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本章
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わたしはプリメイラをやりたいと答えていた。
何かをはっきりと希望し、明確に口にしたのはいつぶりだろうか。
「そーか」
わたしの希望を、決意として捉えてくれたキョウさんは頷いてくれた。
「まあヨ、筋力はあるに越したことはないが、そもそも筋力に頼った楽器じゃねーからナ。
実際女でも子どもでもプリメイラのプレーヤーはいる。がんこがそのうちのひとりになれないなんてこたーない。
基礎を磨くしかないが、力まない演奏方法や身体の使い方、重さを感じない持ち方なんかもおいおい身に付けたら良い」
キョウさんの言葉に、わたしは力強く「お願いします!」と答えていた。
「んで、スルド買うんだったか……確かに、借りモンよりは自分の楽器の方が良いわナ。身体に馴染むし楽器の癖もある。愛着も湧くだろう。新品なら、共に成長するっつー喜びもあンな。
でも、まあ、楽器にハマる奴ってのはいつの間にか楽器が増えてくもンだ。演目によって使い分けるとかヨ」
そういうものなんだろうな。理解できる感覚だった。
でも、キョウさんにしては歯切れが悪いというか、文章が長い。
「まあ、なんだ。新品も良いがヨ。良かったらオレのスルドもらってくンねーか?」
キョウさんのスルドは、プリメイラで使える直径30インチのとても大きなスルドだ。それをくれるのだと言っている。
なんだか照れくさそうなキョウさんの提案は、わたしにとっては望外のものだった。
おっさんの中古でわりーがよ、等と言っているが、程よく使い込まれていて良い音が出るとか、消耗部分や劣化部分は取り換え済みだとか、チューニングも済んでるとか何ならわたしの身体のサイズに合わせて肩紐の調整も済んでるとか、ごにょごにょ言っている。
なんでも、基礎が一通り身に付いたら、次のステップに行く褒美としてプレゼントしてくれる気だったのだそうだ。
はっきり言って、すごく嬉しい。
金銭的にきつかったのはもちろんある。
でも、もはや自分の師匠だと思っているキョウさん。
その師匠が長年使いこんできた相棒ともいえる楽器を受け継げるのが嬉しかった。
けど......。
何かをはっきりと希望し、明確に口にしたのはいつぶりだろうか。
「そーか」
わたしの希望を、決意として捉えてくれたキョウさんは頷いてくれた。
「まあヨ、筋力はあるに越したことはないが、そもそも筋力に頼った楽器じゃねーからナ。
実際女でも子どもでもプリメイラのプレーヤーはいる。がんこがそのうちのひとりになれないなんてこたーない。
基礎を磨くしかないが、力まない演奏方法や身体の使い方、重さを感じない持ち方なんかもおいおい身に付けたら良い」
キョウさんの言葉に、わたしは力強く「お願いします!」と答えていた。
「んで、スルド買うんだったか……確かに、借りモンよりは自分の楽器の方が良いわナ。身体に馴染むし楽器の癖もある。愛着も湧くだろう。新品なら、共に成長するっつー喜びもあンな。
でも、まあ、楽器にハマる奴ってのはいつの間にか楽器が増えてくもンだ。演目によって使い分けるとかヨ」
そういうものなんだろうな。理解できる感覚だった。
でも、キョウさんにしては歯切れが悪いというか、文章が長い。
「まあ、なんだ。新品も良いがヨ。良かったらオレのスルドもらってくンねーか?」
キョウさんのスルドは、プリメイラで使える直径30インチのとても大きなスルドだ。それをくれるのだと言っている。
なんだか照れくさそうなキョウさんの提案は、わたしにとっては望外のものだった。
おっさんの中古でわりーがよ、等と言っているが、程よく使い込まれていて良い音が出るとか、消耗部分や劣化部分は取り換え済みだとか、チューニングも済んでるとか何ならわたしの身体のサイズに合わせて肩紐の調整も済んでるとか、ごにょごにょ言っている。
なんでも、基礎が一通り身に付いたら、次のステップに行く褒美としてプレゼントしてくれる気だったのだそうだ。
はっきり言って、すごく嬉しい。
金銭的にきつかったのはもちろんある。
でも、もはや自分の師匠だと思っているキョウさん。
その師匠が長年使いこんできた相棒ともいえる楽器を受け継げるのが嬉しかった。
けど......。
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