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第二部:「重巡航艦サフォーク05:孤独の戦闘指揮所(CIC)」
第三十五話
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宇宙暦四五一四年五月十五日 標準時間〇三〇〇。
ゾンファ共和国国民解放軍八〇七偵察戦隊司令、フェイ・ツーロン大佐は旗艦ビアンの戦闘指揮所で艦の応急修理状況を確認していた。
ビアンは防御スクリーンを無力化された後、駆逐艦の主砲による攻撃を受け、多数の死傷者を出した。
CICは無傷だったが、緊急対策所や機関制御室に強力な放射線の嵐が吹き荒れ、副長や機関長を始め、多くの技術要員を失った。
そのため、損傷した通常空間航行用機関を修理できず、〇・二Cで敵から離れていく針路を漫然と漂流していた。
フェイ大佐は失意を隠し、平静さを装って指揮を執り続けた。
(敵の指揮官は優秀だった。もしかしたら通信が使えなかったのは初期だけだったのかもしれん。こちらに策が成功していると誤認させ、それを利用した罠を張ったのだ……いや、違うな。これは私の願望であって事実ではないだろう。少なくとも通信系を使用不能にした策は成功していた。罠に掛かったのは、単に私が敵に劣っていただけだ……)
そして、この状況を招いた原因について考えていた。
(最後の戦闘は私のミス以外の何物でもない。今考えれば、あんなに焦って敵を追い詰める必要はなかった。相対速度に注意し、最大射程距離を維持して攻撃を続ければよかったのだ。いや、あの追撃戦に引き込まれたところで、私は敵の罠に嵌っていたのだろう。アテナ星系側に回り込みながら……いや、今更それを考えても無駄だ……)
彼は一向に修理が進まないNSDの状況を確認しながら、この後の行動について考えていた。
(既に敵を殲滅することは叶わない。敵の重巡も機動力は失っていないし、防御スクリーンも回復している。主砲は使えんだろうが、ミサイルとレールキャノンは使用できるだろう。戦力的にはほぼ互角。敵が行動を誤り、戦闘に持ち込めたとしても、殲滅することは不可能だ。いや、それ以前に敵がこちらの戦略目的を理解していないはずがない。敵のうち、少なくとも一隻はこの星系から脱出するだろう……)
そして、メインスクリーンの端に映る指揮下の艦を見る。
(生き残った部下たちを無事に本国に連れ帰るのが、今の私にできる唯一のことだ。NSDが直り次第、ハイフォン星系に戻る針路に変針するべきだな……)
その時、敵艦隊から通信が入った。
こちらの行為に抗議する内容で、彼は敵女性士官の勇ましい言葉に苦笑する。しかし、彼は自らの取り得る選択肢が増えたわけではないとも気づいていた。
(こちらの意図を理解したから、強気に出ているのだろう。降伏するのは論外だが、やはり撤退しかあり得んな……)
彼はマイクを手に取り、全艦に向けて放送を開始した。
「司令のフェイ・ツーロンだ。我が艦隊は善戦したが、敵の殲滅という目的を達することができなかった。旗艦の通常空間航行用機関の応急修理が完了次第、ハイフォンに向けて転進する。今回の失敗の責はすべて司令である小官にある。諸君らは小官の指揮の下で最善を尽くしたのだ。そのことは胸を張っていい。では、祖国に帰ろう」
戦いの前の高揚した演説とは打って変わり、語り掛けるような口調であった。
その語り掛けにCIC要員たちは悔しそうな表情をし、若い下士官には涙を浮かべ、すすり泣く者もいた。
フェイ大佐はその下士官の肩に手を置き、「今は帰ることだけを考えるんだ」と言って、彼を作業に戻す。
フェイ大佐はもう一度CIC内を見回した。その直後、索敵員から敵駆逐艦が針路を変えたという報告を聞いた。
「敵駆逐艦針路変更。ほぼ百八十度回頭しています。最大加速でこちらに向かってきます!」
その言葉にCIC要員の間に緊張が走ったが、フェイ大佐はコンソールを見て小さく首を横に振る。
「生存者の救出だろう。僚艦には対応不要と連絡してくれ」
彼は明るい声でそう言うと、指揮官シートに腰を下ろした。
■■■
アルビオン軍重巡航艦サフォーク05の副航法長グレタ・イングリス大尉は、雑用艇のマグパイ1から、戦いを見ていた。
(意外ね。最悪生き残るのは私だけだと思っていたのに。サフォークとファルマス、それにヴェルラムが生き残っているわ。でも、三隻の駆逐艦が失われた……)
彼女は味方が逃走に成功したと確信した段階から、艦隊に合流すべく加速を開始している。
小型艇であるマグパイ1では艦隊の巡航速度に追いつけないので、途中で拾ってもらえるポイントを見定め、航路を設定していた。特に回避運動も必要なく、一定加速での航行であるため、自動操縦に任せていた。
(この位置だとギリギリ拾ってもらえるかしら。それが無理でも途中まで行けば、拾いに来てくれるでしょう。少し休ませてもらおうかしら……)
操縦席のシートを倒し、天井を見つめていた。
(この戦いは何だったのかしら。これだけ情報がないと、何のための戦いなのか全く分からないわ。どちらにしても一波乱あるわね。戦争になるかは分からないけれど……)
イングリス大尉は五時間後に艦隊に最接近することを確認し、静かに目を閉じた。
■■■
宇宙暦四五一四年五月十六日 標準時間〇六時〇〇分
アルビオン軍重巡航艦サフォーク05はターマガント星系をゆっくりと航行している。
ターマガント星系は昨日の戦闘が嘘のように静かだった。
ゾンファ艦隊は戦闘終了の十三時間後、一五三〇にゾンファ共和国の支配星系ハイフォン星系にジャンプしていった。
大破し漂流していたゾンファ共和国軍の軽巡航艦ヤンズは、ゾンファ艦隊がジャンプする数時間前に、生き残った乗組員を脱出させた後、自爆した。
艦長のホアン・ウェンデン中佐はただ一人脱出せず、艦と運命を共にした。
駆逐艦ヴェルラム06は戦闘宙域に戻り、生存者の乗る脱出ポッドを回収し、二十八名の味方と約五十名のゾンファ軍将兵を救出した。
サフォークの雑用艇であるマグパイ1は同日〇八〇〇に無事帰還した。
ヴェルラム06は艦隊に合流し、負傷者を乗せた後、捕虜の一部と共にアテナ星系に向かった。
現在、ターマガント星系には主砲を損傷した重巡サフォークと、臨時旗艦であるファルマスの二隻だけが残っている。
クリフォードは戦闘指揮所の戦術士席で物思いに耽っていた。
(第二十一哨戒艦隊には五百九十七人の乗組員がいた。そのうち戦死者二百三十四人。重傷者二十五人……三隻の駆逐艦から助け出せたのは、結局二十八人だけだった……アリンガム少佐は僕が指揮を執らなかったら、こんなものでは済まなかったと言ってくれたけど、慰めにはならないな。特にサフォークの盾になって沈んだウィザードには感謝の言葉しかない……)
彼が物思いに耽っていると、後ろから航法長のジュディ・リーヴィス少佐が肩を叩いてきた。彼女は体調不良から回復し、通常勤務に戻っている。
「戦死者のことを考えているんだろうが、割り切るしかないぞ」
彼女は大柄な体格に似合った低い声でクリフォードに話しかけてきた。
彼は後ろを振り返りながら、百九十センチメートルを超える長身の航法長を見上げた。
「分かってはいるのですが……今回の指揮官は私でしたし、責任は私にあるわけですから……」
「そうだな。確かに君の責任だ。しかし、君の指揮のおかげで助かった者もいる。私もその一人だが、生き残った者たちのことも考えてやれ」
クリフォードには言っている意味が分からなかった。
首をかしげていると、リーヴィス少佐が話を続けていった。
「今回の戦いでは実際に戦いに関与できたのは極少数なのだよ。私もそうだが、戦闘に加わらずに生き残った者は、自分たちは何もしていないのに生き残ってしまったと考えてしまう。そんな奴らが充分に仕事をした君が落ち込んでいるのを見ればどう思う? 余計に落ち込んでしまうんだよ」
「すみませんでした。気を付けます」
クリフォードが真面目な表情で謝ると、リーヴィス少佐は豪快な笑い声を上げて、もう一度彼の肩を叩いた。
「ハハハ! 私は気にしていないよ。生き残ったのは自分の運だと割り切っているからな。だから、君ももう少し開き直れ」
そこで声を小さくして、彼にだけ話す。
「君は士官なんだ。部下たちに演技を見せるのも仕事のうちだぞ」
それだけ言うと手を振って離れていった。
クリフォードは去っていく航法長に心の中で頭を下げる。
(まだまだだな、僕は。でも、こう言っては失礼だけど、意外と少佐も気が回るんだな……意外といい奥さんになりそうな感じだな。もちろん、僕は勘弁して欲しいけど……)
彼は一度大きく息を吸って、気持ちを切替えた。
そして、今回の報告書に書き加えることがないか、もう一度確認することにした。
ゾンファ共和国国民解放軍八〇七偵察戦隊司令、フェイ・ツーロン大佐は旗艦ビアンの戦闘指揮所で艦の応急修理状況を確認していた。
ビアンは防御スクリーンを無力化された後、駆逐艦の主砲による攻撃を受け、多数の死傷者を出した。
CICは無傷だったが、緊急対策所や機関制御室に強力な放射線の嵐が吹き荒れ、副長や機関長を始め、多くの技術要員を失った。
そのため、損傷した通常空間航行用機関を修理できず、〇・二Cで敵から離れていく針路を漫然と漂流していた。
フェイ大佐は失意を隠し、平静さを装って指揮を執り続けた。
(敵の指揮官は優秀だった。もしかしたら通信が使えなかったのは初期だけだったのかもしれん。こちらに策が成功していると誤認させ、それを利用した罠を張ったのだ……いや、違うな。これは私の願望であって事実ではないだろう。少なくとも通信系を使用不能にした策は成功していた。罠に掛かったのは、単に私が敵に劣っていただけだ……)
そして、この状況を招いた原因について考えていた。
(最後の戦闘は私のミス以外の何物でもない。今考えれば、あんなに焦って敵を追い詰める必要はなかった。相対速度に注意し、最大射程距離を維持して攻撃を続ければよかったのだ。いや、あの追撃戦に引き込まれたところで、私は敵の罠に嵌っていたのだろう。アテナ星系側に回り込みながら……いや、今更それを考えても無駄だ……)
彼は一向に修理が進まないNSDの状況を確認しながら、この後の行動について考えていた。
(既に敵を殲滅することは叶わない。敵の重巡も機動力は失っていないし、防御スクリーンも回復している。主砲は使えんだろうが、ミサイルとレールキャノンは使用できるだろう。戦力的にはほぼ互角。敵が行動を誤り、戦闘に持ち込めたとしても、殲滅することは不可能だ。いや、それ以前に敵がこちらの戦略目的を理解していないはずがない。敵のうち、少なくとも一隻はこの星系から脱出するだろう……)
そして、メインスクリーンの端に映る指揮下の艦を見る。
(生き残った部下たちを無事に本国に連れ帰るのが、今の私にできる唯一のことだ。NSDが直り次第、ハイフォン星系に戻る針路に変針するべきだな……)
その時、敵艦隊から通信が入った。
こちらの行為に抗議する内容で、彼は敵女性士官の勇ましい言葉に苦笑する。しかし、彼は自らの取り得る選択肢が増えたわけではないとも気づいていた。
(こちらの意図を理解したから、強気に出ているのだろう。降伏するのは論外だが、やはり撤退しかあり得んな……)
彼はマイクを手に取り、全艦に向けて放送を開始した。
「司令のフェイ・ツーロンだ。我が艦隊は善戦したが、敵の殲滅という目的を達することができなかった。旗艦の通常空間航行用機関の応急修理が完了次第、ハイフォンに向けて転進する。今回の失敗の責はすべて司令である小官にある。諸君らは小官の指揮の下で最善を尽くしたのだ。そのことは胸を張っていい。では、祖国に帰ろう」
戦いの前の高揚した演説とは打って変わり、語り掛けるような口調であった。
その語り掛けにCIC要員たちは悔しそうな表情をし、若い下士官には涙を浮かべ、すすり泣く者もいた。
フェイ大佐はその下士官の肩に手を置き、「今は帰ることだけを考えるんだ」と言って、彼を作業に戻す。
フェイ大佐はもう一度CIC内を見回した。その直後、索敵員から敵駆逐艦が針路を変えたという報告を聞いた。
「敵駆逐艦針路変更。ほぼ百八十度回頭しています。最大加速でこちらに向かってきます!」
その言葉にCIC要員の間に緊張が走ったが、フェイ大佐はコンソールを見て小さく首を横に振る。
「生存者の救出だろう。僚艦には対応不要と連絡してくれ」
彼は明るい声でそう言うと、指揮官シートに腰を下ろした。
■■■
アルビオン軍重巡航艦サフォーク05の副航法長グレタ・イングリス大尉は、雑用艇のマグパイ1から、戦いを見ていた。
(意外ね。最悪生き残るのは私だけだと思っていたのに。サフォークとファルマス、それにヴェルラムが生き残っているわ。でも、三隻の駆逐艦が失われた……)
彼女は味方が逃走に成功したと確信した段階から、艦隊に合流すべく加速を開始している。
小型艇であるマグパイ1では艦隊の巡航速度に追いつけないので、途中で拾ってもらえるポイントを見定め、航路を設定していた。特に回避運動も必要なく、一定加速での航行であるため、自動操縦に任せていた。
(この位置だとギリギリ拾ってもらえるかしら。それが無理でも途中まで行けば、拾いに来てくれるでしょう。少し休ませてもらおうかしら……)
操縦席のシートを倒し、天井を見つめていた。
(この戦いは何だったのかしら。これだけ情報がないと、何のための戦いなのか全く分からないわ。どちらにしても一波乱あるわね。戦争になるかは分からないけれど……)
イングリス大尉は五時間後に艦隊に最接近することを確認し、静かに目を閉じた。
■■■
宇宙暦四五一四年五月十六日 標準時間〇六時〇〇分
アルビオン軍重巡航艦サフォーク05はターマガント星系をゆっくりと航行している。
ターマガント星系は昨日の戦闘が嘘のように静かだった。
ゾンファ艦隊は戦闘終了の十三時間後、一五三〇にゾンファ共和国の支配星系ハイフォン星系にジャンプしていった。
大破し漂流していたゾンファ共和国軍の軽巡航艦ヤンズは、ゾンファ艦隊がジャンプする数時間前に、生き残った乗組員を脱出させた後、自爆した。
艦長のホアン・ウェンデン中佐はただ一人脱出せず、艦と運命を共にした。
駆逐艦ヴェルラム06は戦闘宙域に戻り、生存者の乗る脱出ポッドを回収し、二十八名の味方と約五十名のゾンファ軍将兵を救出した。
サフォークの雑用艇であるマグパイ1は同日〇八〇〇に無事帰還した。
ヴェルラム06は艦隊に合流し、負傷者を乗せた後、捕虜の一部と共にアテナ星系に向かった。
現在、ターマガント星系には主砲を損傷した重巡サフォークと、臨時旗艦であるファルマスの二隻だけが残っている。
クリフォードは戦闘指揮所の戦術士席で物思いに耽っていた。
(第二十一哨戒艦隊には五百九十七人の乗組員がいた。そのうち戦死者二百三十四人。重傷者二十五人……三隻の駆逐艦から助け出せたのは、結局二十八人だけだった……アリンガム少佐は僕が指揮を執らなかったら、こんなものでは済まなかったと言ってくれたけど、慰めにはならないな。特にサフォークの盾になって沈んだウィザードには感謝の言葉しかない……)
彼が物思いに耽っていると、後ろから航法長のジュディ・リーヴィス少佐が肩を叩いてきた。彼女は体調不良から回復し、通常勤務に戻っている。
「戦死者のことを考えているんだろうが、割り切るしかないぞ」
彼女は大柄な体格に似合った低い声でクリフォードに話しかけてきた。
彼は後ろを振り返りながら、百九十センチメートルを超える長身の航法長を見上げた。
「分かってはいるのですが……今回の指揮官は私でしたし、責任は私にあるわけですから……」
「そうだな。確かに君の責任だ。しかし、君の指揮のおかげで助かった者もいる。私もその一人だが、生き残った者たちのことも考えてやれ」
クリフォードには言っている意味が分からなかった。
首をかしげていると、リーヴィス少佐が話を続けていった。
「今回の戦いでは実際に戦いに関与できたのは極少数なのだよ。私もそうだが、戦闘に加わらずに生き残った者は、自分たちは何もしていないのに生き残ってしまったと考えてしまう。そんな奴らが充分に仕事をした君が落ち込んでいるのを見ればどう思う? 余計に落ち込んでしまうんだよ」
「すみませんでした。気を付けます」
クリフォードが真面目な表情で謝ると、リーヴィス少佐は豪快な笑い声を上げて、もう一度彼の肩を叩いた。
「ハハハ! 私は気にしていないよ。生き残ったのは自分の運だと割り切っているからな。だから、君ももう少し開き直れ」
そこで声を小さくして、彼にだけ話す。
「君は士官なんだ。部下たちに演技を見せるのも仕事のうちだぞ」
それだけ言うと手を振って離れていった。
クリフォードは去っていく航法長に心の中で頭を下げる。
(まだまだだな、僕は。でも、こう言っては失礼だけど、意外と少佐も気が回るんだな……意外といい奥さんになりそうな感じだな。もちろん、僕は勘弁して欲しいけど……)
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