サンバ大辞典

ダンスとしてのサンバ

　サンバのダンスは基本的には即興です。

『サンバ・ノ・ぺ』、通称『ノペ』という基本ステップがあって、これがいわゆるサンバステップというやつです。

　サンバと聞いてイメージされるサンバダンサー。テレビCMや番組の賑やかしなんかで登場するダンサーたちが踊っているのは、大抵このステップです。
　いち、にい、さん、しいで一セットのステップで、さんにアクセントが来るのが特徴かな。
　音楽の四カウント分でゆっくりなら一セット、通常で二セット、倍速なら四セットをその間にリズムに合わせてこのステップを踏むのです。
　倍速だとかなり早く、サンバを知らない人がなんとなくサンバを真似事で踊ろうとすると、高速で脚をバタバタさせたりしますが、おそらくこの倍速ノペのイメージなのだと思います。
　実際は、この速度でありながら、きちんといち、に、さん、しいの動きをリズムを外さず踊り続けているのですから、難易度は高いです。
　また、美しさや滑らかさはどこまでも追求できるので、基礎とは言えノペの習得に終わりはありません。
 
　このノペを基にして、様々なバリエーションを自由に即興で表現するのがサンバダンサーなのです。
　サンバ・ヂ・ホーダでも即興性は問われますので、基礎をどれだけ身に着け、使いこなせるかがダンサーにとって重要なのです。
 
　一方、振付を踊ることもあります。
　振り付けは『コレオグラフィー』、通称『コレオ』と言って、曲を表現する振付を決めて、複数のダンサーで揃えて踊ることで美しく見せるダンスを取り入れることもあります。
　パレードでコレオを取り入れることもありますが、ステージなどで行うショー形式でよく使われますね。
 
　サンバの本場ブラジルでは、ノペと即興が基本ですが、日本のサンバではコレオを取り入れている割合が高いです。
　日本でのアイドルグループやダンスグループの人気の高さからも、日本人の好みとしては群舞がビシっと決まっているのが好みという方も多いのかもしれません。

　演者側の裏話をしますと、ノペをきちんと習得し、即興で一曲踊りきるのは相当の実力が問われてしまいます。
　練習量で身に付けられるコレオを併用することで、まだ歴の浅いダンサーでもステージに立たせられるようにする意味でも、コレオを上手く取り入れているチームが多いのだと思います。