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1章 僕は魔女?
12.襲撃
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朝早くからフォキシーがやってきた。しかしエドガーがいない。どうやら昨日買った装備の一部を返品しにいったらしい。王都に行くなら最上級の装備を王に用意してもらうつもりにしたらしい。出発を少し遅らせることにした。
宿屋の前には見るからに高級そうな馬車が止まっている。王家御用達って感じだ。昨日は気づかなかったがよく見ると引いてるのは馬じゃないようだ。目が三つあった。左右と正面についている。これで240度視界が見渡せるらしい。ムーという生き物だった。
先にクロードと二人で馬車に乗り込む。フォキシーは御者だ。手綱さばきが上手いらしい。
「エドガーに悪い事したな。王族なのに昨日から使いっぱしりにしすぎてる」
「ははは。でもそれも王都に着くまでですよ。それより昨日はよく眠れましたか? 」
「あんまり……いつもはクロがいてくれたから。 」
「……可愛い事いわないでください。我慢できなくなります」
何を我慢するんだ? と聞くよりも早く口をふさがれた。
「ん……っ……」
濃厚な口づけに翻弄される。魔力が循環してくる。この力が体中を駆け巡るのが快感なんだ。癖になりそうだ。もっとしてほしいと体を摺り寄せる。だがクロードに身体を離されてしまった。
「これ以上は……だめですよ」
「……そうだね」
もうすぐエドガーが戻る。わかっていても名残惜しい。最後にちゅっと音を立てて口づけた。
~~~~~~~~~
「悪いな待たせちまった。朝めしもついでに買ってきたんだ」
エドガーからホットドックを渡された。野菜が沢山挟まっていて美味しい。ブドウによく似た果実も買ってきてくれた。どうやら僕が果物が好きだと思ってるようだ。前から妙に気が利くとは思っていたが本当にマメなやつだ。
「どうだ? 美味いか? 」
ニコニコと白い歯を見せて笑う。お前本当に良い奴だなあ。僕なんかさっきクロードと隠れてキスしてたのに。ものすごい背徳感を感じる。ごめんよエドガー。
「うん。ありがとう。美味しいよ」
心の中で謝りながら僕は彼にお礼を言った。
「くぅ~。朝から良いもんみれた。お前の笑顔は最高だよ! 」
まぶしそうに目を細めながら照れるように笑ってくれた。朝のひかりがまぶしかったのかな?
町を離れしばらくすると急に馬車が止まった。
「どうした?! 落ち着け!! 」
フォクシーが何か叫んでいた。手綱が取れないようだ。ムーが暴れているのか? 馬車の周りに何かが近づいてくる気配がする。
「クロ! エドガー! 囲まれてる! 」
「あぁ。俺にもわかる。これは殺気だ! 」
なんでいきなり? 盗賊か? 馬車が豪華すぎたから金持ちだと思われたのかな?
「アキト出るなよ! 」
「すぐに戻ります! 」
エドガーとクロードが馬車から飛び出した。ガキィーンッ! キィンッ! 剣がぶつかり合う音が聞こえる。
ドスドスドス! なにかが馬車に刺さった音がした。弓矢か?!
「ぎゃっ! 」前方で声がした。御者の位置だ。フォクシーがやられたのか?!
くそ! 僕はこんなにも非力だなんて。僕にできることはなんだ? 音に集中し神経を研ぎ澄ませた。
「エドガー後ろだ! クロード左だ! 右後方から矢が飛んでくる。後方に弓の達人がいる! 」
馬車の中から叫ぶことしかできなかった。魔力があるのならこの力を使いたい。
急に静かになった。襲撃犯たちはみんな逃げてしまったようだ。
「アキト無事か?! 」
バン!と扉があきエドガーが覗きこんできた。
「あぁ。もう表に出てもいい? 」
「いいぜ! お前凄いな! お前のおかげで戦いがスムーズに進んだぜ! 」
え?どういうことだ? 何か役に立ったんだろうか?
「ええ。アキトが指示をしてくれたので背後のリーダーを先にやっつけれましたからね」
どうやら弓矢使いがこの襲撃のリーダー的存在だったらしい。
「そうなの? よかった。少しは役に立てたんだね」
「皆さま無事でよかったです……」
フォキシーが肩をおさえながらこちらへ歩いてきた。
「大変じゃん! さっきの矢に射抜かれたの? 」
「アキト、治癒魔法をかけてやってくれませんか? 」
「え? どうやって……もしかしておまじないのこと? 」
「はい。貴方のおまじないはこの世界の呪文と同じなのです」
きっと今の僕は前より魔力が上がってるはず。試してみるしかない!
「フォキシーさん痛かったらごめんね」
フォキシーの肩に手を当て傷が塞がりますように思いを込める。パアっと光ると傷は塞がっていた。
「おお! これはすごいっ! 」
「成功した? 痛くない? 大丈夫? 」
「ええ!! ほら、この通り! 」
フォキシーが目の前で肩を動かしぶんぶん腕をふってみせた。よかった。これで少しはみんなの役に立てるかもしれない。僕にもできることがあってよかった。
「しかしただの強盗でしょうかねえ? 」
「フォキシーお前なにか知ってるのか? 」
「……昨日、エドガー様を向かいに行くと王宮に連絡を入れたんですよ」
「何それ? 王宮の誰かがエドガーを狙ってるってこと? 」
「さあそれはわかりませんが、あまりにタイミングが良すぎるのでね。ちょっと気になりましてさぁ」
「くそっ! さっきのやつら捕まえればよかった」
「ふむ。とにかくここから先は警戒したほうがいいようですね。王宮に入っても気を許さないようにしましょう。エドガー、特に貴方の周りは警戒したほうがいいのかもしれません」
「たとえ、兄上であってもという事か」
「そのとおりです」
再度僕たちは馬車に乗り明るいうちに王都に着こうと道を急いだ。
「エドガー。一つ言っておきます」
クロードが神妙な顔で話しかけてきた。
「なんだ? 」
「アキトを育てた……魔女は彼に闇魔法を教えませんでした」
「へ? それって」
「そうです。アキトは攻撃魔法が使えません。王都についてもアキトを一人にしてはいけません」
そうなんだ。知らなかった。僕は攻撃魔法が使えないのか。
「それって教えてもらったらできるようになるの? 」
「それはまだわかりません。属性にもよりますし、何よりあなたはまだ覚醒してないので」
「覚醒って何? 」
「申し訳ありません。私も時が来ればわかるとしか聞いておりませんので」
「それって祖母ちゃんから? 」
また祖母ちゃんか……。いったい、貴方は僕に何をさせたいの? なんで教えてくれなかったのさ。
異世界移転させたのも祖母ちゃんなんだろ? 答えが欲しいよ。
宿屋の前には見るからに高級そうな馬車が止まっている。王家御用達って感じだ。昨日は気づかなかったがよく見ると引いてるのは馬じゃないようだ。目が三つあった。左右と正面についている。これで240度視界が見渡せるらしい。ムーという生き物だった。
先にクロードと二人で馬車に乗り込む。フォキシーは御者だ。手綱さばきが上手いらしい。
「エドガーに悪い事したな。王族なのに昨日から使いっぱしりにしすぎてる」
「ははは。でもそれも王都に着くまでですよ。それより昨日はよく眠れましたか? 」
「あんまり……いつもはクロがいてくれたから。 」
「……可愛い事いわないでください。我慢できなくなります」
何を我慢するんだ? と聞くよりも早く口をふさがれた。
「ん……っ……」
濃厚な口づけに翻弄される。魔力が循環してくる。この力が体中を駆け巡るのが快感なんだ。癖になりそうだ。もっとしてほしいと体を摺り寄せる。だがクロードに身体を離されてしまった。
「これ以上は……だめですよ」
「……そうだね」
もうすぐエドガーが戻る。わかっていても名残惜しい。最後にちゅっと音を立てて口づけた。
~~~~~~~~~
「悪いな待たせちまった。朝めしもついでに買ってきたんだ」
エドガーからホットドックを渡された。野菜が沢山挟まっていて美味しい。ブドウによく似た果実も買ってきてくれた。どうやら僕が果物が好きだと思ってるようだ。前から妙に気が利くとは思っていたが本当にマメなやつだ。
「どうだ? 美味いか? 」
ニコニコと白い歯を見せて笑う。お前本当に良い奴だなあ。僕なんかさっきクロードと隠れてキスしてたのに。ものすごい背徳感を感じる。ごめんよエドガー。
「うん。ありがとう。美味しいよ」
心の中で謝りながら僕は彼にお礼を言った。
「くぅ~。朝から良いもんみれた。お前の笑顔は最高だよ! 」
まぶしそうに目を細めながら照れるように笑ってくれた。朝のひかりがまぶしかったのかな?
町を離れしばらくすると急に馬車が止まった。
「どうした?! 落ち着け!! 」
フォクシーが何か叫んでいた。手綱が取れないようだ。ムーが暴れているのか? 馬車の周りに何かが近づいてくる気配がする。
「クロ! エドガー! 囲まれてる! 」
「あぁ。俺にもわかる。これは殺気だ! 」
なんでいきなり? 盗賊か? 馬車が豪華すぎたから金持ちだと思われたのかな?
「アキト出るなよ! 」
「すぐに戻ります! 」
エドガーとクロードが馬車から飛び出した。ガキィーンッ! キィンッ! 剣がぶつかり合う音が聞こえる。
ドスドスドス! なにかが馬車に刺さった音がした。弓矢か?!
「ぎゃっ! 」前方で声がした。御者の位置だ。フォクシーがやられたのか?!
くそ! 僕はこんなにも非力だなんて。僕にできることはなんだ? 音に集中し神経を研ぎ澄ませた。
「エドガー後ろだ! クロード左だ! 右後方から矢が飛んでくる。後方に弓の達人がいる! 」
馬車の中から叫ぶことしかできなかった。魔力があるのならこの力を使いたい。
急に静かになった。襲撃犯たちはみんな逃げてしまったようだ。
「アキト無事か?! 」
バン!と扉があきエドガーが覗きこんできた。
「あぁ。もう表に出てもいい? 」
「いいぜ! お前凄いな! お前のおかげで戦いがスムーズに進んだぜ! 」
え?どういうことだ? 何か役に立ったんだろうか?
「ええ。アキトが指示をしてくれたので背後のリーダーを先にやっつけれましたからね」
どうやら弓矢使いがこの襲撃のリーダー的存在だったらしい。
「そうなの? よかった。少しは役に立てたんだね」
「皆さま無事でよかったです……」
フォキシーが肩をおさえながらこちらへ歩いてきた。
「大変じゃん! さっきの矢に射抜かれたの? 」
「アキト、治癒魔法をかけてやってくれませんか? 」
「え? どうやって……もしかしておまじないのこと? 」
「はい。貴方のおまじないはこの世界の呪文と同じなのです」
きっと今の僕は前より魔力が上がってるはず。試してみるしかない!
「フォキシーさん痛かったらごめんね」
フォキシーの肩に手を当て傷が塞がりますように思いを込める。パアっと光ると傷は塞がっていた。
「おお! これはすごいっ! 」
「成功した? 痛くない? 大丈夫? 」
「ええ!! ほら、この通り! 」
フォキシーが目の前で肩を動かしぶんぶん腕をふってみせた。よかった。これで少しはみんなの役に立てるかもしれない。僕にもできることがあってよかった。
「しかしただの強盗でしょうかねえ? 」
「フォキシーお前なにか知ってるのか? 」
「……昨日、エドガー様を向かいに行くと王宮に連絡を入れたんですよ」
「何それ? 王宮の誰かがエドガーを狙ってるってこと? 」
「さあそれはわかりませんが、あまりにタイミングが良すぎるのでね。ちょっと気になりましてさぁ」
「くそっ! さっきのやつら捕まえればよかった」
「ふむ。とにかくここから先は警戒したほうがいいようですね。王宮に入っても気を許さないようにしましょう。エドガー、特に貴方の周りは警戒したほうがいいのかもしれません」
「たとえ、兄上であってもという事か」
「そのとおりです」
再度僕たちは馬車に乗り明るいうちに王都に着こうと道を急いだ。
「エドガー。一つ言っておきます」
クロードが神妙な顔で話しかけてきた。
「なんだ? 」
「アキトを育てた……魔女は彼に闇魔法を教えませんでした」
「へ? それって」
「そうです。アキトは攻撃魔法が使えません。王都についてもアキトを一人にしてはいけません」
そうなんだ。知らなかった。僕は攻撃魔法が使えないのか。
「それって教えてもらったらできるようになるの? 」
「それはまだわかりません。属性にもよりますし、何よりあなたはまだ覚醒してないので」
「覚醒って何? 」
「申し訳ありません。私も時が来ればわかるとしか聞いておりませんので」
「それって祖母ちゃんから? 」
また祖母ちゃんか……。いったい、貴方は僕に何をさせたいの? なんで教えてくれなかったのさ。
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