184 / 215
転がるトーク
しおりを挟む
「じゃールイはどーなのさ」
総ツッコミを受けたがんちゃんがすこし膨れ、プリッツを齧りながらルイに振る。
かわーっ‼︎
「わたしも別に、今は未だ良いかなぁ。別に要らないわけじゃないし、つくりたくないわけじゃないから、良い巡り合わせがあればわからないけど、今のところ積極的に作ろうとは思わないし、把握している範囲で恋人になりたいなって思うひとも……まあいないかな」
「まじめ!」
「ん……ちょっと間が気になる。誰かのことは一瞬思い浮かべたよね?」
「えー、まあ、周囲の全員だよ。良いひとも格好良いひとも素敵なひとも多いから、付き合いたくない、恋人になりたくないって言いきっちゃうのはニュアンス違うかなーと思って。でも、恋人になりたい! って思えるひとが今時点でいるかと言われれば、そこまでではないから、まあ、って感じ」
「やっぱまじめ!」
「積極的にってつけてるのがやっぱ気になる! 自分から行く気はないけど、こられたらやぶさかじゃない的な?」
「あー、まあ、それはそうならないとわかんないなぁ。そうなったときに考える」
「やっぱまじめ!」
「ひいそれしか言えなくなったん?」
「でも、適当な話題でもルイって真摯に答えるよね」
「マルガの娘とはとても思えない」
「マルガって元ギャル感あるけど、結構まじめだよ?」
「むしろギャルってある意味まじめじゃない?」
「あ、なんとなくわかるー」
「ルイ、アリスン、がんちゃん、うちら『男なんかにうつつ抜かさないちゃんとしてる軍団』同盟組もうよ!」
「軍団と同盟って一緒にいて良い言葉だっけ?」
「ちょっと待ってよ! わたし別にうつつ抜かしてるわけじゃない!」
「でもカレシいたじゃん」
「ひいがカレシいないのはもてないからでしょ? いたかどうかは結果であって、うつつを抜かして無ければ良いんじゃないの?」
「え、みことその変な軍団同盟入りたいの?」
「そこに入るのって、何か大切な物を捨ててしまう気がする」
「入りたいわけじゃないけど最初から選択肢がないのが気に入らない」
「わたし別に大切なもの捨ててない」
「がんちゃん、入ろうって誘われてるだけだから。まだ入ってるわけじゃないから安心して」
「もてないって言った‼︎ 宣戦布告かこのやろう⁉︎ 聞いたでしょ⁉︎ これが男うつつ格差よ!」
「なにその言葉?」
全員未成年で、やっぱり真面目だからか誰もお酒などは飲んでいない。
酔っ払ってもいないのに、深夜のテンションでIQがかなり低くなっている会話の応酬に、みんなバカみたいに笑っている。
笑いの沸点が低くなっているのも夜中ならではだからだろうか。
それもある。
でも、このたまたま同じサークルに所属したというだけの関係性のメンバーが、個性も価値観も背景も異なるメンバー同士が、いつの間にかそれぞれがかけがえのない仲間になっているから、なんでもない会話が、こんなにも楽しいのだ。
いや、なんでもない会話をこれほど続けられる関係性こそが尊いのかもしれない。
総ツッコミを受けたがんちゃんがすこし膨れ、プリッツを齧りながらルイに振る。
かわーっ‼︎
「わたしも別に、今は未だ良いかなぁ。別に要らないわけじゃないし、つくりたくないわけじゃないから、良い巡り合わせがあればわからないけど、今のところ積極的に作ろうとは思わないし、把握している範囲で恋人になりたいなって思うひとも……まあいないかな」
「まじめ!」
「ん……ちょっと間が気になる。誰かのことは一瞬思い浮かべたよね?」
「えー、まあ、周囲の全員だよ。良いひとも格好良いひとも素敵なひとも多いから、付き合いたくない、恋人になりたくないって言いきっちゃうのはニュアンス違うかなーと思って。でも、恋人になりたい! って思えるひとが今時点でいるかと言われれば、そこまでではないから、まあ、って感じ」
「やっぱまじめ!」
「積極的にってつけてるのがやっぱ気になる! 自分から行く気はないけど、こられたらやぶさかじゃない的な?」
「あー、まあ、それはそうならないとわかんないなぁ。そうなったときに考える」
「やっぱまじめ!」
「ひいそれしか言えなくなったん?」
「でも、適当な話題でもルイって真摯に答えるよね」
「マルガの娘とはとても思えない」
「マルガって元ギャル感あるけど、結構まじめだよ?」
「むしろギャルってある意味まじめじゃない?」
「あ、なんとなくわかるー」
「ルイ、アリスン、がんちゃん、うちら『男なんかにうつつ抜かさないちゃんとしてる軍団』同盟組もうよ!」
「軍団と同盟って一緒にいて良い言葉だっけ?」
「ちょっと待ってよ! わたし別にうつつ抜かしてるわけじゃない!」
「でもカレシいたじゃん」
「ひいがカレシいないのはもてないからでしょ? いたかどうかは結果であって、うつつを抜かして無ければ良いんじゃないの?」
「え、みことその変な軍団同盟入りたいの?」
「そこに入るのって、何か大切な物を捨ててしまう気がする」
「入りたいわけじゃないけど最初から選択肢がないのが気に入らない」
「わたし別に大切なもの捨ててない」
「がんちゃん、入ろうって誘われてるだけだから。まだ入ってるわけじゃないから安心して」
「もてないって言った‼︎ 宣戦布告かこのやろう⁉︎ 聞いたでしょ⁉︎ これが男うつつ格差よ!」
「なにその言葉?」
全員未成年で、やっぱり真面目だからか誰もお酒などは飲んでいない。
酔っ払ってもいないのに、深夜のテンションでIQがかなり低くなっている会話の応酬に、みんなバカみたいに笑っている。
笑いの沸点が低くなっているのも夜中ならではだからだろうか。
それもある。
でも、このたまたま同じサークルに所属したというだけの関係性のメンバーが、個性も価値観も背景も異なるメンバー同士が、いつの間にかそれぞれがかけがえのない仲間になっているから、なんでもない会話が、こんなにも楽しいのだ。
いや、なんでもない会話をこれほど続けられる関係性こそが尊いのかもしれない。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ポエヂア・ヂ・マランドロ 風の中の篝火
桜のはなびら
現代文学
マランドロはジェントルマンである!
サンバといえば、華やかな羽飾りのついたビキニのような露出度の高い衣装の女性ダンサーのイメージが一般的だろう。
サンバには男性のダンサーもいる。
男性ダンサーの中でも、パナマハットを粋に被り、白いスーツとシューズでキメた伊達男スタイルのダンサーを『マランドロ』と言う。
サンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』には、三人のマランドロがいた。
マランドロのフィロソフィーを体現すべく、ダンスだけでなく、マランドロのイズムをその身に宿して日常を送る三人は、一人の少年と出会う。
少年が抱えているもの。
放課後子供教室を運営する女性の過去。
暗躍する裏社会の住人。
マランドロたちは、マランドラージェンを駆使して艱難辛苦に立ち向かう。
その時、彼らは何を得て何を失うのか。
※表紙はaiで作成しました。



太陽と星のバンデイラ
桜のはなびら
現代文学
〜メウコラソン〜
心のままに。
新駅の開業が計画されているベッドタウンでのできごと。
新駅の開業予定地周辺には開発の手が入り始め、にわかに騒がしくなる一方、旧駅周辺の商店街は取り残されたような状態で少しずつ衰退していた。
商店街のパン屋の娘である弧峰慈杏(こみねじあん)は、店を畳むという父に代わり、店を継ぐ決意をしていた。それは、やりがいを感じていた広告代理店の仕事を、尊敬していた上司を、かわいがっていたチームメンバーを捨てる選択でもある。
葛藤の中、相談に乗ってくれていた恋人との会話から、父がお店を継続する状況を作り出す案が生まれた。
かつて商店街が振興のために立ち上げたサンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』と商店街主催のお祭りを使って、父の翻意を促すことができないか。
慈杏と恋人、仕事のメンバーに父自身を加え、計画を進めていく。
慈杏たちの計画に立ちはだかるのは、都市開発に携わる二人の男だった。二人はこの街に憎しみにも似た感情を持っていた。
二人は新駅周辺の開発を進める傍ら、商店街エリアの衰退を促進させるべく、裏社会とも通じ治安を悪化させる施策を進めていた。
※表紙はaiで作成しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる