アルビオン王国宙軍士官物語(クリフエッジシリーズ合本版)

愛山雄町

文字の大きさ
上 下
283 / 386
第七部:「謀略と怨讐の宇宙(そら)」

第一話

しおりを挟む

 ゴホン、突然ですがこんにちは。俺の名前は、宮田みやたヒロキです。

 俺には好きな人がいます。
 同じクラスのみなみハルカです。

 俺と南は幼稚園からずっと一緒。家も近くて家族ぐるみで仲がいい。いわゆる幼馴染みってやつだ。もちろん、幼馴染みとして、1人の友人として南のことが好きだった。

 でも

 中学2年生の頃、あいつはクラスの女子に告白された。その時、俺の中で黒い感情がふつふつと湧き上がった。

 まぁ、告白は秒で断っていたが。

 しかし!!それからというもの、俺はことある事にあいつを意識してしまうようになった。

 意識してからというもの、俺はあいつのことを名前で呼ぶことができなくなり、〝南〟と苗字で呼ぶようになった。

 でもこのままじゃダメなんだ!!!

 南はものすごーくモテる。柔らかいウェーブのかかった茶色の髪に、タレ目で優しい顔。身長こそ俺とあまり変わらないが、体がシュッとしているせいかスタイルが良く見える。
 そんなあいつは老若男女問わずモテる!!
 この間も1個年上の女の先輩から告白されていた。

 俺達も高校生になったんだ。きっとあいつだっていつかは彼女を作るに決まっている。
 だから俺は〝しない後悔〟より〝する後悔〟を選ぶことにしたのだ。

 今日、俺は南ハルカに告白をする。

 付き合えなくたっていい。友達で居られなくなってもいい。いや良くは無いが。

 でもそんなリスク、俺の愛の前にすればちっぽけなんだ。もし、告白をして断られても、南に嫌われても、俺はこの先ずっと南だけを愛する。

 それくらい大好きだ。




ジャリッ

「宮田…?どうしたの?わざわざ校舎裏になんて呼び出して。」

 南は俺が苗字呼びすると同時に、合わせるように〝宮田〟と呼ぶようになった。それが今は心苦しい。

「南、お前にさ、言いたいことがあって。」

サァアアアアア

 肌寒い風が降りかかる。

「俺さ、」

「うん」

 もし拒絶されたら。
 もし嫌われたら。
 もし、もうこの先一生話してくれなくなったら。

 ついさっきした決意が揺らぐ。

 でも言いたい。

 誰かに盗られる前に。誰かの大事な人になる前に。

「お、おれ、南のことが」

 ギュッと拳を握り震える。
 でも最後の言葉だけは、南の目を真っ直ぐ見て伝えよう。


「好きだ。」


 南の茶色い目と俺の黒い目が交差する。

 本当は怖くて逃げ去りたい。
 返事を聞きたくない。

 タッと音が聞こえたかと思うと目の前に南が来る。

 ギュウウウウウっと俺を抱きしめる大好きな人。


「僕も、宮田が、ヒロキのことが好きだよ」


 そしてバッと離したか思うと、南は俺を見る。

「僕もね、宮田が大好きなんだ。これから2人で幸せになろうね。」

「うん、うん」


 あぁ、君に好きだと伝えてよかった。





しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

静寂の星

naomikoryo
SF
【★★★全7話+エピローグですので軽くお読みいただけます(^^)★★★】 深宇宙探査船《プロメテウス》は、未知の惑星へと不時着した。 そこは、異常なほど静寂に包まれた世界── 風もなく、虫の羽音すら聞こえない、完璧な沈黙の星 だった。 漂流した5人の宇宙飛行士たちは、救助を待ちながら惑星を探索する。 だが、次第に彼らは 「見えない何か」に監視されている という不気味な感覚に襲われる。 そしてある日、クルーのひとりが 跡形もなく消えた。 足跡も争った形跡もない。 ただ静かに、まるで 存在そのものが消されたかのように──。 「この星は“沈黙を守る”ために、我々を排除しているのか?」 音を発する者が次々と消えていく中、残されたクルーたちは 沈黙の星の正体 に迫る。 この惑星の静寂は、ただの自然現象ではなかった。 それは、惑星そのものの意志 だったのだ。 音を立てれば、存在を奪われる。 完全な沈黙の中で、彼らは生き延びることができるのか? そして、最後に待ち受けるのは── 沈黙を破るか、沈黙に飲まれるかの選択 だった。 極限の静寂と恐怖が支配するSFサスペンス、開幕。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

交換日記

奈落
SF
「交換日記」 手渡した時点で僕は「君」になり、君は「僕」になる…

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

処理中です...