アルビオン王国宙軍士官物語(クリフエッジシリーズ合本版)

愛山雄町

文字の大きさ
上 下
118 / 386
第三部:「砲艦戦隊出撃せよ」

第三十八話

しおりを挟む
私は、その手に手を重ねる。

「用意して、朝御飯食べよう」

「うん。化粧する」

「すぐ、泣いちゃうのに?」

「泣いちゃってもするの」

「わかった!してきて!俺、服着替えるから」

「うん」

「凛、昨日のズボン嫌だろ?これ、履いたら?」

拓夢は、ウエストがゴムになってるズボンを渡してくれる。

「いいよ!大丈夫」

私は、そう言って笑って洗面所に行った。鞄から、化粧ポーチを取り出して化粧をした。マスカラとファンデーションと口紅と眉ペンしか入ってなかった。泊まるつもりは、なかったから…。

「はぁー」

もっと、バッチリメイクにしたかった。

「凛、ブラジャー」

「ありがとう」

拓夢は、私のブラジャーを持って現れた。

「つけたげようか?」

「自分で出来るよ」

「つけさせてよ」

「うん、わかった」

私は、拓夢に背を向けてTシャツを脱いだ。

「はい」

「ありがとう」

ブラジャーを受け取ってつける。

「ホック止めるよ」

「うん」

拓夢の指先を背中に感じる。

「出来たよ」

「ありがとう」

目を閉じて、ちょっとだけエッチな想像をしていたのは内緒にしておこう。私は、Tシャツを取って着る。

「凛、エッチな事考えてただろ?」

「そんなの考えてない」

「嘘だ」

「嘘じゃない」

私は、首を左右に振る。バレていたのが、恥ずかしい。

「ここ触られたら弱いからだろ?」

そう言って、Tシャツの上から背中を撫でられる。

「そんな事ないから」

「嘘!じゃあ、もうしない」

「意地悪」

「じゃあ、弱いって言って」

「弱い…」

「良くできました」

そう言って、拓夢は私をギュッーっと抱き締めてくれる。

「行こう」

「うん。行こう」

私は、拓夢の背中に手を回す。

「今日一日、俺と凛は恋人だから」

「うん」

「じゃあ、行こう」

拓夢は、私から離れると手を繋いで引っ張っていく。

「忘れ物ない?」

「待って!見るから」

私は、鞄を確認する。

「スマホ忘れてた」

「あっ!部屋だな」

「うん」

私と拓夢は、部屋に戻る。

「はい」

「ありがとう」

スマホを鞄に入れる。

「じゃあ、行けるな」

「うん」

拓夢は、珍しく斜めがけのバックを下げている。ボディバックってやつだ。

「どこで、ご飯食べるの?」

「駅前のカフェで食べようと思って」

「美味しいの?」

「美味しいよ!それだけじゃないけど」

私と拓夢は、玄関で靴を履いて、家を出る。

「それだけじゃないって?」

歩きながら話す。

「凛がいつか、懐かしいって思って食べれるように…。あっ!勿論。俺もね…」

「この街を離れるから?」

「そうだね」

拓夢は、私の手を握りしめてくる。

「駄目だよ」

「そうだな!あっちまで、これは我慢しとく」

そう言って、手を離した。そして、手が触れるか触れないかの距離を保ちながら、私達は歩いて行く。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

毒素擬人化小説『ウミヘビのスープ』 〜十の賢者と百の猛毒が、寄生菌バイオハザード鎮圧を目指すSFファンタジー〜 

天海二色
SF
 西暦2320年、世界は寄生菌『珊瑚』がもたらす不治の病、『珊瑚症』に蝕まれていた。  珊瑚症に罹患した者はステージの進行と共に異形となり凶暴化し、生物災害【バイオハザード】を各地で引き起こす。  その珊瑚症の感染者が引き起こす生物災害を鎮める切り札は、毒素を宿す有毒人種《ウミヘビ》。  彼らは一人につき一つの毒素を持つ。  医師モーズは、その《ウミヘビ》を管理する研究所に奇縁によって入所する事となった。  彼はそこで《ウミヘビ》の手を借り、生物災害鎮圧及び珊瑚症の治療薬を探究することになる。  これはモーズが、治療薬『テリアカ』を作るまでの物語である。  ……そして個性豊か過ぎるウミヘビと、同僚となる癖の強いクスシに振り回される物語でもある。 ※《ウミヘビ》は毒劇や危険物、元素を擬人化した男子になります ※研究所に所属している職員《クスシヘビ》は全員モデルとなる化学者がいます ※この小説は国家資格である『毒物劇物取扱責任者』を覚える為に考えた話なので、日本の法律や規約を世界観に採用していたりします。 参考文献 松井奈美子 一発合格! 毒物劇物取扱者試験テキスト&問題集 船山信次  史上最強カラー図解 毒の科学 毒と人間のかかわり 齋藤勝裕  毒の科学 身近にある毒から人間がつくりだした化学物質まで 鈴木勉   毒と薬 (大人のための図鑑) 特別展「毒」 公式図録 くられ、姫川たけお 毒物ずかん: キュートであぶない毒キャラの世界へ ジェームス・M・ラッセル著 森 寛敏監修 118元素全百科 その他広辞苑、Wikipediaなど

【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?

俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。 この他、 「新訳 零戦戦記」 「総統戦記」もよろしくお願いします。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

戦国記 因幡に転移した男

山根丸
SF
今作は、歴史上の人物が登場したりしなかったり、あるいは登場年数がはやかったりおそかったり、食文化が違ったり、言語が違ったりします。つまりは全然史実にのっとっていません。歴史に詳しい方は歯がゆく思われることも多いかと存じます。そんなときは「異世界の話だからしょうがないな。」と受け止めていただけると幸いです。 カクヨムにも載せていますが、内容は同じものになります。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

処理中です...