スルドの声(反響) segunda rezar

桜のはなびら

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イベント参加(LINK:primeira desejo 108)

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『ソルエス』は現時点で全勢力を阿波ゼルコーバファン感謝イベントに割けるわけではない。

 まずは目下に控えているイベントの準備と実施もある。がんちゃんが元々出たいと考えていたイベントだ。

 これはパレード中心のイベントで、振り付けなどはないため事前の練習はそれほど過密ではないが、それでもバテリアはパターンを決め、参加者はその練習をしておかなくてはならない。
 最終地点では簡単なステージ部分もある。ここではバンドも加わり、楽曲によるショーもある。こちらに関しては一部ダンサーは振り付けで参加する。ユニットごとに自主練で補っているようだ。


 私はスタッフとしてこのイベントに参加することにしていた。がんちゃんも一緒だ。

 パレード部分は長く、スタッフの役割は多い。
 お祭りで歩行者天国になっている公道をパレードする。
 祭りの参加者で溢れかえっている道を、トラロープで仕切り観客と演者が混ざらないようにはしてはいるが触れられるほどの距離で踊り、楽器を鳴らす。
 トラロープを持ち観客から演者を守る役割は主催者側が用意してくれるスタッフが引き受けてくれる。進行や誘導もだ。
 それでも、潤沢にひとがいるわけではないので、『ソルエス』側のスタッフも観客側への注意は怠れない。

 私とがんちゃんの主業務としては、演者への給水や、パフォーマンス中に衣装に故障があった場合の修繕、羽根などが落ちてしまった際のピックアップ、万が一怪我があった場合の応急処置、その他前後に伸びるパレードで必要に応じての雑務。

 その他、パレードの進行を管理する『アレモニア』、今回は貴重品は控え室に置いておけるが、パフォーマンスや何らかの手直しなどに必要な道具などを預かる『道具係』、パフォーマンスの様子を撮影する帯同『カメラマン』がスタッフとして参加する。


 準備に関してはスタッフはやることはあまりない。持ち物チェックくらいだろうか。
 給水に関してはミネラルウォーターや塩分タブレット、それを入れるバッグは物流担当のテッチャンが現地に持ってきてくれる。
 スタッフ用のTシャツに白いパンツ、チーム名の入った中折れハット、白いスニーカーは持参するので、それを忘れないようにするくらいだ。


 そんなこんなで比較的気軽に迎えた当日。
 準備は軽いが本番での責任は軽くはない。
 集合時間後メイクやチューニングなどの準備が始まる前にミーティングが行われる。
 このミーティングは緊張感を持って参加する。

 ミーティングはハルの仕切りで行われた。

 先導を担うわけではないがコースはしっかりと頭に入れる。
 公道を使用するパレードは、部分部分でパフォーマンスをやめ、移動のみの箇所がある。そこは通行止めはされていなく、信号を超えなくてはならない場合もある。
 隊が長く伸びることも想定できる。状況によっては遊撃的な動きのできる私たち給水スタッフが隊をコントロールしなくてはならないこともあるだろう。

 控え室の使用やイベントに関する注意事項、この後のスケジュールなどが一通り告げられ、ダンサーリーダーとバテリアリーダー、バンドリーダーより、それぞれのグループに関する具体的な動きに関する説明があった。

 ミーティングの進行がハルに戻された。
 ハルからスタッフひとりひとりが役割とともに紹介され、メンバーからの拍手に包まれる。
 私の後に紹介されたがんちゃんがしきりに照れながら頭を下げていたのがかわいかった。

 よし、やる気出てきたぞー。

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