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6メタモルフォーゼ

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 発信機が示したのはなんと以前食事をしたホテルのスイートルームだった。
「優也の匂いだ!」
 光士郎がエレベーターを降りると駆けだした。部屋の前に立ちはだかってた男たちを投げ倒すと扉に手をかけた。莉生も扉を開けようとするがびくともしない。

「光士郎さん。この部屋鍵がかかってます!」
「優也っ! これはヒートを起こしてる匂いだ! ぐるるっ。優也っ」
 光士郎の喉がなり、威圧的な香りが漂う。

「え? これってアルファのフエロモンじゃ?」
 メキメキと音を立て光士郎が扉を引き裂くと濃厚な匂いがあふれ出す。奥から優也の声が聞こえた。

「ぁあっ。もっと……ああ欲しいっ……もっとぉ」
 ぞわっと全身に鳥肌が立った。甘ったるい媚薬のような香が焚かれている部屋に衣擦れの音と濡れた音が響く。莉生自身もこの部屋にいるだけで身体が火をつけたように熱くなる。 おそらく優也に無理やりヒートを起こさせて強制的に番にさせようと仕組まれたのだろう。

「んあっ。イイっ……ねえ挿れてぇえ。挿れてぇえええっっ」
 焦る気持ちのまま声のする方に向かうとそこには全裸の優也が身をくねらせ、魁人がその上にのしかかっていた。魁人の口は真っ赤な血に染まっている。


「う、うそだ……。まさか噛んだの?」
 莉生が打ちひしがれてるところに光士郎が唸りながら魁人を掴んで引きずる。

「どけっ! オレのだ! これはオレの番(つがい)だ!」
 魁人を優也から引き離し投げ飛ばすと、光士郎が優也を犯し始めた。

「んぁああっ。アルファのぉ。これ、これ欲しいのぉ。もっとしてぇえっ。ぁあんっ!イイっ! イイ! あんっあああんっ」


 優也の淫らな喘ぎ声に魁人がまた引き寄せられていく。魁人はラット状態だった。

「ダメだ。先輩っ! 正気に戻ってっ!」
「ぐるるっ……ふぅっふぅ。うがぁ!」
 魁人が暴れる。莉生は必死で魁人を押さえつけていた。悔しくて悲しくて莉生の瞳からは涙がポロポロと流れ落ちる。
「そんなにオメガが良いの? 俺も。俺もオメガになりたいっ! 先輩のオメガに!」
 莉生は心底オメガになりたいと。魁人を誰にも渡したくないと願った。すると体中の血が逆流するような感覚にとらわれる。

「……匂い……甘い。……良い匂い……僕のオメガ……?」
「先輩?」
 莉生はその時、押さえつけていた魁人の腕が血まみれなのに気付く。魁人の口元が血で濡れているのは優也の首を噛んだのではなくて自分の腕を噛んでいたからだった。かろうじて残る理性がそうさせていたのだ。

「り……お? ……莉生……はぁ。はぁ。」

「先輩。抱くなら俺を抱いて。めちゃくちゃにしていいから」
 莉生は魁人の目の前で服を脱ぎ捨て唇をぺろりと舐めて見せた。

「莉生っ。莉生っ!」
 魁人に抱きしめられすぐに後蕾に指を挿れられかき混ぜられる。

「ぁあっ。先輩っ……そんな乱暴に……」
「挿れたい。莉生っ。我慢できないっ」
 あっという間もなく熱く硬い魁人の雄が莉生の中に突き入れられた。
「んぁああっ!」
 痛みと共にいつもより容量のあるものが激しく行き来する。

「ひぁあっ……んぁ。……ひぃっ。ぁあっ」
「莉生っ……ぁあ。凄い締め付けてくる……っ……」
 揺さぶられ、突き上げられるたびに莉生の身体の奥に変化が現れる。この上なく気持ちがイイのだ。普段なら香油が必要なはずなのに。自然と奥から濡れて溢れてくる。
「んぁあっ。せんぱ……かい……魁人ぉお。イイ。ぁあもっと。もっとぉ」
「……はぁはぁ。ぁあっ。僕のだ。僕のものだ! 僕の子種をもっと叩きつけてヤるっ」
「んぁあ。……嬉しい。もっと……ちょうだい……ぁああっ!」
 果てても果てても魁人のピストンはとまらず莉生を乱れさせる。また莉生自身も飢えたように魁人を求めた。

「はあんっ……それイイ! イクッ……イッちゃうっぁああ!」
「ぐるるっ。噛みたいっ。莉生。噛ませてくれっ」
「ぁあっ。噛んで。俺を噛んでっ」
 魁人が繋がったまま莉生を反転させると背中じゅうにキスを降らせた。腰の動きはそのままに、首筋にまで登り上げるとうなじを舐めまわし歯を立てた。
「はぁああっ!」
 プツッと牙が突き刺さると雷に打たれたように莉生の身体が痙攣した。だが魁人は離さず更に牙を深く立てていく。
「ぁっ……ぁっ……ぁぁっ」
 小さく痙攣をおこしながら莉生は細胞のひとつひとつが書き換えられていくような感覚に戸惑う。あきらかに今までとは違う。魁人が愛しくて欲しくて堪らない。そう思うだけで身体の奥から濡れてくるのだ。それに濃厚な匂いが溢れている。それが魁人の匂いなのか莉生自身の匂いなのかももうわからなかった。そうしてそのまま何度も繋がりよがり狂ったのだった。
 



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