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11*身も心もこの手の中に**

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 ベットの軋みでユウマが俺の上に跨いでいるのが分かった。頬を撫でられた後にちゅっと音と共に唇に柔らかいものが触れた。
「? ? ?」
 これは舌? わわわ? ユウマ? 慌てて目を開けるとユウマの長いまつげがゴードンの目の前にあった。近いっ。近すぎてパニクったまま舌をからめられ吸い上げられる。歯列の裏をなぞられると腰の辺りがゾクリとした。どちらのかもわからない唾液が口の端から伝い落ちる。
 なんだか身体がおかしい。腹の奥が疼くような切ないような感じがするとゴードンは震えた。
「な……なにをして……?」
 ユウマの口の端が少し上がった気がする。
「このまま聞いて。その腕の呪いを解くには魔王の力が必要だったんだ」
 なぜだか身体が動かない。ユウマの唇がうなじから胸へと下がっていく。ユウマは顔を上げないままレロっとゴードンの胸を舐めた。たったそれだけなのにゴードンの身体が跳ねた。
「ぁっ……っ!」 
「だから魔王を退治してその力を奪ってきたんだよ」
「奪うって……ぁっ……お前どんだけ凄いやつ……なんぁ?」
 ユウマの手がゴードンの太腿を撫でまわしている。触られれば触られるほど感度が高まっていく。どうしたんだと自分の身体の変化についていけなくてゴードンはユウマをみつめる。
「凄くないさ。また師匠と会えることだけしか考えれなかった」
 俺って口説かれてるのか? こいつは魔王討伐をやってのけるほどの実力者なのに。何故なのだろうかとゴードンは不思議に思った。
「ユウマ。お前、悪趣味すぎるぞ。俺みたいなおやじに」
「好きだよ……」
「ひゃっ」
 ユウマが囁いただけなのにゴードンの身体はぞくぞくしだす。そんなに望んでいるなら好きなようにさせてやりたい。俺の身体でよければ。でも……少し怖いと上目遣いにゴードンがユウマを見た。
「ユウマ。この状況は理解したが、お、俺抱かれた事はないんだ」
「わかってる。やさしくするから」
「や、やさ……」
 ぱくぱくと口は動くが声にならない。うつぶせにされ、ユウマの手がゴードンの尻にかかる。
「洗浄。開発。潤滑。付与……これで準備は大丈夫だから」
「へ? 今の魔法か?」
 洗浄魔法は一般的で誰でも聞いたことがある。でも開発とは? 
「うん。僕魔術も習得したんだよ」
 言い終わる前にユウマの指がゴードンの後孔に挿し込まれた。
「っ……」
 ぬるりとした感触と同時に指の数が増やされていく。異物感が半端ないのに問題なく滑り込んでくるのは潤滑って魔法のせいか? シーツを握りしめ羞恥心でゴードンの顔が熱くなっていく。
「もう少し腰をあげて。そう。怖くないよ。僕を信じて」
「信じてる……ユウマの事は……誰よりも」
「師匠……ゴードン!」
 ズンっと一気に重量のあるモノがゴードンの中に押し進められた。反動で腰が逃げそうになる。
「うぁっ……ひっ……やぁ……ぐぅ……」
 目の前がチカチカする。熱い。熱くて硬いモノがゴードンの中を蹂躙する。だが苦しいだけじゃない感覚に戸惑う。擦られる度にピリピリとしたモノがせり上がる。濡れた音とともに射精感が高まってくる。ゴードンは内側から作り変えられるような感じがしていた。
「気持ちいい? 腰が揺れてる」
「そんな……はっ……っ……んん」
「声出していいよ。我慢しないで。声が聞きたいっ」
 ぐりっとユウマに奥を突かれ、ゴードンがのけぞると背中に舌を這わされた。
「ぁっ……ぁあっ」
 ゴードンがびくびくと身体を震わせ、中のモノを締め付けてしまったようだ。
「はっ……。凄い。ふ、ふふふ。もう手放せないな」
「んぁ? ……なに?……」
「愛してるよ。さぁ、受け取って……んっ」
 ユウマの腰の動きが早まる。ゴードンはもう喘ぐだけになっていた。
「もぉ……ぁっ……ゆう……ぁっあっ……あああっ」
「僕も……ヤバい。……っ!」
 ゴードンは身体の最奥で熱い飛沫を感じた。熱が身体の中を駆け巡って、だるくて腕が重い。今まで感覚がなかったのに、鈍痛がしたのだ。
「……腕が……」
「僕の精液を通して魔王の力を注いだんだよ」
「何も感じなかった腕に感覚が戻ってきた。嘘みたいだ」
「そうだね。もっとヤれば前のように動かせるようになるよ。ゴードンはまだ人間だから。いきなり全力で注いでしまうと身体が持たないから。少しずつ馴染ませるようにしようね。僕が身体を全部作り変えてあげるよ」
「ああ。ああ、いいぜ。この腕がまた動くなんて。ありがとう、ユウマ!」 
 ゴードンは嬉しすぎてユウマの話しが半分ほどしか頭の中に入ってこない。完全に諦めていた利き腕に感覚が戻ってきた。それが未だに信じられずゴードンはユウマにしがみついたまま泣いていた。俺なんかにはもったいないぐらい、なんて優秀な弟子なんだろうと何度も何度もユウマに感謝を言いながら。
「これから毎日注いであげるよ。身体を慣らすためにもそのほうがいいからね」
「そうなのか。悪いな。俺の身体の事まで考えてくれて」
「気持ちよかったでしょ? おまじないもかけておいたんだよ」
「うっ……まぁ、その。気持ちよかった」
 早口でゴードンが礼を言うとユウマがにっこりほほ笑んだ。可愛いすぎて胸が苦しい。
「……ちょろすぎて心配」
「え? なにか言ったか?」
「いや、それより感覚が戻ってきたなら剣の練習もしていこうね」
「俺はまた剣が持てるようになるのだろうか?」
「なるよ。僕が保証する。ゴードンは今よりもっと強くなる。人間以上にね」
「本当か! わかった。俺頑張るからな!」
「ふふ。よかった。流されやすいってのは前からわかってたんだ。もっと僕に夢中にさせて離れられなくしてあげるからね。覚悟してね」
 そういうとユウマは凄みのきいた笑顔を向けてきたのだ。まるで魔王みたいに。

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