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第十一話「魔銃の完成」
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モーゼスさんたちの話し合いは10分ほどで終わり、僕たちのところに戻ってきた。
「とりあえず、体力づくりは継続してもらうよ。それからラングレーさんに時間があれば、近接戦闘、特に格闘術を学んでもらう」
「格闘術ですか?」
無手の武術を学んで何になるのか、理解できない。
そのことが顔に出たのだろう。モーゼスさんが説明してくれた。
「魔銃は弓と同じ遠距離攻撃が主となるが、銃剣という刃物を付けることで、槍に近い使い方ができる。しかし、設計図を見てもらった通り、長さは銃剣を取り付けても1メートルほどと短い。近づかれた場合、銃剣で突くこともできるが、相手と距離を取り、銃弾を撃ち込んだ方が確実だ。そうするためには最も接近して戦う格闘術を覚えた方がいいということなのだ」
よく分からないが、万が一接近されたり、銃弾が切れたりした時のために、接近戦をできるようにしておけということのようだ。
僕が頷くと、モーゼスさんも頷き、説明を続けていく。
「ディアナさんからは前衛との連携を習ってもらう。前衛はローザ君を考えている」
「ローザさんですか!」
「その通り」と言って頷く。
「でも、ローザさんの剣術は素人の僕が見ても初心者のレベルじゃないです。僕が一緒だと足手纏いになるだけじゃないんでしょうか」
「そこはがんばってもらうしかない。君が持つ魔銃のポテンシャルは非常に高い。使いこなせれば、今のレベルでもオーガクラスの魔物を倒すことも可能なのだから」
「オーガをですか!」と驚く。
オーガはレベル350を超える強力な魔物だ。魔銀級はもちろん、最上級の探索者パーティですら苦戦すると言われている。
「魔銃には他の武器と大きく違う特徴がある。それは使用者のレベルに依存しないということだ」
その話は聞いていたので意外ではない。
普通の剣や槍では使用者の筋力や器用さによって威力や命中率が変わる。これは弓であっても同じだが、魔銃はそれらのステータスに依存せず、注入する魔力にのみ依存する。
MPの保有量はレベルによって変わるから、注入できるMP量や攻撃回数が変わることを考えると、レベルに依存すると言えなくもない。しかし、単発の攻撃力に限って言えば、レベルに影響を受けることなく、レベル1の新人だろうが、レベル400のブラックランクだろうが、銃弾の威力は変わらない。
「おっしゃっている意味は分かりますけど、ローザさんは剣聖の称号まで持っているんです。僕なんかじゃ……」
「グズグズ言わずに言われた通りにやってみろ! それともうちのローザじゃ、不満だというのか!」
ラングレーさんが切れて叫ぶ。
「父上!」とローザさんが止めに入る。
「不満なんてありません! 僕には眩しすぎて、もったいないと思っているんです!」
「眩しい……」とローザさんが呟き、「なんだと!」とラングレーさんが唸る。
しかし、ディアナさんがポンと手を叩くとその場は鎮まった。
「ライル君、先のことで悩まないで、流れに任せてみては? 今までいろいろできなかったんでしょ。なら、できることを全力でやるだけでいいのよ」
「そうですね……分かりました! ローザさん、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく頼む」とはにかんだ笑みで応えてくれた。
翌日、ラングレーさんとディアナさんの訓練が加わった。
格闘術といっても、まずは基本の型でもないが、拳の使い方や避け方などを習っている。
「筋は悪くない。といっても鬼人族や獣人族のような一流になれるわけじゃないがな」
ラングレーさんのコメントに少し気が楽になった。才能が全くないと言われたら、迷宮に入れないからだ。
ディアナさんの指導は実践的なものだった。
ラングレーさんとローザさんの模擬戦闘を後ろから見ながら、アドバイスを受ける。
「……前衛の位置をよく見て射線を確保するのよ。でも、前ばかり見ていてはダメ。後衛は周囲の警戒もしないといけないから……」
ラングレーさんとローザさんの模擬戦闘は目まぐるしく動き、どういう風に位置取りしたらいいのかさっぱり分からなかった。
「慣れれば相手の癖が分かるから、どう動けばいいか分かるようになるわ。焦らずによく見ることがコツよ」
そんな感じで二人が迷宮に入っていない時は毎日指導を受けていた。
訓練を始めてから7日後に“格闘の心得”のスキルを得ている。ラングレーさんとの訓練は一週間で2日しかないことを考えると、思った以上に早く取得できたことになる。
午前は魔導具作りを学び、午後は戦闘訓練を行う。いずれも一流と呼ばれる人たちに指導してもらっており、こんなに良くしてもらっていいのかと思うほどだ。
ノーラさんの依頼だからという理由らしいが、偶然、それも一回きりしか会っていないのにここまでしてもらっていいのかと疑問が湧く。
言葉の端々に出てきた七賢者の黒の賢者様が関係しているからだと思うのだが、そのことを聞いてもモーゼスさんを始め、誰もはっきりとは答えてくれない。
モヤモヤとするが、自分にとって不利になることでもないし、今は考えないようにしている。
そんな生活が1ヶ月ほど続いた。
11月1日の午後、ローザさんと体力作りのトレーニングをしていると、モーゼスさんとアーヴィングさん、それにドワーフの鍛冶師であるグスタフさんが訓練に使っている公園に現れた。
「遂にできたよ」と言って、モーゼスさんが白い布に包まれた長細いものを見せる。
僕が目を輝かすと、モーゼスさんは白い布を解いた。そこには黒光りする魔銃、M4カービンがあった。
「こ、これが……僕の魔銃……」
「そうじゃ! なかなか梃子摺らせてくれたが、儂の自信作じゃ!」とグスタフさんが胸を張る。
「魔法陣は既に組み込んであるから、いつでも撃てるよ」とアーヴィングさんも満足そうに笑っている。
「これから試射をするんだが、うちの地下じゃ無理だから町の南の荒地に向かう」
グリステートの町の南はアルセニ山地に繋がっており、緩やかな斜面になっている。元々は森があったそうだけど、魔物が町の近くに来ても分かるように、500メートルほどの幅で伐採され、荒地になっていた。
この荒地だが、町の中ではできない弓や魔術の訓練に使われており、魔銃の試射にはもってこいの場所だ。
目的地の荒地に着いた。
ここは弓の練習に使われるところで、斜面が急になっており、そこが壁の役目になっているから、外したとしても他の人に迷惑を掛けることがない。
数人の弓術士が練習しているが、幅は充分にあるため、問題はない。
「ここでいいでしょう」と言った後、モーゼスさんが銃を僕に渡してきた。
受け取った銃はずっしりと重く、仄かに油の匂いを感じた。
他の人たちも見ているが、僕はその魔銃、M4カービンの虜になっていた。
精巧に作られた工芸品のようでありながらも、武器としての力強さを主張していた。握り部分を握ると、滑り止め加工のザラっとした感触があり、銃床を肩に当てると、その硬さに安心感を覚える。
「とりあえず試射をするが、まずは調整と説明をする。ストックはここを押さえてスライドさせると長さが調整できる……弾倉はこうやって取り外しができる……弾丸はこのチャージングレバーを引けば薬室に装填される……」
この説明はモーゼスさんの護身用の小銃、M16で教えてもらっており、頭にしっかりと入っている。しかし、初めての試射ということで間違いが起きないよう真剣に聞いていた。
「……魔力結晶を使っての試射は終わっている。だけど、魔力を注入しての試射は今回が初めてなんだ。少しでも違和感があったら中止すること。分かったね」
「はい」と大きく頷く。
山の方を見ると、30メートルほど先に円形の標的が立てられていた。
説明を聞いている間にアーヴィングさんとグスタフさんが立てたらしく、戻ってくるところだった。
「では、手順を確認するよ。ストックの調整が終わったら、槓桿を引く。それで弾は薬室に入り、発射用の風魔術の魔法陣が起動する……セレクターレバーを“SEMI”のポジションにしたら発射準備完了だ」
「ストックの調整を行います……」と言葉にしながら調整する。今回は初めてなので、手順をすべて発声するように言われていたためだ。
最初から僕に合わせてくれていたようで、ほとんど動かすことなく、調整は終わった。
「とりあえず、体力づくりは継続してもらうよ。それからラングレーさんに時間があれば、近接戦闘、特に格闘術を学んでもらう」
「格闘術ですか?」
無手の武術を学んで何になるのか、理解できない。
そのことが顔に出たのだろう。モーゼスさんが説明してくれた。
「魔銃は弓と同じ遠距離攻撃が主となるが、銃剣という刃物を付けることで、槍に近い使い方ができる。しかし、設計図を見てもらった通り、長さは銃剣を取り付けても1メートルほどと短い。近づかれた場合、銃剣で突くこともできるが、相手と距離を取り、銃弾を撃ち込んだ方が確実だ。そうするためには最も接近して戦う格闘術を覚えた方がいいということなのだ」
よく分からないが、万が一接近されたり、銃弾が切れたりした時のために、接近戦をできるようにしておけということのようだ。
僕が頷くと、モーゼスさんも頷き、説明を続けていく。
「ディアナさんからは前衛との連携を習ってもらう。前衛はローザ君を考えている」
「ローザさんですか!」
「その通り」と言って頷く。
「でも、ローザさんの剣術は素人の僕が見ても初心者のレベルじゃないです。僕が一緒だと足手纏いになるだけじゃないんでしょうか」
「そこはがんばってもらうしかない。君が持つ魔銃のポテンシャルは非常に高い。使いこなせれば、今のレベルでもオーガクラスの魔物を倒すことも可能なのだから」
「オーガをですか!」と驚く。
オーガはレベル350を超える強力な魔物だ。魔銀級はもちろん、最上級の探索者パーティですら苦戦すると言われている。
「魔銃には他の武器と大きく違う特徴がある。それは使用者のレベルに依存しないということだ」
その話は聞いていたので意外ではない。
普通の剣や槍では使用者の筋力や器用さによって威力や命中率が変わる。これは弓であっても同じだが、魔銃はそれらのステータスに依存せず、注入する魔力にのみ依存する。
MPの保有量はレベルによって変わるから、注入できるMP量や攻撃回数が変わることを考えると、レベルに依存すると言えなくもない。しかし、単発の攻撃力に限って言えば、レベルに影響を受けることなく、レベル1の新人だろうが、レベル400のブラックランクだろうが、銃弾の威力は変わらない。
「おっしゃっている意味は分かりますけど、ローザさんは剣聖の称号まで持っているんです。僕なんかじゃ……」
「グズグズ言わずに言われた通りにやってみろ! それともうちのローザじゃ、不満だというのか!」
ラングレーさんが切れて叫ぶ。
「父上!」とローザさんが止めに入る。
「不満なんてありません! 僕には眩しすぎて、もったいないと思っているんです!」
「眩しい……」とローザさんが呟き、「なんだと!」とラングレーさんが唸る。
しかし、ディアナさんがポンと手を叩くとその場は鎮まった。
「ライル君、先のことで悩まないで、流れに任せてみては? 今までいろいろできなかったんでしょ。なら、できることを全力でやるだけでいいのよ」
「そうですね……分かりました! ローザさん、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく頼む」とはにかんだ笑みで応えてくれた。
翌日、ラングレーさんとディアナさんの訓練が加わった。
格闘術といっても、まずは基本の型でもないが、拳の使い方や避け方などを習っている。
「筋は悪くない。といっても鬼人族や獣人族のような一流になれるわけじゃないがな」
ラングレーさんのコメントに少し気が楽になった。才能が全くないと言われたら、迷宮に入れないからだ。
ディアナさんの指導は実践的なものだった。
ラングレーさんとローザさんの模擬戦闘を後ろから見ながら、アドバイスを受ける。
「……前衛の位置をよく見て射線を確保するのよ。でも、前ばかり見ていてはダメ。後衛は周囲の警戒もしないといけないから……」
ラングレーさんとローザさんの模擬戦闘は目まぐるしく動き、どういう風に位置取りしたらいいのかさっぱり分からなかった。
「慣れれば相手の癖が分かるから、どう動けばいいか分かるようになるわ。焦らずによく見ることがコツよ」
そんな感じで二人が迷宮に入っていない時は毎日指導を受けていた。
訓練を始めてから7日後に“格闘の心得”のスキルを得ている。ラングレーさんとの訓練は一週間で2日しかないことを考えると、思った以上に早く取得できたことになる。
午前は魔導具作りを学び、午後は戦闘訓練を行う。いずれも一流と呼ばれる人たちに指導してもらっており、こんなに良くしてもらっていいのかと思うほどだ。
ノーラさんの依頼だからという理由らしいが、偶然、それも一回きりしか会っていないのにここまでしてもらっていいのかと疑問が湧く。
言葉の端々に出てきた七賢者の黒の賢者様が関係しているからだと思うのだが、そのことを聞いてもモーゼスさんを始め、誰もはっきりとは答えてくれない。
モヤモヤとするが、自分にとって不利になることでもないし、今は考えないようにしている。
そんな生活が1ヶ月ほど続いた。
11月1日の午後、ローザさんと体力作りのトレーニングをしていると、モーゼスさんとアーヴィングさん、それにドワーフの鍛冶師であるグスタフさんが訓練に使っている公園に現れた。
「遂にできたよ」と言って、モーゼスさんが白い布に包まれた長細いものを見せる。
僕が目を輝かすと、モーゼスさんは白い布を解いた。そこには黒光りする魔銃、M4カービンがあった。
「こ、これが……僕の魔銃……」
「そうじゃ! なかなか梃子摺らせてくれたが、儂の自信作じゃ!」とグスタフさんが胸を張る。
「魔法陣は既に組み込んであるから、いつでも撃てるよ」とアーヴィングさんも満足そうに笑っている。
「これから試射をするんだが、うちの地下じゃ無理だから町の南の荒地に向かう」
グリステートの町の南はアルセニ山地に繋がっており、緩やかな斜面になっている。元々は森があったそうだけど、魔物が町の近くに来ても分かるように、500メートルほどの幅で伐採され、荒地になっていた。
この荒地だが、町の中ではできない弓や魔術の訓練に使われており、魔銃の試射にはもってこいの場所だ。
目的地の荒地に着いた。
ここは弓の練習に使われるところで、斜面が急になっており、そこが壁の役目になっているから、外したとしても他の人に迷惑を掛けることがない。
数人の弓術士が練習しているが、幅は充分にあるため、問題はない。
「ここでいいでしょう」と言った後、モーゼスさんが銃を僕に渡してきた。
受け取った銃はずっしりと重く、仄かに油の匂いを感じた。
他の人たちも見ているが、僕はその魔銃、M4カービンの虜になっていた。
精巧に作られた工芸品のようでありながらも、武器としての力強さを主張していた。握り部分を握ると、滑り止め加工のザラっとした感触があり、銃床を肩に当てると、その硬さに安心感を覚える。
「とりあえず試射をするが、まずは調整と説明をする。ストックはここを押さえてスライドさせると長さが調整できる……弾倉はこうやって取り外しができる……弾丸はこのチャージングレバーを引けば薬室に装填される……」
この説明はモーゼスさんの護身用の小銃、M16で教えてもらっており、頭にしっかりと入っている。しかし、初めての試射ということで間違いが起きないよう真剣に聞いていた。
「……魔力結晶を使っての試射は終わっている。だけど、魔力を注入しての試射は今回が初めてなんだ。少しでも違和感があったら中止すること。分かったね」
「はい」と大きく頷く。
山の方を見ると、30メートルほど先に円形の標的が立てられていた。
説明を聞いている間にアーヴィングさんとグスタフさんが立てたらしく、戻ってくるところだった。
「では、手順を確認するよ。ストックの調整が終わったら、槓桿を引く。それで弾は薬室に入り、発射用の風魔術の魔法陣が起動する……セレクターレバーを“SEMI”のポジションにしたら発射準備完了だ」
「ストックの調整を行います……」と言葉にしながら調整する。今回は初めてなので、手順をすべて発声するように言われていたためだ。
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