スルドの声(共鳴) terceira esperança

桜のはなびら

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質が下がっているのは店員? 顧客?

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 どんな小さな買い物だろうが、自動販売機だろうが、売買契約だ。
 お互いが納得し合意して行う取引だ。
 そこに上も下もない。お店や店員を下に見る客も、客に偉そうな態度をとる店や店員も、どっちも筋違いだ。
 まあお互い合意すれば良いのだから、嫌なお客でも売りたい店、偉そうな店主からでも買いたい客がいる以上、両方とも存在してしまう。
 商売人として矜持を持っているおばあちゃんからは、その両方に対する嘆きを聞いたことがあった。

 要望、要求の多い客。本来対価外の、お店側が良かれと思って付与していたサービスを当たり前だと思っている奴。
 要望、要求の多い店。提供するサービスは提供された時点で顧客のものなのに、客側に過剰に態度や条件(調味料を入れるなとか、無言でないとならないとか)などを求める店。

 売りたいとか買いたいとか、欲望の強い方が下手に出ざるを得ない構図は理解できる。

 だからこそ、強く求められている金銭を、もしくはサービスや商品を与える側の方が、気品を持つべきだと思う。

 ファミレスは高級レストランより単価が安いから、客の質は悪くても仕方がない。なんてことは思わない。
 わたしは別に真面目でもないし礼儀正しくもない、品格なんてないただの子どもだけど、買い物をするときにわざわざ店員やスタッフに嫌な態度をとりたいと思うメカニズムがわからない。

 乃木さんに当てられて、わたしにもさっきの理不尽さによる怒りが蘇ってきた。

 何が納得いかないかって、あいつはさも己が正しいかのような言い方、言い分だったこと。

 要は、見て判ることを訊くなっていう、一見論理的でまっとうに見える意見。マニュアル通りにしか対応できないスタッフを、「考えて」ものを言えないレベルの低いものとし、「少しは考えて融通を効かせるべきだろ」とでも思っているのだろう。そういうポイントを突ける自分は、物事の本質を見極めている賢い人間だとでも思っているのだろうか。

 
 あっっさい!

 
 わたしよりも下手したら三十歳は年上の、多分世間と言うものを経験している社会人であろうに、そんな浅い物事の見方、考え方しかできないのだろうか。


 雑魚なのかな。雑魚で性格も悪い、器も小さいなんて最悪じゃん。


 確かに誰がどう見てもひとりしかいなかった。後に続く来客の気配もない。でも、先にひとりで入ってあとから合流なんていくらでもある。そんなことも思いつかない?
 そもそも、見て勝手に判断して間違えている方が失礼だ。そんなことにも思い至らない?
 少し考えればわかる程度のことだから、それをケアするために「必ずご本人に確認する」という運用になっている。少し考えればわかることすらわからない考える脳がないなら、黙ってて欲しい。

 マニュアルを悪しきもののようにいう人も結構いるが、長年の集合知で磨き上げられたマニュアルは意外と隙が無く汎用性が高いものになっている。ぱっと見正鵠を得ているような、よく見かけるマニュアル批判のあれやこれやも、表面的な弊害(ぽく見えるもの)をあげつらっているにすぎず、実はその根底にある、誰でも一律に起こりうるリスクの大半をカバーできるという機能についての評価はなされていない。


 決め付けや価値観、常識の押し付けなんて、される側が一番嫌がられるだろうことをリスクとして抱えながら、客が望みがちな、その客の価値観、常識に基づいた「当たり前」を、「察する」ことに挑むのを求めないで欲しい。

 似たようなケースとして、常連振りたいヤツら。
 常連面したい心境に至ってはまったくわからないが、「いつもの」みたいな注文や「俺にはこうしてくれ」みたいな固有の要望(それを、新人が増えたら予め教えておけとか言ったりもする)なんて、全部自己顕示欲が強い癖に日常では重んじてもらえないレベルにしかいない連中の自己満足に過ぎないと思う。

 それがそんなにしたいなら、古き良きなのか悪しきなのかわからないけど、個々のお客様のパーソナリティを把握し、時には戦術的に「そのお客様は(他のお客様とは違って)特別である」ことを演出するような、おもてなしを重んじる銀座の高級クラブにでも行っておけば良い。そういうお店に行けるほどの稼ぎないからファミレスなんかでバイトやパート相手に偉そうにしたいんだろうけど。

 
 なんてことを何の遠慮もない言葉遣いで言ったら、乃木さんは大笑いして「良いねぇ。言うねぇ。のんちゃんも結構溜まってんね? 良いよ良いよ、全部吐いちゃえ」なんて煽ってくる。
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