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門扉を通り玄関に着く。
柊はチャイムも押さず勢いよく扉を開けた。鍵はかかっていなかったらしい。
「ただいまー! おねーちゃーん! がんちゃん連れてきたよー」
穂積さんにはあらかじめわたしを連れていくことを連絡していたそうだ。
奥から穂積さんと、穂積さんに似た美人の女性が迎えに来てくれた。
ちょっとだけ昔ワルかったんじゃないかなと思わせるタイプの美人だ。髪色は明るく、目線の強さだけは、優し気な穂積さんよりも気が強そうな柊に似ていた。
多分ふたりのお母さんだろう。
「がんちゃん! ようこそー」
「こんにちは、柊の母です。うちの柊がお世話になってます」
穂積さんと、思った通りふたりのお母さんが、にこやかに挨拶をしてくれた。
「はじめまして、姫田願子です。素直に読むとがんこなので、がんこと呼んでもらってます」
お母さんとは初対面なので、本名で自己紹介をした。
「がんこちゃん、よろしくね。礼儀正しくていい子ね。柊がさつで困ってるのよ。見習いなよ⁉︎」
「はーい」
柊のあしらうような返事に姉妹のお母さんは少し顔をしかめ、「この感じでしょ? 基本舐めてんのよね。がんこちゃん、柊が生意気なこと言ってたらガツンとやっちゃって良いんだからね」と、お母さんも柊に負けてないくらい気の強いことを言っていた。
「もー、うるさいなぁ。おねーちゃん、スペース行こうよ! ママはおやつだけ持って来てくれれば良いから!」と、荷物を玄関に置きっぱなしにして外に出ようとし、即注意され、「がんちゃん、ちょっと待ってて」と渋々荷物を置きに行こうとし、
「そのまま練習するんじゃないでしょ? ついでに着替えるのよ。がんこちゃんは制服のままだけどどうするの?」と、追撃にあっていた。
「あ、そっか。急に誘ったから着替えとか持って来てないよね? わたしの服で良いかなぁ?」
申し訳なさそうに言う柊に、「貸してくれるの? ありがとう!」と答えたわたしは、柊と一緒に柊の部屋で着替え、荷物は部屋に置かせてもらった。
荷物を置き、トレーニングウェアに着替え終えたわたしたちは連れ立って家を出た。わたしより背の高い柊が貸してくれたTシャツは少しオーバーサイズだけど、デザインが可愛かった。わたしは踊るわけではないので、スカートと靴はそのままだ。
「こっちこっち」
柊が敷地内を案内してくれた。
倉庫前に、オールバックに色付きの眼鏡をかけ、髭を蓄えたやや色黒の男性が鍵を開けていた。体型は筋肉質で、エグザイルに居そうな風貌だ。良く言い過ぎかも。反社会的勢力と言われれば信じてしまいそうだ。
「おー、来たか。鍵開けといたぞ」
「パパ、ありがとう!」
そんな気はしていたが、やっぱりそうだった。
あの、昔ヤンキーでしたみたいな美人のお母さんによく似合うこの男性は、やっぱり柊と穂積さんのお父さんだ。
職人たちを束ねる会社の社長に相応しい、群れのリーダーといった存在感がある。仕事中だろうに、合間に倉庫の鍵を開けに来てくれたのだ。
「こんにちは、お邪魔してます。姫田願子です」
「こんにちは。柊からよく話は聞いてるよ。愛称はがんちゃんだったよな? 柊のこと、これからもよろしく頼むよ」
色付きの眼鏡をはずし、お辞儀をするお父さん。笑顔が可愛く、目が意外と優しそうなのも、こういう見た目の人にありがちなことなのだろうか。
柊のくしゃっとした笑顔にそっくりだった。
娘たちのために練習できる場を作ってしまうほどのお父さんなのだ。きっと甘々なのかもしれないけど、愛情深くもあるのだろうな。
柊の家とわたしの家、いろいろと似た背景はあるのに、何もかもうちとは違うと思った。
柊はチャイムも押さず勢いよく扉を開けた。鍵はかかっていなかったらしい。
「ただいまー! おねーちゃーん! がんちゃん連れてきたよー」
穂積さんにはあらかじめわたしを連れていくことを連絡していたそうだ。
奥から穂積さんと、穂積さんに似た美人の女性が迎えに来てくれた。
ちょっとだけ昔ワルかったんじゃないかなと思わせるタイプの美人だ。髪色は明るく、目線の強さだけは、優し気な穂積さんよりも気が強そうな柊に似ていた。
多分ふたりのお母さんだろう。
「がんちゃん! ようこそー」
「こんにちは、柊の母です。うちの柊がお世話になってます」
穂積さんと、思った通りふたりのお母さんが、にこやかに挨拶をしてくれた。
「はじめまして、姫田願子です。素直に読むとがんこなので、がんこと呼んでもらってます」
お母さんとは初対面なので、本名で自己紹介をした。
「がんこちゃん、よろしくね。礼儀正しくていい子ね。柊がさつで困ってるのよ。見習いなよ⁉︎」
「はーい」
柊のあしらうような返事に姉妹のお母さんは少し顔をしかめ、「この感じでしょ? 基本舐めてんのよね。がんこちゃん、柊が生意気なこと言ってたらガツンとやっちゃって良いんだからね」と、お母さんも柊に負けてないくらい気の強いことを言っていた。
「もー、うるさいなぁ。おねーちゃん、スペース行こうよ! ママはおやつだけ持って来てくれれば良いから!」と、荷物を玄関に置きっぱなしにして外に出ようとし、即注意され、「がんちゃん、ちょっと待ってて」と渋々荷物を置きに行こうとし、
「そのまま練習するんじゃないでしょ? ついでに着替えるのよ。がんこちゃんは制服のままだけどどうするの?」と、追撃にあっていた。
「あ、そっか。急に誘ったから着替えとか持って来てないよね? わたしの服で良いかなぁ?」
申し訳なさそうに言う柊に、「貸してくれるの? ありがとう!」と答えたわたしは、柊と一緒に柊の部屋で着替え、荷物は部屋に置かせてもらった。
荷物を置き、トレーニングウェアに着替え終えたわたしたちは連れ立って家を出た。わたしより背の高い柊が貸してくれたTシャツは少しオーバーサイズだけど、デザインが可愛かった。わたしは踊るわけではないので、スカートと靴はそのままだ。
「こっちこっち」
柊が敷地内を案内してくれた。
倉庫前に、オールバックに色付きの眼鏡をかけ、髭を蓄えたやや色黒の男性が鍵を開けていた。体型は筋肉質で、エグザイルに居そうな風貌だ。良く言い過ぎかも。反社会的勢力と言われれば信じてしまいそうだ。
「おー、来たか。鍵開けといたぞ」
「パパ、ありがとう!」
そんな気はしていたが、やっぱりそうだった。
あの、昔ヤンキーでしたみたいな美人のお母さんによく似合うこの男性は、やっぱり柊と穂積さんのお父さんだ。
職人たちを束ねる会社の社長に相応しい、群れのリーダーといった存在感がある。仕事中だろうに、合間に倉庫の鍵を開けに来てくれたのだ。
「こんにちは、お邪魔してます。姫田願子です」
「こんにちは。柊からよく話は聞いてるよ。愛称はがんちゃんだったよな? 柊のこと、これからもよろしく頼むよ」
色付きの眼鏡をはずし、お辞儀をするお父さん。笑顔が可愛く、目が意外と優しそうなのも、こういう見た目の人にありがちなことなのだろうか。
柊のくしゃっとした笑顔にそっくりだった。
娘たちのために練習できる場を作ってしまうほどのお父さんなのだ。きっと甘々なのかもしれないけど、愛情深くもあるのだろうな。
柊の家とわたしの家、いろいろと似た背景はあるのに、何もかもうちとは違うと思った。
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