スルドの声(反響) segunda rezar

桜のはなびら

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願子の様子

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 意気込んで充実など追い求めても、理想通りなんていかないものだ。

 結果だらだら過ごしてしまい、いつの間にか終わっているのが夏休み。
 それもまたいつか振り返れば青春の一ページだろう。

 がんちゃんは少なくともバイトや勉強は頑張っていたのだし、勉強もそれなりにしていたようだ、充分良い夏休みだったと思う。

 
 そんながんちゃんにご褒美が与えられたのか、二学期に入ってしばらくすると、がんちゃんの様子が変わってきた。というより、ライフサイクルに変化が見受けられた。

 バイトの無い日でも、月に何度か遅くなる日があった。
 
 彼氏でもできたのだろうか。それも悪くない。

 
 夏休みを終えてガラッと変わる子がいる。どちらかと言えば女子に多い。
 がんちゃんの友達が、そういうタイプで、夜遊びに付き合うようになったとか?

 それもまあ良いだろう。

 
 相応しい恋人を選んでもらいたい。

 付き合う友だちは選んで欲しい。

 母ならそう言うだろう。
 保護者として、庇護の対象にそういう思いを持つのはわかる。

 
 しかし、友達や恋人は、他者がコントロールして得るものではない。
 理屈や条件ではなく、感情や感覚で選ぶのだから。

 理屈や条件は他者でもきめられるが、感情や感覚は自分だけのもの。
 だから、他人がとやかく言うべきものではない。
 

 がんこには、色々な経験をして欲しい。

 笑っていて欲しいが、時には泣いても怒っても良い。
 だから、若いうちの恋人なら、多少クズでも構わないくらいだ。失敗や後悔は、きっとひとを強くする。
 
 感情に揺さぶられ、成長するがんちゃん。かわいい。
 
 
 とは言え、がんちゃんの身体や精神や人間性、考え方、人生に、致命的な傷をつけさせるわけにはいかない。
 高校生の交友範囲でそこまでの悪に出会う可能性は低いがゼロではなく、また、生活を乱せば乱すほど事故に遭う可能性は高くなる。
 
 場合によっては最低限の審査は必要か。

 
 だけどがんちゃんの様子は、帰りが遅くなること以外で目に見える変化は無かった。

 彼氏ができて色っぽくなるっわけでもなく、夜遊びを覚えて派手になるわけでもない。

 少し残念で、少しほっとした。

 
 しかし、ならば、なにをしているのだろうか。
 

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