スルドの声(反響) segunda rezar

桜のはなびら

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大人トーク

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 全員がゲラゲラと笑っていた。
「ひー、ウケる」言いながらも、最初に立ち直ったのはみことだった。

「じゃーここらで、大人の恋愛について語ってもらう?」
 
 ひいとのやり取りを続けていても埒が明かないと思ったのか、みことが私とほづみに話を振ってきた。まあ話題的に遅かれ早かれそういう流れになるだろうとは思っていたが、さてどうするか。

 
「ほづみもよく告られるよね。全部断ってるの?」

 
 在籍歴が長い分、ほづみの情報はある程度みんなにも入っているようだ。まずは話しやすいほづみに焦点があてられた。

 
「全部ってことはないけど。まあ、基本私は自分から言いたいんだよね」
 
「おお、意外! 肉食じゃん!」
 
「ひいも肉ばっかり食べてるから、肉食いシスターズだ!」
 
「おい! ひき肉にしてやんぞ⁉︎」
「や、肉シスターは嫌だ‼︎」

 
 姉妹仲良くみことの茶々入れに返しながら、ほづみはルイの「で、今は付き合ってるひといるの?」というド直球の質問に、やや照れながら、
 
「付き合ってるひとはいないけど、ちょっと良いなって思ってるひとはいるかなぁ。向こうもね、なんか気に入ってくれてるっぽい」
 
「はっ、もててて良いねぇ! おなじ姉妹なのにこれだよ」
 
「でもその流れだと、ほづみ告白されちゃうんじゃない? 自分からいきたいんでしょ?」
 
「んんー、まぁねぇ。でも、それはそれ、かなぁ。言ってくれるなら、考えちゃうかも」
「わー、よゆー」
「なんそれっ‼︎ 結局持てる者が持たざる者からすべてを総取りしてくんだ! そういう世の中なんだ!」
「柊もさ、ちゃんとしてればモテると思うよ?」

 自画自賛にもなってしまうが、この場にいる者はどちらかと言えば容姿には恵まれている方だろう。性格はそれぞれあれど、内面的にも魅力的だと思える。人間関係の構築に向いていない者もいない。
 みんな本気になれば、恋人を作ることは難しくはないと思える。
 決して理想が高すぎるわけでもない。
 要は、そこまで求めていないのだ。欲しいと言いながら、できないと嘆くと言った一連まで含め、この状況が楽しいのである。
 そういう意味では、幼い集団とも言えるが、決して恋多きことが大人なわけでも優れているわけでもない。
 望めば得られるという切り札を持ちながら、得られない状態を楽しめるなど、実はかなり贅沢ではないだろうか。

 
「がんちゃん優しい! でもフォローは心に痛いっ」
「ん……? 微妙にフォローになってなくない?」
「ちゃんとしてないってことだもんね」
「ちゃんとはしてないから仕方ないけどね。だらしないし、適当だし」
「おねーちゃんまでひどい!」
 
 ひいは言いながら、未開封の堅あげポテトを、何のためらいもなく開けた。
 ここで新規のお菓子追加とは。まあ良いでしょう。長丁場はおそらく全員が覚悟の上だ。
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