スルドの声(嚶鳴) terceira homenagem

桜のはなびら

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【幕間】 祷 cor primária do céu エピローグ

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 一同に、たくさんのものを残し、持ち帰らせたこの計画は、『ソルエス』に有形無形問わず費用以上の資産を齎す結果となった。
 得た資源をどう生かすかで成果に関わってくるが、資源が増えたことで有利になったことは間違いがない。

 この事例は、『ソルエス』による『ブラジルサンバ留学』企画の源流となった。
 後の『ソルエス』はこれを機に、定期的にブラジルにメンバーを送り込むスキームを作り上げたのだ。
 交換留学の要素も盛り込み、ブラジルから日本に来てもらうことも想定している。こちらはどちらかと言えば、留学よりも講師を招く意味合いが強い。

 
 
 祷個人として捉えても、得難い経験は多様な価値観や発想をもたらし、感動と体感による抒情的なインプットが得られ、将来の活動にもつながる人脈も手に入れた。

 
 慈杏が新町から伝えられたアラブのことわざ「旅をすれば多くを知る」を、祷は充分に体現したと言えるだろう。



 その体験を、自分の話を聴きたいと言っていた後輩と、その後輩のために祷に繋がる人脈に当たった先輩、祷に繋がる人脈となった友人の同級生の顔合わせの場で、披露することになった祷。

 
 祷の体験は祷の言葉となって誰かに伝わっていく。

 この場にあっては三者三様にて捉えられたその言葉。言葉の基となった出来事や事実や感想や感動たち。


 祷の同級生の友人、芙柚佳は身近な同級生の、知ってはいたが知っていた以上の知られざる祷の行動力にただただ驚いていた。


 祷の同級生にアプローチし、自らの後輩のために祷とのパイプを繋ごうとした、祷にとっても同じ大学の先輩に当たる要は、有能との噂に違わぬ初対面の後輩に、感心しながらも人材としての興味を持った。


 同じスルド奏者で、動画でたまた見かけた祷が同じ大学の先輩と知り、会って話してみたいと願った誉は、思っていた通りに素敵で、思っていた以上に才気煥発な祷に、憧れと尊敬と、学び食らいつきたいという静かな闘争心を喚起させていた。


 波紋のように届いたその言葉は、三人に影響を与える。
 それはわずかな気づきかもしれないし、その考えや、人生をも変えるきっかけになるかもしれない。


 言葉を受けた三人からの反応や返された言葉は、祷に影響を与える。


 人は、交響しあい、反響し合って、それぞれの人生を織りなしてゆき、多くの人生が重なり合って世界は彩っていく。

 
 ブラジルでの出会い。
 日本のこと、ブラジルのことを響かせ合って。
 日本での出会い。
 ブラジルから持ち帰ったものを、響かせ伝えて反応を得て。
 

 そうやって自らの体験が、自らと関わる者を変えていくことを、祷は実感した。


 どうせ変わるなら、願わくは関わるみんながより良く在るように。
 より良く在れるなら、その良き在り様のまま多くの人と関われるように。


 祷は祈りのように抱えている想いを、ひとつひとつ、着実に現実のものへと変えていくのだった。
 
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