スルドの声(反響) segunda rezar

桜のはなびら

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スルドの選び方

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 さっそく選び方のコツなど、チカが教えてくれた連絡先にメッセージで尋ねることにした。

 チカからの返信は程なくして届いた。
 
 チカから得た情報をまとめると、こんな感じか。

 ・価格は数万円から十万円程度。
 ・価格やメーカーと言うよりも、素材を加味した方が良いかも。
 例えば、枠を叩いて金属音を出す奏法を使用するなら、金属部分の有る無し。
 木胴は柔らかい音が出てアンサンブルに向いているが、サンバ用としてはアルミ胴がオススメ。軽くて耐久性もあり、音も大きい。
 
 良い音であることも大事だけど、どちらかと言えば大きい音が出せるかが優先されるようだ。
 加えて重さなど、持ち運びが多く野外で使用する頻度が高いことが加味されている。
 野外では急な雨に晒される場合もある。ヘッドは皮の方が良い音が出るが、片面は対候性のあるプラヘッドにしておいた方が良い。
 ただ、これは購入後に取り換えられる部位なので購入時にはそれほど気にしなくても良さそうだ。

 
 弦楽器や管楽器と比べると、価格的には購入しやすく、価格差も少ない。注意するポイントも少ない。
 それほど気にせず、気に入ったものを感覚で購入しても問題なさそうだった。

 どちらかと言えば太鼓のバチに当たるマレットの方が、慎重に選ぶ必要がありそうだった。
 身体に合わないと影響が大きいので、実際に叩かせてもらって手に馴染むものを選ぶ。
 手作りという選択肢もあるそうで、簡単な作り方も教えてもらった。

 どうせマレットの体感はしなくてはならないのだから、スルドも試して決めることにした。
 近隣にも楽器屋はいくつかあるが、サンバの楽器を扱っているお店は限られている。チカには品ぞろえが良く、サンビスタが良く利用するお店をいくつかピックアップしてもらった。

 せっかく専門店に行くのなら、日常的に基本的なリズムの練習ができる『ガンザ』と、同じく片手で持てる楽器ながらドラムセットに匹敵する多彩さを持つ、室内用のパーカッションとしても向いている『パンデイロ』も欲しい。

『ガンザ』はシェイカーで、ボディの中に入った細かい粒をボディ内の壁面にぶつけて「シャカシュカ」と音を鳴らす楽器だ。

『パンデイロ』はタンバリンのような見た目の片手で持てる楽器だ。タンバリンよりもジングルの数が少なく、ジングルの合わさり方が逆になっている。鈴の大きさが大きくなり過ぎずドラムと同等のリズム楽器としての役割をこなせる。

 
 がんちゃんと共有して、一緒に『パゴーヂ』に参加するのも良い。

『パゴーヂ』とは、適当に集まったメンバーがラフで即興的にサンバを楽しむ文化で、室内で行われることも多い。飲食などをしながら、興に入ったら始まるといった風情も楽しい。

 
 あれやこれやと夢が膨らむ。
 買い物自体もがんちゃんと一緒に行きたいな。予定聞いておこう。

 買い物に行くとして、予算としては十万円くらいか。中には十万越えのスルドもある。どうしてもそのスルドが気に入ってしまったら、その他必要なものを揃えることも考えれば十五万位は用意しておきたい。
 がんちゃんと行くなら時間帯によるがお茶か食事も一緒に行く程度の余力も欲しいな。

 
 それくらいの貯金はあるが、少し稼いでおこう。
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