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第二章「王国侵攻編」
第三十一話「防諜対策」
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テスジャーザ攻略に先立ち、ラントは神聖ロセス王国内部に更なる亀裂を作る策を強化した。
まず行ったのはテスジャーザにいる義勇兵、聖トマーティン兵団に対する謀略だ。
天魔女王アギーらに語ったように、テスジャーザに潜入させているサキュバスたちに命じ、義勇兵たちにテスジャーザ市民が彼らを疎んでいるという話を刷り込む。
サキュバスたちは自分たちを慕う人族の娼婦に、店で商売する方が楽であり、数も捌けると唆していた。
「……国のために命を懸けて立ち上がってくれた兵隊さんたちに失礼だと思うわ……こんなテントじゃなく、町の中で泊まってくれれば、私のところにも頻繁に通ってもらえるのに……」
娼婦は甘い声で若い兵士にささやく。
「それは店に来てほしいってだけだろ」
「そんなことないわ」と娼婦は少し拗ねたような口調で言った後、深刻そうな表情を浮かべる。
「それにね。町で店主を殺した話もそいつが兵隊さんたちを馬鹿にしたからって聞いているし、すぐそこまで魔族が来ているのに、こんなところにいたら戦う前に疲れてしまうわ。そうなったら私たちもどうなるか……それが不安なのよ」
「その時は俺が守ってやる。だが、確かに町の連中の言い分は許せんところがある。俺たちは命懸けで戦おうとしているのに、奴らはいざとなれば降伏すればいいと思っていやがる。それが神や聖王陛下に対する裏切りだと全然考えていない」
「そうね。私のところに来る商人のお客さんも、魔帝は降伏した住民を殺さないし、税金も安くなるからそっちの方がいいって言っていたわ」
娼婦が持ち込んだ酒に酔っている兵士は感情が高ぶる。
「そ、そんなことを言っているのか! 許せんな」
そんな話が多くの娼婦用テントで話されていた。
娼婦の数は多くなかったが、若い兵士たちに広がるのに時間は掛からなかった。
五月十日から総司令官ペルノ・シーバスの命令で、聖トマーティン兵団の兵士たちは町の中に入り、戦闘準備を始めた。
その中には住民たちを強制的に避難させるという仕事もあった。
「明日の朝までにこの町から退去せよ。明日の朝、ここに残っていたら叩き出す。これは命令だ」
その高圧的な態度に住民たちは反発する。
「そんな話は聞いていないぞ! ご領主様がそんなことを認めるわけがねぇ!」
「侯爵閣下も認めておられる。嘘だと思うなら侯爵家の屋敷に行ってみればいい」
兵士はそれだけ告げると、次の家に向かった。
住民たちは町の中央にある領主の館に集まっていく。そして、口々に義勇兵たちの横暴を訴える。
「奴らは明日の朝までに出て行けっていうんです! こっちには商売もあるんだ! そんな急に出ていけるわけがねぇ!」
「うちには年寄りも小さい子供もいるんです! 連れて逃げるなんてできません! 何とかしてください!」
それに対し、テスジャーザ侯爵家の文官が出てきて、彼らに対応する。
「これは王国の命令なのだ! 侯爵閣下も強く反対されたが、王国軍の司令官はそれを認めなかった。だから、速やかに脱出の準備をしろ! 残された時間は少ないぞ!」
それに対し、民衆は怒りを爆発させる。
「無理だ! そんな横暴が許されるのか!」
「親父やお袋に死ねっていうのか!」
怒号が響くが、文官は何も言わずに屋敷の中に入ってしまう。
翌日、鬱憤が溜まっている兵士たちは情け容赦なく、住民たちを追い出していく。
「ここに残る者は裏切り者として処刑してよいと命令を受けている! 死にたくなかったらすぐに出ていけ!」
そう言って剣を抜く。その目は据わっており、住民たちは慌てて家を出ていくしかなかった。
次の日も同じように別の地区で同じような事態が発生し、テスジャーザの町は大混乱に陥っていた。
その情報を諜報員から得たラントは作戦がうまくいったと喜んだものの、すぐに違和感を覚えた。
(王国軍と住民に溝ができたことはいい。だが、これほど強硬に王国軍が住民を避難させるのはなぜだ? 町の中で決戦を挑むつもりなのか?)
その疑問を鬼神王ゴインや天魔女王アギーら八神王たちにぶつける。
脳筋であるゴインは肩を竦めた。
「俺には分からねぇ。人族の奴らがやる気になったんなら受けて立つが」
アギーにも同じ質問をするが、彼女も困惑の表情を浮かべる。
「私にも分かりかねますわ。陛下の策が上手くいっただけではございませんか?」
東の都市の攻略を終え、ナイダハレルに戻ってきた神龍王アルビンは全く気にしていなかった。
「人族が町を墓場に選んだだけだろう。住民がおらんのなら焼き払っても問題なかろう」
そう言ってにやりと笑う。
ラントは呆れるが、彼に聞いても埒が明かないと考え、知力が高く、知識も豊富な魔導王オードに視線を向けた。
「常識的に考えれば、籠城の準備ではないかと思う。籠城に民間人は不要であるから、住民たちへの見せしめのために、非協力的な者を強制的に排除したのだろう。ロセス神兵隊の指揮官が戻ったことと合わせて考えると、我らの進軍が早まると判断したのかもしれぬ」
その答えにラントは頷く。
「なるほど。確かにそれならば考えられるな。さすがは魔導王だ。巨神王タレットよ、君の意見は?」
腕を組み静かに目を瞑っている巨体の主、巨神王タレットに話を振る。
タレットはゆっくりと目を開けると、静かに話し始めた。
「魔導王殿の考えが正しいのではないかと。他にも神龍王殿らが戻ってきたことに気づいたのかもしれませんな」
「確かに天翔兵団は目立つ。町を見張っていれば遠くからでも気づくだろう。神龍王たちが戻ったのならすぐにでも進軍すると判断してもおかしくはない。だから、慌てて籠城の準備を始めた……充分にあり得る話だ。巨神王よ、参考になった」
ラントはアギーに視線を向けた。
「潜入している諜報員は各自の判断で脱出させてくれ。情報の収集より生きて戻ってくることを優先するよう強く言っておいてほしい」
「承りましたわ。ですが、よろしいのでしょうか? 敵の様子が分からなくなりますが」
「仕方あるまい。上空からの偵察を増やし、敵の動きを監視する。他にもシャドウアサシンを投入する。但し、こちらも生還を第一に考える」
偵察隊は常時テスジャーザの上空に張り付くようになった。
シャドウアサシンたちだが、潜入に成功したものの、すぐに帰還してきた。
「大したものではないのですが、結界らしきものが張られておりました。正体が分からないため、一度陛下のご判断を仰ぐべく、戻ってまいりました」
「城壁全体に結界? 全周で六キロほどあったはずだが……」
ラントはその報告に驚き、魔法の権威であるオードとアギーに確認する。
「私は魔法について疎いが、これほど広範囲に結界を張れるものなのか?」
その問いにオードが答える。
「我らならば問題なく展開できるが、人族の魔術師では難しいだろう。もっとも大規模な魔法陣を使えばできぬことはないが」
アギーもそれに同意する。
「私も魔導王殿と同じ意見でございます。以前、人族は聖都ストウロセスに結界を張ったことがございます。防御用ならばともかく、監視用であればそれほど難しくないはずですわ」
「そうか……ならば、シャドウアサシンたちの潜入は諦めた方がよいな。潜入している諜報員たちもできるだけ早く脱出するように命じてくれ」
そう命じながらもラントは不安を感じていた。
(敵の状況が分からなくなった。敵も対応し始めたということか……だが、こちらが圧倒的に有利であることは間違いない。僕が失敗さえしなければ、問題はないはずだ……)
ラントはそう考え、気を引き締めた。
まず行ったのはテスジャーザにいる義勇兵、聖トマーティン兵団に対する謀略だ。
天魔女王アギーらに語ったように、テスジャーザに潜入させているサキュバスたちに命じ、義勇兵たちにテスジャーザ市民が彼らを疎んでいるという話を刷り込む。
サキュバスたちは自分たちを慕う人族の娼婦に、店で商売する方が楽であり、数も捌けると唆していた。
「……国のために命を懸けて立ち上がってくれた兵隊さんたちに失礼だと思うわ……こんなテントじゃなく、町の中で泊まってくれれば、私のところにも頻繁に通ってもらえるのに……」
娼婦は甘い声で若い兵士にささやく。
「それは店に来てほしいってだけだろ」
「そんなことないわ」と娼婦は少し拗ねたような口調で言った後、深刻そうな表情を浮かべる。
「それにね。町で店主を殺した話もそいつが兵隊さんたちを馬鹿にしたからって聞いているし、すぐそこまで魔族が来ているのに、こんなところにいたら戦う前に疲れてしまうわ。そうなったら私たちもどうなるか……それが不安なのよ」
「その時は俺が守ってやる。だが、確かに町の連中の言い分は許せんところがある。俺たちは命懸けで戦おうとしているのに、奴らはいざとなれば降伏すればいいと思っていやがる。それが神や聖王陛下に対する裏切りだと全然考えていない」
「そうね。私のところに来る商人のお客さんも、魔帝は降伏した住民を殺さないし、税金も安くなるからそっちの方がいいって言っていたわ」
娼婦が持ち込んだ酒に酔っている兵士は感情が高ぶる。
「そ、そんなことを言っているのか! 許せんな」
そんな話が多くの娼婦用テントで話されていた。
娼婦の数は多くなかったが、若い兵士たちに広がるのに時間は掛からなかった。
五月十日から総司令官ペルノ・シーバスの命令で、聖トマーティン兵団の兵士たちは町の中に入り、戦闘準備を始めた。
その中には住民たちを強制的に避難させるという仕事もあった。
「明日の朝までにこの町から退去せよ。明日の朝、ここに残っていたら叩き出す。これは命令だ」
その高圧的な態度に住民たちは反発する。
「そんな話は聞いていないぞ! ご領主様がそんなことを認めるわけがねぇ!」
「侯爵閣下も認めておられる。嘘だと思うなら侯爵家の屋敷に行ってみればいい」
兵士はそれだけ告げると、次の家に向かった。
住民たちは町の中央にある領主の館に集まっていく。そして、口々に義勇兵たちの横暴を訴える。
「奴らは明日の朝までに出て行けっていうんです! こっちには商売もあるんだ! そんな急に出ていけるわけがねぇ!」
「うちには年寄りも小さい子供もいるんです! 連れて逃げるなんてできません! 何とかしてください!」
それに対し、テスジャーザ侯爵家の文官が出てきて、彼らに対応する。
「これは王国の命令なのだ! 侯爵閣下も強く反対されたが、王国軍の司令官はそれを認めなかった。だから、速やかに脱出の準備をしろ! 残された時間は少ないぞ!」
それに対し、民衆は怒りを爆発させる。
「無理だ! そんな横暴が許されるのか!」
「親父やお袋に死ねっていうのか!」
怒号が響くが、文官は何も言わずに屋敷の中に入ってしまう。
翌日、鬱憤が溜まっている兵士たちは情け容赦なく、住民たちを追い出していく。
「ここに残る者は裏切り者として処刑してよいと命令を受けている! 死にたくなかったらすぐに出ていけ!」
そう言って剣を抜く。その目は据わっており、住民たちは慌てて家を出ていくしかなかった。
次の日も同じように別の地区で同じような事態が発生し、テスジャーザの町は大混乱に陥っていた。
その情報を諜報員から得たラントは作戦がうまくいったと喜んだものの、すぐに違和感を覚えた。
(王国軍と住民に溝ができたことはいい。だが、これほど強硬に王国軍が住民を避難させるのはなぜだ? 町の中で決戦を挑むつもりなのか?)
その疑問を鬼神王ゴインや天魔女王アギーら八神王たちにぶつける。
脳筋であるゴインは肩を竦めた。
「俺には分からねぇ。人族の奴らがやる気になったんなら受けて立つが」
アギーにも同じ質問をするが、彼女も困惑の表情を浮かべる。
「私にも分かりかねますわ。陛下の策が上手くいっただけではございませんか?」
東の都市の攻略を終え、ナイダハレルに戻ってきた神龍王アルビンは全く気にしていなかった。
「人族が町を墓場に選んだだけだろう。住民がおらんのなら焼き払っても問題なかろう」
そう言ってにやりと笑う。
ラントは呆れるが、彼に聞いても埒が明かないと考え、知力が高く、知識も豊富な魔導王オードに視線を向けた。
「常識的に考えれば、籠城の準備ではないかと思う。籠城に民間人は不要であるから、住民たちへの見せしめのために、非協力的な者を強制的に排除したのだろう。ロセス神兵隊の指揮官が戻ったことと合わせて考えると、我らの進軍が早まると判断したのかもしれぬ」
その答えにラントは頷く。
「なるほど。確かにそれならば考えられるな。さすがは魔導王だ。巨神王タレットよ、君の意見は?」
腕を組み静かに目を瞑っている巨体の主、巨神王タレットに話を振る。
タレットはゆっくりと目を開けると、静かに話し始めた。
「魔導王殿の考えが正しいのではないかと。他にも神龍王殿らが戻ってきたことに気づいたのかもしれませんな」
「確かに天翔兵団は目立つ。町を見張っていれば遠くからでも気づくだろう。神龍王たちが戻ったのならすぐにでも進軍すると判断してもおかしくはない。だから、慌てて籠城の準備を始めた……充分にあり得る話だ。巨神王よ、参考になった」
ラントはアギーに視線を向けた。
「潜入している諜報員は各自の判断で脱出させてくれ。情報の収集より生きて戻ってくることを優先するよう強く言っておいてほしい」
「承りましたわ。ですが、よろしいのでしょうか? 敵の様子が分からなくなりますが」
「仕方あるまい。上空からの偵察を増やし、敵の動きを監視する。他にもシャドウアサシンを投入する。但し、こちらも生還を第一に考える」
偵察隊は常時テスジャーザの上空に張り付くようになった。
シャドウアサシンたちだが、潜入に成功したものの、すぐに帰還してきた。
「大したものではないのですが、結界らしきものが張られておりました。正体が分からないため、一度陛下のご判断を仰ぐべく、戻ってまいりました」
「城壁全体に結界? 全周で六キロほどあったはずだが……」
ラントはその報告に驚き、魔法の権威であるオードとアギーに確認する。
「私は魔法について疎いが、これほど広範囲に結界を張れるものなのか?」
その問いにオードが答える。
「我らならば問題なく展開できるが、人族の魔術師では難しいだろう。もっとも大規模な魔法陣を使えばできぬことはないが」
アギーもそれに同意する。
「私も魔導王殿と同じ意見でございます。以前、人族は聖都ストウロセスに結界を張ったことがございます。防御用ならばともかく、監視用であればそれほど難しくないはずですわ」
「そうか……ならば、シャドウアサシンたちの潜入は諦めた方がよいな。潜入している諜報員たちもできるだけ早く脱出するように命じてくれ」
そう命じながらもラントは不安を感じていた。
(敵の状況が分からなくなった。敵も対応し始めたということか……だが、こちらが圧倒的に有利であることは間違いない。僕が失敗さえしなければ、問題はないはずだ……)
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