338 / 467
第十章:「雌伏編」
第四十九話「交流イベント:その三」
しおりを挟む
統一暦一二〇七年八月十九日。
グライフトゥルム王国南東部ラウシェンバッハ子爵領、守備隊駐屯地。マティアス・フォン・ラウシェンバッハ
守備隊駐屯地でのイベントも後半に入った。
既に午後一時を過ぎ、真夏の暑さは最高潮だが、領民たちは獣人族兵士たちの素晴らしい技量を見て興奮しており、元気いっぱいだ。
「早速飲みましょう。もう喉がカラカラだわ」
イリスが私の腕を取って屋台が並ぶ厨房棟の方に引っ張っていく。
先ほどまでは鎧姿だったが、すぐに装備を外し、いつもの騎士服姿になっている。
これは黒獣猟兵団員や守備隊員たちも同様だ。
装備を付けたままでは飲みづらいからだが、彼らはそれぞれの軍服を身に纏っている。私から命じたことではないが、ラウシェンバッハ家の兵士として参加しているという彼らなりの意思表示なのだ。
今回は父や弟のヘルマンとは別行動だ。
領主一家が固まって動くと、領民たちも緊張すると思ったことと、ヘルマンに婚約者であるレオノーレ・フォン・クローゼル男爵令嬢と一緒にいるように言ってあるためだ。
「まずはビールを飲みましょ」
そう言って、領民たちが作る列に並ぶ。
私たちに気づいた若い男が驚いて譲ろうとするが、それを断っている。
「今日は無礼講だからね。それよりも君はどこで働いているのかな?」
突然領主から話し掛けられて目を白黒させている。
「モーリス商会の工場で働いています。出荷の管理なんかをやっています」
「仕事は楽しい?」
イリスの言葉に若者は大きく頷く。
「はい。給料もいいですし、休みもきちんともらえますから」
そんな話をしていると順番が回ってきた。
「マティアス様とイリス様!?」
ビールを注いでいる居酒屋のウエートレスが驚きの声を上げる。
「私たちにも一つずつもらえるかな」
そう言って銀貨一枚、十マルクを支払う。
日本円で一杯約五百円であり、居酒屋の値段とほぼ同じだ。手間が掛かっているので、本来ならもう少し高い値段設定になるのだが、子爵家として補助金を出すことにしているため、この値段で済んでいる。
補助金を増やせば、無料にできないこともなかったが、今後このようなイベントを商会に委託することを考え、一定の利益は出るが、高くなりすぎない値段になるよう調整してみたのだ。
「はい!」
泡がこんもりと盛り上がった陶器のジョッキが手渡される。
それを受け取り、二人で空いていそうなテーブルを探すが、ほとんど埋まっていた。
「もういっぱいね」
そこで後ろから声が掛かった。
「相席ですが、こちらに空いている席があります」
ダニエル・モーリスが私たちを案内する。
「料理はうちの商会が持ち込んだソーセージや燻製も美味しいですが、領都の居酒屋、あけぼの亭のスペアリブが美味しいそうです。他にもアンドレの店の川マス料理も評判でした」
私たちがお腹を空かせてやってくると思い、席を確保した上で、何が美味いかリサーチしておいてくれたようだ。
「この席です。ヨハンさん、相席の方です。僕は料理を取ってきますから、その間よろしくお願いしますね」
それだけ言うと、踵を返して屋台の方に戻っていく。
「お、おい! マティアス様とイリス様じゃねぇか! 聞いてねぇぞ!」
ヨハンは四十歳くらいの良く日に焼けた男で、肉体労働者らしく、がっしりとした身体つきだ。
「私たちと一緒ではダメかな?」
「め、滅相もない。ダニエル坊が何も言わないから、びっくりしただけでさぁ!」
そう言っているが、顔は引き攣っている。
彼はエンテ河の船着き場の人夫で、モーリス商会の荷物の荷揚げの時にダニエルと知り合ったらしい。
「ダニエル坊から領都の美味い飯屋を知らないかと聞かれやしてね。それでいろいろと話しているうちに場所取りを頼まれたんですわ。そういや、息子と娘も一緒ですが、大丈夫ですかね」
「問題ないよ。息子さんたちは料理を取りに?」
「ええ。いい場所は離れるとすぐに取られちまうんですよ。なので、ガタイのデカい俺がここに陣取っているわけですわ」
確かに屋台に近く、便利な場所だ。
ダニエルが戻ってきた。
「お待たせしました。あけぼの亭のスペアリブとアンドレの店の川マスのバター焼きです。ビールのお代わりは大丈夫ですか?」
ダニエルは山盛りのスペアリブと川マスのバター焼きを持ってきた。二人分にしては多いので、ヨハンたちの分も入っているようだ。
お金を渡しながら、気になっていたこと聞く。
「ありがとう。ビールはまだ大丈夫だ。それよりもライナルトさんたちはずっと働いているのかな?」
ライナルト・モーリスは早朝からここで準備を仕切っている。
「はい。父さんは倉庫で陣頭指揮を執っています。マティアス様が用意されたビールが不味いと言われないように自分で確認するんだと、気合いを入れていましたよ」
相変わらず真面目だなと思いながら、スペアリブにかぶりつく。
しっかりと焼かれたあばら肉に、ややスパイシーな甘ダレが絡み、ビールによく合う。
イリスも貴族の令室とは思えないほど豪快にかぶりついている。指先と口元を拭いているところは上品だが、ごくごくとビールを飲む姿はやはり貴婦人らしくない。
「これは美味しいわね。すぐにビールが無くなってしまうわ」
そう言って彼女は楽しそうに笑っている。
グレーフェンベルク伯爵が亡くなってから、心から笑うことが少なかったので、このイベントをやってよかったと思った。
「親父、持ってき……えっ!? マティアス様とイリス様?」
ダニエルと同じくらいの歳の日焼けした少年と、麦わら帽子が似合う十歳くらいの少女が驚いていた。
「息子のハンスと娘のマリーですわ。お前らもマティアス様たちにご挨拶せんか!」
二人は驚きながらも頭を下げる。
「お邪魔しているよ。それより何を取ってきたのかな? よかったらこのスペアリブと交換しないか?」
「ヴィントムントのソーセージです。どうぞ」
マリーがおどおどしながらも皿を差し出してきた。
「じゃあ遠慮なく」
そう言いながらフランクフルトのような太いソーセージを受け取った。
「こっちのスペアリブもどうぞ」
そう言って皿を差し出すが、なかなか手が出ない。
「美味しいから食べなさい。それともスペアリブは嫌いだったかしら?」
イリスにそう言われて二人はブンブンと首を横に振る。
「いい土産話になりますよ。まあ、うちのかかあは信じねぇでしょうがね」
「ほんとだね。母ちゃんだけじゃなく、ここに来ていない奴は信じないと思う」
ハンスも大きく頷いていた。
「ところで獣人族のことはどう思ったかな?」
私が質問すると、ヨハンは一瞬表情が曇った。
「凄ぇとは思いましたが、なんだか取っつきにくいかなと思ってます。生真面目っていうか、どう言ったらいいですかね……」
「それなら話をしたらいいわ。ちょっと待っていてね」
イリスがそう言って立ち上がり、周囲を見回した後、走り出した。
恐らく獣人族に声を掛けに行ったのだろう。
二、三分後、彼女は黒獣猟兵団の白虎族ヴェラと熊人族のヴィルギルを引っ張ってきた。
「マティ、もう少し詰めて」
「イリス様、俺たちが座るのは無理ですよ」
身長二メートルを大きく超えるヴィルギルが申し訳なさそうに言っている。
「大丈夫よ。ほらヴェラも座って」
大柄な美女ヴェラもマイペースのイリスに困惑気味だ。
ハンスとマリーは強面のヴィルギルを見て、顔が強張っている。
「この二人は黒獣猟兵団の班のリーダーよ。ヴィルギルは見た目はちょっと怖いけど、根はやさしいから。ほら、ヴィルギルもヴェラも黙ってないで」
「いきなり連れてこられて、それはかわいそうだよ」
そう言って私は笑った。
「このお二人がリーダー……ってことは、イリス様の直属の精鋭ってことですか! そいつは凄ぇ」
ヨハンがそう言うと、ハンスが目を輝かせる。
「王都のマフィアを全滅させた黒い英雄……そんな人にも会えるなんて思っていなかった!」
王都でならず者のアジトを壊滅した話は、噂として大々的に流したため、ここまで届いていたらしい。
「乾杯しましょう!」
イリスがそう提案し、みんなで飲み物を掲げる。
飲み始めると、見た目はクールな美女のヴェラが思ったより陽気で話が弾む。
「あたしらはヴェヒターミュンデやリッタートゥルムで、マティアス様やイリス様の指揮で戦っているんだ……お二人の指揮はほんとに素晴らしいんだよ。何度も戦っているけど、あたしらは誰一人欠けていないんだからね……」
ヴィルギルも酒が入り、楽しげに頷いている。
「いやぁ、黒獣猟兵団の方たちはもっとお堅い方ばかりだと思ってましたよ」
「あたしらもあんたたちと変わらないよ。まあ、うちのリーダーのエレンは堅いけどね」
そんな話で盛り上がる。
「私たちは他のテーブルを見てきましょう」
イリスはそう言うと、私の腕を取る。
ヴェラたちが立ち上がろうとしたので、イリスがそれを制する。
「ヴェラ、ヴィルギル、あなたたちはここで楽しんでいなさい。ヨハン、ハンス、マリー。楽しかったわ」
そう言って手を振り、別のテーブルに向かう。
「兄様やハルトと飲みに行くのも楽しいけど、全然知らない人と話をするのもいいものね。それにヴェラたちともいつもより砕けた感じで話ができたし」
「そうだね。彼らはいつも気を張っている感じだから、こういった息抜きもいいかもしれない」
そんな話をした後、いろいろな人の話の輪に入っていった。
グライフトゥルム王国南東部ラウシェンバッハ子爵領、守備隊駐屯地。マティアス・フォン・ラウシェンバッハ
守備隊駐屯地でのイベントも後半に入った。
既に午後一時を過ぎ、真夏の暑さは最高潮だが、領民たちは獣人族兵士たちの素晴らしい技量を見て興奮しており、元気いっぱいだ。
「早速飲みましょう。もう喉がカラカラだわ」
イリスが私の腕を取って屋台が並ぶ厨房棟の方に引っ張っていく。
先ほどまでは鎧姿だったが、すぐに装備を外し、いつもの騎士服姿になっている。
これは黒獣猟兵団員や守備隊員たちも同様だ。
装備を付けたままでは飲みづらいからだが、彼らはそれぞれの軍服を身に纏っている。私から命じたことではないが、ラウシェンバッハ家の兵士として参加しているという彼らなりの意思表示なのだ。
今回は父や弟のヘルマンとは別行動だ。
領主一家が固まって動くと、領民たちも緊張すると思ったことと、ヘルマンに婚約者であるレオノーレ・フォン・クローゼル男爵令嬢と一緒にいるように言ってあるためだ。
「まずはビールを飲みましょ」
そう言って、領民たちが作る列に並ぶ。
私たちに気づいた若い男が驚いて譲ろうとするが、それを断っている。
「今日は無礼講だからね。それよりも君はどこで働いているのかな?」
突然領主から話し掛けられて目を白黒させている。
「モーリス商会の工場で働いています。出荷の管理なんかをやっています」
「仕事は楽しい?」
イリスの言葉に若者は大きく頷く。
「はい。給料もいいですし、休みもきちんともらえますから」
そんな話をしていると順番が回ってきた。
「マティアス様とイリス様!?」
ビールを注いでいる居酒屋のウエートレスが驚きの声を上げる。
「私たちにも一つずつもらえるかな」
そう言って銀貨一枚、十マルクを支払う。
日本円で一杯約五百円であり、居酒屋の値段とほぼ同じだ。手間が掛かっているので、本来ならもう少し高い値段設定になるのだが、子爵家として補助金を出すことにしているため、この値段で済んでいる。
補助金を増やせば、無料にできないこともなかったが、今後このようなイベントを商会に委託することを考え、一定の利益は出るが、高くなりすぎない値段になるよう調整してみたのだ。
「はい!」
泡がこんもりと盛り上がった陶器のジョッキが手渡される。
それを受け取り、二人で空いていそうなテーブルを探すが、ほとんど埋まっていた。
「もういっぱいね」
そこで後ろから声が掛かった。
「相席ですが、こちらに空いている席があります」
ダニエル・モーリスが私たちを案内する。
「料理はうちの商会が持ち込んだソーセージや燻製も美味しいですが、領都の居酒屋、あけぼの亭のスペアリブが美味しいそうです。他にもアンドレの店の川マス料理も評判でした」
私たちがお腹を空かせてやってくると思い、席を確保した上で、何が美味いかリサーチしておいてくれたようだ。
「この席です。ヨハンさん、相席の方です。僕は料理を取ってきますから、その間よろしくお願いしますね」
それだけ言うと、踵を返して屋台の方に戻っていく。
「お、おい! マティアス様とイリス様じゃねぇか! 聞いてねぇぞ!」
ヨハンは四十歳くらいの良く日に焼けた男で、肉体労働者らしく、がっしりとした身体つきだ。
「私たちと一緒ではダメかな?」
「め、滅相もない。ダニエル坊が何も言わないから、びっくりしただけでさぁ!」
そう言っているが、顔は引き攣っている。
彼はエンテ河の船着き場の人夫で、モーリス商会の荷物の荷揚げの時にダニエルと知り合ったらしい。
「ダニエル坊から領都の美味い飯屋を知らないかと聞かれやしてね。それでいろいろと話しているうちに場所取りを頼まれたんですわ。そういや、息子と娘も一緒ですが、大丈夫ですかね」
「問題ないよ。息子さんたちは料理を取りに?」
「ええ。いい場所は離れるとすぐに取られちまうんですよ。なので、ガタイのデカい俺がここに陣取っているわけですわ」
確かに屋台に近く、便利な場所だ。
ダニエルが戻ってきた。
「お待たせしました。あけぼの亭のスペアリブとアンドレの店の川マスのバター焼きです。ビールのお代わりは大丈夫ですか?」
ダニエルは山盛りのスペアリブと川マスのバター焼きを持ってきた。二人分にしては多いので、ヨハンたちの分も入っているようだ。
お金を渡しながら、気になっていたこと聞く。
「ありがとう。ビールはまだ大丈夫だ。それよりもライナルトさんたちはずっと働いているのかな?」
ライナルト・モーリスは早朝からここで準備を仕切っている。
「はい。父さんは倉庫で陣頭指揮を執っています。マティアス様が用意されたビールが不味いと言われないように自分で確認するんだと、気合いを入れていましたよ」
相変わらず真面目だなと思いながら、スペアリブにかぶりつく。
しっかりと焼かれたあばら肉に、ややスパイシーな甘ダレが絡み、ビールによく合う。
イリスも貴族の令室とは思えないほど豪快にかぶりついている。指先と口元を拭いているところは上品だが、ごくごくとビールを飲む姿はやはり貴婦人らしくない。
「これは美味しいわね。すぐにビールが無くなってしまうわ」
そう言って彼女は楽しそうに笑っている。
グレーフェンベルク伯爵が亡くなってから、心から笑うことが少なかったので、このイベントをやってよかったと思った。
「親父、持ってき……えっ!? マティアス様とイリス様?」
ダニエルと同じくらいの歳の日焼けした少年と、麦わら帽子が似合う十歳くらいの少女が驚いていた。
「息子のハンスと娘のマリーですわ。お前らもマティアス様たちにご挨拶せんか!」
二人は驚きながらも頭を下げる。
「お邪魔しているよ。それより何を取ってきたのかな? よかったらこのスペアリブと交換しないか?」
「ヴィントムントのソーセージです。どうぞ」
マリーがおどおどしながらも皿を差し出してきた。
「じゃあ遠慮なく」
そう言いながらフランクフルトのような太いソーセージを受け取った。
「こっちのスペアリブもどうぞ」
そう言って皿を差し出すが、なかなか手が出ない。
「美味しいから食べなさい。それともスペアリブは嫌いだったかしら?」
イリスにそう言われて二人はブンブンと首を横に振る。
「いい土産話になりますよ。まあ、うちのかかあは信じねぇでしょうがね」
「ほんとだね。母ちゃんだけじゃなく、ここに来ていない奴は信じないと思う」
ハンスも大きく頷いていた。
「ところで獣人族のことはどう思ったかな?」
私が質問すると、ヨハンは一瞬表情が曇った。
「凄ぇとは思いましたが、なんだか取っつきにくいかなと思ってます。生真面目っていうか、どう言ったらいいですかね……」
「それなら話をしたらいいわ。ちょっと待っていてね」
イリスがそう言って立ち上がり、周囲を見回した後、走り出した。
恐らく獣人族に声を掛けに行ったのだろう。
二、三分後、彼女は黒獣猟兵団の白虎族ヴェラと熊人族のヴィルギルを引っ張ってきた。
「マティ、もう少し詰めて」
「イリス様、俺たちが座るのは無理ですよ」
身長二メートルを大きく超えるヴィルギルが申し訳なさそうに言っている。
「大丈夫よ。ほらヴェラも座って」
大柄な美女ヴェラもマイペースのイリスに困惑気味だ。
ハンスとマリーは強面のヴィルギルを見て、顔が強張っている。
「この二人は黒獣猟兵団の班のリーダーよ。ヴィルギルは見た目はちょっと怖いけど、根はやさしいから。ほら、ヴィルギルもヴェラも黙ってないで」
「いきなり連れてこられて、それはかわいそうだよ」
そう言って私は笑った。
「このお二人がリーダー……ってことは、イリス様の直属の精鋭ってことですか! そいつは凄ぇ」
ヨハンがそう言うと、ハンスが目を輝かせる。
「王都のマフィアを全滅させた黒い英雄……そんな人にも会えるなんて思っていなかった!」
王都でならず者のアジトを壊滅した話は、噂として大々的に流したため、ここまで届いていたらしい。
「乾杯しましょう!」
イリスがそう提案し、みんなで飲み物を掲げる。
飲み始めると、見た目はクールな美女のヴェラが思ったより陽気で話が弾む。
「あたしらはヴェヒターミュンデやリッタートゥルムで、マティアス様やイリス様の指揮で戦っているんだ……お二人の指揮はほんとに素晴らしいんだよ。何度も戦っているけど、あたしらは誰一人欠けていないんだからね……」
ヴィルギルも酒が入り、楽しげに頷いている。
「いやぁ、黒獣猟兵団の方たちはもっとお堅い方ばかりだと思ってましたよ」
「あたしらもあんたたちと変わらないよ。まあ、うちのリーダーのエレンは堅いけどね」
そんな話で盛り上がる。
「私たちは他のテーブルを見てきましょう」
イリスはそう言うと、私の腕を取る。
ヴェラたちが立ち上がろうとしたので、イリスがそれを制する。
「ヴェラ、ヴィルギル、あなたたちはここで楽しんでいなさい。ヨハン、ハンス、マリー。楽しかったわ」
そう言って手を振り、別のテーブルに向かう。
「兄様やハルトと飲みに行くのも楽しいけど、全然知らない人と話をするのもいいものね。それにヴェラたちともいつもより砕けた感じで話ができたし」
「そうだね。彼らはいつも気を張っている感じだから、こういった息抜きもいいかもしれない」
そんな話をした後、いろいろな人の話の輪に入っていった。
21
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説

アヤノ ~捨てられた歌姫は骨を拾われる、のか?~
momomo
ファンタジー
成人の儀式である『託宣の儀』で前世を思いだした、新幹線事故によって死亡した者達。
孤児のロウは自身が転生者である事を黙ったまま、同じ転生者や他の者達とパーティーを組み、その世界で生きて行く。
捨てられた歌姫は骨を拾われる、のか?
題名が女性向け小説っぽくなってしまいましたが、男性向け(?)です。
どこにでも良くある、転生者の冒険物語。
『歌唱』『スティール』等のスキルで、5人のパーティーがドタバタと生きていく。
影の題名は『ミミ劇場?』です。
基本、お気楽系です。俺強ええーまではいきません。ハーレムもありません。
全50話ほどで、短文の閑話数話を挟む予定です。
閑話以外は、一話8000文字から9000文字程です。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ
九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。
「天職なし。最高じゃないか」
しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。
天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされ、生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれてしまった、ベテランオッサン冒険者のお話。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】天候を操れる程度の能力を持った俺は、国を富ませる事が最優先!~何もかもゼロスタートでも挫けずめげず富ませます!!~
うどん五段
ファンタジー
幼い頃から心臓の悪かった中村キョウスケは、親から「無駄金使い」とののしられながら病院生活を送っていた。
それでも勉強は好きで本を読んだりニュースを見たりするのも好きな勤勉家でもあった。
唯一の弟とはそれなりに仲が良く、色々な遊びを教えてくれた。
だが、二十歳までしか生きられないだろうと言われていたキョウスケだったが、医療の進歩で三十歳まで生きることができ、家での自宅治療に切り替わったその日――階段から降りようとして両親に突き飛ばされ命を落とす。
――死んだ日は、土砂降りの様な雨だった。
しかし、次に目が覚めた時は褐色の肌に銀の髪をした5歳くらいの少年で。
自分が転生したことを悟り、砂漠の国シュノベザール王国の第一王子だと言う事を知る。
飢えに苦しむ国民、天候に恵まれないシュノベザール王国は常に飢えていた。だが幸いな事に第一王子として生まれたシュライは【天候を操る程度の能力】を持っていた。
その力は凄まじく、シュライは自国を豊かにするために、時に鬼となる事も持さない覚悟で成人と認められる15歳になると、頼れる弟と宰相と共に内政を始める事となる――。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載中です。
無断朗読・無断使用・無断転載禁止。

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる