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第二章 朝比奈と高塚

8通じ合う気持ち**

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「ぁあ匂いが濃い……甘い甘くて堪らない……」
 亜紀良のバリトンが耳を侵食する。脳髄から腰にクる。
「んぁ……あきら……っ」
 亜紀良が俺の首筋に顔をうずめた。深く息を吸い込むと今度はアルファのフェロモンの濃度が増した。甘くて刺激的で理性がすべて飛んでしまうほどの……。
「ぁ……欲しい。はや……く」
 身体の奥が疼く。早く繋がりたくて仕方がない。俺は腰を摺り寄せて早くとこの先をねだった。亜紀良の手が後蕾を弄ると期待でビクビクと身体が震える。
「ぁ……ぁっん」
「っ! こんなに濡れて……」
 かすれた声で俺の中をぐちょぐちょとかきまぜる指に感じて達しそうになる。
「もっ……挿れて……」
 興奮しきった俺が懇願するように亜紀良を見上げると、眉間にしわを寄せ指のかわりにそそり勃つモノをあてがわれた。
「じゅんっ!」
 一気に穿たれ嬌声をあげてしまう。だがそれも嬉しくて自分で身体をゆすり更に奥へ奥へと誘う。
「んっんっ……もっ……とぉ」
 互いの気持ちが通じるだけでこんなにも幸福に感じられるものなのか。亜紀良とひとつになっている喜びで涙が溢れてくる。もっとどろどろになるまで溶け合いたい。
「ぁあもっとあげる。もう誰にも……触らせへん」
 亜紀良の動きが早くなり、与えられる快楽に飲み込まれる。
「ぁあっ……イイ……イッちゃう……」
「じゅん……うねってる……っ」
 亜紀良が腰を大きくグラインドさせると快感が突き抜け俺は白濁で二人の腹を濡らした。それでもまだ足りない。もっと愛して欲しい。。
「亜紀良さ……すき……あ……きら」
「可愛いなあっもぉっどうしてくれよう」
 深く口づけながらも亜紀良の動きは容赦がない。声にならない喘ぎを繰り返しながら俺はさらなる高みへと上り詰めて行った。

「んぅ……」
「大丈夫か? 気が付いたか?」
 あれから何度も繋がり俺は気を失っていたようだった。亜紀良が心配そうに抱きしめていた。
「ぁ……けほけほっ」
 叫びすぎたのが声が枯れている。亜紀良がコップを手に水を飲ませてくれた。
「つい、度が過ぎてしまったんや。じゅん君が可愛すぎて止まれへんかってん。腰は大丈夫か?ちょっとハードな体位もしてしまったから明日は筋肉痛になるかもしれん」
 どんな体位や? 夢中やったから覚えてへんけど。きっと恥ずかしい体位やったんやろうな。じと目で亜紀良をみると苦笑する。
「じゅん君の身体が柔らかかったから。ついね。わざとやないよ」
「それ以上言わんでいい。恥ずかしくて隠れたくなるから」
「ふはは。可愛いなあ。どこに隠れても地の果てだろうか連れ戻しに行くけどな。もう逃がせへんから」
「……うん」
 はたから見たらちょっと怖い事言うてるんやろうが、今の俺にしたら求愛に聞こえるから恋愛って不思議だ。

「庇護者の方々に俺は挨拶しに行かなくてもいいの?」
「もう会わせたくない。用事のある時で良いよ」
「それで亜紀良さんの仕事とかに支障はでないの?大丈夫?」
 きっとあの裏にも表にも力がありそうな人達の協力があって亜紀良の仕事は順調に行ってるのではないだろうか?
「じゅん君っ。僕の事心配して言うてくれてるんか? 君はホンマに良い子やなあ……ごめん。大人って腹黒いんやわ」
「それぐらい。今ならわかるよ。俺を高塚の家から引き離してくれた時に自分の意思だけではどうにもできない事もあるんやなって感じた。父さんも本当はよそで子供なんて作りたくなかったと思うし、義母の手前、俺を籍に入れなかったんやと思う」

「じゅん君。僕が悪かったんや。あのとき、君を引き取った時、僕はホンマは囲ってしまいたかったんや。でもなあ、僕は自他ともに認めるほど執着心が強くてな。君を壊してしまうんやないかと怖くなった。君はまだ子供やったしな」
 俺は亜紀良に抱きしめられたままうっとりとその声に耳を傾けていた。
「前も言うたけど僕の欠点は言葉で言われないと理解でけへんとこや。きっとじゅん君は僕の事を好きやとわかっていた。そこは疑ったことはない。でも、じゅん君の口からその言葉が聞きたかったんや」 
 亜紀良は嬉しそうにニヤけている。なんやこの人子供みたいやな。そうか賢すぎる人って子供のまま成長してない部分があるって聞いたけどひょっとして亜紀良さんみたいな人の事を言うのかな?
「海外の仕事もひと段落ついたんや。だからもう行かへん。後はここからチャットやメールで指示する。WEB会議もできるし。じゅん君と離れることのほうがデメリットが多いと気づいたんや」
「デメリット?」
「そうや。じゅん君が今構想してる事業を早期に実現できるようにして僕の会社が後押しする」
「え? そんな学生のアイディアなんか採用していいの?」
「当たり前やん。僕のお嫁さんやねんから。未来の重役やし」
「え? え? お嫁さん? 重役?」
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