168 / 215
いつまでもではない今(LINK:primeira desejo 122〜123)
しおりを挟む
がんちゃんの成長。
がんちゃんの世界。
いつまでもは続かない、今。
やがて訪れる、別々の道を往く時。
色々と思ったけど、それはそれ。
関係性の在り方に変化はあるだろう。
それは緩やかかもしれないし、何らかのライフイベントを契機に突発的に訪れるのかもしれない。
それでも、関係性そのものが消滅するわけではない。関係の仕方はいついかなる時も選べる。
要は「私がどうしたいか」なのだ。
そんなこと、決まっている。
であれば、好きなようにさせてもらう。
「ながー!」
「こわー!」
「なんでぐるぐるにしてんの?」
「さあ? 格好良いからじゃない?」
「納めやすいようにでしょ?」
「ふつう!」
「何が悪いの⁉︎」
がんちゃんたちは渦巻き状に巻かれて真空パックされている長いソーセージを見て騒いでいる。
『リングイッサ』というブラジルのソーセージだ。豚肉や鶏肉を塩をベースに、ハーブやスパイスで味付けされていて日本人でも違和感なく食べられる味わいだ。
五十センチから、長いものでは一メートルほどのソーセージを渦巻きのように丸めた形状が特徴で、渦を崩さずに焼く。
この店舗はスーパーマーケットの業態だが、店内に軽食が摂れる店舗が入っている。テイクアウトもでき、店内でありながら食べ歩きのような動きも許されていた。
みんなでここで何かを買おうということになっているようだ。
「ほづみ! 私たちもなんか買おう」
頷くほづみと一緒に、小走りで前征く集団に追いつく。
「おーい、JKだけで楽しまないでよー。まぜてー」
私とほづみは五人の輪の中に入っていった。
「あー、祷さーん! むしろ来て来てー!」
「いぇっ! かもっ!」
「なにそのブラザーみたいな感じ」
「シスターなのにねぇ」
「おねーさんず!」
「うわ、おねーさんずはなんかやだなぁ」
「まー、がんちゃんや柊にとってはお姉さんだけど、あたしらはともだっちってことにしちゃう?」
「私だって『ソルエス』では年齢関係ない感じで接してるし、みんなも全然フランクで良いよー」
「いぇー、うちらともだちっち!」
「祷たまに年下みたいに思えるときある」
「じまー? 祷さんきゃわー!」
「うそ?」
うそ? そんなわけない。
「おねーちゃんたちとは三歳差だしね。確かにそんな変わんないよねー」
「柊と穂積さんは全然違うよ?」
「人の格みたいなのが違うよ?」
「性能が違うよ?」
「穂積さんの人間性、見習いなよ?」
「穂積さんのこと、もっと敬いなよ?」
「おい! やんのか⁉︎」
「なんで柊はバド部で上下関係仕込まれてるのにこんなに舐めた感じなの?」
「んー、わかんない。柊は子どもの頃から親に対してもあんま恐れを感じてなかったもんねぇ」
「タフガイってこと?」
「タフガイじゃないし、別に褒めてないからね?」
こんなに楽しい日々が続くなら、続く限りはその中に身を置いておけば良い。
いつか、やがて。
そんな日々に終わりは来るのだとしても。
それは移ろっただけで、それからの日々をまた、その時々の関係性で、在り方で、関わっていけば良いのだ。
私たちはげらげら笑い、大騒ぎしながら店舗の入り口付近に戻ってきた。
各々ブラジル系スナックの戦利品を手にして。
ちょうどキョウさんが店長さんとの会話を終えたタイミングだった。
がんちゃんの世界。
いつまでもは続かない、今。
やがて訪れる、別々の道を往く時。
色々と思ったけど、それはそれ。
関係性の在り方に変化はあるだろう。
それは緩やかかもしれないし、何らかのライフイベントを契機に突発的に訪れるのかもしれない。
それでも、関係性そのものが消滅するわけではない。関係の仕方はいついかなる時も選べる。
要は「私がどうしたいか」なのだ。
そんなこと、決まっている。
であれば、好きなようにさせてもらう。
「ながー!」
「こわー!」
「なんでぐるぐるにしてんの?」
「さあ? 格好良いからじゃない?」
「納めやすいようにでしょ?」
「ふつう!」
「何が悪いの⁉︎」
がんちゃんたちは渦巻き状に巻かれて真空パックされている長いソーセージを見て騒いでいる。
『リングイッサ』というブラジルのソーセージだ。豚肉や鶏肉を塩をベースに、ハーブやスパイスで味付けされていて日本人でも違和感なく食べられる味わいだ。
五十センチから、長いものでは一メートルほどのソーセージを渦巻きのように丸めた形状が特徴で、渦を崩さずに焼く。
この店舗はスーパーマーケットの業態だが、店内に軽食が摂れる店舗が入っている。テイクアウトもでき、店内でありながら食べ歩きのような動きも許されていた。
みんなでここで何かを買おうということになっているようだ。
「ほづみ! 私たちもなんか買おう」
頷くほづみと一緒に、小走りで前征く集団に追いつく。
「おーい、JKだけで楽しまないでよー。まぜてー」
私とほづみは五人の輪の中に入っていった。
「あー、祷さーん! むしろ来て来てー!」
「いぇっ! かもっ!」
「なにそのブラザーみたいな感じ」
「シスターなのにねぇ」
「おねーさんず!」
「うわ、おねーさんずはなんかやだなぁ」
「まー、がんちゃんや柊にとってはお姉さんだけど、あたしらはともだっちってことにしちゃう?」
「私だって『ソルエス』では年齢関係ない感じで接してるし、みんなも全然フランクで良いよー」
「いぇー、うちらともだちっち!」
「祷たまに年下みたいに思えるときある」
「じまー? 祷さんきゃわー!」
「うそ?」
うそ? そんなわけない。
「おねーちゃんたちとは三歳差だしね。確かにそんな変わんないよねー」
「柊と穂積さんは全然違うよ?」
「人の格みたいなのが違うよ?」
「性能が違うよ?」
「穂積さんの人間性、見習いなよ?」
「穂積さんのこと、もっと敬いなよ?」
「おい! やんのか⁉︎」
「なんで柊はバド部で上下関係仕込まれてるのにこんなに舐めた感じなの?」
「んー、わかんない。柊は子どもの頃から親に対してもあんま恐れを感じてなかったもんねぇ」
「タフガイってこと?」
「タフガイじゃないし、別に褒めてないからね?」
こんなに楽しい日々が続くなら、続く限りはその中に身を置いておけば良い。
いつか、やがて。
そんな日々に終わりは来るのだとしても。
それは移ろっただけで、それからの日々をまた、その時々の関係性で、在り方で、関わっていけば良いのだ。
私たちはげらげら笑い、大騒ぎしながら店舗の入り口付近に戻ってきた。
各々ブラジル系スナックの戦利品を手にして。
ちょうどキョウさんが店長さんとの会話を終えたタイミングだった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

ポエヂア・ヂ・マランドロ 風の中の篝火
桜のはなびら
現代文学
マランドロはジェントルマンである!
サンバといえば、華やかな羽飾りのついたビキニのような露出度の高い衣装の女性ダンサーのイメージが一般的だろう。
サンバには男性のダンサーもいる。
男性ダンサーの中でも、パナマハットを粋に被り、白いスーツとシューズでキメた伊達男スタイルのダンサーを『マランドロ』と言う。
サンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』には、三人のマランドロがいた。
マランドロのフィロソフィーを体現すべく、ダンスだけでなく、マランドロのイズムをその身に宿して日常を送る三人は、一人の少年と出会う。
少年が抱えているもの。
放課後子供教室を運営する女性の過去。
暗躍する裏社会の住人。
マランドロたちは、マランドラージェンを駆使して艱難辛苦に立ち向かう。
その時、彼らは何を得て何を失うのか。
※表紙はaiで作成しました。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

サンバ大辞典
桜のはなびら
エッセイ・ノンフィクション
サンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』の案内係、ジルによるサンバの解説。
サンバ。なんとなくのイメージはあるけど実態はよく知られていないサンバ。
誤解や誤って伝わっている色々なイメージは、実際のサンバとは程遠いものも多い。
本当のサンバや、サンバの奥深さなど、用語の解説を中心にお伝えします!

スルドの声(嚶鳴) terceira homenagem
桜のはなびら
現代文学
大学生となった誉。
慣れないひとり暮らしは想像以上に大変で。
想像もできなかったこともあったりして。
周囲に助けられながら、どうにか新生活が軌道に乗り始めて。
誉は受験以降休んでいたスルドを再開したいと思った。
スルド。
それはサンバで使用する打楽器のひとつ。
嘗て。
何も。その手には何も無いと思い知った時。
何もかもを諦め。
無為な日々を送っていた誉は、ある日偶然サンバパレードを目にした。
唯一でも随一でなくても。
主役なんかでなくても。
多数の中の一人に過ぎなかったとしても。
それでも、パレードの演者ひとりひとりが欠かせない存在に見えた。
気づけば誉は、サンバ隊の一員としてスルドという大太鼓を演奏していた。
スルドを再開しようと決めた誉は、近隣でスルドを演奏できる場を探していた。そこで、ひとりのスルド奏者の存在を知る。
配信動画の中でスルドを演奏していた彼女は、打楽器隊の中にあっては多数のパーツの中のひとつであるスルド奏者でありながら、脇役や添え物などとは思えない輝きを放っていた。
過去、身を置いていた世界にて、将来を嘱望されるトップランナーでありながら、終ぞ栄光を掴むことのなかった誉。
自分には必要ないと思っていた。
それは。届かないという現実をもう見たくないがための言い訳だったのかもしれない。
誉という名を持ちながら、縁のなかった栄光や栄誉。
もう一度。
今度はこの世界でもう一度。
誉はもう一度、栄光を追求する道に足を踏み入れる決意をする。
果てなく終わりのないスルドの道は、誉に何をもたらすのだろうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる