69 / 215
運命との邂逅
しおりを挟む
近づいてくる音が大きくなってきて、合わせるように周囲の観客がざわめき出した。
隣の友だちも、何が始まるんだろうね? と、興奮した様子でみことに話しかけた。みことも友だちや周りに釣られて、嫌が応にもテンションは上がりつつあった。
歌の声がはっきりと聞こえるようになると、道路の左奥から軽妙な感じのパフォーマーが横一列になって踊りながら進んできた。
ひとりひとりがアルファベットのパネルを持っている。チーム名だろうか?
どうもポイント的に、止まらずあまりゆっくりも動かず、どちらかといえばスピーディーに通り過ぎていってしまう箇所のようだ。だから観覧できる空きができていたのかもしれない。
チーム名らしきパネルを持った、隊を紹介する役割と思わしき集団が通り過ぎると、同い年くらいの子たちで編成されたダンサー集団が踊りながら過ぎていった。
これ、パレードだ!
みことは内心興奮した。
少し前に、自らの心を掴んだパレード。
世界有数のテーマパークの誇るプロ集団のパレードと比較すべきものではないのかもしれないが、パフォーマーの技術、衣装や山車の完成度には差はあるのだろう。
しかし今、目の前を過ぎていくパレードもまた、次々現れる色々な姿形のパフォーマーと表現、そして彼らが表しているであろうなんらかのストーリーが織りなされていて。
内容を左脳で理解していないみことであっても、その心は打たれたのだという。
その後もパレードは続いた。
そのチームが終わった後、少ししたら今度は別のチームのパレードが始まった。
行こうと言った友だちの方が先に疲れてしまい、そろそろいちごのスイーツ食べに行こうよと言い出していた。
自分から観たいと言ったくせにと思いながら時計を見たら、気づけば十五時を回っていた。
名残惜しいがさすがに長居し過ぎている。
それは、時間の経過に気づかないほどに夢中になっていたことを表してもいる。
まだまだパレードは続きそうな雰囲気で、底知れなささえ感じながら、みことは友だちとその場を離れた。
目当てのいちごのスイーツは、パフェとかき氷をシェアして食べた。
美味しかったが、どこか上の空だったみことの心は、まだ沿道に残っていたのかもしれない。
家に着いたみことは、浅草で見た出来事のことを調べた。
『浅草サンバカーニバル』
年に一度行われる北半球最大規模のサンバカーニバル。
規模や内容などを夢中になって調べたみことは、自宅の近くに参加チームのひとつ、『ソール・エ・エストレーラ』が存在することを知った。
隣の友だちも、何が始まるんだろうね? と、興奮した様子でみことに話しかけた。みことも友だちや周りに釣られて、嫌が応にもテンションは上がりつつあった。
歌の声がはっきりと聞こえるようになると、道路の左奥から軽妙な感じのパフォーマーが横一列になって踊りながら進んできた。
ひとりひとりがアルファベットのパネルを持っている。チーム名だろうか?
どうもポイント的に、止まらずあまりゆっくりも動かず、どちらかといえばスピーディーに通り過ぎていってしまう箇所のようだ。だから観覧できる空きができていたのかもしれない。
チーム名らしきパネルを持った、隊を紹介する役割と思わしき集団が通り過ぎると、同い年くらいの子たちで編成されたダンサー集団が踊りながら過ぎていった。
これ、パレードだ!
みことは内心興奮した。
少し前に、自らの心を掴んだパレード。
世界有数のテーマパークの誇るプロ集団のパレードと比較すべきものではないのかもしれないが、パフォーマーの技術、衣装や山車の完成度には差はあるのだろう。
しかし今、目の前を過ぎていくパレードもまた、次々現れる色々な姿形のパフォーマーと表現、そして彼らが表しているであろうなんらかのストーリーが織りなされていて。
内容を左脳で理解していないみことであっても、その心は打たれたのだという。
その後もパレードは続いた。
そのチームが終わった後、少ししたら今度は別のチームのパレードが始まった。
行こうと言った友だちの方が先に疲れてしまい、そろそろいちごのスイーツ食べに行こうよと言い出していた。
自分から観たいと言ったくせにと思いながら時計を見たら、気づけば十五時を回っていた。
名残惜しいがさすがに長居し過ぎている。
それは、時間の経過に気づかないほどに夢中になっていたことを表してもいる。
まだまだパレードは続きそうな雰囲気で、底知れなささえ感じながら、みことは友だちとその場を離れた。
目当てのいちごのスイーツは、パフェとかき氷をシェアして食べた。
美味しかったが、どこか上の空だったみことの心は、まだ沿道に残っていたのかもしれない。
家に着いたみことは、浅草で見た出来事のことを調べた。
『浅草サンバカーニバル』
年に一度行われる北半球最大規模のサンバカーニバル。
規模や内容などを夢中になって調べたみことは、自宅の近くに参加チームのひとつ、『ソール・エ・エストレーラ』が存在することを知った。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ポエヂア・ヂ・マランドロ 風の中の篝火
桜のはなびら
現代文学
マランドロはジェントルマンである!
サンバといえば、華やかな羽飾りのついたビキニのような露出度の高い衣装の女性ダンサーのイメージが一般的だろう。
サンバには男性のダンサーもいる。
男性ダンサーの中でも、パナマハットを粋に被り、白いスーツとシューズでキメた伊達男スタイルのダンサーを『マランドロ』と言う。
サンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』には、三人のマランドロがいた。
マランドロのフィロソフィーを体現すべく、ダンスだけでなく、マランドロのイズムをその身に宿して日常を送る三人は、一人の少年と出会う。
少年が抱えているもの。
放課後子供教室を運営する女性の過去。
暗躍する裏社会の住人。
マランドロたちは、マランドラージェンを駆使して艱難辛苦に立ち向かう。
その時、彼らは何を得て何を失うのか。
※表紙はaiで作成しました。



太陽と星のバンデイラ
桜のはなびら
現代文学
〜メウコラソン〜
心のままに。
新駅の開業が計画されているベッドタウンでのできごと。
新駅の開業予定地周辺には開発の手が入り始め、にわかに騒がしくなる一方、旧駅周辺の商店街は取り残されたような状態で少しずつ衰退していた。
商店街のパン屋の娘である弧峰慈杏(こみねじあん)は、店を畳むという父に代わり、店を継ぐ決意をしていた。それは、やりがいを感じていた広告代理店の仕事を、尊敬していた上司を、かわいがっていたチームメンバーを捨てる選択でもある。
葛藤の中、相談に乗ってくれていた恋人との会話から、父がお店を継続する状況を作り出す案が生まれた。
かつて商店街が振興のために立ち上げたサンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』と商店街主催のお祭りを使って、父の翻意を促すことができないか。
慈杏と恋人、仕事のメンバーに父自身を加え、計画を進めていく。
慈杏たちの計画に立ちはだかるのは、都市開発に携わる二人の男だった。二人はこの街に憎しみにも似た感情を持っていた。
二人は新駅周辺の開発を進める傍ら、商店街エリアの衰退を促進させるべく、裏社会とも通じ治安を悪化させる施策を進めていた。
※表紙はaiで作成しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる