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プロローグ
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「きおくをもらえる?」
「そうなんだ。忘れたいことある?」
小さな公園で二人の小さな子供が話していた。
「うーん」
ブランコを思い切りこぎながら少し考えた様子の彼女は「あ」と思い出した様子で口を開いた。
「みんなの前でこけちゃったこととか?」
眉を下げて笑う君は、夕日に照らされたせいか、少し頬が赤い。
「僕がもらってあげようか?」
ブランコを止めて手を差し出すと、彼女もブランコを止めて手のひらを見つめた。
「ううん。だいじょぶ!忘れたいけど、忘れたくない」
「どうして?」
「それもだいじなきおくだから!」
にっと笑った彼女はまっすぐな目をしていた。
「じゃあなんで僕とあそぶの?」
彼女はとても不思議そうに目を見つめた。
「みんなは僕に特別な力があるから遊んでくれるんだ。もらって欲しいきおくがないなら、なんで?」
「ちからとか関係ないよ!わたしにはよくわからないけど、君は君だよ!」
彼女がそう言ったあと、彼は静かに涙をこぼした。
彼女は慌てていたけれど、彼にとって一番欲しかった言葉をかけてくれたんだと思う。
「そうなんだ。忘れたいことある?」
小さな公園で二人の小さな子供が話していた。
「うーん」
ブランコを思い切りこぎながら少し考えた様子の彼女は「あ」と思い出した様子で口を開いた。
「みんなの前でこけちゃったこととか?」
眉を下げて笑う君は、夕日に照らされたせいか、少し頬が赤い。
「僕がもらってあげようか?」
ブランコを止めて手を差し出すと、彼女もブランコを止めて手のひらを見つめた。
「ううん。だいじょぶ!忘れたいけど、忘れたくない」
「どうして?」
「それもだいじなきおくだから!」
にっと笑った彼女はまっすぐな目をしていた。
「じゃあなんで僕とあそぶの?」
彼女はとても不思議そうに目を見つめた。
「みんなは僕に特別な力があるから遊んでくれるんだ。もらって欲しいきおくがないなら、なんで?」
「ちからとか関係ないよ!わたしにはよくわからないけど、君は君だよ!」
彼女がそう言ったあと、彼は静かに涙をこぼした。
彼女は慌てていたけれど、彼にとって一番欲しかった言葉をかけてくれたんだと思う。
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