ポエヂア・ヂ・マランドロ 風の中の篝火

桜のはなびら

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北光羽龍

株式会社 GrandDesignEX

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「おはよう」
 既にミーティングルームには全員揃っていた。
 いつものことなので、定位置に座ったメンバーが時計回りに報告事項を述べていく。


『株式会社Grand DesignEXグランドデジネクス』は、ITコンサル業の会社だ。
 クライアントの経営戦略をITの活用で支援するのが役割だ。
 敢えて情報コンサルを名乗り、ITを含めた情報分析や情報戦略から、情報発信に基づく広報なども請け負い、総合的な経営戦略や販売戦略のサポートを担うことで、他社との差別化を図っている。
 目的のために練り上げる計画のための設計図と言うべき『Grand Design』に、EXをつけた造語だ。
 EXはexpert(熟練者)、experience(体験)、extra(規格外)、exploit(偉業)、express(速い)、explosion(爆発)などからとっていて、状況によって使い分けるため、敢えて由来はぼやかしてある。

 人数が少ないのに専門特化ではなく付加価値による差別化を選んだ理由は、新規を多数獲得するのではなく、ひとつの取引先から経営戦略に係る投資額の大部分をうちに投入してもらい、うちだけで戦略の大部分をカバーできるスキームにすることで、生産性を高めたかったからだ。複数の分野でクライアントの戦略の根幹に関われるため、リプレイスもされにくい。

 クライアントが増えるごとに戦力が分散せず一社あたりから利益の最大化を図れるので、少人数の社員といくつかの協力会社とのアライアンスで対応できていた。
 クライアントが増えたら、その分社員を増やすつもりはあり、予め協力会社や大学、システム系の専門学校などに働きかけてはいる。
 しばらくは急速な拡大を図るつもりはないので、大きな人数は必要ない。
 若くても経験が少なくても学生でも、良さそうな人材がいたら少しずつ採用していき、育てながらボトムアップをしていくつもりだった。

 俺がこの仕事を選んだのには思惑があった。
 子どもの頃にアキと立てた幼い計画を、大人の頭脳と計画力と実行力をもって形にした。そのひとつがこの会社である。
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