ショートショート短編SS 置き場

「#女か竜かBL」

　旧ツイッター企画に参加作品。

「半ば狂った王がいる王国。そこでは王により罪が決まり罰が下される。その罪は女か竜、どちらかの扉を選ぶこと。女を選べばその女を○○ることが出来、無罪となる。竜を選べばその竜に食い殺され有罪となる。そんな国の王子と恋に落ちた美丈夫。王の知るところとなり美丈夫には罰が下される。愛する美丈夫の為に扉の秘密を調べた王子は、判決の場で美丈夫に合図をする。さて、王子が指示した扉は、女か竜か」
その続きを書き始める企画でした。

◇◆◇



　王子が静かに指示したのは竜の扉だった。　
　王はニヤニヤと笑う「お前も私と同類ではないか」と。

　女に愛する者を奪われるなら殺そうとする身勝手なところが似ていると言いたいらしい。



「そうですね。血族の事を重んじず残酷なのは同じかも」と王子が答える。
　美丈夫は一瞬ためらうがその胸に光る牙のペンダントを王子に投げると迷いなく扉をあけ中に吸い込まれた。


　扉の中からは竜の雄たけびとうなり声が響く。

「ぶぁっははは。食われおったか！　あっけないのお」
　ニヤニヤとしながら王が王子をみる。背後に控える宰相や側近達も笑っていた。

「そうでしょうか？」
　王子は手の中のペンダントの先にある牙を自分の胸につきさした。白い牙が赤くそまっていく。

「王子よ、何をしているのだ？」不審に思った王が問う。

　王子は微笑すると王に向き直った。

「今日限りわたしは人間をやめます。こんな国や王族に未練などはない」

　赤い牙は今や王子の胸に痣となり広がり、うろこへと変化していく。



「お……お前？なにを？？」

「彼は私を人から竜にしてもいいのか悩んでいたのです」

　美丈夫は竜人だったのだ。ほどなく竜の扉が開く。

『結界は壊した。仲間もとりもどした。お前は後悔しないか』

「もちろん。貴方と一緒ならどこに行こうと幸せだ」
『良かろう。その言葉に決して後悔はさせないと誓おう』

　竜の姿となった美丈夫と王子は城を壊し仲間と共に自由に空へと舞い上がった。
　


　　ハピエン♪





　　　　　　　　　　　　　　　おわり。