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本章

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 次のエンサイオは少し期間が空いて二週間以上先だった。
 その時にキョウさんのスルドを受け取れることになっていた。楽しみ過ぎる。
 空いた期間が長いため、待ち遠しさがひとしおだった。
 

 授業の合間の休み時間に、机を軽く叩いてリズムを取ったりしてしまう。
 いつの間にかパーカッショニストになったみたいだ。
 
「随分ハマったねー」
 
 柊が嬉しそうに声を掛けてきた。
 
「うん、最近ソロの叩き方教えてもらって。セグンダと役割を分けてるバテリアではあまり使わないかもしれないけど、ひとりでもこんなに多彩なリズム打てるんだなって、なんだか練習したくなっちゃうんだ。単純な打楽器だと思っていたけど奥深くて楽しい」
 
「プリメイラでもアクセントをつけた難易度の高い叩き方が入ったバリエーションもあるから無駄にならないよ!」
 
 柊の言葉を受け、「そっかぁ」と言いながら軽く机を叩き続けていたわたしに、柊は笑顔で「ねえ」と声を掛けてきた。
 
「がんちゃん、今日うち寄ってけないかなぁ?」
 
 柊は今日部活が無いらしい。
 わたしもバイトが無い日だ。久し振りに柊と遊べるのは嬉しいが、家に呼ばれるのは珍しい、というか初めてだ。

「うん、遊びと言えば遊びの誘いなんだけど、次のエンサイオまで間空いてるし、うちでサンバの練習やろーよ」
 
 なんと、サンバ練習のお誘いだった。しかも、自宅で?
 
「おねーちゃんも早く帰ってきてるはずだから、がんちゃんの演奏でうちらが踊るの。どう?」
 
 なんでも、柊の家の敷地内にある倉庫の一角が、楽器を鳴らしたり踊ったりできるようになっているらしい。
 柊と穂積さんのお父さんが、娘たちの趣味のためにつくってくれたダンススペースなのだそうだ。
 練習用のスルドもあるらしい。
 
 なんだかとても楽しそうで、是非行きたいと答えた。
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