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第六部:「ヤシマ星系を死守せよ」
第五十二話
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最大の懸案である賠償金問題は解決の糸口すら見いだせなかった。
そんな中、ヤシマ艦隊の技術少将であるケイジ・フクイにある人物が面会を求めた。
フクイの旧知の人物だったが、彼は面会に前向きではなかった。
その人物は五年前に拉致された造船技師、ユズル・ヒラタだった。
フクイは軍の技術部門においてヒラタの後輩に当たり、彼から軍艦の設計の基礎を学んでいる。
しかし、ヤシマを苦しめたゾンファの新型艦をヒラタが設計したと聞き、複雑な思いを抱いていた。
気は進まなかったが、ヒラタから賠償金問題を解決する方策があると告げられ、最大の懸案を片付ける糸口にでもなればと、会うことに決めた。
「久しぶりだな」と、ヒラタはいつもと変わらぬ口調でフクイに声を掛けた。
「お久しぶりです。ヒラタ先輩にこんなところで会うとは思っていませんでしたよ。できればお会いしたくなかったですがね」
ヒラタはフクイの嫌味を何事もなかったかのように無視する。
「賠償金を得る方法だが、我が国にとって価値があり、奴らが喜んで手放す物がある。それを手に入れるのだ」
フクイには何のことか分からず、「喜んで手放す物ですか?」と聞き返した。
「そうだ。私が設計したラーシャン級などの新型艦だ。今回の反乱騒動の原因を要求すれば、奴らは喜んで手放すだろう。ためらえば、兵士たちが反発するだろうからな」
ヒラタの提案にフクイは何を言っているんだという顔をする。
「先輩には悪いですが、あの艦に価値はありませんよ。運んでスクラップにするだけでもコストは掛かりますし」
軍艦は大型の対消滅炉など有用な設備は多いが、頑丈に作られているため、スクラップにするだけでも多大なコストが必要となる。特に戦艦などの大型艦は専用の施設が必要であり、コストだけでなく、時間も掛かるため、大きな利益は生み出さない。
「何を言っているんだ。ラーシャン級の戦闘力は我が国のキイ級に匹敵し、アルビオンのキング・ジョージ級を凌駕するんだぞ。他のクラスも性能は圧倒的だ。その艦をヤシマ防衛艦隊に就役させ、防衛力を強化するんだ」
「我が国でも反乱を誘発させる気ですか! 我が国では誰も認めませんよ」
そこでヒラタは情報端末を取り出し、操作を始めた。
「これがラーシャン級の設計情報だ。これをよく見たまえ。それでも理解できんというのであれば、私が教えた軍艦の設計の基礎を、君は一つも理解できなかったということだ」
それだけ言うと、端末を渡して部屋を出ていった。
フクイはヒラタが何をしたいのか分からなかったが、挑発されたことに腹を立てながらも設計情報を確認し始めた。
(ゾンファの戦艦にしては我が国のキイ級に近い感じだな。まあ、どちらも先輩の設計なら当然か……)
キイ級はヤシマの最新大型戦艦で、その性能はアルビオン王国の一等級艦キング・ジョージ級を凌駕する。
(それにしてもこの辺りの設計は先輩らしい。やすりで削りだしたような極限まで切り詰めた形状……ここの動線は見事だな。緊急時対策所から重要設備への移動が実に合理的だ……)
フクイも技術者であるため、初めて見る他国の設計図面を楽しげに見ていく。
しかし、ヒラタが何を言いたいのかが全く理解できなかった。
(先輩が大口を叩くのは昔からだが、根拠がなかったことは一度もなかった。だとすれば、何か秘密が隠されているはずだ。それは何なのだ……)
そして、あることに気づいた。
(ここだが、先輩の設計にしてはおかしい。換気空調系統のダクトが不自然に切れている。ここもそうだ。ダクトスペースが異常に広い。合理主義の鬼である先輩ならこの半分で済ませるはずだ……)
そこで昔ヒラタに教えられたことを思い出す。
(先輩はよく言っていたな。“設計には必ず意味がある。一見無意味に見えてもそうしなければならない理由が必ずある”と。だとすれば、ここにも意味があるはずだ……)
それからフクイは二日にわたって、設計情報を精査した。
そして、遂にヒラタの言っていた意味を理解した。
(これだ! 確かにこれなら我が国に持ち帰っても役に立つ!)
それから服装を整えることなく、派遣軍の司令官トモエ・ナカハラ大将に面会を申し込んだ。
無精ひげを生やし、ヨレヨレの軍服姿のフクイにナカハラは怪訝の表情を見せるが、フクイはすぐに用件に入っていく。
「賠償金の代わりになる物を見つけました」
その言葉に「どういうことですか?」と反応する。彼女もこの問題が長引いていることを気にしていたのだ。
「ヒラタ技師が設計した戦艦、重巡航艦を賠償金の代わりに譲渡してもらってください。あの艦は我が国にとって有用です」
その言葉でナカハラのテンションは一気に下がった。
「あの新型艦を? 私も中を見たのですが、あれは酷い。どのように使うつもりなのですか?」
「ヤシマに帰還後、超光速航行機関を撤去し、そこに居住スペースを設けるのです。それによって、戦闘力を損なうことなく、居住性を劇的に改善できます」
FTLDを撤去することで星系間の移動は不可能になるが、ヤシマは星系防衛が主であり、必ずしも必須ではない。また、すべての艦のFTLDを撤去するなら別だが、艦隊の一部を星系防衛専用艦にする構想は以前からあり、非現実的な提案ではなかった。
ちなみに星系防衛専用艦構想は、ヒラタが防衛軍の開発責任者だった時代に提案していた。しかし、当時はゾンファの謀略によって、政府及び国民が防衛艦隊増強に消極的であり、採用されなかった。
「星系内専用の戦闘艦にするというのですか? 確かにそれなら使えそうですが、改造に時間とコストが掛かるのではありませんか?」
「最初からそれを想定して設計されています。他にもヤシマの規格にすぐに合わせられるように考えられています。期間とコストは定期メンテナンス程度で済むのです」
「それは本当ですか!」とナカハラも驚く。
ヒラタは“ヤシマ占領後に使えるようにした”と言って、ヤシマの規格に切り替えられる設計をねじ込んでいた。そのため、燃料補給口や自動整備機器との接続、更にはソフトウエアの互換性まで考えられており、僅かな設定変更でできるようになっている。
その後、ナカハラはフクイを連れてタロウ・サイトウ首相の下に行った。
フクイの報告を聞いたサイトウは秘書官に質問する。
「新型艦はどれほどあるのか」
秘書官は自分の端末を操作し、すぐに報告する。
「大型戦艦であるラーシャン級が五百二十隻、通常戦艦であるチェンドゥ級が八百四十二隻、重巡航艦であるレアン級が七千二百二隻の計八千五百六十四隻です」
ヤシマ防衛艦隊にはヒューガ級という高速戦艦は存在するが、脆弱な巡航戦艦はなく、ヒラタも巡航戦艦の新型艦は設計していなかった。
「大型艦が八千五百以上か。通常の艦隊構成なら五個艦隊に匹敵するな」
サイトウはそう呟くと、すぐにその価値の試算を命じた。
その結果、ヤシマの防衛予算の三年分以上になることが分かった。
ゾンファ星系到着から一ヶ月以上が経ち、そろそろ帰国しなければならない時期になっており、サイトウは成果を求めていた。そのため、この提案に即座に乗った。
そして、この条件で妥協することをアルビオンの全権大使、エドウィン・マールバラ子爵に伝える。
「ゾンファの新型艦を譲り受け、現在計画中の艦隊増強計画を変更し、予算を浮かせます。その上で、貴国や同盟各国への賠償金に当てたいと思いますが、いかがか」
マールバラはその提案に魅力を感じた。
ゾンファから直接賠償金を受け取る方法を考え、いろいろと提案したが、すべて拒否されている。逆にゾンファが出してきた対案は千年という長期にわたる割賦だった。
期間が長いため、総額的には非常に大きいが、年に受け取る金額は大したことはなく、割引率の関係で実質的な金額も小さかった。更にゾンファとの関係が千年も良好なまま続くとは考えられず、マールバラは実を取るため、サイトウの提案を受け入れた。
マールバラとサイトウはゾンファ側に悟られることなく、認めさせるかで頭を悩まし、結局軍縮という観点から新型艦を廃棄するという名目で受領することにした。
更に革命軍が新型艦を忌み嫌っていることを利用し、それを止む無く受け取るという演技をした。
チェンは役に立たない新型艦を受け取るといったことに疑問を感じたが、ゾンファ軍の縮小が目的であり、現在求められている希少金属での支払いやゾンファ星系内の金属鉱山の採掘権よりマシだとして承認した。
すべての懸案で合意できたため、アルビオン王国・FSUとゾンファ共和国の間で停戦協定が結ばれた。
これにより、二十二年間にも及ぶアルビオン王国とゾンファ共和国の戦争が終結した。
通商条約や友好条約については、外交官レベルで交渉が行われることになり、十一月十五日、アルビオンとFSUの艦隊は帰国の途に就いた。
ユズル・ヒラタは拉致された技術者たちと共に輸送艦に乗った。嬉々として敵国に協力した人物として忌み嫌われていたが、ヒラタはそのことを気にすることなく、ゾンファで過ごした日々について記憶を辿りながら手記を綴っていく。
帰国後、真っ先に妻と娘、孫の墓に向かった。
しかし、そこで第二次タカマガハラ会戦の遺族に殴られ、運悪く頭を打ち、死亡した。
ヒラタの死後、フクイによってその手記が見つかり、彼がゾンファに復讐するため、下士官や兵士たちが不満を持つ設計を取り入れたことが公表された。
また、最初からヤシマが手に入れた場合にそのまま流用できる設計にしており、賠償金に代わる対価となったことも公表されている。
それでも彼に対する評価は二分した。
彼が新型艦を設計しなければ、そもそもヤシマ侵攻作戦が起きなかったと主張する者が多く、ヒラタが個人的な復讐のため、ヤシマの軍人を犠牲にしたという説があったためだ。
フクイはヒラタに対するコメントは一切出さなかった。
技術的には尊敬できるが、人間的に問題が多く、そのことをどう表現していいのか彼自身分からなかったためだ。
ゾンファ共和国のヤシマ侵攻作戦は、多くの犠牲者を出しただけでなく、保有する艦隊の半減と政権崩壊という結果を残した。
そんな中、ヤシマ艦隊の技術少将であるケイジ・フクイにある人物が面会を求めた。
フクイの旧知の人物だったが、彼は面会に前向きではなかった。
その人物は五年前に拉致された造船技師、ユズル・ヒラタだった。
フクイは軍の技術部門においてヒラタの後輩に当たり、彼から軍艦の設計の基礎を学んでいる。
しかし、ヤシマを苦しめたゾンファの新型艦をヒラタが設計したと聞き、複雑な思いを抱いていた。
気は進まなかったが、ヒラタから賠償金問題を解決する方策があると告げられ、最大の懸案を片付ける糸口にでもなればと、会うことに決めた。
「久しぶりだな」と、ヒラタはいつもと変わらぬ口調でフクイに声を掛けた。
「お久しぶりです。ヒラタ先輩にこんなところで会うとは思っていませんでしたよ。できればお会いしたくなかったですがね」
ヒラタはフクイの嫌味を何事もなかったかのように無視する。
「賠償金を得る方法だが、我が国にとって価値があり、奴らが喜んで手放す物がある。それを手に入れるのだ」
フクイには何のことか分からず、「喜んで手放す物ですか?」と聞き返した。
「そうだ。私が設計したラーシャン級などの新型艦だ。今回の反乱騒動の原因を要求すれば、奴らは喜んで手放すだろう。ためらえば、兵士たちが反発するだろうからな」
ヒラタの提案にフクイは何を言っているんだという顔をする。
「先輩には悪いですが、あの艦に価値はありませんよ。運んでスクラップにするだけでもコストは掛かりますし」
軍艦は大型の対消滅炉など有用な設備は多いが、頑丈に作られているため、スクラップにするだけでも多大なコストが必要となる。特に戦艦などの大型艦は専用の施設が必要であり、コストだけでなく、時間も掛かるため、大きな利益は生み出さない。
「何を言っているんだ。ラーシャン級の戦闘力は我が国のキイ級に匹敵し、アルビオンのキング・ジョージ級を凌駕するんだぞ。他のクラスも性能は圧倒的だ。その艦をヤシマ防衛艦隊に就役させ、防衛力を強化するんだ」
「我が国でも反乱を誘発させる気ですか! 我が国では誰も認めませんよ」
そこでヒラタは情報端末を取り出し、操作を始めた。
「これがラーシャン級の設計情報だ。これをよく見たまえ。それでも理解できんというのであれば、私が教えた軍艦の設計の基礎を、君は一つも理解できなかったということだ」
それだけ言うと、端末を渡して部屋を出ていった。
フクイはヒラタが何をしたいのか分からなかったが、挑発されたことに腹を立てながらも設計情報を確認し始めた。
(ゾンファの戦艦にしては我が国のキイ級に近い感じだな。まあ、どちらも先輩の設計なら当然か……)
キイ級はヤシマの最新大型戦艦で、その性能はアルビオン王国の一等級艦キング・ジョージ級を凌駕する。
(それにしてもこの辺りの設計は先輩らしい。やすりで削りだしたような極限まで切り詰めた形状……ここの動線は見事だな。緊急時対策所から重要設備への移動が実に合理的だ……)
フクイも技術者であるため、初めて見る他国の設計図面を楽しげに見ていく。
しかし、ヒラタが何を言いたいのかが全く理解できなかった。
(先輩が大口を叩くのは昔からだが、根拠がなかったことは一度もなかった。だとすれば、何か秘密が隠されているはずだ。それは何なのだ……)
そして、あることに気づいた。
(ここだが、先輩の設計にしてはおかしい。換気空調系統のダクトが不自然に切れている。ここもそうだ。ダクトスペースが異常に広い。合理主義の鬼である先輩ならこの半分で済ませるはずだ……)
そこで昔ヒラタに教えられたことを思い出す。
(先輩はよく言っていたな。“設計には必ず意味がある。一見無意味に見えてもそうしなければならない理由が必ずある”と。だとすれば、ここにも意味があるはずだ……)
それからフクイは二日にわたって、設計情報を精査した。
そして、遂にヒラタの言っていた意味を理解した。
(これだ! 確かにこれなら我が国に持ち帰っても役に立つ!)
それから服装を整えることなく、派遣軍の司令官トモエ・ナカハラ大将に面会を申し込んだ。
無精ひげを生やし、ヨレヨレの軍服姿のフクイにナカハラは怪訝の表情を見せるが、フクイはすぐに用件に入っていく。
「賠償金の代わりになる物を見つけました」
その言葉に「どういうことですか?」と反応する。彼女もこの問題が長引いていることを気にしていたのだ。
「ヒラタ技師が設計した戦艦、重巡航艦を賠償金の代わりに譲渡してもらってください。あの艦は我が国にとって有用です」
その言葉でナカハラのテンションは一気に下がった。
「あの新型艦を? 私も中を見たのですが、あれは酷い。どのように使うつもりなのですか?」
「ヤシマに帰還後、超光速航行機関を撤去し、そこに居住スペースを設けるのです。それによって、戦闘力を損なうことなく、居住性を劇的に改善できます」
FTLDを撤去することで星系間の移動は不可能になるが、ヤシマは星系防衛が主であり、必ずしも必須ではない。また、すべての艦のFTLDを撤去するなら別だが、艦隊の一部を星系防衛専用艦にする構想は以前からあり、非現実的な提案ではなかった。
ちなみに星系防衛専用艦構想は、ヒラタが防衛軍の開発責任者だった時代に提案していた。しかし、当時はゾンファの謀略によって、政府及び国民が防衛艦隊増強に消極的であり、採用されなかった。
「星系内専用の戦闘艦にするというのですか? 確かにそれなら使えそうですが、改造に時間とコストが掛かるのではありませんか?」
「最初からそれを想定して設計されています。他にもヤシマの規格にすぐに合わせられるように考えられています。期間とコストは定期メンテナンス程度で済むのです」
「それは本当ですか!」とナカハラも驚く。
ヒラタは“ヤシマ占領後に使えるようにした”と言って、ヤシマの規格に切り替えられる設計をねじ込んでいた。そのため、燃料補給口や自動整備機器との接続、更にはソフトウエアの互換性まで考えられており、僅かな設定変更でできるようになっている。
その後、ナカハラはフクイを連れてタロウ・サイトウ首相の下に行った。
フクイの報告を聞いたサイトウは秘書官に質問する。
「新型艦はどれほどあるのか」
秘書官は自分の端末を操作し、すぐに報告する。
「大型戦艦であるラーシャン級が五百二十隻、通常戦艦であるチェンドゥ級が八百四十二隻、重巡航艦であるレアン級が七千二百二隻の計八千五百六十四隻です」
ヤシマ防衛艦隊にはヒューガ級という高速戦艦は存在するが、脆弱な巡航戦艦はなく、ヒラタも巡航戦艦の新型艦は設計していなかった。
「大型艦が八千五百以上か。通常の艦隊構成なら五個艦隊に匹敵するな」
サイトウはそう呟くと、すぐにその価値の試算を命じた。
その結果、ヤシマの防衛予算の三年分以上になることが分かった。
ゾンファ星系到着から一ヶ月以上が経ち、そろそろ帰国しなければならない時期になっており、サイトウは成果を求めていた。そのため、この提案に即座に乗った。
そして、この条件で妥協することをアルビオンの全権大使、エドウィン・マールバラ子爵に伝える。
「ゾンファの新型艦を譲り受け、現在計画中の艦隊増強計画を変更し、予算を浮かせます。その上で、貴国や同盟各国への賠償金に当てたいと思いますが、いかがか」
マールバラはその提案に魅力を感じた。
ゾンファから直接賠償金を受け取る方法を考え、いろいろと提案したが、すべて拒否されている。逆にゾンファが出してきた対案は千年という長期にわたる割賦だった。
期間が長いため、総額的には非常に大きいが、年に受け取る金額は大したことはなく、割引率の関係で実質的な金額も小さかった。更にゾンファとの関係が千年も良好なまま続くとは考えられず、マールバラは実を取るため、サイトウの提案を受け入れた。
マールバラとサイトウはゾンファ側に悟られることなく、認めさせるかで頭を悩まし、結局軍縮という観点から新型艦を廃棄するという名目で受領することにした。
更に革命軍が新型艦を忌み嫌っていることを利用し、それを止む無く受け取るという演技をした。
チェンは役に立たない新型艦を受け取るといったことに疑問を感じたが、ゾンファ軍の縮小が目的であり、現在求められている希少金属での支払いやゾンファ星系内の金属鉱山の採掘権よりマシだとして承認した。
すべての懸案で合意できたため、アルビオン王国・FSUとゾンファ共和国の間で停戦協定が結ばれた。
これにより、二十二年間にも及ぶアルビオン王国とゾンファ共和国の戦争が終結した。
通商条約や友好条約については、外交官レベルで交渉が行われることになり、十一月十五日、アルビオンとFSUの艦隊は帰国の途に就いた。
ユズル・ヒラタは拉致された技術者たちと共に輸送艦に乗った。嬉々として敵国に協力した人物として忌み嫌われていたが、ヒラタはそのことを気にすることなく、ゾンファで過ごした日々について記憶を辿りながら手記を綴っていく。
帰国後、真っ先に妻と娘、孫の墓に向かった。
しかし、そこで第二次タカマガハラ会戦の遺族に殴られ、運悪く頭を打ち、死亡した。
ヒラタの死後、フクイによってその手記が見つかり、彼がゾンファに復讐するため、下士官や兵士たちが不満を持つ設計を取り入れたことが公表された。
また、最初からヤシマが手に入れた場合にそのまま流用できる設計にしており、賠償金に代わる対価となったことも公表されている。
それでも彼に対する評価は二分した。
彼が新型艦を設計しなければ、そもそもヤシマ侵攻作戦が起きなかったと主張する者が多く、ヒラタが個人的な復讐のため、ヤシマの軍人を犠牲にしたという説があったためだ。
フクイはヒラタに対するコメントは一切出さなかった。
技術的には尊敬できるが、人間的に問題が多く、そのことをどう表現していいのか彼自身分からなかったためだ。
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