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本編第五章:宴会編
第八十五話「王都での式典」
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五月二日の朝。
昨夜行われた美食と美酒の文化に関する振興策についての話し合いは無事に終わり、今日は魔物暴走が無事終息したことを祝う式典に出席する。
式典に参加するのだが、探索者代表ということで、それらしい格好をするよう言われた。
ただ普段使っている安物ではあまりにみすぼらしいと担当の官僚に暗に言われ、俺の持っている装備の中で比較的シンプルな形状の鎧である“鍛冶神の鎧”を身に着けることになった。
鍛冶神の鎧はアダマンタイトでできているが、武骨なフルプレートアーマーなので遠目に見る限りでは派手さはない。但し、少しでも目利きであれば、アダマンタイトという魔法金属を用いていることが分かるため、ヘルメットは外し、更に鎧の上から黒い革のマントを羽織っている。
式典の会場は王都ブルートンの郊外にある草原だ。普段は王国軍の訓練や魔導飛空船の発着場として使われている場所であり、魔王軍の主力一万五千が昨夜野営していたところでもある。
草原には王国軍の指揮官が用いる高さ三メートルほどの演壇が設置されていた。更に国王の演説で用いられる拡声の魔導具も用意されている。
拡声の魔導具は流れ人が開発した物らしく、マイクと大型スピーカーで構成されており、見た目も日本で見たものと大差ない。
午前十時から式典が始まるが、俺たちは九時前から現場にスタンバイしている。ちなみに参加するのは俺だけだが、ウィズもついてきている。
「参加しないんじゃなかったのか?」と聞くと、
「王宮におっても暇じゃしの。魔王たちと別れを惜しむ時間は少しでもあった方がよいと思ったのじゃ」
魔王アンブロシウスと魔王軍は明朝、魔王国のあるストラス山脈に向けて出発する。
昨夜、ウィズは「もう少し残ってもよかろう。一緒に行きたいところがいろいろあるのじゃ」と言ったが、魔王は申し訳なさそうな顔で断ってきた。
「申し出はありがたいが、余もあまり長く本国を空けるわけにはいかぬのだ。また、いずれこの地を訪れることもある。その際には是非ともお供させていただきたい」
確かに魔王たちが出発から八日ほど経っており、ここからの帰還の行程を考えれば、最低五日は掛かるから、半月近く本国を空けることになる。
しかし、当初の予定ではハイランドを屈服させ、トーレス王国にも足を延ばすつもりだったはずだから、一ヶ月以上掛けることは想定内のはずだ。
豪炎の災厄竜であるウィズと一緒にいると心が休まらないから、早く落ち着ける場所に戻りたいのではないかと考えている。
魔王や四天王はともかく、魔王軍の中にはウィズの気配を感じて怯えている者もおり、これ以上引き留めるのはかわいそうなので何も言わずに頷いている。
午前十時になり、アヴァディーンが現れた。
集まった民衆たちから「国王陛下、万歳!」という大きな声が上がる。誰かに言われて声を上げた感じはなく、自然に出てきた声のようで、アヴァディーンが国民に慕われていることがよく分かる。
歓声が収まると、演説が始まった。
「トーレス王国の民たちよ! 我が国に迫った危機は去った!」
そこで一旦言葉を切り、静かに話し始める。
「グリーフ迷宮でスタンピードが発生したと聞き、絶望のあまり目の前が真っ暗になった。皆も存じておる通り、五百年前、シーメトリー迷宮でスタンピードが起きた際、三万もの人々が命を落とし、復興に五十年の歳月が掛かっている。此度はそれを遥かに上回る規模の被害が想定された。否、王国の存続すら危ぶまれる状況だったのだ……」
隣にいる白騎士団の団長グラディス・レイボールド子爵が小声で、シーメトリーは王国西部の半島の中央に位置する都市だと教えてくれた。
「しかし、我らは生き残った。これは我が国の兵士、シーカーたちが我が身を顧みず奮闘したことが大きい。彼らの奮闘なくして、魔物の流出を止めることはできなかったであろう。ここにはグリーフ迷宮のシーカー代表として、最上級のゴウ・エドガーが来ておる」
そこで俺の方に視線を向ける。
こんなことは想定していなかったので、驚きながらも真面目な表情を作って小さく頭を下げた。
「エドガーらシーカーと我が国の精鋭である白騎士団が力を合わせ、スタンピードに立ち向かったことを余は誇りに思う!」
そこで民衆から拍手が沸いた。
拍手が収まったところでアヴァディーンは表情を厳しいものに変える。
「しかし、彼らの奮闘だけでは防ぎ得なかったであろう。レベル五百を超える巨人、魔術が全く効かない魔法金属のゴーレム、そして最終的にはレベル七百を超える悪魔たちが現れたのだから……」
レベル七百という言葉に民衆たちから溜息が漏れる。一般の人々にとってレベル七百というのは悪夢以外の何物でない。
「その危機にアンブロシウス陛下と魔王軍の方々が我が国に手を差し伸べてくださった! もし、アンブロシウス陛下がご決断下さらねば、今ここに余の姿はなかったであろう。余は陛下に最大級の感謝を伝えたいと思う。皆も余と同じく、アンブロシウス陛下と魔王軍の方々に感謝を捧げてほしい。アンブロシウス陛下、魔王軍の方々、此度のこと、誠に感謝いたします」
そう言うと魔王に向かって大きく頭を下げる。
民衆たちも王に倣って大きく頭を下げ、口々に感謝の言葉を発した。
アヴァディーンは頭を上げ、民衆たちが鎮まるのを静かに待った。
一、二分で静けさが戻り、再び国王の演説が始まった。
「アンブロシウス陛下は我が国に手を差し伸べてくださっただけでない。迷宮で得た膨大な財貨を我が国に投資してくださることになったのだ!」
投資という言葉に民衆は首を傾げる。
「その額は我が国の年間予算を遥かに上回る。それだけの財貨を惜しげもなく、我が国に投資してくださるのだ。その投資先は美食と美酒の文化を広めること……」
そこで民たちはざわつき始める。
アヴァディーンはそれに構わず、話を進めていった。
「……陛下は我が国の食と酒にいたく感動された。そして、自国にこの文化を取り入れたいとおっしゃられたのだ。まだ計画の策定は終わっていないが、我が王都近くに新たな都市が作られるだろう。そこには美食と美酒に関するあらゆる知識を集約し、学ぶことができる。その事業に皆の力を貸してほしい」
そこで頭をもう一度下げた。
民たちは混乱しながらも王が頭を下げたことに慌てるが、すぐに魔王の方を見て、「アンブロシウス陛下、万歳!」と叫び始めた。
何が行われるかははっきりしないが、少なくとも魔王が膨大な資金を自分たちの国に投入してくれるということに感謝の気持ちを表したのだ。
「我が国の恩人である陛下のために、魔王国に赴く料理人を募集したい。アンブロシウス陛下はこのように誠実にして豪放な方である。待遇については今後協議することになるが、陛下は相応の待遇を用意するとおっしゃられた。希望者は王宮での説明会に是非とも参加してほしい。では、今一度、アンブロシウス陛下と魔王軍の方々に感謝を伝えよう。アンブロシウス陛下、万歳! 魔王軍、万歳!」
アヴァディーンの言葉に民衆も同じように声を上げる。
最後の方は求人募集になった気がするが、国王の演説は盛り上がった状態で終了した。
その後、白騎士団長であるレイボールド子爵が祝辞を述べたが、俺も魔王も演壇に上がることなく、式典は一時間ほどで無事終了した。
式典が終わると、草原に屋台が設置されていく。
正午くらいから夕方にかけて、魔王軍に感謝する祭りが行われるためだ。
ちなみにウィズが式典に出席したのはこれがあることが大きい。
俺は装備を外すために一度王宮に戻るが、ウィズは魔王たちと一緒にいるようだ。
魔王軍の兵士たちが若干気の毒だが、そろそろ慣れる頃だし、あまり気にしていない。
■■■
退屈な式典が終わった。
これで帰りたいところだが、この後にも行事が残っており、出発は明日の朝だ。
行事と言っても俺たち魔王軍に感謝する祭りのようなもので、気を張るものではないらしい。
「オーウェンはいるか」と四天王筆頭で俺の直属の上司、ルートヴィヒ様の声が聞こえてきた。
「ここにおります」と答えると、
「陛下の護衛を頼む」と命じられた。
陛下の親衛隊でもあるので「承りました」と伝えるが、普段ならルートヴィヒ様が直々に護衛の任に着くはずだ。
疑問が顔に出ていたのだろう。
「兵たちがトーレスの民を傷つけぬように見張らねばならぬからな」
少し焦った感じがしたが、おっしゃっていることはもっともなことなので特に疑問は感じなかった。
トーレス王国が用意した天幕の中に陛下がおられると聞き、目的地に向かった。天幕の中に入ると、そこには陛下の他にウルスラ様とベリエス様がいらっしゃった。それだけなら普通のことだが、更にドレイク殿までいたのだ。
ドレイク殿が“豪炎の災厄竜”であることは魔王軍の誰もが知っている事実だが、陛下とベリエス様以外、全員が苦手としていることもまた、周知の事実だ。
俺自身、ハイランドの王都であの殺気を浴びてから、気配を感じるだけで鳥肌が立ってくることを抑えられない。
兵たちがトーレス国民とトラブルを起こさないようにルートヴィヒ様が見張るというのは事実だろう。しかし、それだけなら部下に命じれば済む話だ。
仮に俺に命じてくれてもファルコ様配下の合成獣や有翼蛇以外なら、何とかできる。いや、キメラやケツァルコアトルであってもこの状況なら“ドレイク殿に叱られたいのか”と言えば分かってくれるはずだ。
つまりルートヴィヒ様は逃げ……戦略的撤退を選ばれたのだ。
押し付けられた形になったが、正式な命令であり、その場から離れるわけにはいかない。俺の他にも二人の妖魔族戦士が現れた。二人とも俺と同じように表情を消しているが、驚いていることだけは間違いない。
僅かに距離を取り、陛下たちの後ろに立つ。
「それにしてもつくづく残念じゃ。魔王もそうじゃが、ウルスラがおらぬようになるのは寂しくなるの」
「そう言っていただけるのは光栄ですわ」とウルスラ様は平然な顔で答えておられる。
自然な笑みを浮かべておられることに尊敬の念が強くなる。詳しくは知らないが、精神系の魔術である暗黒魔術の使い手だけあって、恐怖に対する耐性も相当高いのだろう。
「我も一度魔王国に行ってみたいものじゃ。あの山脈のどの辺りになるのかの。大体の位置が分かれば転移魔術で行くこともできるのじゃが」
転移魔術は一度行ったことがある場所にしか行けないが、災厄竜は先代の魔王様の時代に我ら魔人族を探してストラス山脈に来たことがある。だから転移自体はできるのだろう。
「ちょうど真ん中辺りになる。来ていただけるなら歓迎するが、できれば事前に連絡をいただきたい」
陛下のおっしゃることはもっともなことだ。いきなり災厄竜が現れたら、今回出征しなかった弱い連中や子供たちがショックで命を落とすかもしれない。
「事前にと言ってもの。我は一度で飛べるが、そなたらは何度かに分けねばならぬのだ。ベリエスよ、そなたなら何度で飛べるのじゃ?」
「そうですな。某は今回のことでレベルを上げたゆえ、四回ほど、丸一日あれば到着できるでしょうな」
「行って戻るのに二日も掛かるのか。時間が掛かることじゃの」
ベリエス様の転移は陛下とウルスラ様に次ぐはずだ。それでも遅いというのだから、やはり災厄竜は我らの想像を絶する存在だ。
「まあよい。我は魔導飛空船も気に入っておるゆえ、のんびりと船旅を楽しんでいくこともできるじゃろうしの」
そんな話をしているところにエドガー殿が現れた。先ほどまでの恐ろしく強力な鎧は外しており、普段着に安物の剣といういつもの姿に戻っている。
「遅くなり申し訳ございません。ウィズが何か迷惑を掛けませんでしたか?」
「我が何かするはずがなかろう」とドレイク殿が口を尖らせると、陛下が笑いながら、「おっしゃる通りですぞ」とおっしゃられた。
“いること自体が迷惑なんだ”と俺の心が強く訴えるが、理性が外に出すことを押しとどめた。
「ここに来る途中に見たのですが、ビールやワインの樽が何十個も用意されていましたよ。あれだけあれば魔王軍の皆さんも充分に飲めそうです」
「料理はどうなのじゃ? 酒だけではつまらぬぞ」とドレイク殿が聞いた。
「こっちは聞いた話なんだが、ブルートンの市民に料理を提供するよう要請があったみたいだ。だから、家庭料理が並ぶことになると思う」
「家庭料理。うむ、それも興味がある」と陛下が頷いておられる。どうして興味があるのかよく分からないが、少なくとも食べる物は充分にあるようだ。
その後、トーレス王国の高官が天幕にやってきた。
「準備が整いましたので、会場の方にお越しください」
天幕の中にいて気づかなかったが、既にたくさんの天幕が設置され、多くの人々がバタバタと歩き回っている。
軍の方にも連絡がいっており、ルートヴィヒ様とファルコ様率いる軍勢が整列していた。
「祭りなんですから、もう少し楽にしてもいいんですが」
「そうじゃぞ。ゴウの言う通り、楽にせねば楽しむこともできぬ」
二人の意見に「羽目を外し過ぎると厄介なのでな」と陛下が答えられた。
ドレイク殿を恐れて羽目を外すことはありえないと思うが、それを言う雰囲気でもないし、そもそも陛下も四天王方も嫌というほど理解されているはずだ。
兵たちがそれぞれ自分が目立たないように集まった結果だと思っている。
トーレス国王の挨拶で祭りは始まった。
会場の様々なところから賑やかな音楽が聞こえてくる。
トーレス国王も合流しており、「宮廷の楽士もおりますが、民たちが自発的に皆さんを歓迎しようと音楽を奏でておるのですよ」とにこやかに話していた。
「エドガー殿は何から飲まれますかな」とトーレス国王が聞く。本来ならば主賓であるアンブロシウス陛下から聞くのが筋だが、文句を言う者は誰もいなかった。
「そうですね。こんな爽やかな日は軽めのビールからスタートしてはどうでしょうか」
「うむ。我もそれを所望するぞ」
相変わらずマイペースな二人だ。
トーレス国王は侍従らしき人物に小声で指示を出す。すぐに一人が速足でその場を離れていく。どのビールがエドガー殿の好みに合うのかと確認しに行ったのだろう。
「では、ビールの樽のところに向かいましょうか」
会場の中を歩いていく。既に兵たちも分散しており、陛下の姿を見たものが敬礼して出迎える。更に王国の民たちも笑顔で「アンブロシウス陛下、万歳!」と熱烈に歓迎していた。
ビールの樽が置いてある天幕で立ち止まった。既にジョッキが準備され、すぐに手渡されていく。
俺たち護衛にも渡そうとしたので、「護衛ゆえ、お断りいたす」と言って断ろうとしたが、
「そなたも飲めばよかろう。護衛なら我がやってやるからの」
ドレイク殿直々に言われてしまい、どうすればよいか戸惑ってしまう。
「オーウェンよ。歓迎の祭りなのだ。遠慮するな」と陛下が真剣な表情でおっしゃられた。その目には“受け取れ”とはっきりと書いてある。
「はっ! では、某もいただきます!」
そう言ってジョッキを受け取った。
陛下の乾杯の音頭でジョッキに口を付けたが、当然味など分かるはずもない。
「どうじゃ、オーウェンとやら。美味いビールであろう。ハイランドのものもよかったが、我はトーレスの方が好みじゃ」
名前を憶えられたことに衝撃を受け、「た、確かに美味かと」と答えることしかできなかった。
その後、いろいろなところで酒を飲み、料理を食べていく。
家庭料理らしく、煮物やオーブンで焼いたものが多い。ハイランドのホテルのガーデンパーティほど洗練された料理はないが、それでも充分に美味かった。
味が分かるようになってきたのはこの状況に慣れてきたためだ。そのお陰で酒と料理を楽しむ余裕がある。酒に酔って気が大きくなっているという可能性は否定できないが。
夕方まで祭りというか大宴会は続いた。
心配していた我が軍の兵たちだが、トラブルを起こすような不届き者は一人もいなかった。ルートヴィヒ様とファルコ様が何度も会場から姿を消していたので、秘かに処理されていたのかもしれない。
「魔王軍もよい奴ばかりじゃの」とドレイク殿が唐突に言ってきた。
「あ、ありがとうございます」
「こんなことならやめておけばよかったの。千年前の……」と言いかけて、エドガー殿の“ゴホン”という咳払いで言葉を止める。
恐らく千年前の魔人族殲滅のことを言おうとしたのだろう。
「まあ、これで我らは飲み友達じゃ。オーウェンよ、また一緒に飲もうぞ」
そう言って俺の肩をポンと叩く。
その後、ドレイク殿はエドガー殿と共に我らから離れていった。
ドレイク殿たちを見送りながら、先ほどまで感じていた恐ろしさが消えていることに気づく。
それでもようやく解放されたと安堵の息を吐き出そうとした時、ウルスラ様から声を掛けられた。
「これでそなたも妾たちの仲間よ」とおっしゃり、妖艶な笑みを浮かべておられる。
「何のことでしょうか?」と聞くと、ベリエス様が代わりに答えられた。
「ドレイク殿の担当になったということだ」
その言葉で嫌な汗が額から噴き出す。
「た、担当でございますか」と念のため聞いてみると、ベリエス様はニコリと微笑まれ、
「某やウルスラ殿がいない時にドレイク殿の相手をするということだ。何、一緒に酒を飲むだけでよい簡単な仕事だ。美味いものも食えるし、酒もエドガー殿が選んだ絶品のものを味わえるのだ。よかったではないか」
助けを求めて周囲を見回すが、俺のことを温かい目で見ている者しかいなかった。
昨夜行われた美食と美酒の文化に関する振興策についての話し合いは無事に終わり、今日は魔物暴走が無事終息したことを祝う式典に出席する。
式典に参加するのだが、探索者代表ということで、それらしい格好をするよう言われた。
ただ普段使っている安物ではあまりにみすぼらしいと担当の官僚に暗に言われ、俺の持っている装備の中で比較的シンプルな形状の鎧である“鍛冶神の鎧”を身に着けることになった。
鍛冶神の鎧はアダマンタイトでできているが、武骨なフルプレートアーマーなので遠目に見る限りでは派手さはない。但し、少しでも目利きであれば、アダマンタイトという魔法金属を用いていることが分かるため、ヘルメットは外し、更に鎧の上から黒い革のマントを羽織っている。
式典の会場は王都ブルートンの郊外にある草原だ。普段は王国軍の訓練や魔導飛空船の発着場として使われている場所であり、魔王軍の主力一万五千が昨夜野営していたところでもある。
草原には王国軍の指揮官が用いる高さ三メートルほどの演壇が設置されていた。更に国王の演説で用いられる拡声の魔導具も用意されている。
拡声の魔導具は流れ人が開発した物らしく、マイクと大型スピーカーで構成されており、見た目も日本で見たものと大差ない。
午前十時から式典が始まるが、俺たちは九時前から現場にスタンバイしている。ちなみに参加するのは俺だけだが、ウィズもついてきている。
「参加しないんじゃなかったのか?」と聞くと、
「王宮におっても暇じゃしの。魔王たちと別れを惜しむ時間は少しでもあった方がよいと思ったのじゃ」
魔王アンブロシウスと魔王軍は明朝、魔王国のあるストラス山脈に向けて出発する。
昨夜、ウィズは「もう少し残ってもよかろう。一緒に行きたいところがいろいろあるのじゃ」と言ったが、魔王は申し訳なさそうな顔で断ってきた。
「申し出はありがたいが、余もあまり長く本国を空けるわけにはいかぬのだ。また、いずれこの地を訪れることもある。その際には是非ともお供させていただきたい」
確かに魔王たちが出発から八日ほど経っており、ここからの帰還の行程を考えれば、最低五日は掛かるから、半月近く本国を空けることになる。
しかし、当初の予定ではハイランドを屈服させ、トーレス王国にも足を延ばすつもりだったはずだから、一ヶ月以上掛けることは想定内のはずだ。
豪炎の災厄竜であるウィズと一緒にいると心が休まらないから、早く落ち着ける場所に戻りたいのではないかと考えている。
魔王や四天王はともかく、魔王軍の中にはウィズの気配を感じて怯えている者もおり、これ以上引き留めるのはかわいそうなので何も言わずに頷いている。
午前十時になり、アヴァディーンが現れた。
集まった民衆たちから「国王陛下、万歳!」という大きな声が上がる。誰かに言われて声を上げた感じはなく、自然に出てきた声のようで、アヴァディーンが国民に慕われていることがよく分かる。
歓声が収まると、演説が始まった。
「トーレス王国の民たちよ! 我が国に迫った危機は去った!」
そこで一旦言葉を切り、静かに話し始める。
「グリーフ迷宮でスタンピードが発生したと聞き、絶望のあまり目の前が真っ暗になった。皆も存じておる通り、五百年前、シーメトリー迷宮でスタンピードが起きた際、三万もの人々が命を落とし、復興に五十年の歳月が掛かっている。此度はそれを遥かに上回る規模の被害が想定された。否、王国の存続すら危ぶまれる状況だったのだ……」
隣にいる白騎士団の団長グラディス・レイボールド子爵が小声で、シーメトリーは王国西部の半島の中央に位置する都市だと教えてくれた。
「しかし、我らは生き残った。これは我が国の兵士、シーカーたちが我が身を顧みず奮闘したことが大きい。彼らの奮闘なくして、魔物の流出を止めることはできなかったであろう。ここにはグリーフ迷宮のシーカー代表として、最上級のゴウ・エドガーが来ておる」
そこで俺の方に視線を向ける。
こんなことは想定していなかったので、驚きながらも真面目な表情を作って小さく頭を下げた。
「エドガーらシーカーと我が国の精鋭である白騎士団が力を合わせ、スタンピードに立ち向かったことを余は誇りに思う!」
そこで民衆から拍手が沸いた。
拍手が収まったところでアヴァディーンは表情を厳しいものに変える。
「しかし、彼らの奮闘だけでは防ぎ得なかったであろう。レベル五百を超える巨人、魔術が全く効かない魔法金属のゴーレム、そして最終的にはレベル七百を超える悪魔たちが現れたのだから……」
レベル七百という言葉に民衆たちから溜息が漏れる。一般の人々にとってレベル七百というのは悪夢以外の何物でない。
「その危機にアンブロシウス陛下と魔王軍の方々が我が国に手を差し伸べてくださった! もし、アンブロシウス陛下がご決断下さらねば、今ここに余の姿はなかったであろう。余は陛下に最大級の感謝を伝えたいと思う。皆も余と同じく、アンブロシウス陛下と魔王軍の方々に感謝を捧げてほしい。アンブロシウス陛下、魔王軍の方々、此度のこと、誠に感謝いたします」
そう言うと魔王に向かって大きく頭を下げる。
民衆たちも王に倣って大きく頭を下げ、口々に感謝の言葉を発した。
アヴァディーンは頭を上げ、民衆たちが鎮まるのを静かに待った。
一、二分で静けさが戻り、再び国王の演説が始まった。
「アンブロシウス陛下は我が国に手を差し伸べてくださっただけでない。迷宮で得た膨大な財貨を我が国に投資してくださることになったのだ!」
投資という言葉に民衆は首を傾げる。
「その額は我が国の年間予算を遥かに上回る。それだけの財貨を惜しげもなく、我が国に投資してくださるのだ。その投資先は美食と美酒の文化を広めること……」
そこで民たちはざわつき始める。
アヴァディーンはそれに構わず、話を進めていった。
「……陛下は我が国の食と酒にいたく感動された。そして、自国にこの文化を取り入れたいとおっしゃられたのだ。まだ計画の策定は終わっていないが、我が王都近くに新たな都市が作られるだろう。そこには美食と美酒に関するあらゆる知識を集約し、学ぶことができる。その事業に皆の力を貸してほしい」
そこで頭をもう一度下げた。
民たちは混乱しながらも王が頭を下げたことに慌てるが、すぐに魔王の方を見て、「アンブロシウス陛下、万歳!」と叫び始めた。
何が行われるかははっきりしないが、少なくとも魔王が膨大な資金を自分たちの国に投入してくれるということに感謝の気持ちを表したのだ。
「我が国の恩人である陛下のために、魔王国に赴く料理人を募集したい。アンブロシウス陛下はこのように誠実にして豪放な方である。待遇については今後協議することになるが、陛下は相応の待遇を用意するとおっしゃられた。希望者は王宮での説明会に是非とも参加してほしい。では、今一度、アンブロシウス陛下と魔王軍の方々に感謝を伝えよう。アンブロシウス陛下、万歳! 魔王軍、万歳!」
アヴァディーンの言葉に民衆も同じように声を上げる。
最後の方は求人募集になった気がするが、国王の演説は盛り上がった状態で終了した。
その後、白騎士団長であるレイボールド子爵が祝辞を述べたが、俺も魔王も演壇に上がることなく、式典は一時間ほどで無事終了した。
式典が終わると、草原に屋台が設置されていく。
正午くらいから夕方にかけて、魔王軍に感謝する祭りが行われるためだ。
ちなみにウィズが式典に出席したのはこれがあることが大きい。
俺は装備を外すために一度王宮に戻るが、ウィズは魔王たちと一緒にいるようだ。
魔王軍の兵士たちが若干気の毒だが、そろそろ慣れる頃だし、あまり気にしていない。
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退屈な式典が終わった。
これで帰りたいところだが、この後にも行事が残っており、出発は明日の朝だ。
行事と言っても俺たち魔王軍に感謝する祭りのようなもので、気を張るものではないらしい。
「オーウェンはいるか」と四天王筆頭で俺の直属の上司、ルートヴィヒ様の声が聞こえてきた。
「ここにおります」と答えると、
「陛下の護衛を頼む」と命じられた。
陛下の親衛隊でもあるので「承りました」と伝えるが、普段ならルートヴィヒ様が直々に護衛の任に着くはずだ。
疑問が顔に出ていたのだろう。
「兵たちがトーレスの民を傷つけぬように見張らねばならぬからな」
少し焦った感じがしたが、おっしゃっていることはもっともなことなので特に疑問は感じなかった。
トーレス王国が用意した天幕の中に陛下がおられると聞き、目的地に向かった。天幕の中に入ると、そこには陛下の他にウルスラ様とベリエス様がいらっしゃった。それだけなら普通のことだが、更にドレイク殿までいたのだ。
ドレイク殿が“豪炎の災厄竜”であることは魔王軍の誰もが知っている事実だが、陛下とベリエス様以外、全員が苦手としていることもまた、周知の事実だ。
俺自身、ハイランドの王都であの殺気を浴びてから、気配を感じるだけで鳥肌が立ってくることを抑えられない。
兵たちがトーレス国民とトラブルを起こさないようにルートヴィヒ様が見張るというのは事実だろう。しかし、それだけなら部下に命じれば済む話だ。
仮に俺に命じてくれてもファルコ様配下の合成獣や有翼蛇以外なら、何とかできる。いや、キメラやケツァルコアトルであってもこの状況なら“ドレイク殿に叱られたいのか”と言えば分かってくれるはずだ。
つまりルートヴィヒ様は逃げ……戦略的撤退を選ばれたのだ。
押し付けられた形になったが、正式な命令であり、その場から離れるわけにはいかない。俺の他にも二人の妖魔族戦士が現れた。二人とも俺と同じように表情を消しているが、驚いていることだけは間違いない。
僅かに距離を取り、陛下たちの後ろに立つ。
「それにしてもつくづく残念じゃ。魔王もそうじゃが、ウルスラがおらぬようになるのは寂しくなるの」
「そう言っていただけるのは光栄ですわ」とウルスラ様は平然な顔で答えておられる。
自然な笑みを浮かべておられることに尊敬の念が強くなる。詳しくは知らないが、精神系の魔術である暗黒魔術の使い手だけあって、恐怖に対する耐性も相当高いのだろう。
「我も一度魔王国に行ってみたいものじゃ。あの山脈のどの辺りになるのかの。大体の位置が分かれば転移魔術で行くこともできるのじゃが」
転移魔術は一度行ったことがある場所にしか行けないが、災厄竜は先代の魔王様の時代に我ら魔人族を探してストラス山脈に来たことがある。だから転移自体はできるのだろう。
「ちょうど真ん中辺りになる。来ていただけるなら歓迎するが、できれば事前に連絡をいただきたい」
陛下のおっしゃることはもっともなことだ。いきなり災厄竜が現れたら、今回出征しなかった弱い連中や子供たちがショックで命を落とすかもしれない。
「事前にと言ってもの。我は一度で飛べるが、そなたらは何度かに分けねばならぬのだ。ベリエスよ、そなたなら何度で飛べるのじゃ?」
「そうですな。某は今回のことでレベルを上げたゆえ、四回ほど、丸一日あれば到着できるでしょうな」
「行って戻るのに二日も掛かるのか。時間が掛かることじゃの」
ベリエス様の転移は陛下とウルスラ様に次ぐはずだ。それでも遅いというのだから、やはり災厄竜は我らの想像を絶する存在だ。
「まあよい。我は魔導飛空船も気に入っておるゆえ、のんびりと船旅を楽しんでいくこともできるじゃろうしの」
そんな話をしているところにエドガー殿が現れた。先ほどまでの恐ろしく強力な鎧は外しており、普段着に安物の剣といういつもの姿に戻っている。
「遅くなり申し訳ございません。ウィズが何か迷惑を掛けませんでしたか?」
「我が何かするはずがなかろう」とドレイク殿が口を尖らせると、陛下が笑いながら、「おっしゃる通りですぞ」とおっしゃられた。
“いること自体が迷惑なんだ”と俺の心が強く訴えるが、理性が外に出すことを押しとどめた。
「ここに来る途中に見たのですが、ビールやワインの樽が何十個も用意されていましたよ。あれだけあれば魔王軍の皆さんも充分に飲めそうです」
「料理はどうなのじゃ? 酒だけではつまらぬぞ」とドレイク殿が聞いた。
「こっちは聞いた話なんだが、ブルートンの市民に料理を提供するよう要請があったみたいだ。だから、家庭料理が並ぶことになると思う」
「家庭料理。うむ、それも興味がある」と陛下が頷いておられる。どうして興味があるのかよく分からないが、少なくとも食べる物は充分にあるようだ。
その後、トーレス王国の高官が天幕にやってきた。
「準備が整いましたので、会場の方にお越しください」
天幕の中にいて気づかなかったが、既にたくさんの天幕が設置され、多くの人々がバタバタと歩き回っている。
軍の方にも連絡がいっており、ルートヴィヒ様とファルコ様率いる軍勢が整列していた。
「祭りなんですから、もう少し楽にしてもいいんですが」
「そうじゃぞ。ゴウの言う通り、楽にせねば楽しむこともできぬ」
二人の意見に「羽目を外し過ぎると厄介なのでな」と陛下が答えられた。
ドレイク殿を恐れて羽目を外すことはありえないと思うが、それを言う雰囲気でもないし、そもそも陛下も四天王方も嫌というほど理解されているはずだ。
兵たちがそれぞれ自分が目立たないように集まった結果だと思っている。
トーレス国王の挨拶で祭りは始まった。
会場の様々なところから賑やかな音楽が聞こえてくる。
トーレス国王も合流しており、「宮廷の楽士もおりますが、民たちが自発的に皆さんを歓迎しようと音楽を奏でておるのですよ」とにこやかに話していた。
「エドガー殿は何から飲まれますかな」とトーレス国王が聞く。本来ならば主賓であるアンブロシウス陛下から聞くのが筋だが、文句を言う者は誰もいなかった。
「そうですね。こんな爽やかな日は軽めのビールからスタートしてはどうでしょうか」
「うむ。我もそれを所望するぞ」
相変わらずマイペースな二人だ。
トーレス国王は侍従らしき人物に小声で指示を出す。すぐに一人が速足でその場を離れていく。どのビールがエドガー殿の好みに合うのかと確認しに行ったのだろう。
「では、ビールの樽のところに向かいましょうか」
会場の中を歩いていく。既に兵たちも分散しており、陛下の姿を見たものが敬礼して出迎える。更に王国の民たちも笑顔で「アンブロシウス陛下、万歳!」と熱烈に歓迎していた。
ビールの樽が置いてある天幕で立ち止まった。既にジョッキが準備され、すぐに手渡されていく。
俺たち護衛にも渡そうとしたので、「護衛ゆえ、お断りいたす」と言って断ろうとしたが、
「そなたも飲めばよかろう。護衛なら我がやってやるからの」
ドレイク殿直々に言われてしまい、どうすればよいか戸惑ってしまう。
「オーウェンよ。歓迎の祭りなのだ。遠慮するな」と陛下が真剣な表情でおっしゃられた。その目には“受け取れ”とはっきりと書いてある。
「はっ! では、某もいただきます!」
そう言ってジョッキを受け取った。
陛下の乾杯の音頭でジョッキに口を付けたが、当然味など分かるはずもない。
「どうじゃ、オーウェンとやら。美味いビールであろう。ハイランドのものもよかったが、我はトーレスの方が好みじゃ」
名前を憶えられたことに衝撃を受け、「た、確かに美味かと」と答えることしかできなかった。
その後、いろいろなところで酒を飲み、料理を食べていく。
家庭料理らしく、煮物やオーブンで焼いたものが多い。ハイランドのホテルのガーデンパーティほど洗練された料理はないが、それでも充分に美味かった。
味が分かるようになってきたのはこの状況に慣れてきたためだ。そのお陰で酒と料理を楽しむ余裕がある。酒に酔って気が大きくなっているという可能性は否定できないが。
夕方まで祭りというか大宴会は続いた。
心配していた我が軍の兵たちだが、トラブルを起こすような不届き者は一人もいなかった。ルートヴィヒ様とファルコ様が何度も会場から姿を消していたので、秘かに処理されていたのかもしれない。
「魔王軍もよい奴ばかりじゃの」とドレイク殿が唐突に言ってきた。
「あ、ありがとうございます」
「こんなことならやめておけばよかったの。千年前の……」と言いかけて、エドガー殿の“ゴホン”という咳払いで言葉を止める。
恐らく千年前の魔人族殲滅のことを言おうとしたのだろう。
「まあ、これで我らは飲み友達じゃ。オーウェンよ、また一緒に飲もうぞ」
そう言って俺の肩をポンと叩く。
その後、ドレイク殿はエドガー殿と共に我らから離れていった。
ドレイク殿たちを見送りながら、先ほどまで感じていた恐ろしさが消えていることに気づく。
それでもようやく解放されたと安堵の息を吐き出そうとした時、ウルスラ様から声を掛けられた。
「これでそなたも妾たちの仲間よ」とおっしゃり、妖艶な笑みを浮かべておられる。
「何のことでしょうか?」と聞くと、ベリエス様が代わりに答えられた。
「ドレイク殿の担当になったということだ」
その言葉で嫌な汗が額から噴き出す。
「た、担当でございますか」と念のため聞いてみると、ベリエス様はニコリと微笑まれ、
「某やウルスラ殿がいない時にドレイク殿の相手をするということだ。何、一緒に酒を飲むだけでよい簡単な仕事だ。美味いものも食えるし、酒もエドガー殿が選んだ絶品のものを味わえるのだ。よかったではないか」
助けを求めて周囲を見回すが、俺のことを温かい目で見ている者しかいなかった。
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