スルドの声(共鳴) terceira esperança

桜のはなびら

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(望と希)

 駅に着くと、既にほまれちゃんとみことさん、入船姉妹が改札を出たところで集まっていた。
 
「こんにちはっ」
「はじめましてー」
 
 マレはわたしとほまれちゃん以外の『ソルエス』メンバーとは初対面だ。
 お互い話題に出ていて認識し合っているであろういのりちゃんとも、直接会ったことは無い。

 
「おー、のんちゃんのおねえさん!」
「わぁ。ほんとに双子だねぇ。そっくり。かわいー!!」

「マレです。仲間に入れてくれてありがとうございます! よろしくお願いします」

 
 初対面の三人とつつがなく挨拶を交わすマレの様子を、ほまれちゃんが微笑みながら見ていた。
 
 
 入船穂積と柊のダンサー姉妹。
『ソルエス』の登録名は本名をひらがなにしたもの。いのりちゃんやほまれちゃんと同じパターンだ。
 ほづみさんはいのりちゃんと、ひいらぎさんはめがみちゃんと、それぞれ同い年ということもあり姉妹同士で仲が良い。特にひいらぎさんとめがみちゃんは学校で同じクラス。

 めがみちゃんがサンバを始めたきっかけとなったのがひいらぎさんに誘われたイベントだ。
 めがみちゃんがサンバを始めたことで、いのりちゃんの入会に繋がり、いのりちゃんとめがみちゃんによってわたしが入会したのだから、ひいらぎさんが祖だ。

 
 入船姉妹は掛け値の無い美人姉妹で、雰囲気もよく似ている。
 細かく見れば、ほづみさんは洗練されていて格好良さの中に愛らしさもある韓国のアイドルや日本の民放のアナウンサーみたいで、ひいらぎさんは少々野性味のあるモデルやアスリートみたい。背も妹のひいらぎさんの方が高い。
 
 
 みことさんもひいらぎさんやめがみちゃんと同い年のダンサーだ。

 彼女も目を引くほどの見た目を有している。
 そしてその魅力を自覚し魅せ方を知っている分、天然素材感のあるひいらぎさんよりも放つ光が強い。
 身長も柊さんと同じくらい高く、ふたりが並んでいると何やら場の格調が高まったような感じになる。

 同世代ダンサーの中では最も歴は浅いものの、持ち前のセンスと魅せるという意識の高さで高レベルのダンサーに食らいついていっている。

 
 
 十八歳未満のサンバダンサーは『クリアンサス』と呼ばれる。花を意味する単語だ。

 
『ソルエス』は強豪エスコーラに較べると規模は格段に落ちる。
 それでも、昔から『ソルエス』のクリアンサスと男性ダンサーの『マランドロ』は他エスコーラからも高い評価を受けていた。

 
 幼い頃からサンバダンサーとして『ソルエス』に所属していた入船姉妹もまた、その評価の一端を担っている。
 しかし、入船姉妹やみことは子どもの頃から大人びていて、今に至っては子どもというカテゴライズには無理があるダンサーたちだ。
 見た目の良さも相俟って頭角を現し、どちらかと言えば次代を担うパシスタとして最近高い評価を得始めたようで、幼い頃は今ほど活発には参加していなかったらしい。
 
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