異世界行ったらボクは魔女!

ゆうきぼし/優輝星

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1章 僕は魔女?

30.新しい年に幸せは来るか。

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 年が明けた。この世界でも一年は12か月あるらしい。
 目が覚めると同時にクロードとエドガーに声をかけられた。
「「新しい年に幸せが来ますように」」
 同時に両頬にキスをされた。わ~お。目覚めのチュウだ!
 僕が目をぱちくりさせてると
「元の世界でのあけましておめでとうと同じ意味ですよ」とクロードがほほ笑んだ。
「‥‥‥あ‥‥‥新しい年も一緒に居られて僕は幸せだ」
「ぷっ! アキトらしいぜ!」
「ふふふ。ほんとですね」
「も~お。なんだよ。あとでちゃんと教えてよね」
 そういって二人の頬にもキスを返した。

「アキト様おはようございます。新しい年に幸せが来ますように」
 エドガーと伴侶儀式を終えてから僕には侍従が付いた。
 僕よりも年は若いが、落ち着いた感じの子だ。名前をバレットという。
「新しい年に幸せが来ますように。いつもありがとう」
 僕の言葉に少し頬を染めてにっこりと笑う。
 何があるかわからないからと僕の周りに知らない人間を置きたくないと厳選した子らしい。
 僕の身の回りはクロードやエドガーがやりたがるからあまり仕事がないようだが、それでも掃除やこまごまとした雑用をしてくれる。特にその‥‥‥愛し合った翌日のシーツ替えとかも‥‥‥。
 きっと僕の知らないところでいろいろしてくれてるのだと思う。
「君たちがいてくれるから僕たちは安心して生活ができるんだよ。感謝してるよ」
「アキト様! そんなもったいないお言葉。身に余る光栄です」
「アハハ。大げさだなあ」


「いい天気だな。あとで中庭でお茶でもしようかな」
 アキトは日課になっている王の治癒に向かっていた。
「やぁ。アキト。新しい年に幸せが来ますように。今日も父上のところに行くのかい?」
 廊下を曲がったところでにこにことラドゥが声をかけてきた。
「はい。新しい年に幸せが来ますように。ラドゥさんも会いに行かれるのですか? 」
「やだなあ。兄上って呼んでよ~。」
「えっと。もう少し慣れたらお呼びできるかと‥‥‥」
「ふふふ。いいよ。気長に待ってる。どう?父上の様子は?」
「今のところ、安定してますよ」
「そうかい。ありがとう。アキトのおかげだよ」
 アキトの後ろにはクロードが寄り添うようにいた。
「ところでクロード。アキトの伴侶として何か役職につかなくてはね?わかってるよね?」
「はい。いろいろと検討しております」
「検討だけでなく、アキトは僕の義弟なんだからその伴侶となるとね。しっかり考えておいてね」
「はい。わかっております」
  あれ?珍しいな。ラドゥさんがこんな言い方するなんて。

「アキト。待ちかねたぞ。」
 最近では王はベットの上ではなく、ソファ-に座って待っていることが多くなった。
「新しい年に幸せが来ますように。顔色が良いようですね。痛いところはありませんか?」
「はっはは。新年のあいさつか。アキトに幸せがきますように。痛いところなどまったくないぞ。体調が良すぎて動きたりないぐらいだ」
  王のバリトンの声が部屋に響き渡る。
「父上、ご機嫌麗しゅう」
「おお!ラドゥも来たのか。治癒の後に公務の報告を聞こう」
「かしこまりました」
  アキトは王の足に手を添えゆっくりと治癒の力を流していく。
 んー。これ以上の治癒は難しいか。内部の石化を留めるまでで完全に元に戻すのは無理だろうな。やはり呪いを解かないと治らないんだろうな。
「アキトどうした?」
「いえ。」
「よいぞ。わかっておる。これ以上治らないのであろう?」
「王様っ!?」
「ふふっ。お前は正直だな。顔に出ておるぞ」
  アキトはあわてて顔を触る。
「ははは。私の為にそんな泣きそうな顔はするな。お前の気持ちは充分わかっておるよ。ありがとう」
「僕。もっと治癒を勉強します!だから王様、あきらめないで下さい」
「うんうん。わかっておるぞ。お前は良い子だな」
 王の大きな手がアキトの頭を撫でる。子供扱いされてるよな。でも嬉しいや。
「ところでクロード、宰相に戻るつもりはないのか?」
 え?!クロードが宰相?
「あの。。宰相はコーネリアスさんでは?」
「そうだ。だがまだ若い。クロードが補佐についてくれればと思っておる」
「王様もう少し時間を下さい」


「ねえさっきの話し。クロードは宰相の仕事がしたいの?」
「まさか!宰相など王と同じくらい忙しい仕事です。アキトと離れ離れになるつもりはありませんよ。王の手前、すぐに断れなかっただけです」
「そうなのか。ちょっとホッとした。僕クロードと離れたくないな。エドガーは竜騎士団の引き継ぎでバタバタしてるし。」
「ええ。私も。何か他の役職を検討しますのでしばしお待ちを」
「それさぁ。僕も一緒にできるのってない?」
「アキトもですか?」
「うん。そうしたら僕たち一緒にいられるんじゃない?」
「あぁ。なんて可愛い事を言ってくれるんだっ!」
 ぎゅううっとクロードがアキトを抱きしめた。

「おい! こんなところでイチャイチャするな‥‥‥俺もさせろ~!」
 エドガーがクロードと僕を抱き込んできた。
「わわっ、もうエドガー。びっくりするじゃないか」
「へへへ。だってさ~。クロードったらまた抜け駆けしてるんだもんな~」
「‥‥‥抜け駆けではないわ。可愛がっていただけです」
「それは余計にほっておけないな」
「エドガー妬いてくれたのか?ふふふ。今日の仕事は終わり?3人でお茶にしない?」
「お?いいね!アキトが入れてくれるお茶が飲めるなんて幸せだぜ!」
「僕は二人といるときが一番幸せだよ」



 侍従のバレットはアキトの服の整理をしていた。
 明日の新年の挨拶用にと数着出来上がってきたものだ。
「明日はどれを着ていただこうかな?靴も何足か出しておかないと」
 コンコン‥‥‥ドアを叩く音にバレットは振り返った。
 そこにはオスマンが立っていた。
「あの‥‥‥申し訳ございません。ここには今アキト様はいらっしゃらなく‥‥‥」
「いいや、かまわない。君に用があったんだ」
「私にでしょうか? 」

 オスマンのエメラルドの瞳が輝いてみえた。
「君に頼みたいことがあってね‥‥‥」 

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