スルドの声(共鳴) terceira esperança

桜のはなびら

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ニーナさん自己紹介終わり

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 全然終わらないラップは何回かの転調を経て、「へい! へい!」と、るいぷる以外は冷めているオーディエンスに一切の怯みを見せずに煽り続ける。

 途中もはやラップでも自己紹介ですらもなくなって、「美味しいパスタ作ったおまえぇ~」とふたりで大絶唱し、それを繰り返していた時にはカオスが過ぎて熱帯夜に見る悪夢のようだった。

 頑なにめげないふたりの芸は、いや、熱意は、いよいよ冷めたティーンたちにも火をつけ始めた。

 ふたりでノペを始めたところ、ひいらぎさんも参入。はしゃいだような笑顔でノペを踏んでいる。
 ひいらぎさんは長身で大人っぽく、黙っていればクールビューティーだが、多分ティーンの中で一番無邪気だ。

 にーなさんは既に席を離れ、「あげてくぞー!」と尚場を煽る。「OI! OI! OI!」とるいぷるはラップのノリで尚周りを煽る。

 にーなさんは歌いながら、ひいらぎさんの横に座るめがみちゃんも立たせ、高速ノペを踏む。にーなさんはめがみちゃんのノペ師匠を自認している。といってもめがみちゃんはきちんとノペの教えを受けたことはないようだけど。
 なんでもめがみちゃんがひいらぎさんに誘われて見に来ていたイベントの打ち上げで、サンバや『ソルエス』への勧誘を受けた時、にーなさんはめがみちゃんをダンサーにしようとしていたのだとか。弟子として可愛がりたかったらしい。


 ダンサーではないめがみちゃんは悲鳴のような声をあげながら必死にステップを踏んでにーなさん、ひいらぎさん、るいぷるについていっていた。
 それを嬉々として鬼気迫る様子のいのりちゃんが連射モードで撮影している。
 
 すごい。
 何がすごいかと言われれば、もう、いろいろとしか言いようがない。
 
 なんだかんだで、盛り上がった。と思う。
 場を様子など一切顧みず鑑みず、彼我の温度差を物ともせず、自分を貫き続けた結果、場の方を自分に寄せた。力業で手繰り寄せた。
 
 同じ力業でも、るいぷるの場合はいつの間にか篭絡されているテクニック寄りのトリックスターだとすると、にーなさんはとにかくパワーファイター。剛腕さで穿ち捥ぎり取る。
 
 そんなオフェンシブなふたりがコンビのように組んでいるのだから、彼女らが誰にも止められないのは仕方がないのかもしれない。
 
 
 この強制的に盛り上がらされるという異様な場で続くのは、マレだ。
 
「じゃー次のマイメンに託すよ! かもっ! マレ!」
 
 にーなさんのつなぎ方も、ひどい。
 これでは仕切り直しができないではないか。
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