スルドの声(反響) segunda rezar

桜のはなびら

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スルドを買おう

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 さて、晴れて『ソルエス』にメンバー入りした私は、スルドの購入を検討していた。

 先輩であるがんちゃんは先生に当たるキョウさんからスルドを譲り受けている。
 師匠と弟子間で道具を継承するみたいな文化があるとしたら、軽々に購入してしまうのはあまり良くないかもしれないが、多分そんな厳密なものは無いだろう。

 
 キョウさんはバンド活動も含め、音楽関連の活動が多く、数種類の楽器を複数ずつ所有しているのでそういうことができるが、私の先生に当たるチカはそうではないから、継承なんてしたら自身の楽器が無くなってしまう。
 とはいえ、チカにあらかじめ相談はしておいた方が安全だろう。

 
 初心者だし私もまずは中古で慣れてからという思いもあるが、せっかくだから新品を買いたい。
 ブラスバンド部の時も思ったが、楽器の選び方について、初心者は安いもの(中古も含む)をまずは買って使い潰す勢いで練習するとか、使いやすいエントリーモデルを買って、慣れたら次の段階のものを買うという考え方がある。理解のできるものではあったが、一方で品質の高い楽器でしか出せない音がある場合がある。
 もちろん、ある程度の水準に至った者が気にするような領域だ。だから段階的にと言う考え方はわかるのだが、本気で取り組み、絶対やめないという強い意志があるなら、最初からそのモデルで練習した方が伸び率は高いと思う。
 それが気に入った楽器なら、練習するうえでもモチベーションになる。
 逆説的だが、本気で取り組み、長く継続するにはモチベーションが不可欠なのだから、気に入った楽器で始めるというのが大切だと考えていた。

 実際に私のブラスバンドの場合でも、部活動は高校生で終わっているが、楽器自体は未だに続けている。

 キョウさんのような本格的な音楽活動ではないから、同じ種類の楽器を複数所有するほどではないが、私がやっていた三種類の楽器については、初代の楽器を未だに使い続けている。まあどれも五年も経っていないので偉そうなことは言えないが、メンテナンスには気を使っているので状態はかなり良い。

 
 がんちゃんが趣味探しだか自己探求だかに迷走していたときもそうだったっぽいが、私も比較的形から入るタイプのようで、これから取り組もうと思ったものがあったら、道具から揃える傾向がある。
 道具を購入しに行くと、心が浮き立った。
 最も自分に合うものをと、選び抜いた道具はどれも愛着が湧いて、取組や活動がはかどる経験も実感している。
 稀に成り行きで手に入れて、使っているうちに愛着を持てた自動車のような事例もあるが。
 
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