サンバ大辞典

桜のはなびら

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音楽としてのサンバ

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 サンバと言えば羽根をつけたサンバダンサーのイメージが真っ先に浮かぶのではないでしょうか。
 ダンサーが踊るのですから、当然、ダンス音楽という分野に括られると思います。
 
 リズムは四分の二拍子。
 アフリカから連れてこられた奴隷労働者たちによって生み出された音楽なので、アフリカ音楽の影響が大きく、打楽器のみで演奏する『バツカーダ』という演奏スタイルをもとに、弦楽器によるメロディーも取り入れられ、『サンバ』というジャンルが確立しました。
 アフリカの宗教的民族舞踊的要素と、奴隷労働者階級の音楽としての要素に、宗主国である西洋の音楽文化が混ざり合ってできたのがサンバなのです。
 なので、歌詞の中には生活の楽しみや不満、人種差別や政治への批判など、日々の暮らしから生まれたものから、アフリカで信仰されている神が出てくる歌なんかもあります。

 
 黒人の奴隷労働者階級のものだったサンバは、ブラジルの中で次第にアメリカの音楽文化の影響を受けた者たちにも取り入れられ、ボサノバが生まれたりもしています。
 
 音楽はどんなジャンルでもそうですが、時代を超え、土地に根付き浸透し、または土地を離れ広がっていくに従い、多くの担い手に受け入れられるにあたって、その者たちが持つ数多の起源や文化と融合しさらに展開していくものです。
 
 サンバの定義、などというと、色々と難しくなってしまいそうですし、わたしにも正直「これが唯一無二の純一なサンバである」なんてものを提示することはできません。
 民衆の中から自然に発生し広まったもので、歴史のあるものなんて、そのほとんどが色んな説から成っていて、解釈も人それぞれだったりしますから。
 
 それでも、ひとつわかっていることがあるとしたら、故郷から遠く連れてこられた黒人奴隷たちが、日々の生活の中でこの音楽を生活の一部としていたということ。
 つらかったかもしれない、苦しかったかもしれない、だからこそ、大きな音で楽器を鳴らし、不平も不満も込々で歌にして、激しく踊ったのではないでしょうか。その根底にはもしかしたら怒りや悲しみもあったのかもしれませんが、それを抱えて超えて生きていくために、楽しく歌い踊ったのではないのかななんて想像しています。
 
 だとしたら、もしサンバに定義があるのなら、とにかく楽しくむ! なのではないでしょうか。
 勿論、基礎のリズムは大切です。
 が、それをしっかりと身に着けて、楽しく歌い踊るのが、サンバなのだと思います!
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