スルドの声(反響) segunda rezar

桜のはなびら

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体制と内容 (LINK:primeira desejo81)

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 言葉も出ないがんちゃん。かわいいなぁ。
 ちょっと安心させてあげよう。

「正確には、チームがんこだね」

 ひとりでやらせるわけではない。
 がんちゃんを中心としたチームで案件を獲りにいくのだ。

「私はもちろんサポートするし、ほづみも手伝ってくれるって」

 今集まってるリソースについて、露わにしていこう。心強く思ってくれると良いのだけど。

「ほづみからひいにも伝えてくれるから、きっとひいも加わってくれる。
あと、最近知ったんだけど私が入ってるインカレの企業サークル、ウリが学生の頃立ち上げたんだって」


 びっくりだよねー。世間て狭い。などと軽口で場を和ませようとしたががんちゃんはまだ驚きの世界から戻ってこない。
 言っていることは理解しているようなので、リソース出しを続ける。

「ウリも驚いてたよ。それでね、『後輩のためなら支援惜しんでちゃいられないよね』っていってくれて、会社の社員にも同じインカレ出身のひともいるらしくて、『先輩連合』をつくってバックアップするって約束してくれたんだ」
 そのほかの卒業生にも声を掛けてくれてるというのだから手厚い。

 とりあえずはこんなものだ。『ソルエス』メンバーには色々な職能や技術、人脈をもったひとが大勢いる。パフォーマンスに関してだけでみたとしても、もう少し参画メンバーを増やして拡充することもできる。
 しかし、あまり大所帯にするつもりはなく、この体制でも勝算は充分にあると踏んでいた。

 その中心はがんちゃんだ。
 中心がいつまでも不安そうなままにしてはおけない。

 どう動いていくのかという部分を少し具体的に伝えることにした。

 基本的には仕事を持っていない学生が中心に動く。
 とにかくがんちゃんの想いと希望を軸にして骨子を作る。

 だからまず、がんちゃんがどうしたいのか、そのためになにができるのか、相手にどんな価値を与えられるのかを考えなくてはならない。
 逆にいえば、まずはそれを考えるだけで良い。

 がんちゃんの想いや考えを計画書にまとめるのは私がやる。
 ウリの会社はシステムコンサルタントが主業務だが、情報に関するあらゆるサービスを提供している。
『先輩連合』で提案の裏付けになるような情報や、提案する際に役に立ちそうな情報の収集をカバーしてくれることになっている。

 がんちゃんの想いや考えをまとめたものなのだから、がんちゃんのプレゼンは自身の言葉で訴えれば良い。

 できそうでしょ?

 ほづみは集まったデータをまとめたり、補足資料をつくったりする役を担ってくれているが、真の役割はそこではない。

 プレゼンの際、その場で実演もするのだ。

 がんちゃんと私がスルドを叩き、その音でほづみとひいが踊って、サンバの魅力を体感としても伝える二段構えでいく。サンバの奥深さを伝える意味でも、サンバの楽曲と、誰もが知っている楽曲をサンバ化したものを用意するつもりだ。

 先日の買い物と打ち合わせはこのためのものだ。


 がんちゃんはまだ呆然としていたが、決して絶望感や怖気付いた様子は見えなかった。
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