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2章 竜騎士団編

42.黒豹

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 心地よい気だるさに目が覚めると引き締まった身体が目に入った。
 顔を上げると穏やかな表情の金色の瞳が僕をみていた。
「クロ!良かった。ちゃんと獣人の姿だ」
「おはようございます」
 クロードがアキトの額にキスを落とす。嬉しくって僕は彼にもっとくっつこうとして腰が固定されてることに気づく。
 「ん~?起きたのか?」
  僕の腰を後ろから抱き締めてるのはエドガーだった。まだ眠たそうな声をしている。
「まだ眠いの?昨日寝たのが遅かったから……はっ!今日から朝練だったんだ」
 慌ててベットから飛び起きるとその場に座り込んでしまう。あれ?膝が小鹿みたいに力がはいらない。バレットがニコニコしながら僕を抱き上げて僕の部屋まで連れて行ってくれた。恥ずかしい。これではまるでヤリまくりましたといわんばかりじゃないか!
 着替えは自分の部屋のクロ―ゼットの中だ。今日は団員服を着て行かないと!
 バレットが手際よく紺色の団員服をアキトに着せる。アキトは見習いなので腕章も勲章も飾りもない。
「バレットごめん」
「何をいうのですか?アキト様の身の回りのお世話がわたしの仕事で楽しみなのです。もっと私に楽しみをわけてくださいな」
 そうなのか?侍従という立場だもんな。……でも恥ずかしいいっ!
 
「うわあ!」
 エドガーの部屋に戻るとバレットが叫び声をあげた。何事かと思って部屋をのぞくとそこには大きな黒豹がいた。
 グルルッと喉を鳴らしてソファーに座っている。
「え?どうして……?」
 なんで?黒豹が? でも、この気配は……。
「クロだよね?」
『そうです。なぜかアキトと離れるとこんな姿になってしまって』
「ええ?そうなの?じゃあ僕が傍に行けば元に戻るの?」
「あ、アキト様、豹の言葉がわかるのですか?」
 え?バレット何言ってるの?ちゃんと人間の言葉だったよ?あれ?皆には聞こえないの?
『アキトはわたしのいう事が分かるのか?』
「……俺にもわかるようだな」
 団長服に着替え終わったエドガーがポカンとした顔で立っている。団長らしく腕章やら飾りが多い。
 そうか。エドガーにもわかるのか?体をつなげた伴侶同士ならわかるみたいだ。
「じゃあ、魔女との契約が切れかかってるんじゃねえのか?」
『アキト。試したい。こちらに来てください』 
 アキトがソファーに近づき黒豹に抱きつくと視界が歪み、クロードが獣人に戻った。
「クロ!クロード!」
「あぁ!アキト!貴方をまた抱きしめれるっ」
「こらっ!お前……抜け駆けするなって言いたいけど。こりゃあ仕方ねえな」 
 どうやら体の一部がアキトに触れていたら獣人の姿を維持できるようだ。
「ふむ。昨日は猫だったのに今日は豹とは。昨日より魔力が上がったからなのでしょうか?」
「あの……申し訳ございません!先ほどの豹はクロード様なのですね?昨日の事を見ていたのに騒いでしまって。私は従者として恥ずかしい限りでございます」 
 バレットが申し訳なさそうに深々と頭を下げる。
「いいっていいって。いきなりこんなデカい豹がいたら誰だってびっくりするわなあ?」
 エドガーが肩をすくめて苦笑する。
「アキト。俺はこれから団員たちと朝練に行く。だがお前はクロードと一緒にダレンに会いに行け」
 なんだか急にエドガーが団長らしくなった。


 診療所の扉を開けると薬草の匂いで満ちていた。
「おはようございます」
「おはよう……おや、早速来ていただいたのですか?」
 シルバーグレイの長髪に聡明な顔立ちのダレンが笑顔で迎えてくれた。
 この人スーツ着てたらロマンスグレーの執事みたいになるんだろうなあ。 
「ところでその後ろの方がもう一人の伴侶殿ですかの?」
「はい!それでちょっとご相談がありまして」
 少しでも離れるとまた黒豹になってしまうのではと、クロードは僕をお姫様抱っこで移動している。いやいやいや、もっと違う方法はないものか?奥にいる薬師さんたちも挨拶をしてくれるが目線が痛い。それに僕らを見て頬を染めてたりする。なんだこの羞恥プレイは!。
「ほっほっほ。朝からお熱いですなあ」
「いえ。その……それがですね……」
 僕は今朝あったことを話した。この後どう対処すべきか聞きたかったのだ。
「なるほど。離れると人型が保てないというのですね。ん~む、先祖返りをされたようですな。それに魔力が関係してると考えられますなあ」
「やはり、僕の魔力なのですね?」
「アキトの魔力はいまだ安定してないようじゃな。だが、契約解除できれば対象者の変動は抑えられるだろう」
  やはり、魔女の部屋とやらを探索し、契約解除方法を探さないといけないということか。

 その後は薬草についての知識の確認や簡単な痛み止めなどを作った。それもずっとクロードの膝の上でだ。最初は恥ずかしくて顔も上げれなかったが、段々と気にせず作業ができるようになってきた。慣れってこわい。
 まだまだ自分が満足できる量は作れないけれど、薬師さん達はそれでも喜んでくれた。
「アキトが来てくれて他の作業に手を回せるから助かるよ!」
 そんな言葉をきくだけでも嬉しい!
 思えば今まで僕はこれほど人の役に立ったことがあっただろうか?
 よし!がんばるもんね!僕に出来ることが見つかったのがとても嬉しいよ!
 僕にとっては願ったり叶ったりだ!だって薬草学はダレンさん、魔法についてはクロードから学習できるなんて!
「アキト嬉しそうですね?」
 クロードが僕の頭を撫でながら覗き込んできた。
「うん!だって僕が教えてもらいたかったことが習えるんだもの!」
  これにはダレンさんも薬師の皆さんも笑顔で応えてくれた。
「そんなふうに言ってくれるなんて。教えがいがありますよ」
「はい!皆さん、もっといろいろ教えてください」

 しばらくして、団員さん達がちらほらと覗きにやってきた。
「いやー朝練で力が入っちまってさぁ」
「今度の団長がさ、容赦ないんだよ!」
  がはははっと笑い飛ばしながら豪気な感じだ。
 皆んな打撲や打ち身、軽い捻挫だった。僕は手早く痛み止めや塗り薬を塗ってやる。
 昨日は自分に反動がくる治癒魔法を使いすぎだとエドガーに怒られたからだ。
「大丈夫ですか?エドガーが無茶してすみません」
 僕が謝ると皆んな目を見開く。
「いやいや、もし手を抜いてやりやがったら、俺らの方こそ、今後の対応を考えちまうとこだったから、本気で来てくれたことが嬉しいんだよ!」
「おう!あいつ、なかなかやるぞ!」
「それにこんな可愛い子が伴侶なんてなぁ!そっちの面でもなかなかなもんだぜー!」
「あぁ。可憐だ」
「俺、毎日こちらに来ます!」
  最後のほうはなんだかわからないがエドガーは少しづつ団長として皆に認められてるのかな?そうだと嬉しい。
「で?そのアキトさんは何でそいつの膝に乗ってるんだ?」
「あははは……」
 とりあえずクロードはもう一人の僕の伴侶ということを伝える。団員達はさらに興奮した。なんでだ?後はダレンさんが新婚なんじゃからいちゃついても良いじゃろうと言い切ってくれた。あれ?それでいいのか?なんだかのろけただけみたいな気もするが?

 和やかに歓談してるとバン!と扉を開けて薄茶色の髪の団員が入ってきた。
「アーバン隊長が大怪我をした!」
 アーバンって言うと4隊長の中の一人だったはず。確か偵察に出てるとか言ってたはずだ。


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もうおわかりでしょうが、コバルト君はちょっぴりコミュ症。レッドはヤンキー。
そして、アンバーは弁慶みたいなやつ。ホワイトは自我自尊タイプww
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