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鉄板トーク
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「アリスンは超絶モテそうだよね」
ひいをいじってもこれ以上何も出ないと踏んだのか、みことはアリスンに振る。
焼きカワハギの袋を開けようとしていたアリスンは一瞬きょとんとして、
「うん、まあ」
事もなく答えた。
おお、そこを即答できるとは。掛け値のない事実且つ衒いなく回答できることなのだろう。
彼女もまた、ほづみやみことと同じような背景があるのだろう。見た目の良さによって得られるものの恩寵と負荷。
って、ちょっと待って。
ガールズトークにカワハギ⁉︎
よく見れば手元には金鍔が。
機内での米菓と言い、親日家外国人の日本かぶれかなとも思ったが、どうもそういう感じでもなく、ただ好みのようだった。
カントリーマァムなども美味しそうに食べていたから、日本感のあるものにこだわっているというわけではないようだ。
「付き合ったりとかはあるの?」
ひいが尋ねながらアリスンが開けた袋に手を伸ばす。取りやすいようにアリスンは袋を差し出していた。
プラチナブロンドの美少女がむしゃむしゃと和紙みたいな珍味を齧る光景は、どうやらメンバーにとっては驚くような光景ではないらしい。
何事もないように会話は進む。
「いやー、今は良いかなーって。別に好きなひともいないし、バンドやサンバやってる方が楽しいし」
ひいが「同志!」などと叫んでいる。男所帯のサークルか共産主義のようなノリになってきた。
ルイが少し、心配そうにアリスンの表情を伺っていた。
一般的には恵まれていると評価される容姿によって、望まない経験をしたことがあって、同級生であるルイはそのことを知っていて心配している、という構図は無きにしも非ずではないだろうか。
アリスンは何でもないことのように話しているが、決して会話が広がるような語り口ではない。
アリスンからは嫌がっているといった反応は確認できないが、学生ながら察しの良いメンバーが多いのか、誰もそこを特に深堀せずに話の主体を展開していた。
「がんちゃんとルイもあまりそういう話しないよねー」
「隠してんでしょ? 吐きなよ!」
「ルイはマルガいないからチャンスだよね! がんちゃんはいのりいるから言い難い?」
「わたしおねーちゃんいるのに好き勝手言われてんだけど!」
「別に祷いても好きな人の話くらいできるけど……」
お? なんらかのそれ系の話、話すの?
え、え、ちょっと待って。心の準備が。あと設備の準備も。スマホの録音ボタン押しといた方が良いかしら?
興奮を悟られないようにしなくては。
ひいをいじってもこれ以上何も出ないと踏んだのか、みことはアリスンに振る。
焼きカワハギの袋を開けようとしていたアリスンは一瞬きょとんとして、
「うん、まあ」
事もなく答えた。
おお、そこを即答できるとは。掛け値のない事実且つ衒いなく回答できることなのだろう。
彼女もまた、ほづみやみことと同じような背景があるのだろう。見た目の良さによって得られるものの恩寵と負荷。
って、ちょっと待って。
ガールズトークにカワハギ⁉︎
よく見れば手元には金鍔が。
機内での米菓と言い、親日家外国人の日本かぶれかなとも思ったが、どうもそういう感じでもなく、ただ好みのようだった。
カントリーマァムなども美味しそうに食べていたから、日本感のあるものにこだわっているというわけではないようだ。
「付き合ったりとかはあるの?」
ひいが尋ねながらアリスンが開けた袋に手を伸ばす。取りやすいようにアリスンは袋を差し出していた。
プラチナブロンドの美少女がむしゃむしゃと和紙みたいな珍味を齧る光景は、どうやらメンバーにとっては驚くような光景ではないらしい。
何事もないように会話は進む。
「いやー、今は良いかなーって。別に好きなひともいないし、バンドやサンバやってる方が楽しいし」
ひいが「同志!」などと叫んでいる。男所帯のサークルか共産主義のようなノリになってきた。
ルイが少し、心配そうにアリスンの表情を伺っていた。
一般的には恵まれていると評価される容姿によって、望まない経験をしたことがあって、同級生であるルイはそのことを知っていて心配している、という構図は無きにしも非ずではないだろうか。
アリスンは何でもないことのように話しているが、決して会話が広がるような語り口ではない。
アリスンからは嫌がっているといった反応は確認できないが、学生ながら察しの良いメンバーが多いのか、誰もそこを特に深堀せずに話の主体を展開していた。
「がんちゃんとルイもあまりそういう話しないよねー」
「隠してんでしょ? 吐きなよ!」
「ルイはマルガいないからチャンスだよね! がんちゃんはいのりいるから言い難い?」
「わたしおねーちゃんいるのに好き勝手言われてんだけど!」
「別に祷いても好きな人の話くらいできるけど……」
お? なんらかのそれ系の話、話すの?
え、え、ちょっと待って。心の準備が。あと設備の準備も。スマホの録音ボタン押しといた方が良いかしら?
興奮を悟られないようにしなくては。
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