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番外編
番外編 竜たちの宴02
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竜は幼齢のうち、最初の10~20年余りは色もあまり目立たない。中にはその柔らかい身体をまもるために鱗や棘で覆われてるものもいる。ホワイトもそうであった。小さな身体は薄鼠色で棘に覆われていたのだ。
「近寄るなよ。トゲトゲ野郎!お前が近づくとみんな怪我するじやないか!」
まわりの幼齢たちの心ない言葉に傷ついた。しかし、実際近くにいるだけで柔らかい体の幼齢たちに傷をつけていた。少しづつ皆んなと距離を置き、とうとうひとりぼっちで過ごすことになってしまった。
「おい、そこのチビ。お前はどうしていつも独りでいるんだい?」
声をかけてくれたのがアンバーだった。
「僕、トゲトゲで皆んなを傷つけちやうんだ」
「なんだ?そんなことで離れていたのか?お前は優しい子だな。ならば俺といろよ。俺の体は硬いからお前の棘など痛くもないぞ」
おずおずと触ったその身体は鍛えられた筋肉に覆われていた。その上アンバーは土竜のため自分の意思で身体を岩のように硬くすることができた。
「僕は色も汚いし、こんなにも醜い。身体もトゲトゲだから皆んなを傷つけて迷惑かけちやうんだ。僕はなんで生まれてきたんだろう」
僕は小さな体を丸めた。自分の醜い身体を出来るだけ隠すように。
「おいチビ!そんなに自分を卑下するな。自分の事を愛してやれ」
「自分のことを愛す?」
「そうだ、自分自身を愛して大事に出来ないやつに皆を護れる資格なぞない。他を愛し、護ってやれる、そんな竜になってくれ。お前ならなれる」
「そうなの?僕……皆を護れるようになれる?」
「ああ、なれるとも!だから自分の事を好きになってごらん」
「うん。わかった。僕、自分の事を好きになるよ!」
そして、いつかアンバーみたいに強くなるんだ。
その日から自分の目指す理想像を頭に描いた。まずは自分を好きにならなきゃ。
じゃあそのためには少しでも理想に近づかないと!
アンバーみたいになりたい。
うっとりするようなあの鍛えられた筋肉。そうだ!筋トレを始めよう。
だが闇雲に鍛えても身体を壊すだけだった。
「おいおい、無理するなよ。チビはまだ幼齢なんだから身体の組織が出来上がってないんだ。少しずつ今の体の大きさにあわせて負荷を増やしていけばいい。毎日の積み重ねが大切なんだ」
「うん。わかった!」
そうだ日々の努力は必ず自分の糧になる。くよくよするなら動こう。
それから毎日課題を書き出して次の日のトレーニングスケジュールに無理のないように組み入れていった。
徐々に力もつき、食欲も増え身体も大きくなっていった。
まだまだ他の竜の前には出づらいが、僕はアンバーの前では自然体でいれた。
わがままを言って甘えたときもある。そんな僕をアンバーはいつも優しく受け止めてくれた。
そんなある日、アンバーが竜騎士団にもどる日が来た。もともと期限付きだったのだ。
純血種の竜の卵は産まれる確率も孵化する確立も低い。幼齢時は特に体も小さく耐性もないので成体になるまでに命を落とす危険も高い。その為成体になった竜たちが交代で護る事になっていた。
「アンバー、大きくなったら僕きっと会いに行くからね!」
行かないでとは言えなかった。アンバーは竜騎士団。皆を護る立派な竜なんだ。
「おう!待ってるぞ!お前はきっと素敵な竜になるさ!」
僕はしばらくして身体のトゲトゲも徐々になくなり、くすんだネズミ色からかがやくような真っ白へと脱皮し成長した。その頃には周りからはホワイトと呼ばれるようになっていた。
毎日の鍛錬で鍛えられた身体を手に入れると、同時により自分を好きになろうと更に目標を高くしていく。
アンバーに会う時に恥ずかしくないように。
そうだ、下をむいてばかりじゃアンバーに呆れられるかも。まっすぐに前を向こう。
背筋を伸ばし、胸を張って歩けるように。立ち居振る舞いにも気をつけなきゃ。
美しく、優雅にエレガントに。そうだ明日の僕は今日の僕よりも素晴らしい。
もっと。もっと自分を好きにならなくちゃ。好きになるために自分を磨かなくては!
ホワイトは知識を習得することにも力をいれた。
「戦い方にもエレガントさを入れなくては」
まずはあるべき自分を目標に置き、目標にたどり着くためにはどうすればいいのかを考え、次にそのためのやるべきことを事細かく決めて行った。
自然と身に着いたのはものの考え方で、いつの間にかホワイトは戦術だけでなく算術、学術にも秀でるようになっていた。
アンバーに教えられたようにホワイトは自分を好きなる努力を続け周りからはナルシストと呼ばれるようになる。だが彼にはそれは褒め言葉に聞こえるのだ。
~~~~~~~~~
「今日からドラゴン城の一員。なんだかまだ信じられない」
初日は張り切りしすぎて少々自己紹介が長くなってしまった。
もっと簡潔にわたしの素晴らしさをまとめるようにしなければ!
この世界を護る任務が自分には与えられている。それだけで誇らしかった。
そして何よりも嬉しかったのは以前よりも精悍になっていたアンバーだった。
「でも、僕の事を覚えているだろうか……?」
長く生きる竜にとって100年や200年などたわいものない。
ましてや一緒に過ごしたほんの10数年なんて、記憶のかなたなのかもしれない。
「近寄るなよ。トゲトゲ野郎!お前が近づくとみんな怪我するじやないか!」
まわりの幼齢たちの心ない言葉に傷ついた。しかし、実際近くにいるだけで柔らかい体の幼齢たちに傷をつけていた。少しづつ皆んなと距離を置き、とうとうひとりぼっちで過ごすことになってしまった。
「おい、そこのチビ。お前はどうしていつも独りでいるんだい?」
声をかけてくれたのがアンバーだった。
「僕、トゲトゲで皆んなを傷つけちやうんだ」
「なんだ?そんなことで離れていたのか?お前は優しい子だな。ならば俺といろよ。俺の体は硬いからお前の棘など痛くもないぞ」
おずおずと触ったその身体は鍛えられた筋肉に覆われていた。その上アンバーは土竜のため自分の意思で身体を岩のように硬くすることができた。
「僕は色も汚いし、こんなにも醜い。身体もトゲトゲだから皆んなを傷つけて迷惑かけちやうんだ。僕はなんで生まれてきたんだろう」
僕は小さな体を丸めた。自分の醜い身体を出来るだけ隠すように。
「おいチビ!そんなに自分を卑下するな。自分の事を愛してやれ」
「自分のことを愛す?」
「そうだ、自分自身を愛して大事に出来ないやつに皆を護れる資格なぞない。他を愛し、護ってやれる、そんな竜になってくれ。お前ならなれる」
「そうなの?僕……皆を護れるようになれる?」
「ああ、なれるとも!だから自分の事を好きになってごらん」
「うん。わかった。僕、自分の事を好きになるよ!」
そして、いつかアンバーみたいに強くなるんだ。
その日から自分の目指す理想像を頭に描いた。まずは自分を好きにならなきゃ。
じゃあそのためには少しでも理想に近づかないと!
アンバーみたいになりたい。
うっとりするようなあの鍛えられた筋肉。そうだ!筋トレを始めよう。
だが闇雲に鍛えても身体を壊すだけだった。
「おいおい、無理するなよ。チビはまだ幼齢なんだから身体の組織が出来上がってないんだ。少しずつ今の体の大きさにあわせて負荷を増やしていけばいい。毎日の積み重ねが大切なんだ」
「うん。わかった!」
そうだ日々の努力は必ず自分の糧になる。くよくよするなら動こう。
それから毎日課題を書き出して次の日のトレーニングスケジュールに無理のないように組み入れていった。
徐々に力もつき、食欲も増え身体も大きくなっていった。
まだまだ他の竜の前には出づらいが、僕はアンバーの前では自然体でいれた。
わがままを言って甘えたときもある。そんな僕をアンバーはいつも優しく受け止めてくれた。
そんなある日、アンバーが竜騎士団にもどる日が来た。もともと期限付きだったのだ。
純血種の竜の卵は産まれる確率も孵化する確立も低い。幼齢時は特に体も小さく耐性もないので成体になるまでに命を落とす危険も高い。その為成体になった竜たちが交代で護る事になっていた。
「アンバー、大きくなったら僕きっと会いに行くからね!」
行かないでとは言えなかった。アンバーは竜騎士団。皆を護る立派な竜なんだ。
「おう!待ってるぞ!お前はきっと素敵な竜になるさ!」
僕はしばらくして身体のトゲトゲも徐々になくなり、くすんだネズミ色からかがやくような真っ白へと脱皮し成長した。その頃には周りからはホワイトと呼ばれるようになっていた。
毎日の鍛錬で鍛えられた身体を手に入れると、同時により自分を好きになろうと更に目標を高くしていく。
アンバーに会う時に恥ずかしくないように。
そうだ、下をむいてばかりじゃアンバーに呆れられるかも。まっすぐに前を向こう。
背筋を伸ばし、胸を張って歩けるように。立ち居振る舞いにも気をつけなきゃ。
美しく、優雅にエレガントに。そうだ明日の僕は今日の僕よりも素晴らしい。
もっと。もっと自分を好きにならなくちゃ。好きになるために自分を磨かなくては!
ホワイトは知識を習得することにも力をいれた。
「戦い方にもエレガントさを入れなくては」
まずはあるべき自分を目標に置き、目標にたどり着くためにはどうすればいいのかを考え、次にそのためのやるべきことを事細かく決めて行った。
自然と身に着いたのはものの考え方で、いつの間にかホワイトは戦術だけでなく算術、学術にも秀でるようになっていた。
アンバーに教えられたようにホワイトは自分を好きなる努力を続け周りからはナルシストと呼ばれるようになる。だが彼にはそれは褒め言葉に聞こえるのだ。
~~~~~~~~~
「今日からドラゴン城の一員。なんだかまだ信じられない」
初日は張り切りしすぎて少々自己紹介が長くなってしまった。
もっと簡潔にわたしの素晴らしさをまとめるようにしなければ!
この世界を護る任務が自分には与えられている。それだけで誇らしかった。
そして何よりも嬉しかったのは以前よりも精悍になっていたアンバーだった。
「でも、僕の事を覚えているだろうか……?」
長く生きる竜にとって100年や200年などたわいものない。
ましてや一緒に過ごしたほんの10数年なんて、記憶のかなたなのかもしれない。
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