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本章
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会場の中華料理屋さん自体大衆居酒屋然とした雰囲気だったが、ハルさんが声を掛けた男性の周囲は、殊更ドラマなんかで見かけるような酔っぱらいのおじさんたちがたむろする居酒屋のような感じになっていた。
「おー」
ハルさんに呼ばれたキョウさんという人がビールジョッキを持ったままこちらのテーブルに来た。
「キョウさん、紹介しよう。ひいの友達のがんちゃんだ。
彼女はスルドに興味があるそうだ。やがて『ソルエス』の礎の一となり得る、可能性の塊だ。
瑞々しい可能性の一端から、無限の広がりの起因となる歓びに触れてみる気はないか?」
「ハル坊、酔ってンか? いつも以上に訳が分からねーぞ」
「がんちゃん、彼はキョウさんだ。うちのスルド奏者のひとりだ」
「あ、がんこです。柊の友達で、今日のイベントに誘ってもらいました。皆さんのパレード素敵でした」
「おー、礼儀正しい嬢チャンじゃねーの。がんこ? イカした名前してンじゃン。オレはキョウです。よろしく」
また名前褒めてもらえた。この界隈では良い名前なのかな。
それにしても、嬢チャン? 今時そんな呼び方する人いるのか。いや、今時の人ではないのかも。
キョウさんは金髪のような白髪のようなショートヘアをツンツンに立ち上げていて、よく見ると髪質はぱさぱさに傷んでいる。
耳たぶにぶっといイヤリング、耳の上の方にも棒のようなピアスが刺さっていて、服装は黒のタンクトップに何やら英字が描かれている。首のチョーカーには少し黒ずんだごつい百合紋章の十字架が鈍い光を放っていて存在感があった。
タンクトップから伸びた腕は程よく鍛えられていて、肩には小さな英字のタトゥー。独特のフォントなうえ、掠れていて何で書いてあるのかは読めない。
さすがにスパンコールでドクロが描かれているようなシャツや、黒のレザージャケットとパンツってほどこてこてではないが、いわゆるロッカーのようなファッションで、一見若く見えたが間近でみると顔には深いしわが刻まれている。意外と年配のようだった。
「おー」
ハルさんに呼ばれたキョウさんという人がビールジョッキを持ったままこちらのテーブルに来た。
「キョウさん、紹介しよう。ひいの友達のがんちゃんだ。
彼女はスルドに興味があるそうだ。やがて『ソルエス』の礎の一となり得る、可能性の塊だ。
瑞々しい可能性の一端から、無限の広がりの起因となる歓びに触れてみる気はないか?」
「ハル坊、酔ってンか? いつも以上に訳が分からねーぞ」
「がんちゃん、彼はキョウさんだ。うちのスルド奏者のひとりだ」
「あ、がんこです。柊の友達で、今日のイベントに誘ってもらいました。皆さんのパレード素敵でした」
「おー、礼儀正しい嬢チャンじゃねーの。がんこ? イカした名前してンじゃン。オレはキョウです。よろしく」
また名前褒めてもらえた。この界隈では良い名前なのかな。
それにしても、嬢チャン? 今時そんな呼び方する人いるのか。いや、今時の人ではないのかも。
キョウさんは金髪のような白髪のようなショートヘアをツンツンに立ち上げていて、よく見ると髪質はぱさぱさに傷んでいる。
耳たぶにぶっといイヤリング、耳の上の方にも棒のようなピアスが刺さっていて、服装は黒のタンクトップに何やら英字が描かれている。首のチョーカーには少し黒ずんだごつい百合紋章の十字架が鈍い光を放っていて存在感があった。
タンクトップから伸びた腕は程よく鍛えられていて、肩には小さな英字のタトゥー。独特のフォントなうえ、掠れていて何で書いてあるのかは読めない。
さすがにスパンコールでドクロが描かれているようなシャツや、黒のレザージャケットとパンツってほどこてこてではないが、いわゆるロッカーのようなファッションで、一見若く見えたが間近でみると顔には深いしわが刻まれている。意外と年配のようだった。
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