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2章 竜騎士団編
52.偵察
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「俺がアキトくんを乗せて王都に出向く」
琥珀色の髪をなびかせて穏やかなアンバーの声があたりに響く。
「なっ?!何を言い出すっ?だめだ!いくら優しく慈悲深い私でもそれだけは許さないよ!アンバー。君はすぐに単独行動をとろうとする。この私が認めない限り勝手な行動はさせないからね!」
ホワイトが必死でアンバーを止めにはいる。
「なに大丈夫さ。俺が土に擬態できるのはお前も知ってるだろう?」
「ばかっ!擬態が出来るとかそんなことじゃないっ!もしも本当に王都に不穏な動きがあったらお前の事だ!誰よりも先に突っ込んでいくでしょうが!!!」
「……もしもの話じゃないか。」
「やめてくれ。普段の視察などではない。戦だったら、お前に何かあったら……私は生きてはいられぬ……」
ホワイトさんの悲痛な表情からどれだけアンバーさんを大事に想ってるかがうかがい知れる。
「アンバーさん、今回はここにとどまってください。竜騎士団として動かないほうがいいというのはわかりました。なおのこと、僕が動いた方が良いでしょう?僕なら見習いだし……」
「アキトっ。それはダメだ!ベットに縛り付けてでも行かせねえ!」
アキトの声をエドガーが遮った。
……エドガー。なんでベットなんだよ。皆がいるのに恥ずかしいだろっっ。
「ホワイト。俺が言い出したら聞かないのはわかっているだろう?」
「……」
アンバーが静かに言い聞かすようにホワイトに詰めよる。
ピリっとした空気が流れた。
「はぁ、変な噂が出てるから嫌な気はしていたんだ。ならば魔法契約をしてくれ」
先に折れたのはホワイトだった。
「あぁ。お前の気のすむようにしてくれてかまわない」
アンバーの緊張がほぐれる。細い目がさらに細くなりホワイトを見つめる。
「魔法契約?」
アキトが首をかしげると足元で声がした。
『相手の行動を縛る契約でしょうね』
いつの間にかクロが傍に来てするするとアキトの足に尻尾を巻きつかせ獣人に戻る。
「あまりに騒がしいので来てみたら、もめてるようですね?」
「それが……」
簡潔に今起こってる出来事をクロードに聞かせる。
「それでエドガーが引き攣った顔になってるんですね?」
「うるっせい!」
エドガーが苦虫をつぶしたような顔になった。
「黒猫は獣人であったのか?」
ホワイトが唖然としてこちらを見てきた。
「訳あってこの姿でおります。私はクロード。アキトのもう一人の伴侶です」
「エド。王都はまだ無事でしょう」
クロードが腕を組みながらエドガーに声をかける。尻尾はアキトに絡めたままだ。
「なんでそんなことが言えるんだよ」
「エマージェンシーコールがまだ届いてないからです」
「エマージェンシーコール?」
おおっ。なんかドラマで聞いたことがある。
「王都の城で何かがあればこちらに緊急連絡が入るようになってるのですよね?」
クロードがホワイトに向かってにっこり微笑む。なんだか怖いよ。どうしたんだクロ?
「……そうだ。良く知っておるな?」
ホワイトが片眉をあげて答える。
「この城と王都の城はリンクしているはず。本当はどこかでつながっているんでしょう?」
「何を根拠にそう思うのだ?」
ホワイトの美しい顔の眉間に深いしわができた。
「王様は動けない状態でしたが、常に竜騎士団の情報は入ってるようでした。でも城の周辺で竜を見たことはありません」
「だからなんだというのだ。定期的にここにはロックワイバーンが物資を届けに来る。その時に書簡を預けているのだとしたら?」
「いや、まて。俺がこの剣を。力の剣を譲渡されたとき、親父はすぐにこちらに了承を得たと言っていた。馬車に揺られて3~4日かかるほど悠長なことはしなかったぜ!」
エドガーが二人の間に割り込んできた。
「まったく。忍耐強い私でもこれには困りましたねえ。仮に繋がってるとして、貴方には教えられませんよ。ユリウスの弟君」
「なんだってんだ!どういうことだ!そりゃあ!?」
「ドラクルは本当はユリウスを団長にしたかったのではないか?だからお前にこの城の詳細を教えなかったんではないのか?」
「そんな……親父はそんなことはしねえ!」
「ホワイトさん、教えなかったのではなくて教えれなかったのではないでしょうか?」
クロードがほほ笑みながら言う。
「なんなんだね。君は先ほどから。この私に意見をするというのかい?」
「いいえ。ホワイトさんは頭脳明晰な方とお見受けしました。さすれば私の明察を聞いてもらえますか?」
「よかろう。言ってみるがよい。この私が直々に耳を傾けてやろう」
「はい。エドガーが団長に決まった時にはすでに内乱分子が王の傍にいた。それを王様本人もご存じでいらっしゃるのではないかと存じます」
「なんだと?!」
「ええ?!まさか?!」
「それはっ、どういうことなのか?この私に詳しく説明してみたまえ!」
「はい。王様は近いうちに王都が荒れる事を予測してエドガーをここに寄こしたのではないかと。それはきっとエドガーに絶対的な信頼を持っていたからでしょう。彼ならきっと騎士団をまとめ上げ皆を救ってくれると信じていたはず」
「そんな。どうしてユリウスではないのだ?!」
「それはアキトがユリウスを選ばなかったからです」
「え?僕?なんで僕……あ?魔女だから?」
「そうです。アキトは伝説の魔女の直系です。何故竜騎士団の団長が王族でならなければいけなかったのか?それはいつか出会うはずの魔女との再会のためではないでしょうか?」
「それって。魔女と会うものは王族でないと。いや、力の剣を持つものでないといけなかった?」
「そうです」
それって神竜の思い通りじゃ?
クロードが黙って微笑む。
「うむむ。確かにお前の言うことも一理あるな。伝説の勇者達の末裔を集めるためなら意味はわかる。ならば、再びこの地に動乱がこようとしてるのかもしれぬ。ココはその為に作られたようなものだからな」
「さすがホワイト殿!貴殿のような思慮深く聡明な方に出会えるなんて私は幸せ者でございます」
クロードの歯の浮くような言葉にエドガーの顔が歪む。それを見てクロードのこめかみがピクピクと動いた。
話をあわせろ!とばかりにクロードが睨むとハッとしたようにエドガーが続けた。
「そ。。そうだとも!ホワイトの名推理はすごいなぁ!なるほどぉ」
エドガー棒読みじゃん。
「いや、今のは私の考えではなく……まぁ。そう言うことなら理解は出来る」
「空を飛ぶなんて危険な事をせずとも、偵察に行ける方法を今回は使わせていただけないだろうか?」
クロードはあくまで低姿勢に努めるつもりらしい。
「クロードと言ったな?お前は、策士だな。」
「とんでもない。」
「この城の秘密は門外不出!気軽に教えるものではないのだ。それがわかってるんでしようね?」
「はい。心に刻んでおきます」
琥珀色の髪をなびかせて穏やかなアンバーの声があたりに響く。
「なっ?!何を言い出すっ?だめだ!いくら優しく慈悲深い私でもそれだけは許さないよ!アンバー。君はすぐに単独行動をとろうとする。この私が認めない限り勝手な行動はさせないからね!」
ホワイトが必死でアンバーを止めにはいる。
「なに大丈夫さ。俺が土に擬態できるのはお前も知ってるだろう?」
「ばかっ!擬態が出来るとかそんなことじゃないっ!もしも本当に王都に不穏な動きがあったらお前の事だ!誰よりも先に突っ込んでいくでしょうが!!!」
「……もしもの話じゃないか。」
「やめてくれ。普段の視察などではない。戦だったら、お前に何かあったら……私は生きてはいられぬ……」
ホワイトさんの悲痛な表情からどれだけアンバーさんを大事に想ってるかがうかがい知れる。
「アンバーさん、今回はここにとどまってください。竜騎士団として動かないほうがいいというのはわかりました。なおのこと、僕が動いた方が良いでしょう?僕なら見習いだし……」
「アキトっ。それはダメだ!ベットに縛り付けてでも行かせねえ!」
アキトの声をエドガーが遮った。
……エドガー。なんでベットなんだよ。皆がいるのに恥ずかしいだろっっ。
「ホワイト。俺が言い出したら聞かないのはわかっているだろう?」
「……」
アンバーが静かに言い聞かすようにホワイトに詰めよる。
ピリっとした空気が流れた。
「はぁ、変な噂が出てるから嫌な気はしていたんだ。ならば魔法契約をしてくれ」
先に折れたのはホワイトだった。
「あぁ。お前の気のすむようにしてくれてかまわない」
アンバーの緊張がほぐれる。細い目がさらに細くなりホワイトを見つめる。
「魔法契約?」
アキトが首をかしげると足元で声がした。
『相手の行動を縛る契約でしょうね』
いつの間にかクロが傍に来てするするとアキトの足に尻尾を巻きつかせ獣人に戻る。
「あまりに騒がしいので来てみたら、もめてるようですね?」
「それが……」
簡潔に今起こってる出来事をクロードに聞かせる。
「それでエドガーが引き攣った顔になってるんですね?」
「うるっせい!」
エドガーが苦虫をつぶしたような顔になった。
「黒猫は獣人であったのか?」
ホワイトが唖然としてこちらを見てきた。
「訳あってこの姿でおります。私はクロード。アキトのもう一人の伴侶です」
「エド。王都はまだ無事でしょう」
クロードが腕を組みながらエドガーに声をかける。尻尾はアキトに絡めたままだ。
「なんでそんなことが言えるんだよ」
「エマージェンシーコールがまだ届いてないからです」
「エマージェンシーコール?」
おおっ。なんかドラマで聞いたことがある。
「王都の城で何かがあればこちらに緊急連絡が入るようになってるのですよね?」
クロードがホワイトに向かってにっこり微笑む。なんだか怖いよ。どうしたんだクロ?
「……そうだ。良く知っておるな?」
ホワイトが片眉をあげて答える。
「この城と王都の城はリンクしているはず。本当はどこかでつながっているんでしょう?」
「何を根拠にそう思うのだ?」
ホワイトの美しい顔の眉間に深いしわができた。
「王様は動けない状態でしたが、常に竜騎士団の情報は入ってるようでした。でも城の周辺で竜を見たことはありません」
「だからなんだというのだ。定期的にここにはロックワイバーンが物資を届けに来る。その時に書簡を預けているのだとしたら?」
「いや、まて。俺がこの剣を。力の剣を譲渡されたとき、親父はすぐにこちらに了承を得たと言っていた。馬車に揺られて3~4日かかるほど悠長なことはしなかったぜ!」
エドガーが二人の間に割り込んできた。
「まったく。忍耐強い私でもこれには困りましたねえ。仮に繋がってるとして、貴方には教えられませんよ。ユリウスの弟君」
「なんだってんだ!どういうことだ!そりゃあ!?」
「ドラクルは本当はユリウスを団長にしたかったのではないか?だからお前にこの城の詳細を教えなかったんではないのか?」
「そんな……親父はそんなことはしねえ!」
「ホワイトさん、教えなかったのではなくて教えれなかったのではないでしょうか?」
クロードがほほ笑みながら言う。
「なんなんだね。君は先ほどから。この私に意見をするというのかい?」
「いいえ。ホワイトさんは頭脳明晰な方とお見受けしました。さすれば私の明察を聞いてもらえますか?」
「よかろう。言ってみるがよい。この私が直々に耳を傾けてやろう」
「はい。エドガーが団長に決まった時にはすでに内乱分子が王の傍にいた。それを王様本人もご存じでいらっしゃるのではないかと存じます」
「なんだと?!」
「ええ?!まさか?!」
「それはっ、どういうことなのか?この私に詳しく説明してみたまえ!」
「はい。王様は近いうちに王都が荒れる事を予測してエドガーをここに寄こしたのではないかと。それはきっとエドガーに絶対的な信頼を持っていたからでしょう。彼ならきっと騎士団をまとめ上げ皆を救ってくれると信じていたはず」
「そんな。どうしてユリウスではないのだ?!」
「それはアキトがユリウスを選ばなかったからです」
「え?僕?なんで僕……あ?魔女だから?」
「そうです。アキトは伝説の魔女の直系です。何故竜騎士団の団長が王族でならなければいけなかったのか?それはいつか出会うはずの魔女との再会のためではないでしょうか?」
「それって。魔女と会うものは王族でないと。いや、力の剣を持つものでないといけなかった?」
「そうです」
それって神竜の思い通りじゃ?
クロードが黙って微笑む。
「うむむ。確かにお前の言うことも一理あるな。伝説の勇者達の末裔を集めるためなら意味はわかる。ならば、再びこの地に動乱がこようとしてるのかもしれぬ。ココはその為に作られたようなものだからな」
「さすがホワイト殿!貴殿のような思慮深く聡明な方に出会えるなんて私は幸せ者でございます」
クロードの歯の浮くような言葉にエドガーの顔が歪む。それを見てクロードのこめかみがピクピクと動いた。
話をあわせろ!とばかりにクロードが睨むとハッとしたようにエドガーが続けた。
「そ。。そうだとも!ホワイトの名推理はすごいなぁ!なるほどぉ」
エドガー棒読みじゃん。
「いや、今のは私の考えではなく……まぁ。そう言うことなら理解は出来る」
「空を飛ぶなんて危険な事をせずとも、偵察に行ける方法を今回は使わせていただけないだろうか?」
クロードはあくまで低姿勢に努めるつもりらしい。
「クロードと言ったな?お前は、策士だな。」
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「はい。心に刻んでおきます」
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