スルドの声(反響) segunda rezar

桜のはなびら

文字の大きさ
上 下
60 / 215

私の収益源

しおりを挟む
 動画配信が稼ぐ手段では無いが、せっかくスルドを始めるのだ。いつかサンバやチームのためにも使えるかもしれないからこのチャンネル自体は引き続き育てていくつもりではある。
 がんちゃんと姉妹でやるのもおもしろいかも。


 配信用にいくつか新作は撮っておこうと、クラリネットで同じ曲を複数のアレンジで五回撮影した。
 後で編集し、クラリネットのみの五重奏の動画シリーズを直近のヒット曲数曲で作成して配信する予定だ。

 
 次に、家庭教師用の英会話、プレゼン、話し方の講義で使える動画素材の撮影する。金策の手段としてはこちらが主となる。

 私自身も家庭教師には登録していて、たまに依頼を受けているが、家庭教師の運営元に、登録家庭教師が利用できる教材として提供している動画だ。


 この家庭教師会社では、単なる受験用の勉強だけでなく、ビジネススキル的なカリキュラムも用意していて、基本的には学生のバイトで賄っている登録家庭教師では補えない部分を、教材を使ってカバーしている。
 そのことを私自身がこの会社で家庭教師のバイトする際に認識し、運営に働きかけ、私が過去に動画で撮影していた英会話のものをサンプルに、動画を活用した新教材の提案させてもらったところ、受注を得たのだった。
 以降、定期的に買い取ってもらっている。
 
 まあこれも小遣い稼ぎ程度にしかならないのだが。当座はそれでも問題ないが、サンバの練習を全部出るとしたら家庭教師のバイトは更に減る。
 もう少しまとまった収益を得る検討の必要がありそうだ。

 
 高校生時代にプログラムの授業の時につくったアプリをブラッシュアップして開発した、小学生でも使える会計処理アプリ。
 お小遣い管理モードでは内容は限界までシンプルにし、画面はグラフィカルで楽しいものにしてあるため、あくまでも子どもの小遣い管理や、金銭感覚を身に着けさせるためのワークに利用できるものとしてのニーズに応えていたが、会計の基礎のロジックをしっかりと軸にしているため、カスタマイズによっては工業簿記でも商業簿記でもこなせるアプリになっていた。
 無料版と有料版を用意しており、有料版はそれほどではなかったが、無料版のダウンロード数は多かった。
 有料版が揮っていなかったので、企業が食いつくほどの魅力は無かったが、無料プランで裾野を広げ、有償プランに誘導するフリーミアムの戦略を取ろうとしていた会計ソフト会社が買いとってくれた。
 売却額はちょっとした資産と言ってしまうと少し大袈裟になってしまうが、学生が得る額としては充分なものだった。とはいえ、売却益はほぼ全額資産運用に回してしまっているので自由に使える状況にはない。定期的に多少の配当は出るけれど。

 
 プログラマーではないので本格的なものはつくれないが、基礎知識だけでつくれるシンプルなものでも、アイデアと工夫で売れるものはつくれる。
 今度はユーザーが登録や利用しているネットショップのプラットホームか、サブスクを管理するアプリでもつくろうか。

 それだけでは当たり障りが無いので、アプリを経由して登録先を利用する頻度で、登録されたサイトやサービスをキャラクター化し、育っていくようにしたらどうだろう。
 アプリを経由してサービスを立ち上げるたびに発生するアフィリエイトは収益にはせず会員に還元し、キャラクターが育つと換金できるお小遣い稼ぎ系の要素を加えて、育成の熱中度にベネフィットを加えることで、登録しているサービスの利用を促進し、退会を防ぐ。
 管理系のアプリは利用しないものを整理する目的にも使用されるが、アプリを経由することで楽しさや利点がもたらされれば、退会率を減らせるというポイントは、サービスを提供している企業には売りになるかもしれない。
 作るとしたらコンテンツ部分の精度が決め手になる。
 イラストや演出、インターフェースや操作性、操作感など、細かいところは長けている友人知人の力を借りて共同でやれれば実現は可能だろう。
 作成だけでも簡単では無いのに、売却まで漕ぎ着けるのは至難ではあるが、成れば大きい。
 間にエージェントを入れて手数料を払っても、純利益を協力者全員で平等に割っても、手元にはある程度の選択の実現を可能にする額が残るだろう。当面の活動資金としては充分すぎる。余剰金を使ってやってみたいことも思いついた。

 本気で取り組んでみよう。ちょっと忙しくなりそうだ。
 こちらを向いたままのカメラが映しているモニターの中の私は、少しの高揚感と気力がみなぎった笑みを浮かべていた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ポエヂア・ヂ・マランドロ 風の中の篝火

桜のはなびら
現代文学
 マランドロはジェントルマンである!  サンバといえば、華やかな羽飾りのついたビキニのような露出度の高い衣装の女性ダンサーのイメージが一般的だろう。  サンバには男性のダンサーもいる。  男性ダンサーの中でも、パナマハットを粋に被り、白いスーツとシューズでキメた伊達男スタイルのダンサーを『マランドロ』と言う。  サンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』には、三人のマランドロがいた。  マランドロのフィロソフィーを体現すべく、ダンスだけでなく、マランドロのイズムをその身に宿して日常を送る三人は、一人の少年と出会う。  少年が抱えているもの。  放課後子供教室を運営する女性の過去。  暗躍する裏社会の住人。  マランドロたちは、マランドラージェンを駆使して艱難辛苦に立ち向かう。  その時、彼らは何を得て何を失うのか。 ※表紙はaiで作成しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

サンバ大辞典

桜のはなびら
エッセイ・ノンフィクション
サンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』の案内係、ジルによるサンバの解説。 サンバ。なんとなくのイメージはあるけど実態はよく知られていないサンバ。 誤解や誤って伝わっている色々なイメージは、実際のサンバとは程遠いものも多い。 本当のサンバや、サンバの奥深さなど、用語の解説を中心にお伝えします!

バレー部入部物語〜それぞれの断髪

S.H.L
青春
バレーボール強豪校に入学した女の子たちの断髪物語

スルドの声(嚶鳴) terceira homenagem

桜のはなびら
現代文学
 大学生となった誉。  慣れないひとり暮らしは想像以上に大変で。  想像もできなかったこともあったりして。  周囲に助けられながら、どうにか新生活が軌道に乗り始めて。  誉は受験以降休んでいたスルドを再開したいと思った。  スルド。  それはサンバで使用する打楽器のひとつ。  嘗て。  何も。その手には何も無いと思い知った時。  何もかもを諦め。  無為な日々を送っていた誉は、ある日偶然サンバパレードを目にした。  唯一でも随一でなくても。  主役なんかでなくても。  多数の中の一人に過ぎなかったとしても。  それでも、パレードの演者ひとりひとりが欠かせない存在に見えた。  気づけば誉は、サンバ隊の一員としてスルドという大太鼓を演奏していた。    スルドを再開しようと決めた誉は、近隣でスルドを演奏できる場を探していた。そこで、ひとりのスルド奏者の存在を知る。  配信動画の中でスルドを演奏していた彼女は、打楽器隊の中にあっては多数のパーツの中のひとつであるスルド奏者でありながら、脇役や添え物などとは思えない輝きを放っていた。  過去、身を置いていた世界にて、将来を嘱望されるトップランナーでありながら、終ぞ栄光を掴むことのなかった誉。  自分には必要ないと思っていた。  それは。届かないという現実をもう見たくないがための言い訳だったのかもしれない。  誉という名を持ちながら、縁のなかった栄光や栄誉。  もう一度。  今度はこの世界でもう一度。  誉はもう一度、栄光を追求する道に足を踏み入れる決意をする。  果てなく終わりのないスルドの道は、誉に何をもたらすのだろうか。

処理中です...