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第三部:「砲艦戦隊出撃せよ」
第十六話
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宇宙暦四五一八年三月九日。
キャメロット防衛艦隊では第四惑星ガウェインの衛星軌道上にある要塞衛星ガラティンおよび大型兵站衛星プライウェンを繋ぐ形で大規模な会議が開催されていた。
クリフォードは総参謀長のアデル・ハース中将に指名され、意見を述べた。その意見は艦隊の方針に真っ向から反対するもので、発言が終わった後、会議は沈黙が支配する。
その沈黙を破ったのはハースだった。
「質問してもいいかしら? 少佐」
クリフォードはその行動を予想しておらず、「はい、中将!」と士官候補生のような応対をしてしまう。
その姿に失笑が起きるものの、ハースはそれを気にすることなく、質問を行っていく。
「少佐の案ではジュンツェンに六個から八個艦隊を派遣して、同時にヤシマにも四個艦隊程度を派遣することになるわ。それではキャメロット防衛艦隊がすべて出払ってしまう。それではキャメロットががら空きになるけど、そこはどう考えるのかしら?」
「アルビオンからの増援が二個から三個艦隊と見込まれます。少なくともキャメロットから艦隊がいなくなる心配はありません。付け加えるなら、スヴァローグ帝国からの侵攻は考えなくてもよいでしょう」
ハースは小首を傾げてから質問する。
「どうしてかしら? ダジボーグからキャメロットまでは三十パーセクほどよ。もし、諜報員が本国に伝えたら、危険ではないかしら?」
クリフォードには想定内の質問だった。ダジボーグはスヴァローグ帝国の前線基地がある植民星系であり、艦隊が航行可能な直行航路もある。また、ダジボーグには六個艦隊程度が常駐しており、侮れない戦力があった。
「キャメロットの状況をスヴァローグ帝国が知るには、ヤシマ星系を経る必要があります。しかしながら、ヤシマ星系は現在封鎖されていますから、その航路は使えません。また、キャメロット-ダジボーグ間の直行航路がありますが、ご存知の通り民間船の航行は認められておりませんので、スヴァローグが情報を入手できるのはヤシマが解放された後になります」
クリフォードはアルビオンからの増援に期待すると言いながらも、キャメロット星系を空にしても問題ないと思っていた。
キャメロットに侵攻してくる可能性がある勢力は、ゾンファ共和国とスヴァローグ帝国だが、ゾンファはヤシマ侵攻で手一杯であり、キャメロットまで手を伸ばす余剰戦力がない。
スヴァローグ帝国だが、現在アルビオン王国と戦争状態にはないが、友好的な関係とは言い難く、常に仮想敵国として警戒している勢力だ。
国交がないと言えるほど冷え切った関係のスヴァローグ帝国が、キャメロット星系の情報を得るには、自由星系国家連合の民間船を利用するしかない。
その民間船の航行だが、ゾンファがヤシマ星系のジャンプポイントをすべて封鎖しており、現状では民間船の航行は一切認められていない。
つまり、スヴァローグはキャメロット星系の状況を知るすべを失った状態と言えるのだ。そして、この状態が回復するということはヤシマ星系が解放されたことと同義であり、仮にキャメロットに戦力がないと分かっても、艦隊を動かすには手遅れということになる。
また、スヴァローグ帝国もアルビオン王国が重要拠点であるキャメロット星系を無防備な状態にするとは考えない。
仮に艦隊が出払っている可能性を考慮したとしても、キャメロットには大型要塞が二基あり、大規模な艦隊を派遣する必要がある。
このような状況であえて攻撃を仕掛けてくる可能性は非常に低い。
「つまり、スヴァローグがこちらの状況を知るのは、完全に“こと”が終息してからということね」
ハースはうんうんという感じでわざとらしく納得した仕草をした。
(総参謀長ならこの程度のことは十分に分かっているはずなのだが? いや、ここにいる先任の艦長たちも分かっているはずだ。総参謀長は何を考えておられるのだろうか……)
クリフォードがそんなことを考えていると、ハースは更に質問を口にする。
「では、もう一つ質問させてもらえるかしら。ジュンツェンに向かうとして、あそこの防備は万全よ。八個艦隊程度では陥落させることはできないわ。研究では最低十個艦隊と要塞攻略部隊が必要だったはず。ジュンツェンでは何をするのかしら?」
「ジュンツェンを陥落させる必要はありません。“陥落するかもしれない”と思わせればよいだけです」
ハースは再び小首を傾げる。
「でも、それでは無為に八個艦隊をジュンツェンに置いておくということ? 補給だけでもかなりのものよ」
クリフォードはその質問も想定しており、小さく頷くと流れるように説明していった。
「確かに補給の問題はあります。ですが、補給路の確保は容易ですし、アテナ星系のアテナの盾Ⅱの物資も流用すれば、三ヶ月程度は十分に賄えます。ジュンツェンでの艦隊の行動ですが、第一に敵艦隊への打撃、第二にヤシマ側JPの確保、第三に敵の兵站の破壊が目的となります」
「分かりました。とても参考になったわ、少佐」
そう言ってにっこりと笑った。
クリフォードは艦長たちからの視線から解放され、安堵の息を静かに吐き出した。
(それにしても参謀長にはどんな意図があったのだろう? この程度の検討は司令部で検討済みのはずなのだが……もしかしたら、ヤシマに直接進攻を強硬に主張する将官でもいたのかもしれないな。私のような若輩者が主張する分には角は立たないからな……)
クリフォードの予想はほぼ正解だった。
ハース中将はクリフォードと同じように、ヤシマへの直接進攻では目的を達し得ないと考えていた。しかし、頭の固い艦隊司令官たちの反対にあっていたのだ。
彼らの主張は、ヤシマにいるゾンファ艦隊の排除なくして、ヤシマの解放はあり得ないというものだった。
クリフォードが主張した内容と同じく、彼らもゾンファ共和国軍の上層部は決して失敗を認めないと考えていたが、クリフォードと決定的に違う点は敗北なくして失敗を認めることはないとしたことだ。
そのため、ヤシマ星系での会戦で大勝利を収めなければ、ゾンファは居座り続けると主張していた。
彼らの主張にはもう一つの考えがあった。
ヤシマ防衛艦隊が自由星系国家連合(FSU)ではなく、アルビオン王国に亡命してきたのは、ゾンファ艦隊がFSU側のジャンプポイントへの航路を押さえていたこともあるが、アルビオン王国の参戦を促す意味があるという考えだ。
ゾンファがヤシマを完全に手に入れて困るのはアルビオンも同じであり、戦後のことを考慮すれば、サイトウ少将を首班とする亡命政権を樹立し、彼を旗頭にいち早くヤシマ星系に進攻する必要があるというのだ。
事実、サイトウがアルビオンに逃げてきたのは参戦を促すためだ。
彼は合同訓練に参加した経験から、実戦経験がほとんどなく、連合軍という弱みのある自由星系国家連合軍の実力を評価していなかった。
逆に十年前にゾンファ軍の奇襲を退け、最終的には有利な条件で停戦したアルビオンの実力を買っている。
今回、ヤシマへの進攻を強く主張していたのは第三艦隊司令官ハワード・リンドグレーン大将だった。彼はクリフォードの提案を握りつぶすだけでなく、全く逆のことを主張していたことになる。
リンドグレーンは統合作戦本部の後方参謀や軍務省職員としての経験が長く、軍人というより官僚に近い。このため、政治が戦略に影響を及ぼすことは身をもって理解している。その彼がこのような強硬な作戦を主張したのには理由があった。
彼は元キャメロット第一艦隊司令官であり現軍務次官であるエマニュエル・コパーウィートと、長年にわたる確執があった。
コパーウィートはリンドグレーンに指揮官としての能力がないことを本能的に理解しており、彼が艦隊司令官となることを妨害していたのだ。
現在、コパーウィートは軍務次官であるが、現財務卿でクリフォードの義父であるノースブルック伯が首班となるであろう次期政権では軍務省の長である“軍務卿”になると噂されていた。
更にリンドグレーンは現在野党である民主党のナンバーツー、ヴィンセント・シェイファー伯爵と縁戚関係にあり、与党保守党の政権が続く限り、自分は艦隊司令官止まりだと危機感を持っている。
そのため、退役後の政界進出を念頭に、ヤシマ解放という華々しい作戦を支持した。
同じようにヤシマ進攻作戦を支持する将官は多かった。今回の作戦では自由星系国家連合軍が大艦隊を派遣することは確実であり、数倍の戦力で敵を圧倒できると楽観視する者が多かったのだ。
ハース中将はリンドグレーンやその他ヤシマへの直接進攻を支持する将官たちの思惑は理解していたが、クリフォードが指摘するまでもなく、危機感を抱いていた。
彼女はサイトウと同じくFSU軍の実力を過大に評価することはなく、逆にヤシマ解放の障害となる可能性すらあると考えていた。
FSU軍は多国籍軍であるにも関わらず、数年に一度しか演習を行っていなかった。また、一ヶ国の軍として見た場合でも実戦経験が皆無であり、練度が低く実力はアルビオンの六十パーセント程度であろうと評価していた。
ヤシマ防衛艦隊が数に劣るとはいえ、防衛施設の支援が受けられる有利な自国内での戦闘であるにも関わらず、ゾンファ艦隊にあっさりと敗れ去ったことはそれを如実に表している。
ハースはヤシマへの進攻の主力をFSU軍とし、アルビオン軍は亡命政権を守護してヤシマに入るシナリオを描いていたのだ。
今回のヤシマ解放だけでなく、その先のスヴァローグ帝国との紛争も念頭にしており、アルビオンがヤシマに肩入れしすぎれば、スヴァローグに介入する口実を与え兼ねないと警戒していた。
艦長会議は無事に終了し、三月九日中にアルビオン本国に提案する作戦案を決定し、各艦隊司令官に通知することになった。
そして、三月九日の深夜。
サクストン司令長官が承認した作戦案は、ほぼクリフォードの案に沿ったものだった。但し、その作戦案は彼が提案する前にハース中将が立案していたものであった。
キャメロット防衛艦隊では第四惑星ガウェインの衛星軌道上にある要塞衛星ガラティンおよび大型兵站衛星プライウェンを繋ぐ形で大規模な会議が開催されていた。
クリフォードは総参謀長のアデル・ハース中将に指名され、意見を述べた。その意見は艦隊の方針に真っ向から反対するもので、発言が終わった後、会議は沈黙が支配する。
その沈黙を破ったのはハースだった。
「質問してもいいかしら? 少佐」
クリフォードはその行動を予想しておらず、「はい、中将!」と士官候補生のような応対をしてしまう。
その姿に失笑が起きるものの、ハースはそれを気にすることなく、質問を行っていく。
「少佐の案ではジュンツェンに六個から八個艦隊を派遣して、同時にヤシマにも四個艦隊程度を派遣することになるわ。それではキャメロット防衛艦隊がすべて出払ってしまう。それではキャメロットががら空きになるけど、そこはどう考えるのかしら?」
「アルビオンからの増援が二個から三個艦隊と見込まれます。少なくともキャメロットから艦隊がいなくなる心配はありません。付け加えるなら、スヴァローグ帝国からの侵攻は考えなくてもよいでしょう」
ハースは小首を傾げてから質問する。
「どうしてかしら? ダジボーグからキャメロットまでは三十パーセクほどよ。もし、諜報員が本国に伝えたら、危険ではないかしら?」
クリフォードには想定内の質問だった。ダジボーグはスヴァローグ帝国の前線基地がある植民星系であり、艦隊が航行可能な直行航路もある。また、ダジボーグには六個艦隊程度が常駐しており、侮れない戦力があった。
「キャメロットの状況をスヴァローグ帝国が知るには、ヤシマ星系を経る必要があります。しかしながら、ヤシマ星系は現在封鎖されていますから、その航路は使えません。また、キャメロット-ダジボーグ間の直行航路がありますが、ご存知の通り民間船の航行は認められておりませんので、スヴァローグが情報を入手できるのはヤシマが解放された後になります」
クリフォードはアルビオンからの増援に期待すると言いながらも、キャメロット星系を空にしても問題ないと思っていた。
キャメロットに侵攻してくる可能性がある勢力は、ゾンファ共和国とスヴァローグ帝国だが、ゾンファはヤシマ侵攻で手一杯であり、キャメロットまで手を伸ばす余剰戦力がない。
スヴァローグ帝国だが、現在アルビオン王国と戦争状態にはないが、友好的な関係とは言い難く、常に仮想敵国として警戒している勢力だ。
国交がないと言えるほど冷え切った関係のスヴァローグ帝国が、キャメロット星系の情報を得るには、自由星系国家連合の民間船を利用するしかない。
その民間船の航行だが、ゾンファがヤシマ星系のジャンプポイントをすべて封鎖しており、現状では民間船の航行は一切認められていない。
つまり、スヴァローグはキャメロット星系の状況を知るすべを失った状態と言えるのだ。そして、この状態が回復するということはヤシマ星系が解放されたことと同義であり、仮にキャメロットに戦力がないと分かっても、艦隊を動かすには手遅れということになる。
また、スヴァローグ帝国もアルビオン王国が重要拠点であるキャメロット星系を無防備な状態にするとは考えない。
仮に艦隊が出払っている可能性を考慮したとしても、キャメロットには大型要塞が二基あり、大規模な艦隊を派遣する必要がある。
このような状況であえて攻撃を仕掛けてくる可能性は非常に低い。
「つまり、スヴァローグがこちらの状況を知るのは、完全に“こと”が終息してからということね」
ハースはうんうんという感じでわざとらしく納得した仕草をした。
(総参謀長ならこの程度のことは十分に分かっているはずなのだが? いや、ここにいる先任の艦長たちも分かっているはずだ。総参謀長は何を考えておられるのだろうか……)
クリフォードがそんなことを考えていると、ハースは更に質問を口にする。
「では、もう一つ質問させてもらえるかしら。ジュンツェンに向かうとして、あそこの防備は万全よ。八個艦隊程度では陥落させることはできないわ。研究では最低十個艦隊と要塞攻略部隊が必要だったはず。ジュンツェンでは何をするのかしら?」
「ジュンツェンを陥落させる必要はありません。“陥落するかもしれない”と思わせればよいだけです」
ハースは再び小首を傾げる。
「でも、それでは無為に八個艦隊をジュンツェンに置いておくということ? 補給だけでもかなりのものよ」
クリフォードはその質問も想定しており、小さく頷くと流れるように説明していった。
「確かに補給の問題はあります。ですが、補給路の確保は容易ですし、アテナ星系のアテナの盾Ⅱの物資も流用すれば、三ヶ月程度は十分に賄えます。ジュンツェンでの艦隊の行動ですが、第一に敵艦隊への打撃、第二にヤシマ側JPの確保、第三に敵の兵站の破壊が目的となります」
「分かりました。とても参考になったわ、少佐」
そう言ってにっこりと笑った。
クリフォードは艦長たちからの視線から解放され、安堵の息を静かに吐き出した。
(それにしても参謀長にはどんな意図があったのだろう? この程度の検討は司令部で検討済みのはずなのだが……もしかしたら、ヤシマに直接進攻を強硬に主張する将官でもいたのかもしれないな。私のような若輩者が主張する分には角は立たないからな……)
クリフォードの予想はほぼ正解だった。
ハース中将はクリフォードと同じように、ヤシマへの直接進攻では目的を達し得ないと考えていた。しかし、頭の固い艦隊司令官たちの反対にあっていたのだ。
彼らの主張は、ヤシマにいるゾンファ艦隊の排除なくして、ヤシマの解放はあり得ないというものだった。
クリフォードが主張した内容と同じく、彼らもゾンファ共和国軍の上層部は決して失敗を認めないと考えていたが、クリフォードと決定的に違う点は敗北なくして失敗を認めることはないとしたことだ。
そのため、ヤシマ星系での会戦で大勝利を収めなければ、ゾンファは居座り続けると主張していた。
彼らの主張にはもう一つの考えがあった。
ヤシマ防衛艦隊が自由星系国家連合(FSU)ではなく、アルビオン王国に亡命してきたのは、ゾンファ艦隊がFSU側のジャンプポイントへの航路を押さえていたこともあるが、アルビオン王国の参戦を促す意味があるという考えだ。
ゾンファがヤシマを完全に手に入れて困るのはアルビオンも同じであり、戦後のことを考慮すれば、サイトウ少将を首班とする亡命政権を樹立し、彼を旗頭にいち早くヤシマ星系に進攻する必要があるというのだ。
事実、サイトウがアルビオンに逃げてきたのは参戦を促すためだ。
彼は合同訓練に参加した経験から、実戦経験がほとんどなく、連合軍という弱みのある自由星系国家連合軍の実力を評価していなかった。
逆に十年前にゾンファ軍の奇襲を退け、最終的には有利な条件で停戦したアルビオンの実力を買っている。
今回、ヤシマへの進攻を強く主張していたのは第三艦隊司令官ハワード・リンドグレーン大将だった。彼はクリフォードの提案を握りつぶすだけでなく、全く逆のことを主張していたことになる。
リンドグレーンは統合作戦本部の後方参謀や軍務省職員としての経験が長く、軍人というより官僚に近い。このため、政治が戦略に影響を及ぼすことは身をもって理解している。その彼がこのような強硬な作戦を主張したのには理由があった。
彼は元キャメロット第一艦隊司令官であり現軍務次官であるエマニュエル・コパーウィートと、長年にわたる確執があった。
コパーウィートはリンドグレーンに指揮官としての能力がないことを本能的に理解しており、彼が艦隊司令官となることを妨害していたのだ。
現在、コパーウィートは軍務次官であるが、現財務卿でクリフォードの義父であるノースブルック伯が首班となるであろう次期政権では軍務省の長である“軍務卿”になると噂されていた。
更にリンドグレーンは現在野党である民主党のナンバーツー、ヴィンセント・シェイファー伯爵と縁戚関係にあり、与党保守党の政権が続く限り、自分は艦隊司令官止まりだと危機感を持っている。
そのため、退役後の政界進出を念頭に、ヤシマ解放という華々しい作戦を支持した。
同じようにヤシマ進攻作戦を支持する将官は多かった。今回の作戦では自由星系国家連合軍が大艦隊を派遣することは確実であり、数倍の戦力で敵を圧倒できると楽観視する者が多かったのだ。
ハース中将はリンドグレーンやその他ヤシマへの直接進攻を支持する将官たちの思惑は理解していたが、クリフォードが指摘するまでもなく、危機感を抱いていた。
彼女はサイトウと同じくFSU軍の実力を過大に評価することはなく、逆にヤシマ解放の障害となる可能性すらあると考えていた。
FSU軍は多国籍軍であるにも関わらず、数年に一度しか演習を行っていなかった。また、一ヶ国の軍として見た場合でも実戦経験が皆無であり、練度が低く実力はアルビオンの六十パーセント程度であろうと評価していた。
ヤシマ防衛艦隊が数に劣るとはいえ、防衛施設の支援が受けられる有利な自国内での戦闘であるにも関わらず、ゾンファ艦隊にあっさりと敗れ去ったことはそれを如実に表している。
ハースはヤシマへの進攻の主力をFSU軍とし、アルビオン軍は亡命政権を守護してヤシマに入るシナリオを描いていたのだ。
今回のヤシマ解放だけでなく、その先のスヴァローグ帝国との紛争も念頭にしており、アルビオンがヤシマに肩入れしすぎれば、スヴァローグに介入する口実を与え兼ねないと警戒していた。
艦長会議は無事に終了し、三月九日中にアルビオン本国に提案する作戦案を決定し、各艦隊司令官に通知することになった。
そして、三月九日の深夜。
サクストン司令長官が承認した作戦案は、ほぼクリフォードの案に沿ったものだった。但し、その作戦案は彼が提案する前にハース中将が立案していたものであった。
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