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2章 竜騎士団編
39.コバルト
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「あの、僕に何か御用ですか?」
無言でじっと見つめられるのに耐えられなくなって僕は声をかけた。
「……いや。」
濃紺な髪が風にゆれる。コバルトって髪の色から呼ばれてるのかな?
目つき悪いなあ。怒ってるのかな?僕なんか悪いことしたのか??
コバルトはじっと見つめてくるばかりで表情の変化がない。
「にゃっ」
と胸の中のクロが叫ぶとコバルトの目がキラキラした。
あれ? ひょっとして黒猫のクロが気になるのかな?
「猫お好きなんですか?」
ぴくりと肩が動いた。
「初めて見た」
「かわいいですよ。少し触ってみますか?」
コバルトが手を伸ばそうとした時。
「フゥウ―ーーーッ!!!」
黒猫のクロは耳を後ろに倒して威嚇し、僕の胸から飛び出した。
「わわっこらクロ。ダメだよ。待って!!」
僕がクロを追いかけると一緒にコバルトもついてきた。
「ネコ逃げた? 」
「どうしよう。まだ来たばかりで迷子になっちゃうよ!!」
「迷子?あぶない。サガス!」
――――――何?この人カタコトなの???
「クロ?!どこなの?返事して!」
「ネコ!どこ?!」
しはらくして茂みの中にいる黒いかたまりをみつけた。
「クロおいで。ごめん、嫌なことはもうしないよ。僕の元に帰ってきて。お前になにかあったら僕は……」
「みゃあ」
「クロ!」
僕が両手を広げると胸の中に飛び込んできてくれた。
「ごめんよ。愛してる」
チュッとその小さな額にキスをするとコバルトが駆け寄ってきた。
「ネコいた?」
「うん。ありがとう。一緒に探してくれて」
アキトがコバルトに微笑みかける。
彼はカチンと固まった。ほんのり頬が染まる。
茂みと思った場所は花壇だった。色とりどりの花が咲いていたが雑草が多い。
「凄い。野生のハーブだ!雑草抜いてお手入れさせてもらいたいなぁ」
「花スキか?」
「うん。僕ね植物と話ができるんだ」
クロが隠れてたところは花の茎がおれていた。僕はそっと手をかざし元に戻るように祈る。ばぁっと光ると茎は元に戻った。
「よかった」
「お前、癒しのチカラある?」
「うん」
またジッと見つめられる。
「ええっと、その。僕はアキト。この黒猫は僕の飼い猫のクロだよ」
「アキト。クロ。覚えた。オレはコバルト」
「うん。仲良くしてね」
「わかった。仲良しする」
なんだかなぁ?コバルトって見た目よりも子供なのかもしれない。
「コバルトさんは何歳なの?」
「184歳」
「へ?へぇ……」
本当なんだろうか?冗談なんだろうか?それすらわからない。
アキトに抱かれたクロがみじろぐ。
「ネコ。かわい」
「クロ。少しだけコバルトさんに触らせてあげて」
アキトが機嫌をとるように喉元を撫でながらクロの耳元で囁く。
「みぃ」
仕方ないなとばかりにクロはコバルトに顔を向けた。
「コバルトさん、背中を優しく撫でてあげて」
「いい?」
おずおずと伸ばされた手がクロの背をなでる。
「あったかい」
コバルトの口元が緩んだ。この人って笑うと可愛いなぁ。
「耳の付け根から喉元にかけて揉み込んであげると喜ぶんだよ」
コバルトが言われたようにクロの耳に手を向けると。
ペシっ!!
クロの尻尾がコバルトの手をたたいた。
「わ!ごめんなさい。クロ~ダメじゃないか」
クロはふん!って感じでアキトの胸もとに潜り込んでしまった。
「いい。ネコさわった。やわらかい」
コバルトはたたかれた自分の手を見つめている。
「あの、人見知りしてるだけなんで、少しずつ慣れてくるともう少し触れるようになるかも??」
「わかった。善処する」
「アキト!どこだ!?」
「エド?ここだよ!」
「驚かすなよ。急にいなくなったら心配するだろ?!」
僕の姿が見えなくて探しにきてくれたんだな。後ろからレッドもついてきた。
「伴侶は見つかったか?」
「おう。すまねえな」
「ここは崖の上だから万が一の事もある。心配かけちゃだめだろ?」
「はい。すみませんでした」
「レッド」
「ん?なんだコバルトもいたのか?」
「オレ、アキト欲しい。」
「はあ?なんだとぉ?!」エドガーが怒鳴る。
「ちょっちょっとまってくれ!こいつはいつも言葉が足らないんだ!」
レッドが慌てて間に入った。
「オレ、水魔法使う。アキト癒し魔法つかう」
「そうなのか?」レッドが意外だなと言いながら顔を見てきた。
「はい。僕は癒し魔法が使えます」
「砂漠花サク?」
「あ~っ。なるほどな」
「なんだよいったい?早く説明してくれ!」
「実は東部は今砂漠化がかなり進んでいるんだ。それでどうやらアキトの癒しの力を使いたいらしい」
「はぁ?今の会話のどこにそんな詳細があったんだよ?!」
「まあまあ、悪い、こらえてくれ。こいつはまだ……その、中身が子供なんだ」
竜騎士団の仕事のひとつに緑化があるのだという。
最近各地で砂漠化が広がり始め、作物がとれなくなり、水不足に悩まされてる地域もあり、その対策に追われているらしい。
「僕、まだまだ知らないことが多いよ。もっと竜騎士団と竜の事を勉強したい」
「ほう?アキトは俺らに興味を持ってくれるのか?」
レッドが面白そうに言う。
「うん。知りたいんだ。いや、知らないといけない気がする」
「おう!俺も知りたいぞ!なんせ親父は何にも教えてくれなかったしよ!実体験で感じろっていうんだ。無茶苦茶だろ?」
「くくっくくく。ドラクルなら言いかねないな。お前らも大変だな」
「そうなんだよ!おい、レッド、お前いいヤツだな」
「は?そんな簡単に信じてもいいのか?俺のこと何も知らないだろ?」
「レッドさんは良い方ですよ」
「アキトもそう思うか?」
「うん。だってコバルトさんの事凄い心配してるし、面倒見いいんだなって感じます」
「……お前さん、魔女なんだろ?」
「え? はい。多分そうですけど?」
こんなところまで僕が魔女だって知れ渡ってるのか?
「多分なのか?はははっ。おっもしろいな!俺も本物の魔女は初めて見たけど、こんなにのほほんとしてるとは思わなかったなあ」
「はあ。よく言われます。もう慣れました」
「そこがアキトのいいところなんだ。惚れるなよ!俺のだからな」
エドガーがアキトの腰を抱きかかえた。
「みゃあ~お」
アキトの胸元でクロが鳴く。まるでエドガーに文句を言ってるようだ。
「魔女と黒猫か。この城には魔女の部屋が隠されてるらしい」
レッドがにやりと笑った。
「え?そうなの?」
「あぁ。探してみたらどうだ?お前に見つけられるかな?」
「わあ!面白そう!うん!探してみるよ!」
「おいアキト。そろそろ部屋に戻らねえとバレットが心配するぞ」
「そうだね、荷物も片づけたいしね。コバルトさん。またね」
アキトが手を振るとコバルトも片手をあげた。
「コバルト。珍しいな。お前が人に懐くなんて」
「アキトは人じゃない」
「なんだ。わかってたのか」
「レッド。アキトはオレの弟か?」
「いや、それは違うな」
「そう……」
コバルトが少しがっかりするとレッドが口の端をあげた。
「どちかというとあいつは血の濃い親戚だな」
レッドの言葉にコバルトが嬉しそうにほほ笑んだ。
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無言でじっと見つめられるのに耐えられなくなって僕は声をかけた。
「……いや。」
濃紺な髪が風にゆれる。コバルトって髪の色から呼ばれてるのかな?
目つき悪いなあ。怒ってるのかな?僕なんか悪いことしたのか??
コバルトはじっと見つめてくるばかりで表情の変化がない。
「にゃっ」
と胸の中のクロが叫ぶとコバルトの目がキラキラした。
あれ? ひょっとして黒猫のクロが気になるのかな?
「猫お好きなんですか?」
ぴくりと肩が動いた。
「初めて見た」
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「フゥウ―ーーーッ!!!」
黒猫のクロは耳を後ろに倒して威嚇し、僕の胸から飛び出した。
「わわっこらクロ。ダメだよ。待って!!」
僕がクロを追いかけると一緒にコバルトもついてきた。
「ネコ逃げた? 」
「どうしよう。まだ来たばかりで迷子になっちゃうよ!!」
「迷子?あぶない。サガス!」
――――――何?この人カタコトなの???
「クロ?!どこなの?返事して!」
「ネコ!どこ?!」
しはらくして茂みの中にいる黒いかたまりをみつけた。
「クロおいで。ごめん、嫌なことはもうしないよ。僕の元に帰ってきて。お前になにかあったら僕は……」
「みゃあ」
「クロ!」
僕が両手を広げると胸の中に飛び込んできてくれた。
「ごめんよ。愛してる」
チュッとその小さな額にキスをするとコバルトが駆け寄ってきた。
「ネコいた?」
「うん。ありがとう。一緒に探してくれて」
アキトがコバルトに微笑みかける。
彼はカチンと固まった。ほんのり頬が染まる。
茂みと思った場所は花壇だった。色とりどりの花が咲いていたが雑草が多い。
「凄い。野生のハーブだ!雑草抜いてお手入れさせてもらいたいなぁ」
「花スキか?」
「うん。僕ね植物と話ができるんだ」
クロが隠れてたところは花の茎がおれていた。僕はそっと手をかざし元に戻るように祈る。ばぁっと光ると茎は元に戻った。
「よかった」
「お前、癒しのチカラある?」
「うん」
またジッと見つめられる。
「ええっと、その。僕はアキト。この黒猫は僕の飼い猫のクロだよ」
「アキト。クロ。覚えた。オレはコバルト」
「うん。仲良くしてね」
「わかった。仲良しする」
なんだかなぁ?コバルトって見た目よりも子供なのかもしれない。
「コバルトさんは何歳なの?」
「184歳」
「へ?へぇ……」
本当なんだろうか?冗談なんだろうか?それすらわからない。
アキトに抱かれたクロがみじろぐ。
「ネコ。かわい」
「クロ。少しだけコバルトさんに触らせてあげて」
アキトが機嫌をとるように喉元を撫でながらクロの耳元で囁く。
「みぃ」
仕方ないなとばかりにクロはコバルトに顔を向けた。
「コバルトさん、背中を優しく撫でてあげて」
「いい?」
おずおずと伸ばされた手がクロの背をなでる。
「あったかい」
コバルトの口元が緩んだ。この人って笑うと可愛いなぁ。
「耳の付け根から喉元にかけて揉み込んであげると喜ぶんだよ」
コバルトが言われたようにクロの耳に手を向けると。
ペシっ!!
クロの尻尾がコバルトの手をたたいた。
「わ!ごめんなさい。クロ~ダメじゃないか」
クロはふん!って感じでアキトの胸もとに潜り込んでしまった。
「いい。ネコさわった。やわらかい」
コバルトはたたかれた自分の手を見つめている。
「あの、人見知りしてるだけなんで、少しずつ慣れてくるともう少し触れるようになるかも??」
「わかった。善処する」
「アキト!どこだ!?」
「エド?ここだよ!」
「驚かすなよ。急にいなくなったら心配するだろ?!」
僕の姿が見えなくて探しにきてくれたんだな。後ろからレッドもついてきた。
「伴侶は見つかったか?」
「おう。すまねえな」
「ここは崖の上だから万が一の事もある。心配かけちゃだめだろ?」
「はい。すみませんでした」
「レッド」
「ん?なんだコバルトもいたのか?」
「オレ、アキト欲しい。」
「はあ?なんだとぉ?!」エドガーが怒鳴る。
「ちょっちょっとまってくれ!こいつはいつも言葉が足らないんだ!」
レッドが慌てて間に入った。
「オレ、水魔法使う。アキト癒し魔法つかう」
「そうなのか?」レッドが意外だなと言いながら顔を見てきた。
「はい。僕は癒し魔法が使えます」
「砂漠花サク?」
「あ~っ。なるほどな」
「なんだよいったい?早く説明してくれ!」
「実は東部は今砂漠化がかなり進んでいるんだ。それでどうやらアキトの癒しの力を使いたいらしい」
「はぁ?今の会話のどこにそんな詳細があったんだよ?!」
「まあまあ、悪い、こらえてくれ。こいつはまだ……その、中身が子供なんだ」
竜騎士団の仕事のひとつに緑化があるのだという。
最近各地で砂漠化が広がり始め、作物がとれなくなり、水不足に悩まされてる地域もあり、その対策に追われているらしい。
「僕、まだまだ知らないことが多いよ。もっと竜騎士団と竜の事を勉強したい」
「ほう?アキトは俺らに興味を持ってくれるのか?」
レッドが面白そうに言う。
「うん。知りたいんだ。いや、知らないといけない気がする」
「おう!俺も知りたいぞ!なんせ親父は何にも教えてくれなかったしよ!実体験で感じろっていうんだ。無茶苦茶だろ?」
「くくっくくく。ドラクルなら言いかねないな。お前らも大変だな」
「そうなんだよ!おい、レッド、お前いいヤツだな」
「は?そんな簡単に信じてもいいのか?俺のこと何も知らないだろ?」
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「アキトもそう思うか?」
「うん。だってコバルトさんの事凄い心配してるし、面倒見いいんだなって感じます」
「……お前さん、魔女なんだろ?」
「え? はい。多分そうですけど?」
こんなところまで僕が魔女だって知れ渡ってるのか?
「多分なのか?はははっ。おっもしろいな!俺も本物の魔女は初めて見たけど、こんなにのほほんとしてるとは思わなかったなあ」
「はあ。よく言われます。もう慣れました」
「そこがアキトのいいところなんだ。惚れるなよ!俺のだからな」
エドガーがアキトの腰を抱きかかえた。
「みゃあ~お」
アキトの胸元でクロが鳴く。まるでエドガーに文句を言ってるようだ。
「魔女と黒猫か。この城には魔女の部屋が隠されてるらしい」
レッドがにやりと笑った。
「え?そうなの?」
「あぁ。探してみたらどうだ?お前に見つけられるかな?」
「わあ!面白そう!うん!探してみるよ!」
「おいアキト。そろそろ部屋に戻らねえとバレットが心配するぞ」
「そうだね、荷物も片づけたいしね。コバルトさん。またね」
アキトが手を振るとコバルトも片手をあげた。
「コバルト。珍しいな。お前が人に懐くなんて」
「アキトは人じゃない」
「なんだ。わかってたのか」
「レッド。アキトはオレの弟か?」
「いや、それは違うな」
「そう……」
コバルトが少しがっかりするとレッドが口の端をあげた。
「どちかというとあいつは血の濃い親戚だな」
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