スルドの声(反響) segunda rezar

桜のはなびら

文字の大きさ
上 下
91 / 215

課題(LINK:primeira desejo83)

しおりを挟む
 がんちゃんからも、時間に関しての疑問が呈された。
 がんちゃんはやっぱり勘が良い。


 姫田の担当者へのプレゼンに関する準備のための時間だけではなく、姫田の担当者を突破した後は阿波ゼルコーバ担当者とのやりとりやプレゼンも発生する。

 そして、そこをクリアし案件が確定したら、既に決まっているイベント日から逆算した、『ソルエス』としてのスケジュール調整(遠方案件のため、参加者個人個人の調整の難易度も高くなるだろう)、参加者確定後の構成決めとその練習のためのスケジュール確保も必要になる。

 がんこ個人で言えば姫田担当者へのプレゼン日までの間にプレゼン内容を決めなくてはならない。
 その際に実演もある。ということは、実演内容を決め、実演のための練習もしなくてはならない。

 これから進めるべき案件は、複数の段階、対象がいる一見複雑なものではあるが、その急所をがんこはよく見極めている。

「がんちゃん、さすが」

 提案の精度やパフォーマンスの内容に考えが行きがちだが、今回の件は時間管理ありきで進めないと仕損じる。「完璧」さよりも、アンカーポイントごとに必要な部分が「完成」している必要があるのだ。

「がんちゃんは肌理の細かい丁寧な計画を練るのに向いていると思う。単に細かいというのではなくて、視座が高くて視野が広いから、全容が視えていて、全体を構築するために必要なもの、障害になるものがパッと見つけられるんだね」

 あら? がんちゃん照れちゃってる?
 なんてかわいいのだろう。

 私が言ったバックアップというのは、まさにその時間に関するケアである。
 進められるところは先に進めておき、誰かにお願いできるところは、それに長けた誰かにお願いしておくのだ。

「時間がないのはまさにその通りで、だから拙速にならないようにしながらも急がなきゃならない。なのでがんちゃんが集中しないとならない部分、以外はチームに振るのだけど、進められるところは既に進めてもらってるんだ」


『先輩連合』の情報収集はほぼ完了している。
 新規に市場調査をかけている余裕はないので、口コミやネット上の意見などを集約した。ファングッズの売れ行きや、選手が出演している(主にローカルなものが中心だが)メディアの番組やCMの方向性や評価など、拾える情報を幅広く集めて分析がなされていた。
 阿波ゼルコーバファンが、チームにまたは選手なにを求めているのか。
 どの選手がファン人気が高く、どのような要素が人気なのか。
 過去イベントでファン評価の高かったものはなんなのか。
 ピンポイントの精度を求めるわけではないので、ここで得られる情報からある程度の窓が絞れれば充分だった。

 姫田グループの企業理念や行動指針、IR活動の方向性、ゼルコーバ広報の傾向などもまとめてある。

 計画を立てるに必要な情報は揃っていると言えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ポエヂア・ヂ・マランドロ 風の中の篝火

桜のはなびら
現代文学
 マランドロはジェントルマンである!  サンバといえば、華やかな羽飾りのついたビキニのような露出度の高い衣装の女性ダンサーのイメージが一般的だろう。  サンバには男性のダンサーもいる。  男性ダンサーの中でも、パナマハットを粋に被り、白いスーツとシューズでキメた伊達男スタイルのダンサーを『マランドロ』と言う。  サンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』には、三人のマランドロがいた。  マランドロのフィロソフィーを体現すべく、ダンスだけでなく、マランドロのイズムをその身に宿して日常を送る三人は、一人の少年と出会う。  少年が抱えているもの。  放課後子供教室を運営する女性の過去。  暗躍する裏社会の住人。  マランドロたちは、マランドラージェンを駆使して艱難辛苦に立ち向かう。  その時、彼らは何を得て何を失うのか。 ※表紙はaiで作成しました。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

バレー部入部物語〜それぞれの断髪

S.H.L
青春
バレーボール強豪校に入学した女の子たちの断髪物語

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

太陽と星のバンデイラ

桜のはなびら
現代文学
〜メウコラソン〜 心のままに。  新駅の開業が計画されているベッドタウンでのできごと。  新駅の開業予定地周辺には開発の手が入り始め、にわかに騒がしくなる一方、旧駅周辺の商店街は取り残されたような状態で少しずつ衰退していた。  商店街のパン屋の娘である弧峰慈杏(こみねじあん)は、店を畳むという父に代わり、店を継ぐ決意をしていた。それは、やりがいを感じていた広告代理店の仕事を、尊敬していた上司を、かわいがっていたチームメンバーを捨てる選択でもある。  葛藤の中、相談に乗ってくれていた恋人との会話から、父がお店を継続する状況を作り出す案が生まれた。  かつて商店街が振興のために立ち上げたサンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』と商店街主催のお祭りを使って、父の翻意を促すことができないか。  慈杏と恋人、仕事のメンバーに父自身を加え、計画を進めていく。  慈杏たちの計画に立ちはだかるのは、都市開発に携わる二人の男だった。二人はこの街に憎しみにも似た感情を持っていた。  二人は新駅周辺の開発を進める傍ら、商店街エリアの衰退を促進させるべく、裏社会とも通じ治安を悪化させる施策を進めていた。 ※表紙はaiで作成しました。

処理中です...