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第四章:「王都陰謀編」
第十三話「第四章登場人物」
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第四章最終話までの登場人物です。
本章で初めて登場した人物には名前の横に「←New」としています。
【王国関係者】
マティアス・フォン・ラウシェンバッハ(1184年3月3日生まれ)
・後に「微笑みの軍師」、「千里眼のマティアス」という二つ名を持つ。
・顔の特徴:儚げな少女と見紛う女性顔
・体の特徴:病床にあったため痩せているが、身長は平均よりも高い
・目の色:グレー
・髪の色:濃い金色
・髪型:ストレートの長髪
・肌の色:ほとんど日に焼けていない白
概要:
本作の主人公。
ラウシェンバッハ子爵家の長男。
8歳の誕生日に高熱を発し、日本で生きていた頃の記憶が蘇った。名前や家族の記憶はあやふやなものの、日本で学んだことは覚えていた。
屋外に出ることを禁じられるほど身体が弱く、王都シュヴェーレンベルクに住んでおり、魔導師でもある治癒師から彼が尋常ではない能力の持ち主という話が大賢者マグダに伝わった。
マグダと面会するが、その際魔導師となるために必要な魔導器が先天的にないと言われる。面会の際、老婆に化けていたマグダの正体を言い当てたため、マグダはその洞察力に驚く。塔で治療しつつ学ぶことを提案し、ヴァイスヴァッヘの塔に入った。
治療を受けながら塔にある書物を読み漁っていったが、マグダからの問いに答えるため、ヴァイスヴァッヘに集められた情報を確認するようになる。しかし、その情報が整理されていないため、独自に情報を整理分析し始めた。それにより、“情報分析室”という部署ができ、ヴァイスヴァッヘの情報網も使えることとなった。
その後、前世の記憶を基に科学技術と魔導を融合させた魔導工学を復活させようとした。小人族の技術者を巻き込み、一部は成功したが、マグダが魔導工学の復活を恐れ、それを禁じる。
12歳でほぼ健康になった彼は大陸の最高学府であるシュヴェーレンベルク王立学院の初等部に首席で入学。後述のラザファムとイリスと出会う。
フェアラート会戦での王国の敗北を機に、情報収集だけでなく、謀略にも積極的になる。また、王国軍の改革を密かに提案し、成功させた。
高等部の兵学部に入り、第四席で卒業するが、騎士団には入らず、兵学部の助教授となった。
一二〇三年六月、イリスと婚約を果たす。
レヒト法国の侵攻を聞き、第二騎士団の参謀長代理として出陣する予定。
性格・能力:
マティアス自身の頭脳のスペックは高く、記憶力などは前世よりよい。マグダの後ろ盾があることから周りから高く評価されるが、日本にいた頃の記憶が邪魔をし、自信なさげな感じが強い。しかし、説明を始めると、前世でのプレゼンを思い出し、自信に満ちた表情と声音となり、それがギャップを生んでいる。
周りから過剰に評価されるため、発言する際に柔らかい表情で誤魔化すことが多い。その表情が微笑んでいるように見えるため、更に誤解を受けることになる。
ラザファム・フォン・エッフェンベルク(1184年6月6日生まれ)
・髪型:ロングのストレート。後ろで縛っている。
・顔の特徴:涼やかな美少年
・体の特徴:剣術の修行により、やせ型だが筋肉はしっかりついている感じ
・目の色:アイスブルー
・髪の色:プラチナブロンド
・肌の色:白人系だがやや日に焼けている
・“氷雪烈火”という二つ名を持つ
概要:
マティアスの親友。容姿端麗・文武両道・冷静沈着の完璧超人。
王国の武の名門エッフェンベルク伯爵家の長男でイリスの双子の兄。
幼少期、剛毅な祖父エグモントとそれに反発する父カルステンとの確執を見て育つ。また、カルステンがエッフェンベルク家の家臣から反発を受け、嫡男である彼に期待したことから、カルステンから疎まれる。彼自身もエッフェンベルク家に相応しい男になろうと常に気負っており、イリス以外には壁のようなものを作っていた。
東方系武術である四元流を学び、13歳で初伝、15歳で中伝、18歳で奥伝を受ける。
初等部入学後、マティアスと出会い、彼の考え方に共感。指揮官用の教本で戦略や戦術を学ぶが、その理解力にマティアスが驚くほど。
父親との確執も解消してくれたことから、マティアスに対しては感謝し尊敬しているが、親友ということで面には出さない。
王立学院高等部の兵学部を首席で卒業し、精鋭である第二騎士団に入団。第一連隊第三大隊第一中隊長となり、騎兵部隊を指揮する。
部下を鍛え、第二騎士団で最も優秀な騎兵部隊に育て上げる。
イリス・フォン・エッフェンベルク(1184年6月6日生まれ)
・髪型:ロングのストレート。後ろで縛っている。
・顔の特徴:少し冷たい感じの美貌を持つ美少女
・体の特徴:スラリとしたモデルのような体型
・目の色:アイスブルー
・髪の色:プラチナブロンド
・肌の色::抜けるような白
・“月光の剣姫”という二つ名を持つ
概要:
本作品のヒロイン。ラザファムの双子の妹。エッフェンベルク伯爵家の長女。
兄ラザファムと比較されることが多く、負けないように努力していた。勝気な性格もあり、剣術に打ち込み、母インゲボルクから貴族令嬢らしくないと常に注意されていた。そのため、インゲボルクとの間に確執が生まれ、ラザファムに依存するようになる。
初等部入学後、満点を取ったマティアスに対して不信の目を向けたことから素直になれなかった。しかし、兄ラザファムと共にマティアスに勉強を教えてもらううちに魅かれるようになる。
初等部ではマティアス、ラザファムに次ぐ第三席を保持し続け、更にラザファムと同様に四元流の奥伝を得るほどの努力家。
理論についてはマティアスの教えを受け非常に優秀。剣術も長剣の腕は男子生徒に負けないほどで、馬術も得意。
美少女であるものの、女性らしさに欠けていることがコンプレックス。
王立学院高等部の兵学部を次席で卒業し、第一騎士団に入団。第一王妃マルグリット付きの近衛騎士となるが、マルグリットが暗殺されたことから退団する。その後はマティアスの助手として学院で働いている。
一二〇三年六月にマティアスのプロポーズを受け、婚約する。
ハルトムート・イスターツ(1184年9月9日生まれ)
・身長:170cm
・顔の特徴:太い眉で少し角張った顎、意志が強そうに見える
・肌の色:日に焼けている
・体の特徴:がっしりとした体つき
・目の色:青み掛かったグレー
・髪の色:黒色
・髪型:短髪
・“双剣ハルト”という二つ名を持つ
概要:
マティアスの親友。シュヴェーレンベルクの西にあるノイムル村の郷士階級の三男で父(ブレージ:1149年生まれ)は村長を務める。母ペトラ(1152年生まれ)、兄デトレフ(1174年生まれ)で姉が二人いる。長兄はフェアラート会戦で戦死し、その復讐のために騎士になるべく、王立学院高等部兵学部に入学する。当初は平民ということで貴族に対し反感を持っていたが、マティアスたちが上級生から身を挺して守ってくれたことから友人関係となる。
オストインゼルから流れてきた達人ゲルト・レトガー(1164年生まれ)が食客であったことから、東方武術の竜牙流を学び、身体強化も5倍程度まで使える。
指揮官としての才能も有り、兵学部では個人戦闘・集団戦闘ともに優秀な成績を収め、実技ではトップの成績(席次第三位)で卒業する。実技が得意だが、理論についてもマティアスと語り合うことで知識を深めていく。
理不尽なことを極端に嫌い、上級貴族に対しても歯に着せぬ物言いをすることが多い。そのため、貴族階級からは嫌われるが、平民からの人気はラザファム以上に高い。
第二騎士団の第一連隊第二大隊第二中隊長として歩兵部隊を預かる。兵士たちの心を掴み、第二騎士団でも有数の精鋭部隊に育て上げる。
リヒャルト・フォン・ラウシェンバッハ(1159年11月30日生まれ)
ラウシェンバッハ子爵家の当主。マティアスの父親。
性格は控えめだが、家族のことを愛しており、マティアスの治療にも力を入れる。
ラウシェンバッハ家は多くの文官を輩出しており、彼自身も宰相メンゲヴァイン侯爵の下で財務を担当している。
ラウシェンバッハ領の経営も手堅く行っており、優秀な官僚。
妻ヘーデ(1162年8月22日生まれ)、長女エリザベート(1182年10月11日生まれ)、次男ヘルマン(1186年5月15日生まれ)
エリザベート・フォン・ラウシェンバッハ(1182年10月11日生まれ)←New
マティアスの姉。誰もが振り返るような美女ではないが、優しい雰囲気が特徴的。
学院高等部では文学部に入り、貴族令嬢としての教養を身に着けたが、性格的には見た目通りの優しさは変わっていない。
1201年に子爵家の嫡男と婚約、1203年に結婚の予定。
ヘルマン・フォン・ラウシェンバッハ(1186年5月15日生まれ)←New
マティアスの弟。マティアスとは異なり健康的で、体格もいい。
学院高等部では政学部に入り、父リヒャルトと同じ道を進もうとしている。学院では天才と名高いマティアスと比較されて苦労しているが、能力的には高く、兄のことを尊敬していることから問題にはなっていない。
イリスのことを密かに思慕していた。
カルステン・フォン・エッフェンベルク(1166年2月1日生まれ)
エッフェンベルク伯爵。ラザファムとイリスの父親。妻はインゲボルク(1166年3月5日生まれ)。
先代のエグモントの三男として生まれ、武人としての教育を受けずに文官となった。1189年に兄二人が相次いで亡くなり、伯爵家を継ぐことが決まる。
文官となったのは実家と袂を分かつためだったが、突然後継者となり焦りを覚える。そのため、父親にできなかったことをやろうと無理な計画を立てる。
学院高等部では比較的優秀であったため、その伝手を使い、王国軍の改革を思いつく。その手始めとしてエッフェンベルク騎士団を帝国流の近代的な軍組織に変え、その成果をもって王国軍での地位を得ようと考えた。
しかし、1193年エグモントが病床に就くと強引な手法で改革を断行。それに譜代の家臣たちが反発。1194年にエグモントが死去すると、次々と引退を表明しカルステンの下を去った。その結果、騎士団は大きく力を落とし、そのことが噂となり、窮地に陥った。
ラザファムに対してはその優秀さから期待するも、自らの武術の腕の未熟さから劣等感を抱く。そのため、次男であるディートリヒ(1187年7月10日生まれ)をかわいがる。
1197年、マティアスが密かに提案したことから、王国軍改革のモデルケースとして選ばれる。その後、グレーフェンベルクらの協力によって騎士団の掌握に成功し、自信を付けた。これによりラザファムに対してもわだかまりがなくなり、関係がよくなった。
ハラルド・クレーマン(1155年6月12日生まれ)
エッフェンベルク家の騎士。王都の屋敷の護衛であり、ラザファムたちの剣術の師。
東方系武術である四元流の使い手で皆伝の腕前。平民であったが、先代のエグモントに見いだされ騎士となる。エグモントに恩義を感じていたが、ラザファムらの師となったことから、他の騎士に同調して伯爵家を去ることはなかった。
真面目な性格でエグモントの指示に従い、ラザファムとイリスに対して厳しく指導する。その一方で二人に対して愛情も感じており、二人の成長を促した。
アルノー・ベックマン(1150年8月12日生まれ)
シュヴェーレンブルク王立学院初等部の主任教諭。背が高く、銀縁眼鏡が特徴的な教師。ベックマン騎士爵家の三男に生まれたが、政学部での成績が優秀であったため学院に残り、教育者となる。
真面目な性格で学院の教育方針に忠実で、王家や大貴族の子息に対しても厳しい態度を取る。融通が利かない面はあるが、教師を天職と思って熱く指導し、その功績で騎士爵に叙任された。
マティアスの入学によって自らの常識が覆され、困惑する。
エーギンハルト・フォン・ユルゲンス(1150年5月20日)
シュヴェーレンブルク王立学院学院長。ユルゲンス伯爵家当主。丸顔でやや肥満、人のよさそうな笑みを常に浮かべている。
ベックマンとは同期で、首席で卒業した。伯爵家の嫡男であり、宰相府に入ったものの、官僚としての才能はなく、ベックマンの勧めもあり、歴史学の研究者として学院に舞い戻った。伯爵家を相続した際、彼自身は望まなかったが学院長に就任。
基本的に政治とは関わりがなく、学院のことを一番に考えている。マティアスの素性を聞かされ、対応に苦慮する。
マインホフからマティアスを教授にしたいと提案されるが、マティアスが目立つことをさけるため、助教授とした。
グレーテル・フォン・ヴァインガルトナー(1184年6月2日生まれ)
初等部の同級生。ヴァインガルトナー公爵家の令嬢。勝気そうな瞳と金髪の縦巻きロールが特徴的な美少女で、マティアスは初めて見た時、悪役令嬢だと思った。
ヴァインガルトナー公爵は現国王の従兄(前国王の弟の息子)に当たるが、領地は狭く、権力も与えられていない。但し、現国王に兄弟がおらず、王位継承権順位は高い。
入学式の新入生代表となる。学業は優秀で入試の結果は第四位。マティアスに対しては不正で入学したと疑い、入学式直後に弾劾する。
性格は真面目で、曲がったことを嫌う。面倒見がよく、初等部ではクラスの中心となった。
将来の降嫁先を見つけるために学院に入学しており、ラザファムに興味を持つ。高等部でラザファムと交際し始めるが、マルクトホーフェン侯爵派の暗躍により、ケッセルシュラガー家の嫡男と婚約させられた。
クリストフ・フォン・グレーフェンベルク(1165年2月12日生まれ)
グレーフェンベルク子爵家当主。見た目は線が細い文官タイプの軍人。
レヒト法国との戦いで大きな功績を上げ、1199年1月に常設された第二騎士団の団長に抜擢される。
グレーフェンベルク子爵家の庶子として生まれたため、爵位を継ぐ可能性はないと思い、王立学院兵学部卒業後、騎士団に入った。庶子であったことから、学院時代には平民や騎士階級の者と隔意なく接し、騎士団入団後も兵士たちと交流するなど開明的。
相続順位の高い兄弟が戦死や病死などでいなくなり、高齢となった父から1196年に爵位を譲られた。
マグダやネッツァーが才能に期待し、王国騎士団の改革を任せるほど優秀。フェアラート会戦後、軍の近代化の必要性を強く感じたが、自らの才能ではできないと諦めかけたところ、ネッツァーが見せたマティアスの案に共感し、実現に奔走する。
その後、改革案の立案者がマティアスと知り、友誼を結ぶ。
マティアスらの能力を高く評価し、彼の才能を活用すべく、個人的な参謀として勧誘するが、若年を理由に断られる。
エッフェンベルク騎士団の改革において、ゲルハルト・ケンプフェルトと懇意となる。
ルートヴィヒ・フォン・ヴェヒターミュンデ(1165年1月30日生まれ)
ヴェヒターミュンデ伯爵。ヴェヒターミュンデ騎士団長。
身長190センチを超える偉丈夫。武人の風格を持つ。前線にも立つことが多く、兵たちからの信頼も厚い。元々は保守的な性格だったが、帝国との最前線ということで合理的な考えを持つようになった。
ヴェヒターミュンデ騎士団はリヒトロット皇国との関係が良好であったため、縮小されていたが、ゾルダート帝国との最前線になる可能性が出てきたため、急遽増強されることになった。しかし、ノウハウがなく、人数だけ揃えただけであったため、危機感を抱いていた。
グレーフェンベルク子爵とは学院時代の同期だが、当時は身分が違いすぎて接点はなかった。1199年の帝国の侵攻作戦でグレーフェンベルクと知り合う。
フォルクマーク十世(1172年8月25日生まれ)
グライフトゥルム王国国王。1193年2月20日、先代国王の急死を受け、僅か二十歳で即位。
若くして即位したために自分に自信がなく優柔不断。
前マルクトホーフェン侯爵であるルドルフに国政を牛耳られているが、それを跳ね返す気概はない。
三人の王子(フリードリッヒ(1195年3月1日生まれ)、グレゴリウス(1197年7月30日生まれ)、ジークフリート(1198年2月2日生まれ))が生まれる。
マルグリット暗殺事件で毅然とした態度で挑むことができず、アラベラの罪を問えなかった。そのことを悔いているが、マルクトホーフェン侯爵に暗殺されることを恐れ、怯える毎日を過ごしている。
マルグリット(1172年12月5日生まれ)
概要:
グライフトゥルム王国王妃。1191年12月に当時王太子であったフォルクマークと結婚し、王太子妃となる。フィリップ・フォン・レベンスブルク侯爵の長女。控えめで家庭的な性格でフォルクマークとの仲は良い。
フリードリッヒとジークフリートの母親。
一二〇三年二月二日、ジークフリートの誕生日を祝うパーティの途中で、アラベラに殺される。
アラベラ(1180年1月20日生まれ)
グライフトゥルム王国第二王妃。ルドルフ・フォン・マルクトホーフェン侯爵の長女。派手な容姿の美女で傲慢な性格。
グレゴリウスの母親。
短絡的な考えの持ち主で直情的。後先のことを考えず、フリードリッヒとジークフリートを殺そうとしたが、マルグリットに阻まれる。
更にマルグリット殺害を糾弾しようとしたイリスを暗殺しようとした。
父親であるルドルフに説得され、グレゴリウスと共にマルクトホーフェン侯爵領に移った。
ルドルフ・フォン・マルクトホーフェン(1155年12月25日生まれ)
マルクトホーフェン侯爵家当主。
王国の野心家。娘のアラベラを王妃にねじ込む。悪い意味での政治力はあるが、国内にしか興味がない。
1196年に四ヶ国連合軍によるゾルダート帝国攻撃に積極的に賛成。フェアラート会戦での敗北の責任を取らされて隠居。ミヒャエルに家督を譲り、蟄居を命じられるが、政治への関与をやめなかった。
マルグリット暗殺事件ではいち早く王都に入り、事態を収拾する。
テーオバルト・フォン・クラース(1142年5月17日生まれ)
グライフトゥルム王国の宰相。クラース侯爵。白髪にモノクルで小柄。マルクトホーフェン侯爵とは同盟関係にあるが、文官の家系であり戦力は多くない。
マルグリット暗殺事件ではアラベラの罪を不問とするよう国王に迫り認めさせる。
ロタール・フォン・ワイゲルト(1134年11月23日生まれ)
マルクトホーフェン侯爵派の貴族。1196年9月17日に死去。
1196年、王国軍の総大将としてフェアラート会戦に参加。王国軍では最も知名度がある将で、エッケヴァルト防衛戦で活躍したとされていた。若い頃はともかく、ここ二十年ほどは功績を水増ししているため、能力的にはそれほど高くない。
頑固さを持ち、ケンプフェルトらの意見に耳を貸さず、渡河とフェアラート攻撃を強行。会戦においてゴットフリート皇子の突撃を受け戦死した。
カスパル・フォン・ノルトハウゼン(1157年9月7日生まれ)
ノルトハウゼン伯爵家当主。日によく焼けた鍛え上げられた身体で鋭い目つき、頬に傷がある。
ノルトハウゼン伯爵家は代々武人を輩出する名家であり、カスパル自身も王国軍屈指の将軍。マルクトホーフェン侯爵とは対立していないものの、一線を画している。
能力的にも高く、兵士たちのことを考えることから人気は高い。また、大賢者マグダも高く評価している。
フェアラート会戦ではワイゲルト伯を諫めるが、聞き入れられなかった。危機的な状況で王国軍を指揮し、無事に半数を帰還させる。
帰国後に処分を覚悟するが、マルクトホーフェン侯爵がワイゲルト伯爵にすべての責任を押し付けたため、不問に付される。但し、侯爵により王国軍への関与も制限され、騎士団改革に携わることができなかった。
ヒンツ・フォン・トゥムラー(1177年8月17日生まれ)
マルクトホーフェン侯爵派の男爵。フェアラート会戦では五百の兵を指揮していたが、ワイゲルトの本陣を守る命令を無視して逃走。大敗北のきっかけを作った。ルドルフの愛人(ザビーネ・フォン・ヴァルネッケ子爵令嬢)の弟であり、彼自身も少年時代にはルドルフの寵童であった。
ミヒャエル・フォン・マルクトホーフェン(1181年10月15日生まれ)
マルクトホーフェン侯爵家の嫡男。
父ルドルフがフェアラート会戦の敗戦の責任を取って隠居したため、十六歳で家督を継ぐ。
その後、父ルドルフの代理として王都で暗躍する。
マルグリット暗殺事件では父ルドルフと役割を分担し、派閥の引き締めや国王との交渉で能力を見せる。
イザーク・フォン・マルクトホーフェン(1183年6月12日生まれ)←New
シュヴェーレンブルク王立学院高等部兵学部の学生。
マティアスらの一年先輩。マルクトホーフェン侯爵の弟。金髪の美男子だが、傲慢そうな表情をしていることが多い。
先代侯爵の次男だが、妾腹の生まれで、兄ミヒャエル、姉アラベラから見下されている。能力的には兵学部にいる自分の方が高いと自負しているが、1199年11月にミヒャエルに嫡男が生まれたため、相続の可能性が低くなったことから自暴自棄になった。
父ルドルフからは男爵家の養子になれと言われているが納得しておらず、侯爵家としての権力を振りかざし、特に平民に対して見下す態度が強い。
ハルトムートが入学した際に絡み、マティアスに邪魔されたため、逆恨みする。演習に際し、相手に圧力を掛けて有利に進めたが、その情報をマティアスに利用され、学院を退学させられた上、貴族としての特権を剥奪された。その後、母親の姓であるヒラーを名乗る。
その後、王都のならず者、トーレス一家に拾われ、組織の中で出世。マルクトホーフェン侯爵家に復讐するため、アラベラに暗殺者を斡旋する。
ルドルフが徹底的な証拠隠滅を図ったため、王都を脱出。名を“ヨーン・シュミット”と変え、商都ヴィントムントに潜伏する。
ゲルト・レトガー(1164年2月11日生まれ)
オストインゼル公国出身の武芸者。ハルトムートの剣術の師。竜牙流の達人で極伝を授かった後、同門の武芸者に嫉妬され、オストインゼルを出奔。グランツフート共和国、グライフトゥルム王国を放浪の後、ノイムル村に流れ着き、イスターツ家の食客となった。
厭世的だが、ハルトムートの才能を見込み、学院で学ぶことを勧めた。
コルネール・フォン・アイスナー(1149年1月4日生まれ)
マルクトホーフェン侯爵家の家臣。男爵。銀髪で細い目であること、狡猾な性格であることから、銀狐と呼ばれる。ルドルフから王都の差配を任され、ミヒャエルも信頼している。
マルグリット暗殺事件ではいち早く動き、アラベラと侯爵家を守った。また、証拠隠滅を徹底的に行い、禍根を残さなかった。
ケヴィン・ボッシュ(1171年6月3日生まれ)
第二騎士団第一連隊第一大隊長。190cmを超える長身でがっしりとした体格の持ち主。角張った顎と太い眉の強面。グレーフェンベルク子爵家の従士でもあり、叩き上げの隊長。1200年5月の兵学部の実技演習でマティアスの担当となり、評価に迷う。
デニス・ヴォルフ(1160年3月1日生まれ)
狼人族の族長。身長はそれほど高くないが引き締まった身体で、一目で凄腕の戦士と分かる。身体強化が使え、戦士としても一流だが、族長として十年以上ヴォルフ族を率いており、統率力もある。
ロニーが移住を勧めるが、即断できなかった。移住後、マティアスの策であったと思い、忠誠を誓う。
エレン・ヴォルフ(1186年8月11日生まれ)
デニスの息子。精悍な顔つきと引き締まった身体。腕に自信があり、騎士団を恐れる父をもどかしく思っているが、父のことは尊敬している。ロニーが移住を勧めた際、騎士団を恐れていないと言い放つ。騎士団と揉めた際にロニーが身を挺して守ってくれたことから信用するようになった。
ムスタファ・フリッシュムート(1155年4月3日生まれ)
ラウシェンバッハ子爵領の代官。ラウシェンバッハ家に長く仕える騎士階級の文官で、リヒャルトの従兄に当たる。細面で常に真面目な表情を浮かべていることが多い。真面目な性格と堅実な手腕で、リヒャルトの信頼が篤い。
ロマーヌス・マインホフ(1162年9月13日生まれ)
シュヴェーレンベルク王立学院研究科教授で戦史の研究家。高等部兵学部の講師として、マティアスらに戦史と戦術を教える。
灰色の髪に落ち窪んだ目、不健康そうな皮膚で実年齢より老けて見える。
戦史の研究をしているが、戦術に詳しいわけではない。学院側が戦術の必要性を理解しておらず、過去の事例を紹介するという方針であったことから選ばれた。そのため、ロマーヌス自身もやる気はあまりなかったが、王国軍改革計画書と教本を見て気が変わった。
ユリウス・フェルゲンハウアー(1184年10月10日生まれ)
概要:
騎士階級の生まれで、王立学院高等部兵学部ではマティアスたちと同期。席次は第五位で卒業し、第二騎士団に入団。東方武術の鳳天流の使い手。
ピエール・フォン・ホルクハイマー(1145年1月12日生まれ)
王国騎士団第一騎士副団長。ホルクハイマー子爵。白髪痩身の紳士で鎧を付けていないと騎士というより執事に見える。フォルクマーク十世の即位時に近衛騎士団長に就任。
イリスが第一騎士団に入団した際の直属の上司。
王家に対する忠義は篤いが、能力的には平凡。中立的な立場でマルクトホーフェン侯爵派とも距離を取っている。
【叡智の守護者関係者】
マグダ(2000歳くらい)
・身長:160cm
・顔の特徴:目鼻立ちがはっきりとしたオリエンタル系の美女(老婆時は鷲鼻が特徴的)
・体の特徴:肉感的(老婆時は背筋は伸びているものの、やせぎす)
・目の色:黒色(老婆時は灰色)
・髪の色:黒色(老婆時は白髪)
・髪型:腰まであるロング(老婆時はバサバサに乱れている)
・肌の色:白人系
・服:ゆったりとした黒いローブ。
概要:
神である管理者を補佐する助言者。2千年以上生きているが、エルフではない。見た目は人間の30歳くらいの美女。但し、人前に出る時は、老婆の姿を採ることが多い。しゃべり方は時代がかっている。
管理者候補を育てることを使命とし、叡智の守護者を設立。
高位の魔導師であり、叡智の守護者の実質的なトップだが、他の魔導師の塔にも影響力を持つ。
各国を歴訪し、助言を与えることから、「大賢者」と呼ばれることが多い。この助言は行きすぎた行為を諌めるもので、従わない場合、災厄が訪れると言われている。実際には代行者と呼ばれる四聖獣が行き過ぎた行為を正すため、粛清を行っているが、それを行わせないための彼女なりの考えによる。
第十階位の魔導まで使える世界最強の魔導師だが、影響力が大きすぎることと、助言者は管理者の命令により力の行使を制限されていることから、直接的な力だけでなく、人心の操作などの間接的なことにも力を使うことはほとんどない。
マティアスと出会い、その考え方を知ってから目を掛けるようになる。管理者候補の側近として育てるため、ヴァイスヴァッヘに引き取った。
マティアスの能力を高く評価し、十代の少年に対しては異常なほどの権限を与えている。特にヴァイスヴァッヘの支援を受けられること、シャッテンヴァッヘへの指揮権などはこれまでの管理者候補にすら与えなかったもの。
なお、マグダはマティアスが転生者とは気づいておらず、異能者だと思い込んでいる。
マルティン・ネッツァー(1135年5月12日生まれ)
ヴァイスヴァッヘの上級魔導師。普人族であるが、60歳を超えても魔導による加齢抑制によって40歳くらいにしか見えず、話し方も若い。
王都シュヴェーレンブルクのヴァイスヴァッヘの責任者として活動。治癒師としてだけでなく、情報収集にも当たる。マグダの代理人としてシュヴェーレンブルクのヴァイスヴァッヘやシャッテンヴァッヘの指揮を執ることもある。ヴァイスヴァッヘの窓口として、王国政府に対しても影響力を持つ。
マティアスの治療を依頼された際、彼の言動に知性を感じ、マグダに報告した。
温厚な性格だが、魔導師らしく知的探求心が旺盛。
カルラ・シュヴァルツ(700歳くらい)
闇森人の影。本来の姿は二十代前半で褐色の肌に切れ長の濃いグレーの瞳。普段はマティアス付きのメイドとして普人族の女性に化けて護衛を務める。魔導師でもあるが、身体能力の強化に使うことが多い。
シドニウス・フェルケ(1200歳くらい)
ヴァイスヴァッヘの大導師。マグダより塔の管理を任されている森人の賢者。第七階位の魔導を使え、マグダを除けば最強の魔導師。
普段は普人の老人に偽装しているが、本来は森人の若者の姿。
ヘルガ・エヴァルト(1142年10月30日生まれ)
ヴァイスヴァッヘの上級魔導師。森人(エルフェ)の若手魔導師。情報分析室の発足当時からのメンバーで主任分析員。
マティアスの情報分析に興味を持ち、直接指導を受ける。ヴァイスヴァッヘで一番の情報分析能力を持ち、マグダから絶大な信頼を受けている。
ヨルク(1133年4月14日生まれ)
小人族(ツヴェルク)の魔導具職人。魔導具工房の親方であり、金属加工と魔法陣の作成を得意としている。小人族の工房主としてはまだ若いが、マグダが才能を評価し、ヴァイスヴァッヘ直属の工房を任せた。
マティアスが考案した魔導式スターリングエンジンを製造したが、マグダにより廃棄を命じられた。
ゾフィア・ゲール(902年6月2日生まれ)
ヴァイスヴァッヘの導師。森人の女性魔導師。情報分析室の室長。
導師の中の序列は比較的低いが、若手であり新しい知識を吸収しやすいことを理由に情報分析室を任される。
エルゼ・クロイツァー(700歳くらい)
闇の監視者の八の組の組頭。1194年3月の情報分析室発足から情報収集を担当。その後、ゾルダート帝国やレヒト法国への謀略も担当するようになる。
【商人組合関係】
ライナルト・モーリス(1172年12月12日生まれ)
ヴィントムントの大商人。背は低く、行商人のような屈託のない笑顔と人当たりの良さがにじみ出る。
ネッツァーがマティアスと引き合わせたことから大儲けし、マティアスとヴァイスヴァッヘに協力する。
ロニー・トルンク(1170年2月13日生まれ)←New
モーリス商会レヒト法国総支配人。人当たりのいい笑顔が印象的な商人。僅か二十歳そこそこで財を成したモーリスの才能に憧れ、商会に入った。モーリスの情報を駆使する商売を覚え、僅か五年で新たに進出したレヒト法国の総支配人に抜擢される。見た目と異なり冷徹な判断ができるが、モーリスに心酔しており、彼の言うことには無条件に従う。
レヒト法国で獣人を購入するため、ダムマイヤー奴隷商会を買収し、聖都レヒトシュタットの高級娼館マリアンネの館を買収した。
レヒト法国内での工作を担当する際、モーリスからマティアスの話を聞き、獣人たちを救うために奔走する。その際、モーリスからマティアスに感謝することを伝えるよう言われたため、獣人たちはマティアスを信仰するようになる。
【グランツフート共和国関係者】
ゲルハルト・ケンプフェルト(1154年4月20日生まれ)
グランツフート共和国軍の将軍。東方系武術である四元流の達人。
1196年のフェアラート会戦では三万の軍を率い、連合軍の撤退を成功させる。豪放磊落でありながらも沈着冷静で指揮能力が高く、兵士たちからの信頼も篤い。
【ゾルダート帝国関係者】
コルネリウス二世(1157年2月3日生まれ)
ゾルダート帝国第十一代皇帝。1192年に若干35歳で即位。リヒトロット皇国との戦いで功績を上げた軍事の天才。豪放磊落な性格だが、狡猾さも持つ。軍の支持を得ており、ここ数十年では最高の名君と言われている。
即位後、四ヶ国連合による反攻作戦を各個撃破で粉砕したが、マティアスの仕掛けた謀略によって停滞を余儀なくされる。
ローデリヒ・マウラー(1143年3月10日生まれ)
ゾルダート帝国軍の将。1196年のフェアラート会戦では軍団長(元帥)。
1196年のフェアラート会戦では第三軍団を率いてグライフトゥルム・グランツフート連合軍に大打撃を与える。
沈着冷静な性格と高い作戦指揮能力により、皇帝コルネリウス二世の信頼が篤い名将。
ゴットフリート・クルーガー(1175年7月23日生まれ)
ゾルダート帝国の第一皇子。第三軍団の上級騎士(大隊長)。
妾腹の生まれであったため、皇位継承権は弟のマクシミリアン皇子に劣るが、勇猛果敢な性格で軍に支持者を持つ。
1194年12月にヴォルフガング士官学校卒業後、第三軍団に配属され、マウラー元帥の下で1196年9月のフェアラート会戦に参加し武勲を挙げた。
勲功第一位となり、連隊長である騎士長に昇進した。
指揮能力、戦術能力ともに高く、個人的な戦闘力もある。また、気取らいない性格であるため兵士に人気がある。
1201年3月に第一軍団第二師団長に就任。しかし、弟であるマクシミリアンが五ヶ月後に師団長に昇進したことから焦りを覚えている。
マクシミリアン・クルーガー(1180年8月3日生まれ)
コルネリウス二世の次男。皇妃の長男であり皇位継承権は第一位。14歳でヴォルフガング士官学校を首席で入学し、最後まで首席を譲らず卒業した秀才。卒業後は第三軍団の上級騎士(大隊長)となる。
1201年8月にゲリラ部隊の封じ込めに成功したことから、その功績により第一軍団第三師団長に僅か二十歳で就任した。
沈着冷静で政戦のいずれにも才能を示すだけでなく、老練な政治家たちと渡り合えるほどの老獪さを持つ。
ザムエル・テーリヒェン(1153年5月30日生まれ)
ゾルダート帝国軍の将。
リヒトロット皇国との戦いではコルネリウス二世の下、多くの戦果を挙げる。1196年のフェアラート会戦では将軍(師団長)として参戦。グライフトゥルム王国軍とグランツフート共和国軍に大打撃を与える。
シルヴィオ・バルツァー(1154年4月7日生まれ)
1190年代のゾルダート帝国の軍務尚書。細身で三白眼、モノクルを掛けている。コルネリウスの即位時に軍務尚書となる。怜悧な軍官僚でコルネリウスが皇太子時代に参謀として活躍。大胆な作戦を立案するだけでなく、補給などの実務面でも有能な実務家。皇帝に対し絶対的な忠誠を誓っているが、人間関係を軽視する傾向にあり、軍の中に軋轢をもたらすことが多い。
ハンス・ヨアヒム・フェーゲライン(1150年1月19日生まれ)
1190年代のゾルダート帝国の内務尚書。見た目は印象が残らないほど地味。コルネリウスの即位前から内務尚書として内政を取り仕切る。
実務能力が高く、産業振興から治安維持まで幅広い分野で実績を残す。帝国に対して忠誠心は持っているが、軍事を優先するコルネリウス個人はあまり評価しておらず、是々非々で対応する。
ルーツィア・ゲルリッツ(1157年3月12日生まれ)
帝国軍第二軍団長。元帥。190cmを超える大柄で赤髪、好戦的な笑みを浮かべる猛将。コルネリウスの士官学校時代の同期。コルネリウスの配下として活躍。見た目通りの猛将で野戦での攻撃力は帝国軍一。守備も苦手ではないが、単純な性格で搦め手に弱い。
コルネリウスは自らの手元に置いておきたかったが、クルシュマンらが引き離し工作を行い、第二軍団長となった。
第二軍団長としてエーデルシュタインに駐屯していたが、マティアスの謀略に手を焼く。
シュヴァーン河渡河作戦を実行しようとしたが、マティアスの妨害により作戦に失敗。帰国時にリヒトロット皇国の都市を攻略し、その失敗を帳消しにした。
エメリッヒ・クルシュマン(1142年10月7日生まれ)
1197~1198年頃のゾルダート帝国の枢密院議長。ゾルダート帝国の政治家には珍しく、でっぷりとした体形で眠そうな目をしている。
前皇帝時代の財務尚書であり、コルネリウス即位により枢密院議員となった。二期目に入った1197年1月、議長に就任。
野心家であり、コルネリウスとは別の皇子を皇帝にしようと画策したが失敗。財務府を完全に掌握しているため、コルネリウスも完全に排除できなかった。未だに隠然たる力を持ち、枢密院議員の任期を二期十年から無期限にし、黒幕として帝国を牛耳ろうと画策している。
ヴァルデマール・シュテヒェルト(1159年4月10日生まれ)←New
内務尚書。四十代前半という若さで1201年1月にコルネリウス二世によって抜擢された。金色の長髪を後ろで括った派手な見た目。年齢より若く見られることが多く、舞踏会が良く似合う印象。
見た目と異なり堅実で、王国の情報操作に気づき、1203年1月に内務府に防諜対策の部門を設置し対処。政治的には皇帝に近く、帝国の膨張政策を支持する。
【レヒト法国関係者】
アンドレアス八世(1163年3月6日生まれ)
レヒト法国法王。威厳を感じさせながらも柔和で、調整型の法王。
西方教会出身で1199年に大主教から枢機卿になる。腐敗した教団を改革するため、活動するが、様々妨害を受け失敗する。1201年6月の政変で消極的な選択として38歳という若さで法王となった。
ヘルミン・シェーラー(1146年7月6日生まれ)←New
南方教会総主教。やせ型で細い目、常に張り付けたような笑みを浮かべている。
最も若いアンドレアスを傀儡にするつもりで法王に推薦した。基本的には穏健派でグライフトゥルム王国やグランツフート共和国への侵攻作戦に積極的ではないが、鳳凰騎士団の突き上げを受けたこと、聖竜騎士団や神狼騎士団の暴走を防ぐため、王国への侵攻作戦に賛同し、鳳凰騎士団を派遣する。
パウロ・ヴェンデル(1141年8月12日生まれ)←New
西方教会総主教。やせ形で柔らかい笑みを常に浮かべており、聖職者らしい雰囲気を持つ。アンドレアスの指導司祭であったことから将来の後継者として、1199年に枢機卿に推薦した。アンドレアスを唯一積極的に推薦した人物。
トゥテラリィ教の聖職者では珍しく清廉で、困窮する国民を救済しようと努力する。そのため、対外戦争には反対で東方教会と北方教会と対立する。
マルク・ニヒェルマン(1155年11月2日生まれ)←New
北方教会の総主教。中肉中背で武人のような鋭い眼光。神狼騎士団団長から総主教になった異例の経歴を持つ。アンドレアスの法王就任と同時期に総主教になったが、自分より8歳も若い法王にライバル心を抱く。
主戦派であり、自身が何度も失敗したグライフトゥルム王国侵攻に執念を燃やす。マルシャルクの才能を見抜き抜擢する。
大規模な侵攻作戦を実施しようとしたが、アンドレアスの妨害にあい予算や物資が不足し、小規模な作戦しかできなかった。
ヨハネス・エイルホフ(1148年1月22日生まれ)←New
東方教会の総主教。大柄で分厚い胸板の偉丈夫。騎士団出身ではなく、聖職者として出世した。見た目通り好戦的で、聖竜騎士団の支持を受ける。
赤竜騎士団の暴走により前任者が辞任したことから総主教となった。
主戦派だが、本命はグランツフート共和国であり、ニヒェルマンとは仲が悪い。シェーラーがグライフトゥルム王国への侵攻作戦を提案した際、鳳凰騎士団が出陣することに賛成する。
本章で初めて登場した人物には名前の横に「←New」としています。
【王国関係者】
マティアス・フォン・ラウシェンバッハ(1184年3月3日生まれ)
・後に「微笑みの軍師」、「千里眼のマティアス」という二つ名を持つ。
・顔の特徴:儚げな少女と見紛う女性顔
・体の特徴:病床にあったため痩せているが、身長は平均よりも高い
・目の色:グレー
・髪の色:濃い金色
・髪型:ストレートの長髪
・肌の色:ほとんど日に焼けていない白
概要:
本作の主人公。
ラウシェンバッハ子爵家の長男。
8歳の誕生日に高熱を発し、日本で生きていた頃の記憶が蘇った。名前や家族の記憶はあやふやなものの、日本で学んだことは覚えていた。
屋外に出ることを禁じられるほど身体が弱く、王都シュヴェーレンベルクに住んでおり、魔導師でもある治癒師から彼が尋常ではない能力の持ち主という話が大賢者マグダに伝わった。
マグダと面会するが、その際魔導師となるために必要な魔導器が先天的にないと言われる。面会の際、老婆に化けていたマグダの正体を言い当てたため、マグダはその洞察力に驚く。塔で治療しつつ学ぶことを提案し、ヴァイスヴァッヘの塔に入った。
治療を受けながら塔にある書物を読み漁っていったが、マグダからの問いに答えるため、ヴァイスヴァッヘに集められた情報を確認するようになる。しかし、その情報が整理されていないため、独自に情報を整理分析し始めた。それにより、“情報分析室”という部署ができ、ヴァイスヴァッヘの情報網も使えることとなった。
その後、前世の記憶を基に科学技術と魔導を融合させた魔導工学を復活させようとした。小人族の技術者を巻き込み、一部は成功したが、マグダが魔導工学の復活を恐れ、それを禁じる。
12歳でほぼ健康になった彼は大陸の最高学府であるシュヴェーレンベルク王立学院の初等部に首席で入学。後述のラザファムとイリスと出会う。
フェアラート会戦での王国の敗北を機に、情報収集だけでなく、謀略にも積極的になる。また、王国軍の改革を密かに提案し、成功させた。
高等部の兵学部に入り、第四席で卒業するが、騎士団には入らず、兵学部の助教授となった。
一二〇三年六月、イリスと婚約を果たす。
レヒト法国の侵攻を聞き、第二騎士団の参謀長代理として出陣する予定。
性格・能力:
マティアス自身の頭脳のスペックは高く、記憶力などは前世よりよい。マグダの後ろ盾があることから周りから高く評価されるが、日本にいた頃の記憶が邪魔をし、自信なさげな感じが強い。しかし、説明を始めると、前世でのプレゼンを思い出し、自信に満ちた表情と声音となり、それがギャップを生んでいる。
周りから過剰に評価されるため、発言する際に柔らかい表情で誤魔化すことが多い。その表情が微笑んでいるように見えるため、更に誤解を受けることになる。
ラザファム・フォン・エッフェンベルク(1184年6月6日生まれ)
・髪型:ロングのストレート。後ろで縛っている。
・顔の特徴:涼やかな美少年
・体の特徴:剣術の修行により、やせ型だが筋肉はしっかりついている感じ
・目の色:アイスブルー
・髪の色:プラチナブロンド
・肌の色:白人系だがやや日に焼けている
・“氷雪烈火”という二つ名を持つ
概要:
マティアスの親友。容姿端麗・文武両道・冷静沈着の完璧超人。
王国の武の名門エッフェンベルク伯爵家の長男でイリスの双子の兄。
幼少期、剛毅な祖父エグモントとそれに反発する父カルステンとの確執を見て育つ。また、カルステンがエッフェンベルク家の家臣から反発を受け、嫡男である彼に期待したことから、カルステンから疎まれる。彼自身もエッフェンベルク家に相応しい男になろうと常に気負っており、イリス以外には壁のようなものを作っていた。
東方系武術である四元流を学び、13歳で初伝、15歳で中伝、18歳で奥伝を受ける。
初等部入学後、マティアスと出会い、彼の考え方に共感。指揮官用の教本で戦略や戦術を学ぶが、その理解力にマティアスが驚くほど。
父親との確執も解消してくれたことから、マティアスに対しては感謝し尊敬しているが、親友ということで面には出さない。
王立学院高等部の兵学部を首席で卒業し、精鋭である第二騎士団に入団。第一連隊第三大隊第一中隊長となり、騎兵部隊を指揮する。
部下を鍛え、第二騎士団で最も優秀な騎兵部隊に育て上げる。
イリス・フォン・エッフェンベルク(1184年6月6日生まれ)
・髪型:ロングのストレート。後ろで縛っている。
・顔の特徴:少し冷たい感じの美貌を持つ美少女
・体の特徴:スラリとしたモデルのような体型
・目の色:アイスブルー
・髪の色:プラチナブロンド
・肌の色::抜けるような白
・“月光の剣姫”という二つ名を持つ
概要:
本作品のヒロイン。ラザファムの双子の妹。エッフェンベルク伯爵家の長女。
兄ラザファムと比較されることが多く、負けないように努力していた。勝気な性格もあり、剣術に打ち込み、母インゲボルクから貴族令嬢らしくないと常に注意されていた。そのため、インゲボルクとの間に確執が生まれ、ラザファムに依存するようになる。
初等部入学後、満点を取ったマティアスに対して不信の目を向けたことから素直になれなかった。しかし、兄ラザファムと共にマティアスに勉強を教えてもらううちに魅かれるようになる。
初等部ではマティアス、ラザファムに次ぐ第三席を保持し続け、更にラザファムと同様に四元流の奥伝を得るほどの努力家。
理論についてはマティアスの教えを受け非常に優秀。剣術も長剣の腕は男子生徒に負けないほどで、馬術も得意。
美少女であるものの、女性らしさに欠けていることがコンプレックス。
王立学院高等部の兵学部を次席で卒業し、第一騎士団に入団。第一王妃マルグリット付きの近衛騎士となるが、マルグリットが暗殺されたことから退団する。その後はマティアスの助手として学院で働いている。
一二〇三年六月にマティアスのプロポーズを受け、婚約する。
ハルトムート・イスターツ(1184年9月9日生まれ)
・身長:170cm
・顔の特徴:太い眉で少し角張った顎、意志が強そうに見える
・肌の色:日に焼けている
・体の特徴:がっしりとした体つき
・目の色:青み掛かったグレー
・髪の色:黒色
・髪型:短髪
・“双剣ハルト”という二つ名を持つ
概要:
マティアスの親友。シュヴェーレンベルクの西にあるノイムル村の郷士階級の三男で父(ブレージ:1149年生まれ)は村長を務める。母ペトラ(1152年生まれ)、兄デトレフ(1174年生まれ)で姉が二人いる。長兄はフェアラート会戦で戦死し、その復讐のために騎士になるべく、王立学院高等部兵学部に入学する。当初は平民ということで貴族に対し反感を持っていたが、マティアスたちが上級生から身を挺して守ってくれたことから友人関係となる。
オストインゼルから流れてきた達人ゲルト・レトガー(1164年生まれ)が食客であったことから、東方武術の竜牙流を学び、身体強化も5倍程度まで使える。
指揮官としての才能も有り、兵学部では個人戦闘・集団戦闘ともに優秀な成績を収め、実技ではトップの成績(席次第三位)で卒業する。実技が得意だが、理論についてもマティアスと語り合うことで知識を深めていく。
理不尽なことを極端に嫌い、上級貴族に対しても歯に着せぬ物言いをすることが多い。そのため、貴族階級からは嫌われるが、平民からの人気はラザファム以上に高い。
第二騎士団の第一連隊第二大隊第二中隊長として歩兵部隊を預かる。兵士たちの心を掴み、第二騎士団でも有数の精鋭部隊に育て上げる。
リヒャルト・フォン・ラウシェンバッハ(1159年11月30日生まれ)
ラウシェンバッハ子爵家の当主。マティアスの父親。
性格は控えめだが、家族のことを愛しており、マティアスの治療にも力を入れる。
ラウシェンバッハ家は多くの文官を輩出しており、彼自身も宰相メンゲヴァイン侯爵の下で財務を担当している。
ラウシェンバッハ領の経営も手堅く行っており、優秀な官僚。
妻ヘーデ(1162年8月22日生まれ)、長女エリザベート(1182年10月11日生まれ)、次男ヘルマン(1186年5月15日生まれ)
エリザベート・フォン・ラウシェンバッハ(1182年10月11日生まれ)←New
マティアスの姉。誰もが振り返るような美女ではないが、優しい雰囲気が特徴的。
学院高等部では文学部に入り、貴族令嬢としての教養を身に着けたが、性格的には見た目通りの優しさは変わっていない。
1201年に子爵家の嫡男と婚約、1203年に結婚の予定。
ヘルマン・フォン・ラウシェンバッハ(1186年5月15日生まれ)←New
マティアスの弟。マティアスとは異なり健康的で、体格もいい。
学院高等部では政学部に入り、父リヒャルトと同じ道を進もうとしている。学院では天才と名高いマティアスと比較されて苦労しているが、能力的には高く、兄のことを尊敬していることから問題にはなっていない。
イリスのことを密かに思慕していた。
カルステン・フォン・エッフェンベルク(1166年2月1日生まれ)
エッフェンベルク伯爵。ラザファムとイリスの父親。妻はインゲボルク(1166年3月5日生まれ)。
先代のエグモントの三男として生まれ、武人としての教育を受けずに文官となった。1189年に兄二人が相次いで亡くなり、伯爵家を継ぐことが決まる。
文官となったのは実家と袂を分かつためだったが、突然後継者となり焦りを覚える。そのため、父親にできなかったことをやろうと無理な計画を立てる。
学院高等部では比較的優秀であったため、その伝手を使い、王国軍の改革を思いつく。その手始めとしてエッフェンベルク騎士団を帝国流の近代的な軍組織に変え、その成果をもって王国軍での地位を得ようと考えた。
しかし、1193年エグモントが病床に就くと強引な手法で改革を断行。それに譜代の家臣たちが反発。1194年にエグモントが死去すると、次々と引退を表明しカルステンの下を去った。その結果、騎士団は大きく力を落とし、そのことが噂となり、窮地に陥った。
ラザファムに対してはその優秀さから期待するも、自らの武術の腕の未熟さから劣等感を抱く。そのため、次男であるディートリヒ(1187年7月10日生まれ)をかわいがる。
1197年、マティアスが密かに提案したことから、王国軍改革のモデルケースとして選ばれる。その後、グレーフェンベルクらの協力によって騎士団の掌握に成功し、自信を付けた。これによりラザファムに対してもわだかまりがなくなり、関係がよくなった。
ハラルド・クレーマン(1155年6月12日生まれ)
エッフェンベルク家の騎士。王都の屋敷の護衛であり、ラザファムたちの剣術の師。
東方系武術である四元流の使い手で皆伝の腕前。平民であったが、先代のエグモントに見いだされ騎士となる。エグモントに恩義を感じていたが、ラザファムらの師となったことから、他の騎士に同調して伯爵家を去ることはなかった。
真面目な性格でエグモントの指示に従い、ラザファムとイリスに対して厳しく指導する。その一方で二人に対して愛情も感じており、二人の成長を促した。
アルノー・ベックマン(1150年8月12日生まれ)
シュヴェーレンブルク王立学院初等部の主任教諭。背が高く、銀縁眼鏡が特徴的な教師。ベックマン騎士爵家の三男に生まれたが、政学部での成績が優秀であったため学院に残り、教育者となる。
真面目な性格で学院の教育方針に忠実で、王家や大貴族の子息に対しても厳しい態度を取る。融通が利かない面はあるが、教師を天職と思って熱く指導し、その功績で騎士爵に叙任された。
マティアスの入学によって自らの常識が覆され、困惑する。
エーギンハルト・フォン・ユルゲンス(1150年5月20日)
シュヴェーレンブルク王立学院学院長。ユルゲンス伯爵家当主。丸顔でやや肥満、人のよさそうな笑みを常に浮かべている。
ベックマンとは同期で、首席で卒業した。伯爵家の嫡男であり、宰相府に入ったものの、官僚としての才能はなく、ベックマンの勧めもあり、歴史学の研究者として学院に舞い戻った。伯爵家を相続した際、彼自身は望まなかったが学院長に就任。
基本的に政治とは関わりがなく、学院のことを一番に考えている。マティアスの素性を聞かされ、対応に苦慮する。
マインホフからマティアスを教授にしたいと提案されるが、マティアスが目立つことをさけるため、助教授とした。
グレーテル・フォン・ヴァインガルトナー(1184年6月2日生まれ)
初等部の同級生。ヴァインガルトナー公爵家の令嬢。勝気そうな瞳と金髪の縦巻きロールが特徴的な美少女で、マティアスは初めて見た時、悪役令嬢だと思った。
ヴァインガルトナー公爵は現国王の従兄(前国王の弟の息子)に当たるが、領地は狭く、権力も与えられていない。但し、現国王に兄弟がおらず、王位継承権順位は高い。
入学式の新入生代表となる。学業は優秀で入試の結果は第四位。マティアスに対しては不正で入学したと疑い、入学式直後に弾劾する。
性格は真面目で、曲がったことを嫌う。面倒見がよく、初等部ではクラスの中心となった。
将来の降嫁先を見つけるために学院に入学しており、ラザファムに興味を持つ。高等部でラザファムと交際し始めるが、マルクトホーフェン侯爵派の暗躍により、ケッセルシュラガー家の嫡男と婚約させられた。
クリストフ・フォン・グレーフェンベルク(1165年2月12日生まれ)
グレーフェンベルク子爵家当主。見た目は線が細い文官タイプの軍人。
レヒト法国との戦いで大きな功績を上げ、1199年1月に常設された第二騎士団の団長に抜擢される。
グレーフェンベルク子爵家の庶子として生まれたため、爵位を継ぐ可能性はないと思い、王立学院兵学部卒業後、騎士団に入った。庶子であったことから、学院時代には平民や騎士階級の者と隔意なく接し、騎士団入団後も兵士たちと交流するなど開明的。
相続順位の高い兄弟が戦死や病死などでいなくなり、高齢となった父から1196年に爵位を譲られた。
マグダやネッツァーが才能に期待し、王国騎士団の改革を任せるほど優秀。フェアラート会戦後、軍の近代化の必要性を強く感じたが、自らの才能ではできないと諦めかけたところ、ネッツァーが見せたマティアスの案に共感し、実現に奔走する。
その後、改革案の立案者がマティアスと知り、友誼を結ぶ。
マティアスらの能力を高く評価し、彼の才能を活用すべく、個人的な参謀として勧誘するが、若年を理由に断られる。
エッフェンベルク騎士団の改革において、ゲルハルト・ケンプフェルトと懇意となる。
ルートヴィヒ・フォン・ヴェヒターミュンデ(1165年1月30日生まれ)
ヴェヒターミュンデ伯爵。ヴェヒターミュンデ騎士団長。
身長190センチを超える偉丈夫。武人の風格を持つ。前線にも立つことが多く、兵たちからの信頼も厚い。元々は保守的な性格だったが、帝国との最前線ということで合理的な考えを持つようになった。
ヴェヒターミュンデ騎士団はリヒトロット皇国との関係が良好であったため、縮小されていたが、ゾルダート帝国との最前線になる可能性が出てきたため、急遽増強されることになった。しかし、ノウハウがなく、人数だけ揃えただけであったため、危機感を抱いていた。
グレーフェンベルク子爵とは学院時代の同期だが、当時は身分が違いすぎて接点はなかった。1199年の帝国の侵攻作戦でグレーフェンベルクと知り合う。
フォルクマーク十世(1172年8月25日生まれ)
グライフトゥルム王国国王。1193年2月20日、先代国王の急死を受け、僅か二十歳で即位。
若くして即位したために自分に自信がなく優柔不断。
前マルクトホーフェン侯爵であるルドルフに国政を牛耳られているが、それを跳ね返す気概はない。
三人の王子(フリードリッヒ(1195年3月1日生まれ)、グレゴリウス(1197年7月30日生まれ)、ジークフリート(1198年2月2日生まれ))が生まれる。
マルグリット暗殺事件で毅然とした態度で挑むことができず、アラベラの罪を問えなかった。そのことを悔いているが、マルクトホーフェン侯爵に暗殺されることを恐れ、怯える毎日を過ごしている。
マルグリット(1172年12月5日生まれ)
概要:
グライフトゥルム王国王妃。1191年12月に当時王太子であったフォルクマークと結婚し、王太子妃となる。フィリップ・フォン・レベンスブルク侯爵の長女。控えめで家庭的な性格でフォルクマークとの仲は良い。
フリードリッヒとジークフリートの母親。
一二〇三年二月二日、ジークフリートの誕生日を祝うパーティの途中で、アラベラに殺される。
アラベラ(1180年1月20日生まれ)
グライフトゥルム王国第二王妃。ルドルフ・フォン・マルクトホーフェン侯爵の長女。派手な容姿の美女で傲慢な性格。
グレゴリウスの母親。
短絡的な考えの持ち主で直情的。後先のことを考えず、フリードリッヒとジークフリートを殺そうとしたが、マルグリットに阻まれる。
更にマルグリット殺害を糾弾しようとしたイリスを暗殺しようとした。
父親であるルドルフに説得され、グレゴリウスと共にマルクトホーフェン侯爵領に移った。
ルドルフ・フォン・マルクトホーフェン(1155年12月25日生まれ)
マルクトホーフェン侯爵家当主。
王国の野心家。娘のアラベラを王妃にねじ込む。悪い意味での政治力はあるが、国内にしか興味がない。
1196年に四ヶ国連合軍によるゾルダート帝国攻撃に積極的に賛成。フェアラート会戦での敗北の責任を取らされて隠居。ミヒャエルに家督を譲り、蟄居を命じられるが、政治への関与をやめなかった。
マルグリット暗殺事件ではいち早く王都に入り、事態を収拾する。
テーオバルト・フォン・クラース(1142年5月17日生まれ)
グライフトゥルム王国の宰相。クラース侯爵。白髪にモノクルで小柄。マルクトホーフェン侯爵とは同盟関係にあるが、文官の家系であり戦力は多くない。
マルグリット暗殺事件ではアラベラの罪を不問とするよう国王に迫り認めさせる。
ロタール・フォン・ワイゲルト(1134年11月23日生まれ)
マルクトホーフェン侯爵派の貴族。1196年9月17日に死去。
1196年、王国軍の総大将としてフェアラート会戦に参加。王国軍では最も知名度がある将で、エッケヴァルト防衛戦で活躍したとされていた。若い頃はともかく、ここ二十年ほどは功績を水増ししているため、能力的にはそれほど高くない。
頑固さを持ち、ケンプフェルトらの意見に耳を貸さず、渡河とフェアラート攻撃を強行。会戦においてゴットフリート皇子の突撃を受け戦死した。
カスパル・フォン・ノルトハウゼン(1157年9月7日生まれ)
ノルトハウゼン伯爵家当主。日によく焼けた鍛え上げられた身体で鋭い目つき、頬に傷がある。
ノルトハウゼン伯爵家は代々武人を輩出する名家であり、カスパル自身も王国軍屈指の将軍。マルクトホーフェン侯爵とは対立していないものの、一線を画している。
能力的にも高く、兵士たちのことを考えることから人気は高い。また、大賢者マグダも高く評価している。
フェアラート会戦ではワイゲルト伯を諫めるが、聞き入れられなかった。危機的な状況で王国軍を指揮し、無事に半数を帰還させる。
帰国後に処分を覚悟するが、マルクトホーフェン侯爵がワイゲルト伯爵にすべての責任を押し付けたため、不問に付される。但し、侯爵により王国軍への関与も制限され、騎士団改革に携わることができなかった。
ヒンツ・フォン・トゥムラー(1177年8月17日生まれ)
マルクトホーフェン侯爵派の男爵。フェアラート会戦では五百の兵を指揮していたが、ワイゲルトの本陣を守る命令を無視して逃走。大敗北のきっかけを作った。ルドルフの愛人(ザビーネ・フォン・ヴァルネッケ子爵令嬢)の弟であり、彼自身も少年時代にはルドルフの寵童であった。
ミヒャエル・フォン・マルクトホーフェン(1181年10月15日生まれ)
マルクトホーフェン侯爵家の嫡男。
父ルドルフがフェアラート会戦の敗戦の責任を取って隠居したため、十六歳で家督を継ぐ。
その後、父ルドルフの代理として王都で暗躍する。
マルグリット暗殺事件では父ルドルフと役割を分担し、派閥の引き締めや国王との交渉で能力を見せる。
イザーク・フォン・マルクトホーフェン(1183年6月12日生まれ)←New
シュヴェーレンブルク王立学院高等部兵学部の学生。
マティアスらの一年先輩。マルクトホーフェン侯爵の弟。金髪の美男子だが、傲慢そうな表情をしていることが多い。
先代侯爵の次男だが、妾腹の生まれで、兄ミヒャエル、姉アラベラから見下されている。能力的には兵学部にいる自分の方が高いと自負しているが、1199年11月にミヒャエルに嫡男が生まれたため、相続の可能性が低くなったことから自暴自棄になった。
父ルドルフからは男爵家の養子になれと言われているが納得しておらず、侯爵家としての権力を振りかざし、特に平民に対して見下す態度が強い。
ハルトムートが入学した際に絡み、マティアスに邪魔されたため、逆恨みする。演習に際し、相手に圧力を掛けて有利に進めたが、その情報をマティアスに利用され、学院を退学させられた上、貴族としての特権を剥奪された。その後、母親の姓であるヒラーを名乗る。
その後、王都のならず者、トーレス一家に拾われ、組織の中で出世。マルクトホーフェン侯爵家に復讐するため、アラベラに暗殺者を斡旋する。
ルドルフが徹底的な証拠隠滅を図ったため、王都を脱出。名を“ヨーン・シュミット”と変え、商都ヴィントムントに潜伏する。
ゲルト・レトガー(1164年2月11日生まれ)
オストインゼル公国出身の武芸者。ハルトムートの剣術の師。竜牙流の達人で極伝を授かった後、同門の武芸者に嫉妬され、オストインゼルを出奔。グランツフート共和国、グライフトゥルム王国を放浪の後、ノイムル村に流れ着き、イスターツ家の食客となった。
厭世的だが、ハルトムートの才能を見込み、学院で学ぶことを勧めた。
コルネール・フォン・アイスナー(1149年1月4日生まれ)
マルクトホーフェン侯爵家の家臣。男爵。銀髪で細い目であること、狡猾な性格であることから、銀狐と呼ばれる。ルドルフから王都の差配を任され、ミヒャエルも信頼している。
マルグリット暗殺事件ではいち早く動き、アラベラと侯爵家を守った。また、証拠隠滅を徹底的に行い、禍根を残さなかった。
ケヴィン・ボッシュ(1171年6月3日生まれ)
第二騎士団第一連隊第一大隊長。190cmを超える長身でがっしりとした体格の持ち主。角張った顎と太い眉の強面。グレーフェンベルク子爵家の従士でもあり、叩き上げの隊長。1200年5月の兵学部の実技演習でマティアスの担当となり、評価に迷う。
デニス・ヴォルフ(1160年3月1日生まれ)
狼人族の族長。身長はそれほど高くないが引き締まった身体で、一目で凄腕の戦士と分かる。身体強化が使え、戦士としても一流だが、族長として十年以上ヴォルフ族を率いており、統率力もある。
ロニーが移住を勧めるが、即断できなかった。移住後、マティアスの策であったと思い、忠誠を誓う。
エレン・ヴォルフ(1186年8月11日生まれ)
デニスの息子。精悍な顔つきと引き締まった身体。腕に自信があり、騎士団を恐れる父をもどかしく思っているが、父のことは尊敬している。ロニーが移住を勧めた際、騎士団を恐れていないと言い放つ。騎士団と揉めた際にロニーが身を挺して守ってくれたことから信用するようになった。
ムスタファ・フリッシュムート(1155年4月3日生まれ)
ラウシェンバッハ子爵領の代官。ラウシェンバッハ家に長く仕える騎士階級の文官で、リヒャルトの従兄に当たる。細面で常に真面目な表情を浮かべていることが多い。真面目な性格と堅実な手腕で、リヒャルトの信頼が篤い。
ロマーヌス・マインホフ(1162年9月13日生まれ)
シュヴェーレンベルク王立学院研究科教授で戦史の研究家。高等部兵学部の講師として、マティアスらに戦史と戦術を教える。
灰色の髪に落ち窪んだ目、不健康そうな皮膚で実年齢より老けて見える。
戦史の研究をしているが、戦術に詳しいわけではない。学院側が戦術の必要性を理解しておらず、過去の事例を紹介するという方針であったことから選ばれた。そのため、ロマーヌス自身もやる気はあまりなかったが、王国軍改革計画書と教本を見て気が変わった。
ユリウス・フェルゲンハウアー(1184年10月10日生まれ)
概要:
騎士階級の生まれで、王立学院高等部兵学部ではマティアスたちと同期。席次は第五位で卒業し、第二騎士団に入団。東方武術の鳳天流の使い手。
ピエール・フォン・ホルクハイマー(1145年1月12日生まれ)
王国騎士団第一騎士副団長。ホルクハイマー子爵。白髪痩身の紳士で鎧を付けていないと騎士というより執事に見える。フォルクマーク十世の即位時に近衛騎士団長に就任。
イリスが第一騎士団に入団した際の直属の上司。
王家に対する忠義は篤いが、能力的には平凡。中立的な立場でマルクトホーフェン侯爵派とも距離を取っている。
【叡智の守護者関係者】
マグダ(2000歳くらい)
・身長:160cm
・顔の特徴:目鼻立ちがはっきりとしたオリエンタル系の美女(老婆時は鷲鼻が特徴的)
・体の特徴:肉感的(老婆時は背筋は伸びているものの、やせぎす)
・目の色:黒色(老婆時は灰色)
・髪の色:黒色(老婆時は白髪)
・髪型:腰まであるロング(老婆時はバサバサに乱れている)
・肌の色:白人系
・服:ゆったりとした黒いローブ。
概要:
神である管理者を補佐する助言者。2千年以上生きているが、エルフではない。見た目は人間の30歳くらいの美女。但し、人前に出る時は、老婆の姿を採ることが多い。しゃべり方は時代がかっている。
管理者候補を育てることを使命とし、叡智の守護者を設立。
高位の魔導師であり、叡智の守護者の実質的なトップだが、他の魔導師の塔にも影響力を持つ。
各国を歴訪し、助言を与えることから、「大賢者」と呼ばれることが多い。この助言は行きすぎた行為を諌めるもので、従わない場合、災厄が訪れると言われている。実際には代行者と呼ばれる四聖獣が行き過ぎた行為を正すため、粛清を行っているが、それを行わせないための彼女なりの考えによる。
第十階位の魔導まで使える世界最強の魔導師だが、影響力が大きすぎることと、助言者は管理者の命令により力の行使を制限されていることから、直接的な力だけでなく、人心の操作などの間接的なことにも力を使うことはほとんどない。
マティアスと出会い、その考え方を知ってから目を掛けるようになる。管理者候補の側近として育てるため、ヴァイスヴァッヘに引き取った。
マティアスの能力を高く評価し、十代の少年に対しては異常なほどの権限を与えている。特にヴァイスヴァッヘの支援を受けられること、シャッテンヴァッヘへの指揮権などはこれまでの管理者候補にすら与えなかったもの。
なお、マグダはマティアスが転生者とは気づいておらず、異能者だと思い込んでいる。
マルティン・ネッツァー(1135年5月12日生まれ)
ヴァイスヴァッヘの上級魔導師。普人族であるが、60歳を超えても魔導による加齢抑制によって40歳くらいにしか見えず、話し方も若い。
王都シュヴェーレンブルクのヴァイスヴァッヘの責任者として活動。治癒師としてだけでなく、情報収集にも当たる。マグダの代理人としてシュヴェーレンブルクのヴァイスヴァッヘやシャッテンヴァッヘの指揮を執ることもある。ヴァイスヴァッヘの窓口として、王国政府に対しても影響力を持つ。
マティアスの治療を依頼された際、彼の言動に知性を感じ、マグダに報告した。
温厚な性格だが、魔導師らしく知的探求心が旺盛。
カルラ・シュヴァルツ(700歳くらい)
闇森人の影。本来の姿は二十代前半で褐色の肌に切れ長の濃いグレーの瞳。普段はマティアス付きのメイドとして普人族の女性に化けて護衛を務める。魔導師でもあるが、身体能力の強化に使うことが多い。
シドニウス・フェルケ(1200歳くらい)
ヴァイスヴァッヘの大導師。マグダより塔の管理を任されている森人の賢者。第七階位の魔導を使え、マグダを除けば最強の魔導師。
普段は普人の老人に偽装しているが、本来は森人の若者の姿。
ヘルガ・エヴァルト(1142年10月30日生まれ)
ヴァイスヴァッヘの上級魔導師。森人(エルフェ)の若手魔導師。情報分析室の発足当時からのメンバーで主任分析員。
マティアスの情報分析に興味を持ち、直接指導を受ける。ヴァイスヴァッヘで一番の情報分析能力を持ち、マグダから絶大な信頼を受けている。
ヨルク(1133年4月14日生まれ)
小人族(ツヴェルク)の魔導具職人。魔導具工房の親方であり、金属加工と魔法陣の作成を得意としている。小人族の工房主としてはまだ若いが、マグダが才能を評価し、ヴァイスヴァッヘ直属の工房を任せた。
マティアスが考案した魔導式スターリングエンジンを製造したが、マグダにより廃棄を命じられた。
ゾフィア・ゲール(902年6月2日生まれ)
ヴァイスヴァッヘの導師。森人の女性魔導師。情報分析室の室長。
導師の中の序列は比較的低いが、若手であり新しい知識を吸収しやすいことを理由に情報分析室を任される。
エルゼ・クロイツァー(700歳くらい)
闇の監視者の八の組の組頭。1194年3月の情報分析室発足から情報収集を担当。その後、ゾルダート帝国やレヒト法国への謀略も担当するようになる。
【商人組合関係】
ライナルト・モーリス(1172年12月12日生まれ)
ヴィントムントの大商人。背は低く、行商人のような屈託のない笑顔と人当たりの良さがにじみ出る。
ネッツァーがマティアスと引き合わせたことから大儲けし、マティアスとヴァイスヴァッヘに協力する。
ロニー・トルンク(1170年2月13日生まれ)←New
モーリス商会レヒト法国総支配人。人当たりのいい笑顔が印象的な商人。僅か二十歳そこそこで財を成したモーリスの才能に憧れ、商会に入った。モーリスの情報を駆使する商売を覚え、僅か五年で新たに進出したレヒト法国の総支配人に抜擢される。見た目と異なり冷徹な判断ができるが、モーリスに心酔しており、彼の言うことには無条件に従う。
レヒト法国で獣人を購入するため、ダムマイヤー奴隷商会を買収し、聖都レヒトシュタットの高級娼館マリアンネの館を買収した。
レヒト法国内での工作を担当する際、モーリスからマティアスの話を聞き、獣人たちを救うために奔走する。その際、モーリスからマティアスに感謝することを伝えるよう言われたため、獣人たちはマティアスを信仰するようになる。
【グランツフート共和国関係者】
ゲルハルト・ケンプフェルト(1154年4月20日生まれ)
グランツフート共和国軍の将軍。東方系武術である四元流の達人。
1196年のフェアラート会戦では三万の軍を率い、連合軍の撤退を成功させる。豪放磊落でありながらも沈着冷静で指揮能力が高く、兵士たちからの信頼も篤い。
【ゾルダート帝国関係者】
コルネリウス二世(1157年2月3日生まれ)
ゾルダート帝国第十一代皇帝。1192年に若干35歳で即位。リヒトロット皇国との戦いで功績を上げた軍事の天才。豪放磊落な性格だが、狡猾さも持つ。軍の支持を得ており、ここ数十年では最高の名君と言われている。
即位後、四ヶ国連合による反攻作戦を各個撃破で粉砕したが、マティアスの仕掛けた謀略によって停滞を余儀なくされる。
ローデリヒ・マウラー(1143年3月10日生まれ)
ゾルダート帝国軍の将。1196年のフェアラート会戦では軍団長(元帥)。
1196年のフェアラート会戦では第三軍団を率いてグライフトゥルム・グランツフート連合軍に大打撃を与える。
沈着冷静な性格と高い作戦指揮能力により、皇帝コルネリウス二世の信頼が篤い名将。
ゴットフリート・クルーガー(1175年7月23日生まれ)
ゾルダート帝国の第一皇子。第三軍団の上級騎士(大隊長)。
妾腹の生まれであったため、皇位継承権は弟のマクシミリアン皇子に劣るが、勇猛果敢な性格で軍に支持者を持つ。
1194年12月にヴォルフガング士官学校卒業後、第三軍団に配属され、マウラー元帥の下で1196年9月のフェアラート会戦に参加し武勲を挙げた。
勲功第一位となり、連隊長である騎士長に昇進した。
指揮能力、戦術能力ともに高く、個人的な戦闘力もある。また、気取らいない性格であるため兵士に人気がある。
1201年3月に第一軍団第二師団長に就任。しかし、弟であるマクシミリアンが五ヶ月後に師団長に昇進したことから焦りを覚えている。
マクシミリアン・クルーガー(1180年8月3日生まれ)
コルネリウス二世の次男。皇妃の長男であり皇位継承権は第一位。14歳でヴォルフガング士官学校を首席で入学し、最後まで首席を譲らず卒業した秀才。卒業後は第三軍団の上級騎士(大隊長)となる。
1201年8月にゲリラ部隊の封じ込めに成功したことから、その功績により第一軍団第三師団長に僅か二十歳で就任した。
沈着冷静で政戦のいずれにも才能を示すだけでなく、老練な政治家たちと渡り合えるほどの老獪さを持つ。
ザムエル・テーリヒェン(1153年5月30日生まれ)
ゾルダート帝国軍の将。
リヒトロット皇国との戦いではコルネリウス二世の下、多くの戦果を挙げる。1196年のフェアラート会戦では将軍(師団長)として参戦。グライフトゥルム王国軍とグランツフート共和国軍に大打撃を与える。
シルヴィオ・バルツァー(1154年4月7日生まれ)
1190年代のゾルダート帝国の軍務尚書。細身で三白眼、モノクルを掛けている。コルネリウスの即位時に軍務尚書となる。怜悧な軍官僚でコルネリウスが皇太子時代に参謀として活躍。大胆な作戦を立案するだけでなく、補給などの実務面でも有能な実務家。皇帝に対し絶対的な忠誠を誓っているが、人間関係を軽視する傾向にあり、軍の中に軋轢をもたらすことが多い。
ハンス・ヨアヒム・フェーゲライン(1150年1月19日生まれ)
1190年代のゾルダート帝国の内務尚書。見た目は印象が残らないほど地味。コルネリウスの即位前から内務尚書として内政を取り仕切る。
実務能力が高く、産業振興から治安維持まで幅広い分野で実績を残す。帝国に対して忠誠心は持っているが、軍事を優先するコルネリウス個人はあまり評価しておらず、是々非々で対応する。
ルーツィア・ゲルリッツ(1157年3月12日生まれ)
帝国軍第二軍団長。元帥。190cmを超える大柄で赤髪、好戦的な笑みを浮かべる猛将。コルネリウスの士官学校時代の同期。コルネリウスの配下として活躍。見た目通りの猛将で野戦での攻撃力は帝国軍一。守備も苦手ではないが、単純な性格で搦め手に弱い。
コルネリウスは自らの手元に置いておきたかったが、クルシュマンらが引き離し工作を行い、第二軍団長となった。
第二軍団長としてエーデルシュタインに駐屯していたが、マティアスの謀略に手を焼く。
シュヴァーン河渡河作戦を実行しようとしたが、マティアスの妨害により作戦に失敗。帰国時にリヒトロット皇国の都市を攻略し、その失敗を帳消しにした。
エメリッヒ・クルシュマン(1142年10月7日生まれ)
1197~1198年頃のゾルダート帝国の枢密院議長。ゾルダート帝国の政治家には珍しく、でっぷりとした体形で眠そうな目をしている。
前皇帝時代の財務尚書であり、コルネリウス即位により枢密院議員となった。二期目に入った1197年1月、議長に就任。
野心家であり、コルネリウスとは別の皇子を皇帝にしようと画策したが失敗。財務府を完全に掌握しているため、コルネリウスも完全に排除できなかった。未だに隠然たる力を持ち、枢密院議員の任期を二期十年から無期限にし、黒幕として帝国を牛耳ろうと画策している。
ヴァルデマール・シュテヒェルト(1159年4月10日生まれ)←New
内務尚書。四十代前半という若さで1201年1月にコルネリウス二世によって抜擢された。金色の長髪を後ろで括った派手な見た目。年齢より若く見られることが多く、舞踏会が良く似合う印象。
見た目と異なり堅実で、王国の情報操作に気づき、1203年1月に内務府に防諜対策の部門を設置し対処。政治的には皇帝に近く、帝国の膨張政策を支持する。
【レヒト法国関係者】
アンドレアス八世(1163年3月6日生まれ)
レヒト法国法王。威厳を感じさせながらも柔和で、調整型の法王。
西方教会出身で1199年に大主教から枢機卿になる。腐敗した教団を改革するため、活動するが、様々妨害を受け失敗する。1201年6月の政変で消極的な選択として38歳という若さで法王となった。
ヘルミン・シェーラー(1146年7月6日生まれ)←New
南方教会総主教。やせ型で細い目、常に張り付けたような笑みを浮かべている。
最も若いアンドレアスを傀儡にするつもりで法王に推薦した。基本的には穏健派でグライフトゥルム王国やグランツフート共和国への侵攻作戦に積極的ではないが、鳳凰騎士団の突き上げを受けたこと、聖竜騎士団や神狼騎士団の暴走を防ぐため、王国への侵攻作戦に賛同し、鳳凰騎士団を派遣する。
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西方教会総主教。やせ形で柔らかい笑みを常に浮かべており、聖職者らしい雰囲気を持つ。アンドレアスの指導司祭であったことから将来の後継者として、1199年に枢機卿に推薦した。アンドレアスを唯一積極的に推薦した人物。
トゥテラリィ教の聖職者では珍しく清廉で、困窮する国民を救済しようと努力する。そのため、対外戦争には反対で東方教会と北方教会と対立する。
マルク・ニヒェルマン(1155年11月2日生まれ)←New
北方教会の総主教。中肉中背で武人のような鋭い眼光。神狼騎士団団長から総主教になった異例の経歴を持つ。アンドレアスの法王就任と同時期に総主教になったが、自分より8歳も若い法王にライバル心を抱く。
主戦派であり、自身が何度も失敗したグライフトゥルム王国侵攻に執念を燃やす。マルシャルクの才能を見抜き抜擢する。
大規模な侵攻作戦を実施しようとしたが、アンドレアスの妨害にあい予算や物資が不足し、小規模な作戦しかできなかった。
ヨハネス・エイルホフ(1148年1月22日生まれ)←New
東方教会の総主教。大柄で分厚い胸板の偉丈夫。騎士団出身ではなく、聖職者として出世した。見た目通り好戦的で、聖竜騎士団の支持を受ける。
赤竜騎士団の暴走により前任者が辞任したことから総主教となった。
主戦派だが、本命はグランツフート共和国であり、ニヒェルマンとは仲が悪い。シェーラーがグライフトゥルム王国への侵攻作戦を提案した際、鳳凰騎士団が出陣することに賛成する。
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