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高天暁

目標

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 ハルの言っていることは、まあわかる。

 脳筋ではない。感情論ではない。精神論ではない。根性論ではない。机上の空論ではない。

 彼は俺と幾らも歳は変わらないだろうに、東風クリニックの院長でありながら、『ソルエス』の代表を務めている。

 タフな仕事であるのだろう。スマートな体躯はよく見れば鍛え上げられている。体力や筋力だけでなく、精神力も磨かれていそうだ。
 医者だけあって頭も良い。多少表現は独特だが論理的だ。
 理念も情熱も本物だ。
 それらすべてを集約したものが、先日の座学だろう。
 
 完全に理解ができたとは言えないが、とにかくやってみるか。
 日常生活の中で、マランドロたらんと意識をすれば良いのだろう?

 やってやるさ。これまでも、立てた目標はすべて達成させてきたじゃないか。


 目標は達成させるために据えるものだ。
 世の中の数多ある目標の中には、掲げただけのものもあるだろう。挑むことそのものに意味がある場合もあるのだから否定はしないが、やはり目標は本来達成させるべきだろう。

 漫然とやっても到達しない。仮に至れたとしても、それは偶然の産物だろう。
 その目標は何を満たせば果たせるのか。要素を把握して、それを満たすための計画を立てる。
 その計画の精度が高ければ、計画通り歩を進めてさえいればやがて辿り着けるのだ。
 達成すべくして達成する。
 俺と羽龍は、そうして人生を思う通りに進めてきた。

 その思い自体に誤りがあったことにも気づかずに。


 マランドロ、か。
 ハルの語ったマランドロ像は、確かに格好の良い生き方だ。そう在れるならそれに越したことはないと思える。

 これならば。この道ならば、誤りはないだろう。

 今度こそ、往くべき道を往こう。



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