとシューズでキメた伊達男スタイルのダンサーを『マランドロ』と言う。
サンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』には、三人のマランドロがいた。
マランドロのフィロソフィーを体現すべく、ダンスだけでなく、マランドロのイズムをその身に宿して日常を送る三人は、一人の少年と出会う。
少年が抱えているもの。
放課後子供教室を運営する女性の過去。
暗躍する裏社会の住人。
マランドロたちは、マランドラージェンを駆使して艱難辛苦に立ち向かう。
その時、彼らは何を得て何を失うのか。
※表紙はaiで作成しました。



太陽と星のバンデイラ
桜のはなびら
現代文学
〜メウコラソン〜
心のままに。
新駅の開業が計画されているベッドタウンでのできごと。
新駅の開業予定地周辺には開発の手が入り始め、にわかに騒がしくなる一方、旧駅周辺の商店街は取り残されたような状態で少しずつ衰退していた。
商店街のパン屋の娘である弧峰慈杏(こみねじあん)は、店を畳むという父に代わり、店を継ぐ決意をしていた。それは、やりがいを感じていた広告代理店の仕事を、尊敬していた上司を、かわいがっていたチームメンバーを捨てる選択でもある。
葛藤の中、相談に乗ってくれていた恋人との会話から、父がお店を継続する状況を作り出す案が生まれた。
かつて商店街が振興のために立ち上げたサンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』と商店街主催のお祭りを使って、父の翻意を促すことができないか。
慈杏と恋人、仕事のメンバーに父自身を加え、計画を進めていく。
慈杏たちの計画に立ちはだかるのは、都市開発に携わる二人の男だった。二人はこの街に憎しみにも似た感情を持っていた。
二人は新駅周辺の開発を進める傍ら、商店街エリアの衰退を促進させるべく、裏社会とも通じ治安を悪化させる施策を進めていた。
※表紙はaiで作成しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる