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「ある夏の昼下がり」
しおりを挟む【ふと気が付けば、あれだけ響いていた蝉の鳴き声がピタリと止んでいた】に続く書き出し企画。
ある夏の昼下がり。俺はあいつに校舎裏に呼び出された……。
旧ツイッターの#蝉の音書き出し企画 に参加したショートショートです。ちょびっと書き下ろし追加あり。
ふと気が付けば、あれだけ響いていた蝉の鳴き声がピタリと止んでいた。
ゆっくりとスローモーションであいつがこちらに近づいてくる。
俺の目は固定されたようにあいつの動きをひたすら追っていた。
歩く度に揺れる艶のある黒髪。切れ長の瞳。褐色の肌。そのすべてが眩しかった。
濡れるような黒曜石の瞳と目が合った瞬間。俺の心臓の鼓動が跳ね上がり、全ての時間が止まった。
昔から異性には友達以上の感情を持てなかったが、同姓が好きだとはっきりと自覚したのは初めてだった。あいつ以外の者は俺の視界から消え、周りの音さえ聞こえなくなった。
あいつとはクラス替えで一緒になるまでは同じ学年だとも思っていなかった。向こうもそうだろう。
隣の席になるまでは俺達は話す機会すらなかっただろうに。なのに今は息もかかるくらいこんなにも至近距離にいる。
筋肉質の陽に焼けた腕が俺の腰に回った。頭の隅で警戒音がするがもう逃げられない。
夏休みとはいえ、運動部の生徒達は練習を行っている。
そんな中、あいつは俺を人気のない校舎裏に呼び出した。
「キスしてもいいか?」
目じりを赤く染めたあいつが囁く。俺はうるさいくらいに騒ぎ出す心臓の音を聞きながら軽く頷いて目を閉じた。
唇の上に濡れた感触がしたのはほんの一瞬。
うっすらと目を開けるとギラついた瞳に射抜かれる。
腰を強く押し付けられ互いの股間が固くなっているのがわかる。
息が上がる。でもどうしたらいいのかわからない。
あいつの股間をズボンの上から触れてみた。
かなりおっきい……。目を丸くするとにやりと笑われた。
校舎の壁に押し付けられて今度はゆっくりとキスをされた。
「い……一緒に」
俺はもうそれしか言えなかった。
ジッパーを降ろすと互いのモノを握り合って擦り上げた。
他人の手でされる事による興奮度はこの上なかった。
……もう後には戻れない。
了。
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